作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

スメタナ四重奏団の鳥(ハイドン)

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なんだか、夏休み気分もだんだん薄れて、仕事も忙しくなってきました(涙) もうすこし頻繁に記事を書きたいのですが、滞りがちとなっております。今日も弦楽四重奏曲のアルバム整理で聴き直したアルバムから。

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スメタナ四重奏団(Smetana Quartet)の演奏によるハイドンの弦楽四重奏曲Op.33のNo.3「鳥」、シューベルトの弦楽四重奏曲D.87、D810の3曲を収めたアルバム。ハイドンの収録は1982年3月15日、スイスのルガーノにあるスイスイタリア語放送のオーディトリウムでのライヴ。レーベルは伊ERMITAGE。

スメタナ四重奏団のハイドンの弦楽四重奏曲の録音はあまり多くありません。ブログをはじめた頃にラストコンサートをもようを収めたアルバムを取りあげています。

2010/06/16 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : スメタナ四重奏団ラストコンサート

徐々に力がおとろえ始めたクァルテットが引退する時にハイドンの最後の弦楽四重奏曲を演奏した感動のコンサートです。

スメタナ四重奏団は日本でも良く知られた存在でしょう。1943年にチェコのプラハ音楽院で室内楽を学んだ4人によって設立されたクァルテットで、当初はプラハ音楽院弦楽四重奏団と名乗っていたそう。1945年にスメタナ四重奏団に改称し、デビューしたそうです。このころのメンバーには指揮者として名をなしたヴァーツラフ・ノイマンがいました。1956年以降のメンバーは下記のとおり。

第1ヴァイオリン:イルジー・ノヴァーク(Jiří Novák)
第2ヴァイオリン:リュボミール・コステツキー(Lubomír Kostecký)
ヴィオラ:ミラン・シュカンバ(Milan Škampa)
チェロ:アントニーン・コホウト(Antonín Kohout)

主なレパートリーは、スメタナ、ドヴォルジャーク、ヤナーチェクなどのお国もの。前記事でとりあげたとおり、1989年に解散しています。

Hob.III:39 / String Quartet Op.33 No.3 "Vogelquartett" 「鳥」 [C] (1781)
引退コンサートの7年前の演奏。最初のさざめくような入りがちょっとズレているように聴こえますが、意図してそうしているよう。スメタナ四重奏団らしく、かなりくずした草書体のような演奏。全員がピタリと合わせて弾くという感じはまったくなく、一人一人の音楽が微妙に折り重なるようにしながら、ざっくりと音楽を織り上げていくよう。良く聴くと各奏者の音楽はかなりしなやかで、水が流れるような清透さと、円熟の境地をきわめた老練な印象もあります。前記事で聴いたヘンシェル四重奏団の張りのある彫りの深い鳥とは正反対の音楽。
スケルツォに入るとかなり足早にさかさかと進めます。本当に書の達人が目の前で鮮やかに草書の筆を走らせているのを眺めているよう。中間部の鳥のさえずりのような部分も非常にしなやか。ヘンシェル四重奏団が曲の構造を明確に表したのに対しスメタナは一貫して柔らかな筆遣いの妙で聴かせています。
アダージョに入ってもしなやかな筆の流れは途切れません。楷書のハイドンと草書のハイドン。どちらも捨て難い魅力をもっています。ディティールにはほとんどこだわらず、音楽の流れに身を任せてのどかに演奏することに徹しています。後半に入ると知らぬ間に筆に力が漲り、そして消え入るように終わるドラマチックなところも聴かせます。
意外と言っては失礼ですが、フィナーレのキレはそこそこあります。テクニシャンの迫真の掛け合いというよりは、老練なのにここぞという時には力が漲ります。線がぴしっとそろわないのですが音楽のフォーカスはピタリと合って、不思議と聴き応えがある演奏でした。最後は拍手が録音されています。

スメタナ四重奏団の晩年の老練な魅力を伝える貴重なライヴ録音。録音はそこそこ鮮明で悪くありません。このアルバム、弦楽四重奏の表現の幅の広さを再認識させるような演奏です。どこにこだわって音楽を創っていくかということを考えると非常に興味深い演奏です。泰然とした自然体の音楽。細かい事はまったくこだわらないものですが、音楽を聞くと、曲の流れは非常によく考えられたもの。ハイドンの弦楽四重奏曲に全く違う方向からスポットライトがあたりました。評価は[++++]とします。

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