ヴェーグ/カメラータ・アカデミカのブダペストライヴ(ハイドン)
どうした流れか、最近手に入れたアルバムに「あたり」が続いています。HMV ONLINEにいろいろ注文していたもの中の1枚。これが飛び切りの名演。コンサートの感動がそのまま収められた素晴しいライヴアルバムです。

HMV ONLINE
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TOWER RECORDS
シャーンドル・ヴェーグ(Sándor Végh)指揮のカメラータ・アカデミカ・ザルツブルク(Camerata Academica Salzburg)の演奏でベートーヴェンの「コリオラン」序曲、モーツァルトの交響曲35番「ハフナー」、ハイドンの交響曲103番「太鼓連打」、シューベルトの交響曲9番「ザ・グレイト」の4曲を収めた2枚組のアルバム。ハイドンの収録は1995年3月20日、ブダペストの会議センターでのライヴ。レーベルは初めて手に入れるHungary BMC。
ヴェーグのハイドンの交響曲はOrfeoからライブがいろいろリリースされていて、その一部をこれまでも取りあげています。
2010/11/27 : ハイドン–交響曲 : シャーンドル・ヴェーグの時計、102番ライヴ
2010/11/25 : ハイドン–交響曲 : シャーンドル・ヴェーグの太鼓連打、ロンドンライヴ
Orfeoからリリースされているカメラータ・アカデミカ・ザルツブルクの一連のライヴ4枚の録音は何れも1992年から96年にかけてのもので、今日取り上げるアルバムとほぼ同時期のもの。Orfeoのアルバムがザルツブルクでのザルツブルク音楽祭のライヴなのに対して、今日取り上げるアルバムはヴェーグの故郷でもあるハンガリーのブダペストでの公演であること。ヴェーグは正確にはルーマニア生まれですが、ハンガリー語圏でもあり、学んだのがブダペスト音楽院ということで、この公演は手兵、カメラータ・アカデミカ・ザルツブルクを引き連れての故郷への凱旋公演というところ。
このアルバム、非常に丁寧な造りで、ヴェーグの写真と、冒頭にヴェーグの言葉、そしてヴェーグを讃える評論、丁寧な経歴などが添えられた、ヴェーグに対するリスペクトに溢れたアルバム。
そして、CDをかけると、まず最初のコリオラン序曲の素晴しい響きに圧倒されます。ヴェーグ渾身の演奏が素晴しい響きで録られたもの。あまりの力感にのけぞらんばかり。スピーカーからヴェーグの覇気が襲いかかってくるよう。アルバムの日本語の帯につけられた「感動的な93年、95年の里帰り公演」に偽りなしです。正直カルロス・クライバーのライヴを超えるような圧倒的な迫力。これを80歳を超えた指揮者が振っていると言う事自体が奇跡と言わざるを得ないでしょう。
続くハフナーも奇跡的な出来。これほどまでにエネルギーに満ちたハフナーは聴いた事がありません。素晴しい録音によって、部屋にオケがやってきたよう。最初の2曲で圧倒され、もはやハイドンを聴く体力が残されていませんが、レビュー故、ハイドンに挑みます。
Hob.I:103 / Symphony No.103 "Mit dem Paukenwirbel" 「太鼓連打」 [E flat] (1795)
腹に来る太鼓連打。スピーカーのまわりに実物大のオケがいるよう。Orfeoの太鼓連打も聴き直しましたが、それとは比較にならない、図太いサウンドと盤石の安定感。陽光に照らされた大理石の神殿が圧倒的な迫力でそびえ立つような素晴しい安定感。陰影も深く、輝きに満ちた存在。そしてなにより優雅にそびえる姿にほれぼれするような存在感。この曲に求められるものがすべて満たされているよう。これほどまでに優雅で気品に溢れ、しかも迫力に満ちた演奏はこれまで聴いたことがありません。カラヤンもヨッフムもショルティも到達できなかった高みがここにあります。ライヴだけに演奏の生々しさは半端ではなく、まさにそこで演奏しているようなリアリティ。ヴェーグの真骨頂に直に触れたよう。最後の太鼓が鳴るあたりでは既に聴く方はふぬけ状態。あまりの素晴しさに魂抜けました(笑)
続くアンダンテは、これ以上テンポを落とすと危険な寸前までテンポを落としてきます。1楽章の興奮を冷ませと言われているような超低速な入り。オケもヴェーグのテンポに忠実にしたがって、とぼとぼとメロディーを刻んでいきます。このテンポで弾き通すにはかなりの確信があってのことでしょう。ゆっくりとメロディーが進みますが、途中の室内楽的なアンサンブルも遅いテンポに合わせてじっくりメロディーを紡いでいきます。
メヌエットはオケの響きがホール中に響きわたるのを楽しむような入り。中間部の軽さもありますが、基本的に全奏の迫力を活かした演奏。繰り返す時の力の抜き方は予定通りでしょう。素晴しいメロディーを支える伴奏の方もかなり踏み込んでいます。
フィナーレはこのコンサートにかけるヴェーグの気合いが乗り移ったような素晴しいもの。ティンパニのバチさばきにも気合いが乗り移ったよう。次々と畳み掛けるようにやってくるメロディーライン。ライヴならではの興奮。素晴しい盛り上がり。この曲にハイドンが込めたエネルギーが噴出します。ヴェーグあっぱれ!
あまりの素晴しさに言葉が出ません。やはりライヴとは、演奏者、場所、そして観客が一体となったもの。このライヴはヴェーグを迎えるブダペストの観客の期待がホール中に漲る中での演奏。ザルツブルクでのライヴもいいのですが、演奏は2段上。ハイドンばかりでなく、このアルバムに収められたすべての曲が奇跡的ともいえる時間の記録として、類いまれな価値があります。シャーンドル・ヴェーグという人の音楽の頂点を共有できる素晴しいアルバムとしてすべての人にお薦めしたい名盤です。太鼓連打の評価はもちろん[+++++]です。

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シャーンドル・ヴェーグ(Sándor Végh)指揮のカメラータ・アカデミカ・ザルツブルク(Camerata Academica Salzburg)の演奏でベートーヴェンの「コリオラン」序曲、モーツァルトの交響曲35番「ハフナー」、ハイドンの交響曲103番「太鼓連打」、シューベルトの交響曲9番「ザ・グレイト」の4曲を収めた2枚組のアルバム。ハイドンの収録は1995年3月20日、ブダペストの会議センターでのライヴ。レーベルは初めて手に入れるHungary BMC。
ヴェーグのハイドンの交響曲はOrfeoからライブがいろいろリリースされていて、その一部をこれまでも取りあげています。
2010/11/27 : ハイドン–交響曲 : シャーンドル・ヴェーグの時計、102番ライヴ
2010/11/25 : ハイドン–交響曲 : シャーンドル・ヴェーグの太鼓連打、ロンドンライヴ
Orfeoからリリースされているカメラータ・アカデミカ・ザルツブルクの一連のライヴ4枚の録音は何れも1992年から96年にかけてのもので、今日取り上げるアルバムとほぼ同時期のもの。Orfeoのアルバムがザルツブルクでのザルツブルク音楽祭のライヴなのに対して、今日取り上げるアルバムはヴェーグの故郷でもあるハンガリーのブダペストでの公演であること。ヴェーグは正確にはルーマニア生まれですが、ハンガリー語圏でもあり、学んだのがブダペスト音楽院ということで、この公演は手兵、カメラータ・アカデミカ・ザルツブルクを引き連れての故郷への凱旋公演というところ。
このアルバム、非常に丁寧な造りで、ヴェーグの写真と、冒頭にヴェーグの言葉、そしてヴェーグを讃える評論、丁寧な経歴などが添えられた、ヴェーグに対するリスペクトに溢れたアルバム。
そして、CDをかけると、まず最初のコリオラン序曲の素晴しい響きに圧倒されます。ヴェーグ渾身の演奏が素晴しい響きで録られたもの。あまりの力感にのけぞらんばかり。スピーカーからヴェーグの覇気が襲いかかってくるよう。アルバムの日本語の帯につけられた「感動的な93年、95年の里帰り公演」に偽りなしです。正直カルロス・クライバーのライヴを超えるような圧倒的な迫力。これを80歳を超えた指揮者が振っていると言う事自体が奇跡と言わざるを得ないでしょう。
続くハフナーも奇跡的な出来。これほどまでにエネルギーに満ちたハフナーは聴いた事がありません。素晴しい録音によって、部屋にオケがやってきたよう。最初の2曲で圧倒され、もはやハイドンを聴く体力が残されていませんが、レビュー故、ハイドンに挑みます。
Hob.I:103 / Symphony No.103 "Mit dem Paukenwirbel" 「太鼓連打」 [E flat] (1795)
腹に来る太鼓連打。スピーカーのまわりに実物大のオケがいるよう。Orfeoの太鼓連打も聴き直しましたが、それとは比較にならない、図太いサウンドと盤石の安定感。陽光に照らされた大理石の神殿が圧倒的な迫力でそびえ立つような素晴しい安定感。陰影も深く、輝きに満ちた存在。そしてなにより優雅にそびえる姿にほれぼれするような存在感。この曲に求められるものがすべて満たされているよう。これほどまでに優雅で気品に溢れ、しかも迫力に満ちた演奏はこれまで聴いたことがありません。カラヤンもヨッフムもショルティも到達できなかった高みがここにあります。ライヴだけに演奏の生々しさは半端ではなく、まさにそこで演奏しているようなリアリティ。ヴェーグの真骨頂に直に触れたよう。最後の太鼓が鳴るあたりでは既に聴く方はふぬけ状態。あまりの素晴しさに魂抜けました(笑)
続くアンダンテは、これ以上テンポを落とすと危険な寸前までテンポを落としてきます。1楽章の興奮を冷ませと言われているような超低速な入り。オケもヴェーグのテンポに忠実にしたがって、とぼとぼとメロディーを刻んでいきます。このテンポで弾き通すにはかなりの確信があってのことでしょう。ゆっくりとメロディーが進みますが、途中の室内楽的なアンサンブルも遅いテンポに合わせてじっくりメロディーを紡いでいきます。
メヌエットはオケの響きがホール中に響きわたるのを楽しむような入り。中間部の軽さもありますが、基本的に全奏の迫力を活かした演奏。繰り返す時の力の抜き方は予定通りでしょう。素晴しいメロディーを支える伴奏の方もかなり踏み込んでいます。
フィナーレはこのコンサートにかけるヴェーグの気合いが乗り移ったような素晴しいもの。ティンパニのバチさばきにも気合いが乗り移ったよう。次々と畳み掛けるようにやってくるメロディーライン。ライヴならではの興奮。素晴しい盛り上がり。この曲にハイドンが込めたエネルギーが噴出します。ヴェーグあっぱれ!
あまりの素晴しさに言葉が出ません。やはりライヴとは、演奏者、場所、そして観客が一体となったもの。このライヴはヴェーグを迎えるブダペストの観客の期待がホール中に漲る中での演奏。ザルツブルクでのライヴもいいのですが、演奏は2段上。ハイドンばかりでなく、このアルバムに収められたすべての曲が奇跡的ともいえる時間の記録として、類いまれな価値があります。シャーンドル・ヴェーグという人の音楽の頂点を共有できる素晴しいアルバムとしてすべての人にお薦めしたい名盤です。太鼓連打の評価はもちろん[+++++]です。
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