作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

アンナ・プロハスカの歌曲集(ハイドン)

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たまたま見たNHKのBSプレミアムの9月23日0:00からの番組2本。一つはデュトワ指揮のN響の今年のザルツブルク音楽祭に参加した際のライヴ。もう一つは続けて放送された同じく今年のザルツブルク音楽祭のクスターボ・ドゥダメル指揮のベネズエラ・シモン・ボリバル交響楽団のマーラーの「千人の交響曲」。どちらにも出演していて、突き抜けた高音の魅力を振りまいていたのがアンナ・プロハスカ。今日はそのプロハスカのハイドン。

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HMV ONLINEicon / amazon

アンナ・プロハスカ(Anna Prohaska)のソプラノ、エリック・シュナイダー(Eric Schneider)のピアノ、シモン・マーティン=エリス(Simon Martyn-Ellis)のリュートで、バロックから現代曲まで幅広い範囲の歌曲26曲を収めたアルバム。ハイドンは1曲、英語によるカンツォネッタ集からピアノの伴奏で「人魚の歌」。最新のアルバムではありますが収録の情報はなくPマークが2010年とあるだけ。レーベルはご覧のとおりDeutsche Grammophon。

このアルバム、最近リリースされたハイドンのアルバムのうち、在庫のあるものをHMV ONLINEで注文する際、欲しいアルバムと合わせてマルチバイにすべく埋め草として注文したもの。この手のアイドル路線のアルバムはあまり好きなものではありませんが、ついて聴いてみると、実に良い声。そして昨夜のコンサートでもかなり印象に残り、取りあげる事にした次第。

いつものようにプロハスカについて少し調べてみましょう。1983年、ドイツのバイエルン州、ノイ=ウルム(Neu-Ulm)生まれの歌手。曽祖父はオーストリアの作曲家、指揮者のカール・プロハスカ、祖父は指揮者のフェリックス・プロハスカ、父はオペラのディレクターとのことで名門音楽一家の出身。ウィーン、ベルリンで音楽を学び、2002年にベルリン・コーミッシェ・オーパーのブリテンの「ネジの回転」でデビュー。この公演が評価されオペラ界で活躍するようになります。2006年から2007年にかけてベルリン国立歌劇場の専属歌手となり、多数のオペラに出演。そしてコンサートではアバド、バレンボイム、ブーレーズ、アーノンクール、ヤンソンス、ラトルなど大物指揮者と共演、そして2011年からDeutsche Grammophonと独占録音契約を結んでいるとのこと。Wikipediaにはヘビメタ好きとも書かれており、なかなかユニークな人のようですね。

冒頭に触れた番組では、ザルツブルク音楽祭に初出演するデュトワ指揮のN響で細川俊夫の新作「ソプラノとオーケストラのための『嘆き』」を語りから絶唱。すっきりとしながらも鋭く力強い声で圧倒的な表現力を見せつけていました。アルバムの造りを見る限り、アイドル路線。ブログ初期に取りあげたイギリスの女流トランぺッター、アリソン・バルサムのアルバムに近いノリを感じますが、テレビで見る限り、ちょっとアイドル路線とは異なり、かなりの実力派と映りました。

今日取り上げるアルバムは歌曲集。ハイドンもすばらしいのですが、ハイドン以外の曲も素晴しいですね。ずっとブログのサイドバーに貼っているヌリア・リアル以来のお気に入りになりそうです。いつもは丁寧なHMV ONLINEの解説が割愛されているので、DGのサイトへのリンクを紹介しておきましょう。収録曲目などはこちらをご覧ください。

Deutsche Grammophon : Anna Prohaska – Sirène

Hob.XXVIa:25 / 6 Original Canzonettas 1 No.1 "The Mermaid's Song" 「人魚の歌」 [C] (1794)
超鮮明な録音によってクッキリと定位するちょっと固めの表情のエリック・シュナイダーのピアノ伴奏に乗って、プロハスカの独特の爽やかな歌声が転がるように入ります。録音はスタジオのようで、残響はかなり少なめ。そのかわりソプラノとピアノがあたかもそこで演奏しているようなリアリティ。圧倒的な声量でアクセントをつけながら聴き慣れたハイドンの晴朗な曲をさっぱりと歌っていきますが、高音の美しく磨かれた響きは素晴しい存在感と浸透力。繰り返し以降はかなり自在に装飾音を加えて、素朴な曲を歌うのを楽しむような歌唱。聴き慣れた素朴な歌が立派な歌曲として響き渡ります。

アンナ・プロハスカの歌曲集。やはり素晴しい実力の持ち主とハッキリわかる圧倒的な歌唱でした。このアルバムではハイドンの他、ダウランドや最後のグレゴリオ聖歌なども良かったんですが、ビックリしたのがシマノフスキの3曲。ピアノの幽玄な響きとプロハスカの空間を切り裂くような鋭い歌唱が見事。歌曲好きな方にはオススメのアルバムです。ハイドンの評価は[+++++]としておきましょう。

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