マックス・ルドルフ/シンシナティ響の86番、91番、57番(ハイドン)
いつも当ブログの所有盤リストにないアルバムを貸していただく湖国JHさんから届いたアルバムから、Haydn Houseの非常に珍しい演奏。

マックス・ルドルフ(Max Rudolf)指揮のシンシナティ交響楽団(Cincinnati Symphony Orchestra)の演奏で、ハイドンの交響曲86番、91番、57番の3曲を収めたアルバム。収録は1960年代、オハイオ州シンシナティのシンシナティ音楽ホールでのセッション録音。レーベルはHaydn Houseですが、もとはDECCAのLPのようです。
マックス・ルドルフは1902年、ドイツのフランクフルトに生まれた指揮者。フランクフルトのホーホ音楽院でチェロ、ピアノ、オルガン、トランペット等を学び、1922年からフライブルク市立歌劇場のコレペティトールを皮切りに、ダルムシュタット州立劇場、プラハのドイツオペラ、スウェーデンのイェーテボリ交響楽団などで指揮台に立ち、1940年に渡米、1946年からメトロポリタン歌劇場でも指揮をとるようになりました。1958年からはこのアルバムのオケであるシンシナティ交響楽団の音楽監督に就任し、66年には同オケと来日しているとのこと。1969年からはフィラデルフィアのカーティス音楽院で教えるようになりました。亡くなったのは1995年フィラデルフィアにて。
1966年に来日しているということから年配の方の記憶に残っているかもしれませんが、現在、マックス・ルドルフを知る人はそれほどいないのではないでしょうか。私も今回初めて聴く人。Haydn Houseが取りあげているということで、気になる存在ではあります。このアルバムには冒頭に好きな86番が収められているということで、耳をダンボにして聴き始めました。
Hob.I:86 / Symphony No.86 [D] (1786)
1960年代の録音と言うのが信じられない瑞々しい響き。端正な響きがホールに広がります。これ、本当にLP起こしなんでしょうか。シンシナティ交響楽団といってもあまり印象はありませんが、オケはかなりきっちりした演奏です。まさに正統派の演奏。徐々に盛り上がってくる力感も申し分ありません。タイプとしては以前聴いたヒュー・ウルフの演奏に近いでしょうか。端正なのにタイトでダイナミック、そしてキレのいい演奏。86番はこういう演奏で聴くのが一番聴き応えがあります。
2楽章のラルゴは、鮮烈さはかわらず、彫りの深い表情を見せますが、しっとり感はほどほど。今少しの流麗さと、自然な表情を期待したい所ですが、若干の固さを感じさせてしまうのが正直な所。
メヌエットは予想通り、かなりの迫力。リズムの刻みは一貫して、頑なところはちょっとクナのような気配を感じさせなくはありません。音が良いので聴き応え十分。
フィナーレは迫力十分。沸き上がるようなオケは見事。ちょっとリズムが固いところが逆に素直に感じられて、フィナーレの構造がよくわかるオーソドックスな良さも感じさせます。マックス・ルドルフの生真面目なコントロールが好印象。音量を上げて聴くと素晴しい迫力。この曲のリズムの面白さを堪能できます。
Hob.I:91 / Symphony No.91 [E flat] (1788)
先日、ヨッフム/バイエルン放送響の1958年の素晴しい演奏を聴いた事を鮮明に思い出す曲。録音の良さは変わらず、86番に比べて曲のストーリー性に変化がある曲故、少し演奏にメリハリがついて聴こえます。マックス・ルドルフの素直な解釈によって、曲が構築物のように立体的にそびえ立つ感じがうまく表現されています。ちょっとギクシャクしたような印象があるのが、この曲の特徴的な音階のイメージと合っていて悪くありません。ちょっと表情の固い楷書のような印象。ただし力感の表現がすぐれているので、妙に迫力がある感じと言えばいいでしょうか。
続くアンダンテは素朴な表情でこの曲の諧謔性が際立つ感じ。ちょっと一本調子の演奏ですが、そこにこだわった味わいがあります。オーボエでしょうか、途中でドキッとするほどクッキリ浮かびあがり、響きの面白さが際立ちます。
やはりメヌエットは迫力の表現が秀逸。リズムのキレと迫力で正攻法に攻めて来ます。そしてフィナーレは少しテンポを落とし気味に入り、じっくり曲の面白さを語るよう。少し表現に余裕ができて、結果オーライ。
Hob.I:57 / Symphony No.57 [D] (1774)
曲がすすむにつれて、表情が柔らかくなってくるように感じます。このアルバムで一番充実した表現。表情のしなやかさが加わり、持ち前のダイナミックさが引き立ちます。やはり抑えた部分をきっちり抑えることで、迫力が引き立ちます。ハイドンのツボにようやく命中。迸るエネルギーと躍動感! これでもかと畳み掛けるハイドンらしい音楽にノリノリ。
アダージョは前2曲のちょっと一本調子な印象がウソのようにデリケートなコントロール。静寂の中からピチカートがそっと浮かび上がり、フレーズ毎の表現の変化もきっちりつけて見事な表現。弱音部と強奏の印象的な対比が素晴しいですね。指揮者もオケもノリが一段違います。
2楽章が非常に落ち着いていたので、メヌエットの大胆なリズムと覇気が引き立ちます。ザクザクと溜めを効かせたフレージングが効果的。最後の一音の響かせ方が実に上手い。
フィナーレはハイドンの機知をきっちりふまえて、オケの音量を巧みなアクセルワークで自在にコントロール。この曲でのマックス・ルドルフは前2曲とは別人のように巧みな指揮振り。表情の変化の幅も大きく、要所でオケの迫力を活かした理想的な演奏。これはかなりのレベルの演奏です。
マックス・ルドルフという今は忘れられた指揮者がアメリカの片田舎のシンシナティ交響楽団を振ったハイドンの交響曲集。オケの迫力の表現は秀逸ながら、ちょっと単調なところもある演奏でした。ただし、3曲目の57番は素晴しい演奏。録音のタイミングが、はたまた得意としていた曲だからかは、今となっては定かではありませんが、明らかに2ランクくらい出来がいいです。1960年代の録音というのが信じられないような素晴しい録音。このあたりは流石Haydn Houseと言うべきでしょう。評価は57番が[+++++]、他2曲は[++++]とします。

マックス・ルドルフ(Max Rudolf)指揮のシンシナティ交響楽団(Cincinnati Symphony Orchestra)の演奏で、ハイドンの交響曲86番、91番、57番の3曲を収めたアルバム。収録は1960年代、オハイオ州シンシナティのシンシナティ音楽ホールでのセッション録音。レーベルはHaydn Houseですが、もとはDECCAのLPのようです。
マックス・ルドルフは1902年、ドイツのフランクフルトに生まれた指揮者。フランクフルトのホーホ音楽院でチェロ、ピアノ、オルガン、トランペット等を学び、1922年からフライブルク市立歌劇場のコレペティトールを皮切りに、ダルムシュタット州立劇場、プラハのドイツオペラ、スウェーデンのイェーテボリ交響楽団などで指揮台に立ち、1940年に渡米、1946年からメトロポリタン歌劇場でも指揮をとるようになりました。1958年からはこのアルバムのオケであるシンシナティ交響楽団の音楽監督に就任し、66年には同オケと来日しているとのこと。1969年からはフィラデルフィアのカーティス音楽院で教えるようになりました。亡くなったのは1995年フィラデルフィアにて。
1966年に来日しているということから年配の方の記憶に残っているかもしれませんが、現在、マックス・ルドルフを知る人はそれほどいないのではないでしょうか。私も今回初めて聴く人。Haydn Houseが取りあげているということで、気になる存在ではあります。このアルバムには冒頭に好きな86番が収められているということで、耳をダンボにして聴き始めました。
Hob.I:86 / Symphony No.86 [D] (1786)
1960年代の録音と言うのが信じられない瑞々しい響き。端正な響きがホールに広がります。これ、本当にLP起こしなんでしょうか。シンシナティ交響楽団といってもあまり印象はありませんが、オケはかなりきっちりした演奏です。まさに正統派の演奏。徐々に盛り上がってくる力感も申し分ありません。タイプとしては以前聴いたヒュー・ウルフの演奏に近いでしょうか。端正なのにタイトでダイナミック、そしてキレのいい演奏。86番はこういう演奏で聴くのが一番聴き応えがあります。
2楽章のラルゴは、鮮烈さはかわらず、彫りの深い表情を見せますが、しっとり感はほどほど。今少しの流麗さと、自然な表情を期待したい所ですが、若干の固さを感じさせてしまうのが正直な所。
メヌエットは予想通り、かなりの迫力。リズムの刻みは一貫して、頑なところはちょっとクナのような気配を感じさせなくはありません。音が良いので聴き応え十分。
フィナーレは迫力十分。沸き上がるようなオケは見事。ちょっとリズムが固いところが逆に素直に感じられて、フィナーレの構造がよくわかるオーソドックスな良さも感じさせます。マックス・ルドルフの生真面目なコントロールが好印象。音量を上げて聴くと素晴しい迫力。この曲のリズムの面白さを堪能できます。
Hob.I:91 / Symphony No.91 [E flat] (1788)
先日、ヨッフム/バイエルン放送響の1958年の素晴しい演奏を聴いた事を鮮明に思い出す曲。録音の良さは変わらず、86番に比べて曲のストーリー性に変化がある曲故、少し演奏にメリハリがついて聴こえます。マックス・ルドルフの素直な解釈によって、曲が構築物のように立体的にそびえ立つ感じがうまく表現されています。ちょっとギクシャクしたような印象があるのが、この曲の特徴的な音階のイメージと合っていて悪くありません。ちょっと表情の固い楷書のような印象。ただし力感の表現がすぐれているので、妙に迫力がある感じと言えばいいでしょうか。
続くアンダンテは素朴な表情でこの曲の諧謔性が際立つ感じ。ちょっと一本調子の演奏ですが、そこにこだわった味わいがあります。オーボエでしょうか、途中でドキッとするほどクッキリ浮かびあがり、響きの面白さが際立ちます。
やはりメヌエットは迫力の表現が秀逸。リズムのキレと迫力で正攻法に攻めて来ます。そしてフィナーレは少しテンポを落とし気味に入り、じっくり曲の面白さを語るよう。少し表現に余裕ができて、結果オーライ。
Hob.I:57 / Symphony No.57 [D] (1774)
曲がすすむにつれて、表情が柔らかくなってくるように感じます。このアルバムで一番充実した表現。表情のしなやかさが加わり、持ち前のダイナミックさが引き立ちます。やはり抑えた部分をきっちり抑えることで、迫力が引き立ちます。ハイドンのツボにようやく命中。迸るエネルギーと躍動感! これでもかと畳み掛けるハイドンらしい音楽にノリノリ。
アダージョは前2曲のちょっと一本調子な印象がウソのようにデリケートなコントロール。静寂の中からピチカートがそっと浮かび上がり、フレーズ毎の表現の変化もきっちりつけて見事な表現。弱音部と強奏の印象的な対比が素晴しいですね。指揮者もオケもノリが一段違います。
2楽章が非常に落ち着いていたので、メヌエットの大胆なリズムと覇気が引き立ちます。ザクザクと溜めを効かせたフレージングが効果的。最後の一音の響かせ方が実に上手い。
フィナーレはハイドンの機知をきっちりふまえて、オケの音量を巧みなアクセルワークで自在にコントロール。この曲でのマックス・ルドルフは前2曲とは別人のように巧みな指揮振り。表情の変化の幅も大きく、要所でオケの迫力を活かした理想的な演奏。これはかなりのレベルの演奏です。
マックス・ルドルフという今は忘れられた指揮者がアメリカの片田舎のシンシナティ交響楽団を振ったハイドンの交響曲集。オケの迫力の表現は秀逸ながら、ちょっと単調なところもある演奏でした。ただし、3曲目の57番は素晴しい演奏。録音のタイミングが、はたまた得意としていた曲だからかは、今となっては定かではありませんが、明らかに2ランクくらい出来がいいです。1960年代の録音というのが信じられないような素晴しい録音。このあたりは流石Haydn Houseと言うべきでしょう。評価は57番が[+++++]、他2曲は[++++]とします。
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