作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ギュンター・ヴァント/NDR交響楽団の76番ライヴ(ハイドン)

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ちょっと疲れて帰ったときは、短い曲のアルバムを探してしまうもの(笑) 幸い、良いアルバムがありました。この曲はこの人です。

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ギュンター・ヴァント(Günter Wand)指揮のハンブルクNDR交響楽団の演奏で、ハイドンの交響曲76番、チャイコフスキーのピアノ協奏曲の2曲を収めたCD-R。ハイドンの収録は1995年5月15日のライヴです。チャイコフスキーのピアノソロはホルヘ・ボレット(Jorge Bolet)。レーベルはCD-Rでは良く見かけるEn Larmes。

このアルバム、先週末にディスクユニオンで見かけて手に入れたもの。ヴァントはなぜか76番を偏愛しており、手元には76番だけでも、このアルバムを入れて5種のアルバムがあります。何れもライヴ収録ということで、これだけの録音があるということは、よほどにコンサートで取りあげていたのだと想像できます。これまでレビューでも3回取りあげています。何れも良い演奏なんですね、これが。

2012/05/03 : ハイドン–交響曲 : ギュンター・ヴァント/ベルリン・ドイツ交響楽団の76番
2011/10/15 : ハイドン–交響曲 : ギュンター・ヴァント/ベルリン交響楽団の交響曲76番ライヴ
2010/12/27 : ハイドン–交響曲 : ギュンター・ヴァントの交響曲76番DVD

手元のヴァントの76番の録音は1973年から1997年まであり、ヴァントが亡くなったのは2002年ということで、今回の演奏は95年と晩年のもの。これまでの演奏は、弾むような活き活きとしたリズムが印象的な演奏でしたが、このアルバムの演奏もその延長のもの。もう、76番はヴァント以外の演奏を受け付けない体になりつつあります。

Hob.I:76 / Symphony No.76 [E flat] (1782?)
聴き慣れた、引き締まった表情の入り。ヴァントの他の演奏に比べるとすこしおとなしい印象もあるものの、中庸の美学の結晶のようなバランスの良い響きに聴こえたりもします。録音は非常に自然。ライヴとしては会場ノイズなどはほとんど気にならない優秀なもの。均整のとれたギリシャ彫刻のような安定感。ディティール彫り込みの自然さはヴァントならではのもの。非の打ち所のないほれぼれするような完璧なプロポーション。バランスの良さでは今まで聴いた演奏では一番良いかもしれません。
アダージョに入ってもバランスの良さは変わりません。まるでスタジオ録音のような完璧なもの。ノイズの少なさから放送用の録音でしょうか。良く聴くと音楽に巧みに起伏をつけて、ただ自然なだけではなく、抜群の立体感を帯びて聴こえる理由がはっきりとわかります。中間部の盛り上がりも完璧なヴァントのコントロール。おそらく眼光鋭くにらみを利かせているのでしょう。終盤も大胆に盛り上がって、まさにこの曲の演奏見本のような見事さ。
ライヴらしさが欠けているわけではないのですが、あまりのフォルムの完璧さに言葉がありません。メヌエットも均整のとれた美しさ。まったく力みがない演奏。その流れのままフィナーレに入りますが、転調や間をちりばめながら徐々に力感を増していくようすは見事なアクセルワークを堪能できます。こうゆうなんでもない所に驚くような聴かせどころをもってくるあたり、普通じゃありません。実に自然な演奏ですが、耳を峙てると至る所に仕掛けが隠されていて、何度聴いても新鮮な印象が残るのがヴァントの素晴しいところです。

ヴァントの76番はどの演奏も非常に完成度の高い演奏ですが、今日取りあげた演奏はいままで聴いた中では、ライヴ感や躍動感ではなく、均整のとれた自然なフォルムの美しさが聴き所のもの。76番という地味な番付の曲の素朴な魅力を実に上手く表現した演奏といえるでしょう。評価はやはり[+++++]をつけない訳にはまいりません。ヴァントのハイドンの魅力に取り憑かれた人にはオススメです。

ここまで聴いた中では、ヴァントの76番のファーストチョイスはやはりDVDでしょう。映像によってヴァントのコントロールをより直感的に把握する事ができます。

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