作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

スメタナ四重奏団ラストコンサート

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久方ぶりのクァルテットもの。

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1989年7月チェコのブルノ文化会館におけるのスメタナ四重奏団のフェアウェルコンサートライヴ盤。
曲目はOp.103、いわゆるハイドン最後の弦楽四重奏曲です。

冒頭にハイドン、そしてスメタナの弦楽四重奏曲第2番、ドヴォルザークの弦楽六重奏曲イ長調の3曲が収められてます。ハイドン以外はプラハでのライヴ。

暖かい拍手ではじまるこのアルバム。長年ハイドンを弾いてきたクァルテットならではと感じさせる、気負いも欲もない、淡々とした進行。30年間の活動の総決算といった風情よりも、30年間のコンサート活動を通して得られた揺るぎない信頼の上に気づかれた、無言の安定感が現れているように聴こえます。

ハイドンはこの最後の四重奏曲を完成させることができず、未完のままにおわりましたが、この曲の自筆譜を出版社に送る際に添えた「わが力すべて消え失せ、われ年老い、力衰えぬ」との言葉が、この曲の位置づけを明らかにしています。

そして、ライナーノーツにはスメタナ四重奏団からのアルバムリリースのために書いたメッセージが。


親愛なる日本の皆様へ

30年の長きにわたって私たちは、
私たちの祖国からお届けできる数少ないもののひとつである
最も美しい音楽を奏でることが出来ました。
美しい音楽は、私たちすべてを生き返らせてくれ、魅了して止みません。
音楽を奏でるには、物理的な技量も必要とされますが、
残念ながら今の私たちにはそれが残されておりません。
どうか、私たちの最後の演奏の音のひとつひとつが、
私たちから皆様への愛と友情の証として伝わりますように。

プラハにて  1990年11月17日

スメタナ四重奏団



才能あるものだけが感じる、本質的な力の衰えを。
引退したスメタナ四重奏団の心境、そして同じような状況のハイドンの心境。
彼らがなぜハイドンのこの曲を最後のコンサートに選んだのかわかるような気がします。
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