ケッケルト四重奏団のOp.74のNo.1(ハイドン)
弦楽四重奏のレビューに戻ります。以前TOWER RECORDSからDGのアルバムが復刻された際にとりあげたケッケルト四重奏団の別のアルバムが手に入りました。

HMV ONLINE
/ amazon
ケッケルト四重奏団(Koeckert Quartett)の演奏による、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.74のNo.1、シューベルトの弦楽四重奏曲第12番,マックス・レーガーの弦楽四重奏曲第5番を収めたアルバム。収録はハイドンが1972年11月14日、バイエルン放送のスタジオ1でのセッション録音。レーベルはORFEO。
以前取りあげた記事はこちら。
2011/12/10 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : 【新着】ケッケルト四重奏団の太陽四重奏曲復刻盤
以前の記事の方は1965年から65年にかけての録音でしたが、それより古い録音だろうと思って手に入れたところ、録音年はなんと1972年と、こちらの方が新しいものでビックリ。バイエルン放送響のメンバーを主体としたメンバー構成は変わっていません。太陽四重奏曲集の録音の直前に第二ヴァイオリンのヴィリー・ビュヒナーが亡くなったため、第1ヴァイオリンのルドルフ・ケッケルトの息子が第2ヴァイオリンに就任したということです。その息子も1970年に父と同様バイエルン放送響のコンサートマスターに就任したとこと。ということで、メンバーは腕利き揃いということがわかります。以前の記事と同じですが、メンバーを紹介しておきましょう。
第1ヴァイオリン:ルドルフ・ケッケルト(Rudolf Koeckert)
第2ヴァイオリン:ルドルフ・ケッケルト・ジュニア(Rudolf Koeckert Junior)
ヴィオラ:オスカー・リードル(Oscar Riedl)
チェロ:ヨーゼフ・メルツ(Josef Merz)
Hob.III:72 / String Quartet Op.74 No.1 [C] (1793)
少しハイ落ちでくすんだ音色の録音。鮮明さはそこそこあり、ノイズもないため、慣れると聴きにくい録音ではありません。録音で少し古びた印象がありますが、脳内で原音に変換しながら聴くとドイツのクァルテットらしい、メロディーの隈取りをはっきりと聴かせる鮮明な演奏。第1ヴァイオリンのルドルフ・ケッケルトの演奏はキレ味抜群。リズムもシャープ、アンサンブルも精緻、4人の息がピタリと合った素晴しい緊張感の演奏。そうしたスリリングな魅力もあるのに、演奏の安定度は抜群なもの。こともなげにカッチリクッキリと演奏しており、いかにもハイドンを得意としているような、手慣れた感じが漂います。特に素晴しいのが触ると手を切りそうなほどの鋭利さを誇るシャープなリズム。ここまでキレよく弾かれると有無をもいわせぬ迫力が漂います。
つづくアンダンティーノ・グラツィオーソは伴奏の第二ヴァイオリンの刻むリズムが非常に印象的。えらく存在感があります。完全に曲の印象を支配するほどの印象的なリズム。ちょっとしたキレの違いですが、ここまで曲の印象を左右するリズムは初めて。アンサンブルの精緻さはここでも素晴しく、大きな音量の変化の波がピタリと息を合わせて通り過ぎます。素晴しい立体感と詩情。ここにきて、くすんだ音色がかえって燻し銀とも思える印象を残して、演奏に箔をつけています。この2楽章の大きなうねりを万全に表現した神々しいまでの素晴しい演奏。
メヌエットは予想通り、ミケランジェロによる違和感を感じる寸前までデフォルメされた彫像のような、圧倒的な立体感。くびれるところは恐ろしいまでにくびれ、筋肉の盛り上がりの涼感に圧倒されるよう。それでいて全体のプロポーションは均整がといれています。
エネルギーを保ったままフィナーレに入り、ルドルフ・ケッケルトのヴァイオリンはさらにキレ味を増し、音楽の推進力と鋭利さはこれでもかと迫ってきます。これだけの表現なのにバランス感覚を保って、これがハイドンの曲であることが至極当然のような落ち着きもあります。最後に各奏者が畳み掛けるように鬩ぎ合う場面はまさに精緻なアンサンブルに鳥肌がたつよう。これを名演といわずにどういいましょう。まさに圧倒的な演奏。
やや録音の印象で損しているとはいえ、この演奏は奇跡的な完成度です。まさに疾風のような演奏。ハイドンの弦楽四重奏曲の素晴らしさをすべて含んでいるような演奏。ドイツではベルリンフィルに次ぐとされるバイエルン放送響のメンバーで構成されたクァルテットだけあって、テクニックは申し分なし。そして、カミソリのようなキレ味と古典の均衡、アンサンブルの面白さと、本当にハイドンの弦楽四重奏曲の魅力がビシッと詰まった名演です。評価はもちろん[+++++]とします。クァルテットものが好きな方、必聴です。


HMV ONLINE
ケッケルト四重奏団(Koeckert Quartett)の演奏による、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.74のNo.1、シューベルトの弦楽四重奏曲第12番,マックス・レーガーの弦楽四重奏曲第5番を収めたアルバム。収録はハイドンが1972年11月14日、バイエルン放送のスタジオ1でのセッション録音。レーベルはORFEO。
以前取りあげた記事はこちら。
2011/12/10 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : 【新着】ケッケルト四重奏団の太陽四重奏曲復刻盤
以前の記事の方は1965年から65年にかけての録音でしたが、それより古い録音だろうと思って手に入れたところ、録音年はなんと1972年と、こちらの方が新しいものでビックリ。バイエルン放送響のメンバーを主体としたメンバー構成は変わっていません。太陽四重奏曲集の録音の直前に第二ヴァイオリンのヴィリー・ビュヒナーが亡くなったため、第1ヴァイオリンのルドルフ・ケッケルトの息子が第2ヴァイオリンに就任したということです。その息子も1970年に父と同様バイエルン放送響のコンサートマスターに就任したとこと。ということで、メンバーは腕利き揃いということがわかります。以前の記事と同じですが、メンバーを紹介しておきましょう。
第1ヴァイオリン:ルドルフ・ケッケルト(Rudolf Koeckert)
第2ヴァイオリン:ルドルフ・ケッケルト・ジュニア(Rudolf Koeckert Junior)
ヴィオラ:オスカー・リードル(Oscar Riedl)
チェロ:ヨーゼフ・メルツ(Josef Merz)
Hob.III:72 / String Quartet Op.74 No.1 [C] (1793)
少しハイ落ちでくすんだ音色の録音。鮮明さはそこそこあり、ノイズもないため、慣れると聴きにくい録音ではありません。録音で少し古びた印象がありますが、脳内で原音に変換しながら聴くとドイツのクァルテットらしい、メロディーの隈取りをはっきりと聴かせる鮮明な演奏。第1ヴァイオリンのルドルフ・ケッケルトの演奏はキレ味抜群。リズムもシャープ、アンサンブルも精緻、4人の息がピタリと合った素晴しい緊張感の演奏。そうしたスリリングな魅力もあるのに、演奏の安定度は抜群なもの。こともなげにカッチリクッキリと演奏しており、いかにもハイドンを得意としているような、手慣れた感じが漂います。特に素晴しいのが触ると手を切りそうなほどの鋭利さを誇るシャープなリズム。ここまでキレよく弾かれると有無をもいわせぬ迫力が漂います。
つづくアンダンティーノ・グラツィオーソは伴奏の第二ヴァイオリンの刻むリズムが非常に印象的。えらく存在感があります。完全に曲の印象を支配するほどの印象的なリズム。ちょっとしたキレの違いですが、ここまで曲の印象を左右するリズムは初めて。アンサンブルの精緻さはここでも素晴しく、大きな音量の変化の波がピタリと息を合わせて通り過ぎます。素晴しい立体感と詩情。ここにきて、くすんだ音色がかえって燻し銀とも思える印象を残して、演奏に箔をつけています。この2楽章の大きなうねりを万全に表現した神々しいまでの素晴しい演奏。
メヌエットは予想通り、ミケランジェロによる違和感を感じる寸前までデフォルメされた彫像のような、圧倒的な立体感。くびれるところは恐ろしいまでにくびれ、筋肉の盛り上がりの涼感に圧倒されるよう。それでいて全体のプロポーションは均整がといれています。
エネルギーを保ったままフィナーレに入り、ルドルフ・ケッケルトのヴァイオリンはさらにキレ味を増し、音楽の推進力と鋭利さはこれでもかと迫ってきます。これだけの表現なのにバランス感覚を保って、これがハイドンの曲であることが至極当然のような落ち着きもあります。最後に各奏者が畳み掛けるように鬩ぎ合う場面はまさに精緻なアンサンブルに鳥肌がたつよう。これを名演といわずにどういいましょう。まさに圧倒的な演奏。
やや録音の印象で損しているとはいえ、この演奏は奇跡的な完成度です。まさに疾風のような演奏。ハイドンの弦楽四重奏曲の素晴らしさをすべて含んでいるような演奏。ドイツではベルリンフィルに次ぐとされるバイエルン放送響のメンバーで構成されたクァルテットだけあって、テクニックは申し分なし。そして、カミソリのようなキレ味と古典の均衡、アンサンブルの面白さと、本当にハイドンの弦楽四重奏曲の魅力がビシッと詰まった名演です。評価はもちろん[+++++]とします。クァルテットものが好きな方、必聴です。
- 関連記事
-
-
エオリアン弦楽四重奏団のOp.74のNo.1(ハイドン)
2013/08/16
-
タートライ四重奏団のOp.77(ハイドン)
2013/08/14
-
ブッフベルガー四重奏団のOp.76のNo.1(ハイドン)
2013/08/13
-
【新着】エンゲゴール四重奏団のOp.77のNo.1(ハイドン)
2013/08/08
-
ケッケルト四重奏団のOp.74のNo.1(ハイドン)
2013/08/07
-
クァルテット・アルモニコの「冗談」(ハイドン・トータル)
2013/08/04
-
ヴェーグ四重奏団のOp.20のNo.3(ハイドン)
2013/08/03
-
エマーソン弦楽四重奏団の「皇帝」(ハイドン)
2013/08/02
-
エマーソン弦楽四重奏団のOp.20のNo.5、冗談(ハイドン)
2013/07/30
-