作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団のOp.64のNo.6(ハイドン)

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夏休みにかまけてて、しばらくレビューから遠ざかっていましたので、すこし音楽に飢えてきました。今日はちょっと古めの演奏。かなり久しぶりに取り出してみたアルバム。

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ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団(Vienna Konzerthaus Quartet)の演奏による、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.64のNo.6、No.1、No.3を収めたアルバム。今日はその中からOp.64のNo.6を取りあげます。収録は1950年、ウィーンのコンツェルトハウスのモーツァルトザールでのセッション録音。レーベルはWestminster(日本のMCAビクター盤)。

ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団の演奏は、同じくMCAビクター盤の演奏を一度取りあげています。

2011/10/08 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団のOp.64のNo.2

以前に聴いたアルバムはかなり金属的なキツい音の録音だったのですが、久しぶりにこちらのアルバムを取り出して聴いてみるとと、音色は似ているものの幾分マイルド。弦楽四重奏曲を聴くのにはちょうどいい感じ。録音の是非についてはそれほどシビアではありませんが、こうした復刻ものでは演奏の印象を大きく左右する場合もあります。明らかに前に取りあげたアルバムより聴きやすく、音楽も豊かに聴こえます。前のアルバムのOp.64のNo.2が1954年5月の録音だったのに対し、今日取り上げる演奏は1950年と4年ほど遡った録音と、古さが幸いしたのでしょうか。

クァルテットの紹介やメンバーについては前記事をご覧ください。

Hob.III:64 / String Quartet Op.64 No.6 [E flat] (1790)
冒頭から味わい深いくすんだような音色の弦楽器が絶妙のアンサンブルで入ります。録音のバランスはフラットで、前記事のアルバムに聴かれた金属っぽい印象はありません。モノラルながら彫りの深い表情の鮮明な録音です。実にゆったりとリラックスした演奏。そのなかでもアントン・カンパーの濡れたような表情のヴァイオリンの美しさが際立ちます。展開部の各パートが鬩ぎ合うところでも、落ち着き払ってアンサンブルの美しさを保ちます。我々がウィーン・コンツェルトハウス四重奏団に期待するウィーン風の味わい深い響きが、まさに目の前で紡ぎ出されていくよう。このリラックス度合いと音楽の豊かさは彼らの演奏でも最上のものでしょう。
2楽章のアンダンテに入ると、アンサンブルの精度はそのままに各パートが歌う歌う。全員の音楽のフォーカスがピタリと一致して、実にゆったりとした音楽を奏でて行きます。途中からカンパーのヴァイオリンが一歩踏み込んで素晴らしい、伸び伸びとした美音を聴かせるようになります。再びアンサンブル全員の腕が等しく問われる場面に戻りますが、前パートが糸を引くような美しいメロディーを重ねて、この美しいアンダンテを宝石のように磨きこんでいきます。
メヌエットはことさらリズムやテンポの揺れを目立たせる事なく、最近の演奏とくらべると表情は押さえ気味。楽章間つながりの一貫性を活かす解釈でしょう。途中からテープの伸びか音程がすこし変わる部分があります。
フィナーレはもちろんテンポを上げますが、つねに抑制が利いて、荒れた部分は皆無。完全にコントロールされれた精度の高い演奏。メンバーのテクニックは確かなもの。音色を自在に変化させて、曲のメリハリをクッキリつけていきます。最後にテンポを一瞬落とす部分のユーモラスな演出も決まって、完璧な演奏。

ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団のハイドンのOp.64のNo.6、このシリーズの演奏のなかでもピカイチの出来の演奏と言っていいでしょう。このアルバムに収められた残りの2曲も良い演奏ですが、このNo.6ほどキレていません。このNo.6については、演奏も録音も理想的。そしてハイドンの書いたOp.64のNo.6という、穏やかで機知がちりばめられた曲をじっくりとえも言われぬ味わい深い響きによって描ききった名演奏と言っていいでしょう。ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団の演奏になんとなくピンと来ない方はこの曲を聴いてみる事をお薦めします。評価は[+++++]とします。

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