ヒギンボトム/ニュー・センチュリー・バロックのネルソンミサ(ハイドン)
前記事で取りあげた天地創造が非常に良かったので、ヒギンボトムの別のアルバムを即発注して届いたもの。

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エドワード・ヒギンボトム(Edward Higginbotom)指揮のオックスフォード・ニュー・カレッジ合唱団(Choir of New Collage Oxford)、ニュー・センチュリー・バロック(New Century Baroque)の演奏で、ハイドンの「ネルソン・ミサ」。収録は2011年7月13日から15日、イギリス、オックスフォードのサマータウンにある聖ミカエルと全天使教会(Church of St Michael and All Angels)でのセッション録音。レーベルはオックスフォード・ニュー・カレッジ合唱団の自主制作レーベルと思われるnovum。
ヒギンボトムについては前記事で取りあげたとおり、もともと合唱指揮の人ですが、最近はオケも良く振るようで、天地創造のオックスフォード・フィロムジカやこのニュー・センチュリー・バロックもそのオケの一つのよう。
ちなみに、ニュー・センチュリー・バロックについて調べると、ウェブサイトがありました。
newcenturybaroque
この楽団、2010年に設立された比較的新しい古楽器オケ。おそらく臨時で編成されたEUバロック管弦楽団の主要なメンバーが常設オケとなるべく集まって編成されたオケとのこと。メンバーはヨーロッパ各国から集まった若手で、活動もイギリス、イタリア、ベルギー、フランスとヨーロッパの主要国が中心です。ウェブサイトのギャラリーには、このアルバムの録音時の写真も何枚か掲載されています。
このアルバムのソロは以下のとおり。
トレブル:ジョンティ・ウォード(Jonty Ward)
アルト:ヒュー・カッティング(Hugh Cutting)
テノール:ニック・プリッチャード(Nick Prichard)
バス:トム・エドワーズ(Tom Edwards)
全員ライナーノーツに掲載されているオックスフォード・ニュー・カレッジ合唱団のメンバー表に名前が掲載されているので、合唱団のメンバーでしょう。天地創造同様、少年の清透な声の魅力が感じられるでしょうか。
Hob.XXII:11 / Missa in angustiis "Nelson Mass" 「不安な時代のミサ(ネルソンミサ)」 [d] (1798)
キリエ
少人数の古楽器オケの鮮明な響き。天地創造のオックスフォード・フィロムジカよりもキレのよい響き。古楽器独特の鮮明さと、最新の録音による鮮明さもあるでしょう。天地創造のしなやかなコントロールから想像した響きとは異なり、クッキリした響きが畳み掛けてきます。教会での録音らしく残響は多め。ソロとオケの後ろにコーラスが定位する前後の立体感が上手く録られています。ヒギンボトムらしいのはテンポを揺らさず、安定感抜群の一貫した演奏と、歌手の歌の隅々まで響きがそろっているところ。
グローリア
やはり少年による合唱と女性ソロパートの清透な響きの魅力がじわりと効いてきました。古楽器による非常に鮮度の高い伴奏に乗って清らかなソロが次々と美しいメロディーを奏でていきますが、この独特の清透感は他の演奏からはきかれないもの。冒頭は天地創造とは異なる鮮度の高い演奏の印象が強かったんですが、中盤からヒギンボトムらしい、しなやかな歌の魅力が溢れてくるようになります。清らかで美しい歌のメロディーにどっぷりと浸ることができます。オケとコーラスが一体となってハイドンの美しいメロディーを繰り出してきます。
クレド
実にゆったりと響き渡るオケの響き。教会らしい長めの残響が心地良いですね。ほんのすこし溜めをつくることで清らかな神々しさを演出。大胆な変化は使わず、リズムやフレージングの変化はかなりデリケートですが、このデリケートな変化が実に味わい深い音楽を造っていきます。ヒギンボトムの音楽づくりのポイントが見えてきたよう。クレドの印象的な響きの変化は虹の色変化をみるような美しさ。小編成オケから繰り出される響きですが、次々と響きを変化させて、本当の虹のような豊かな色彩感を表現していきます。ソプラのパートの少年のソロも完璧なコントロール。
サンクトゥス
しなやかに歌われる堂々とした旋律が、神々しさで迫力を聴かせる、ヒギンボトム独特の魅力。
ベネディクトゥス
前曲同様、小編成のオケから、音量ではなく、表現で醸し出される迫力。完全にヒギンボトムの術中にハマってます。ソロとコーラスとオケのメロディーの受け渡しの滑らかさ。呼応する音楽。大きな波に揺られているようなおおらかな気持ちになります。ミサ曲に求められる敬虔さに満ちた音楽。題名となったトランペットの響きもことさら音量を上げる訳ではないのに、しっかり印象に残る響きをつくっています。
アニュス・デイ
終曲はしなやかな前半につづいて、こだまが繰り返しかえってくるような印象的な曲を、自然のこだまのように教会の残響の中に心地よく響かせます。この辺は少年合唱ならではの清らかさ。曲のメリハリによって構成感を出すのとは異なり、しなやかに曲を進めることで、一貫した流れの美しさを造っていく演奏でした。
ヒギンボトムのネルソンミサ。オケが古楽器オケになったことで天地創造とはまた違った響きですが、歌もオケも非常に自然でしなやかな音楽を造っていくところはヒギンボトムの面目躍如。名曲の多いネルソンミサに新たに一石を投じることになりました。このしなやかにまとめられたミサ曲の素晴しさは想像以上。天地創造も良かったんですが、録音が新しい分、そしてオケの精度もあがり、こちらの方が上かもしれません。評価は[+++++]としないわけにはいきませんね。こちらも素晴しいアルバム。この組み合わせで、できればハイドンの主要なミサ6曲を録音してほしいものです。もちろん四季もです!

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エドワード・ヒギンボトム(Edward Higginbotom)指揮のオックスフォード・ニュー・カレッジ合唱団(Choir of New Collage Oxford)、ニュー・センチュリー・バロック(New Century Baroque)の演奏で、ハイドンの「ネルソン・ミサ」。収録は2011年7月13日から15日、イギリス、オックスフォードのサマータウンにある聖ミカエルと全天使教会(Church of St Michael and All Angels)でのセッション録音。レーベルはオックスフォード・ニュー・カレッジ合唱団の自主制作レーベルと思われるnovum。
ヒギンボトムについては前記事で取りあげたとおり、もともと合唱指揮の人ですが、最近はオケも良く振るようで、天地創造のオックスフォード・フィロムジカやこのニュー・センチュリー・バロックもそのオケの一つのよう。
ちなみに、ニュー・センチュリー・バロックについて調べると、ウェブサイトがありました。
newcenturybaroque
この楽団、2010年に設立された比較的新しい古楽器オケ。おそらく臨時で編成されたEUバロック管弦楽団の主要なメンバーが常設オケとなるべく集まって編成されたオケとのこと。メンバーはヨーロッパ各国から集まった若手で、活動もイギリス、イタリア、ベルギー、フランスとヨーロッパの主要国が中心です。ウェブサイトのギャラリーには、このアルバムの録音時の写真も何枚か掲載されています。
このアルバムのソロは以下のとおり。
トレブル:ジョンティ・ウォード(Jonty Ward)
アルト:ヒュー・カッティング(Hugh Cutting)
テノール:ニック・プリッチャード(Nick Prichard)
バス:トム・エドワーズ(Tom Edwards)
全員ライナーノーツに掲載されているオックスフォード・ニュー・カレッジ合唱団のメンバー表に名前が掲載されているので、合唱団のメンバーでしょう。天地創造同様、少年の清透な声の魅力が感じられるでしょうか。
Hob.XXII:11 / Missa in angustiis "Nelson Mass" 「不安な時代のミサ(ネルソンミサ)」 [d] (1798)
キリエ
少人数の古楽器オケの鮮明な響き。天地創造のオックスフォード・フィロムジカよりもキレのよい響き。古楽器独特の鮮明さと、最新の録音による鮮明さもあるでしょう。天地創造のしなやかなコントロールから想像した響きとは異なり、クッキリした響きが畳み掛けてきます。教会での録音らしく残響は多め。ソロとオケの後ろにコーラスが定位する前後の立体感が上手く録られています。ヒギンボトムらしいのはテンポを揺らさず、安定感抜群の一貫した演奏と、歌手の歌の隅々まで響きがそろっているところ。
グローリア
やはり少年による合唱と女性ソロパートの清透な響きの魅力がじわりと効いてきました。古楽器による非常に鮮度の高い伴奏に乗って清らかなソロが次々と美しいメロディーを奏でていきますが、この独特の清透感は他の演奏からはきかれないもの。冒頭は天地創造とは異なる鮮度の高い演奏の印象が強かったんですが、中盤からヒギンボトムらしい、しなやかな歌の魅力が溢れてくるようになります。清らかで美しい歌のメロディーにどっぷりと浸ることができます。オケとコーラスが一体となってハイドンの美しいメロディーを繰り出してきます。
クレド
実にゆったりと響き渡るオケの響き。教会らしい長めの残響が心地良いですね。ほんのすこし溜めをつくることで清らかな神々しさを演出。大胆な変化は使わず、リズムやフレージングの変化はかなりデリケートですが、このデリケートな変化が実に味わい深い音楽を造っていきます。ヒギンボトムの音楽づくりのポイントが見えてきたよう。クレドの印象的な響きの変化は虹の色変化をみるような美しさ。小編成オケから繰り出される響きですが、次々と響きを変化させて、本当の虹のような豊かな色彩感を表現していきます。ソプラのパートの少年のソロも完璧なコントロール。
サンクトゥス
しなやかに歌われる堂々とした旋律が、神々しさで迫力を聴かせる、ヒギンボトム独特の魅力。
ベネディクトゥス
前曲同様、小編成のオケから、音量ではなく、表現で醸し出される迫力。完全にヒギンボトムの術中にハマってます。ソロとコーラスとオケのメロディーの受け渡しの滑らかさ。呼応する音楽。大きな波に揺られているようなおおらかな気持ちになります。ミサ曲に求められる敬虔さに満ちた音楽。題名となったトランペットの響きもことさら音量を上げる訳ではないのに、しっかり印象に残る響きをつくっています。
アニュス・デイ
終曲はしなやかな前半につづいて、こだまが繰り返しかえってくるような印象的な曲を、自然のこだまのように教会の残響の中に心地よく響かせます。この辺は少年合唱ならではの清らかさ。曲のメリハリによって構成感を出すのとは異なり、しなやかに曲を進めることで、一貫した流れの美しさを造っていく演奏でした。
ヒギンボトムのネルソンミサ。オケが古楽器オケになったことで天地創造とはまた違った響きですが、歌もオケも非常に自然でしなやかな音楽を造っていくところはヒギンボトムの面目躍如。名曲の多いネルソンミサに新たに一石を投じることになりました。このしなやかにまとめられたミサ曲の素晴しさは想像以上。天地創造も良かったんですが、録音が新しい分、そしてオケの精度もあがり、こちらの方が上かもしれません。評価は[+++++]としないわけにはいきませんね。こちらも素晴しいアルバム。この組み合わせで、できればハイドンの主要なミサ6曲を録音してほしいものです。もちろん四季もです!
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