クァルテット・アルモニコの「冗談」(ハイドン・トータル)

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東京藝術大学音楽学部室内楽科とウィーン音楽演劇大学ヨゼフ・ハイドン室内楽研究所による共同ブロジェクト"haydn total"。ハイドンの弦楽四重奏曲全68曲を収めた22枚組のCDBOX。今日はこの中からCD10のクァルテット・アルモニコ(Quartetto Armonico)によるOp.33のNo.2「冗談」を取りあげます。収録は2009年2月18日、東京芸術大学千住キャンパスのAスタジオでのセッション録音。レーベルというより発売元は東京藝術大学出版会。
このアルバムの基本的なことは前記事をご覧ください。
2013/02/07 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : 【新着】ハイドン・トータル!
今日取り上げる演奏は、ハイドン・トータルのOp.33を収めた第5巻のCD11をかけていたところ、一際精緻で彫りの深い音楽ににハッとさせられたもの。一度聴いたあと、演奏者を調べたりして、もう一度聴き直しちゃいました。演奏者のクァルテット・アルモニコはまったく知らない団体でしたが、コンサート活動をしている実力派のようです。
メンバーは下記のとおり。
第1ヴァイオリン:菅谷 早葉(Sayo Sugaya)
第2ヴァイオリン:生田 絵美(Emi Ikuta)
ヴィオラ:坂本 奈津子(Natsuko Sakamoto)
チェロ:富田 牧子(Makiko Tomita)
クァルテット アルモニコ
クァルテット・アルモニコは1995年に東京芸術大学在学中に結成されたクァルテット。大学院を終了後2004年にかけてウィーン国立音楽大学で学び、2007年からは毎年コンサートを開いているそうです。第4回シューベルト国際コンクール優勝、第8回ロンドン国際弦楽四重奏コンクール2位、第2回ハイドン国際室内楽コンクールで最高位などの受賞歴がある実力派です。ウェブサイトもありましたが、お知らせを見てみると2012年の定期公演はお休みとなり、現在充電期間中とありました。
Hob.III:38 / String Quartet Op.33 No.2 "The Joke" 「冗談」 [E flat] (1781)
このシリーズ、録音はどれも素晴しく、クァルテットの演奏を鮮明な響きで楽しめます。良く磨かれた穏やかな響きからはじまりますが、すぐに第1ヴァイオリンの伸びのある良く響く高音の美しさに耳を奪われます。あまりに美しいヴァイオリンにいきなりノックアウトです。ハイドンの晴朗な曲を、ハイドンらしいウィットも含みながら、メロディーの美しさをあぶり出し、何といっても圧倒的な迫力で描いていく素晴しい演奏。フレージングに余裕があり、音楽をしっかり描いていくので活き活きとしたこの曲の面白さを存分に楽しむ事ができます。それにしてもこのヴァイオリンの響きは美しい。フレーズごとのアクセントもクッキリとついて言うことなしです。1楽章から圧倒的なパフォーマンス。
つづくスケルツォは、自在に踊るヴァイオリンの美しさに加えて、溜めをつくりながら刻まれるリズムの面白さが際立ちます。早いパッセージのキレもよく、この楽章のの面白さを表現しきっています。
そしてラルゴに入ると音楽の神様降りてきました。冬の太陽に照らされ、クッキリと陰影の浮かび上がる峰々を眺めるような峻厳な音楽。ヴィオラやチェロの穏やかな音色と、ヴァイオリンのクッキリした音色が渾然一体となって奏でられる癒しの音楽。息を飲むような緊張感に痺れます。後半のチェロのクッキリとした音色もいいですね。
フィナーレはハイドンがこの曲に込めたウィットと音楽としてのフォーマルな完成度が拮抗した素晴しい演奏。この楽章を聴くとクァルテットの特徴がよくわかるのですが、クァルテット・アルモニコの演奏はハイドンらしいウィットを感じさせながらも、純粋に音楽としてこれだけ素晴しいものだとあらためて教えられるような、完璧な演奏でした。いやはや、これだけの素晴しい演奏だったとは。
まだすべて聴いた訳ではありませんが、これまで聴いたハイドン・トータルの演奏の中ではピカイチの演奏。というよりこの曲の演奏として一押しの演奏といって良いでしょう。確かなテクニックと第1ヴァイオリンの菅谷さんの素晴しい伸びのある美音は圧倒的。それでいてハイドンらしさをしっかり保っているあたりは、このクァルテットの音楽性の高さを証明しているといって良いでしょう。評価は文句なしの[+++++]とします。絶品です。
これだけ素晴しい演奏を聴かせるクァルテットですので、是非実演を聴いてみたいと思っています。充電完了したら教えてください!(もちろんこの記事をご覧になっていたらですが、、、)
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