作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

【新着】アンチェル/コンセルトヘボウの「オックスフォード」ライヴ(ハイドン)

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皆様、1000記事への祝福、激励、叱咤、強力pushありがとうございます!

しばらく、皆さんからいただいたコメントの嬉しい余韻に浸りたい嬉しい気分ではありますが、地道にレビューを続けることこそ当ブログの使命と思い、普段通りレビューに戻りたいと思います。

1001記事目は、皆様に聴いていただきたい絶品のアルバム。しかも入手しやすい国内盤です。昨夜仕事帰りにTOWER RECORDS新宿店に立ち寄り、ゲットしたもの。

AncelOxford.jpg
HMV ONLINEicon / amazon

カレル・アンチェル(Karel Ančerl)指揮のアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏でハイドンの交響曲92番「オックスフォード」とフランクの交響曲の2曲を収めたアルバム。収録は1970年1月21日、アムステルダム・コンセルトヘボウでのライヴ。レーベルはtahraですが、日本のキングレコードがtahraのディスクを国内向けにパッケージした国内盤。ディスク自体はtahraのものです。

このアルバム、「カレル・アンチェル没後40年記念企画」と題されたシリーズ。標題のとおり、アンチェルの没後40年を記念してtahraのからリリースされていたアンチェルのディスクのうち、現在入手困難になっている6枚をキングレコードからのプッシュで再生産されたもの。素晴しいのは上で触れたとおり、CD自体がtahraのものである点。輸入盤を盲目的に崇拝する教義はありませんが、音の雰囲気や物としての雰囲気はやはり輸入盤の方がいいことが多いのが正直なところ。

以前アンチェルのアルバムは何れもtahra盤を2回取りあげています。

2013/02/13 : ハイドン–交響曲 : カレル・アンチェル/オランダ放送フィルの「ロンドン」ライヴ
2010/06/13 : ハイドン–交響曲 : 剛演、アンチェルの93番

93番の記事を読んでいただければわかるとおり、アンチェルのハイドンは、文字通り剛演。この93番を初めて聴いた時には本当に腰をぬかさんばかりにのけぞりました。93番にハイドンが込めたエネルギーをアンチェルは見逃しませんでした。まさに戦慄の演奏。

今日取り上げるオックスフォードはもともとtahraから1995年にリリースされていたものですが、ながらく廃盤となっており、私も入手できていなかったもの。これがまさに復刻されたと言う事で、期待大です。調べてみると発売日は10月23日ということで、リリースされたてのホヤホヤ! アンチェルの規律正しい、しかも鋼を打ち出すような迫真の演奏でオックスフォードを聴くことができるということで、CDのビニールカバーを開けるところから既に過呼吸気味(笑)

アンチェルの略歴などはオランダ放送フィルのロンドンの記事で触れておりますので、そちらをご覧ください。

Hob.I:92 / Symphony No.92 "Oxford" 「オックスフォード」 [G] (1789)
流石アムステルダム・コンセルトヘボウという広い空間にゆったりと心地よく広がる序奏の響き。序奏からのびのびとした非常に自然なライヴ録音。主題に入るとあの93番の素晴しい鋼のような響きまではいきませんが、クッキリと規律正しいメロディーが流れます。非常に清潔感のある響き。93番の極端にヴァイオリンのキレを強調した演奏からすると、逆に非常に整ったバランス。ヴァイオリンの正確無比な刻みが印象的。触ると直ちに切れそうな日本刀の名刀のような凛としたキレ味。低音弦群が畳み掛けるように被さり、1楽章のクライマックスに向けて盛り上がります。キレ味、迫力満点ながらアポロン的均衡も保った素晴しい演奏。1楽章から圧倒的。
アダージョもこれ以上ないほど正統的、オーソドックスな演奏。ゆったりの流れる分厚い弦楽器群のメロディーをオーボエ等が暈取ってくっきりとした表情。それにしてもオケの響きの柔らかくて美しいこと。アムステルダム・コンセルトヘボウ管の面目躍如。中間部の力感と再び柔らかい弦の癒しに満ちた響きにやられます。
メヌエットはテンポを予想より落として、構築感をじっくりと表現。フレーズを丁寧に丁寧に描いていくので、ゆったりしているのに非常に緻密な音楽に聴こえます。彫り込みの深い彫刻を眺めるような快感。
期待のフィナーレ冒頭は、弾むというよりそよ風のような入り。主題でいきなり突風に変わり、オケもすぐにギアチェンジ。朗らかな曲想のメロディーですがオケがフルスロットルで爆走。粗い感じは微塵も感じさせず、ハイドンの秩序の中での巧みなアクセルワーク。素晴しい吹き上がりとブレーキのコントロール。神がかったような自然なバランスと嵐のような力感の制御。めくるめく絡み合っていくメロディー。最後までコンセルトヘボウ管の素晴しい演奏が健在。最後はやはり嵐のような拍手に迎えられます。

93番の名演の印象からか、もう少しグロテスクさのある演奏かと思っていたんですが、これは一流、洗練、古典の均衡の中での最上級の演奏というのが正しいでしょう。ハイドンの交響曲をこれほどまでに高貴で規律溢れたフォルムに仕立てるあたり、やはりアンチェルの手腕は素晴しいものでした。これだけオーソドックスなフォルムを描きながら、キレと迫力も尋常ではなく、これは希有な名演と言うべきでしょう。ハイドンのあとに置かれた、同日に演奏されたフランクの交響曲も冒頭から緊張感が漲る素晴しい演奏。ハイドンの評価はもちろん[+++++]です。

このアルバムの復刻に携わったキングレコードのスタッフの方に感謝ですね。1500円とリーズナブルな値段で国内盤として流通され、多くの人にハイドンの魅力をつたえる伝道師となるべきアルバムです。

追伸)オックスフォードの所有盤に占めるレビュー盤の比率が高いとの緻密な分析をいただいておりますが、偏りを是正つもりはあるものの、素晴らしい演奏は素晴しいということで、あえてオックスフォードを採用致しました(笑)

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