作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

エマーソン弦楽四重奏団の「皇帝」(ハイドン)

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今日は先日とりあげたばかりのエマーソン四重奏団の別のアルバム。

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HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS / iTunesicon

エマーソン弦楽四重奏団(Emerson String Quartet)の演奏によるモーツァルトの弦楽四重奏曲「狩」(KV 458)、「不協和音」(KV 465)、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.76のNo.3「皇帝」の3曲を収めたアルバム。収録は1988年9月、10月にかけて、ケルンのドイツラジオの放送大ホールでのセッション録音。レーベルはDeutsche Grammophon。

前記事はこちら。

2013/07/30 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : エマーソン弦楽四重奏団のOp.20のNo.5、冗談

前記事の演奏は2000年から2001年と比較的最近の録音なのに対し、今日取りあげる演奏は1988年の録音と少し前の録音。前記事では、エマーソン弦楽四重奏団の良く磨きぬかれた完成度の高い演奏が、逆に教科書的で手慣れた印象や、踏み込み不足と感じさせるところもありました。名声を得て多数の録音をこなしていく中で、表現のインパクトが少々うすれているのかなとの読みです。そこで未入手盤を検索してみるてこのアルバムを発見、早速HMV ONLINEに発注して、届いたという流れです。

予想通り、このアルバムではよりフレッシュなエマーソン弦楽四重奏団のハイドンを聴く事ができました。

Hob.III:77 / String Quartet Op.76 No.3 "Kaiserquartetett" 「皇帝」 [C] (1797)
キレ味鋭い入り。録音のせいか、演奏のバランスからか、後の演奏よりもヴァイオリンの線がクッキリと浮かび上がります。録音は十分鮮明。音程の安定度は後の演奏のほうがいいですが、演奏自体の鮮度、スリリングさは明らかにこちらが上。後の演奏より10年以上前の録音は、彼らのフレッシュな魅力をよりダイレクトにつたえています。ヴァイオリンの音程がはっきり上がりきらないような部分もありますが、それも含めて荒削りな魅力があります。荒削りな分、素直にエネルギーが噴出し、キレの良さも際立ちます。
2楽章のドイツ国歌のメロディーは、まさにドイツ国歌の演奏のような風情。アメリカニューヨークを本拠地とするクァルテットとは思えないハマり方。サラッとしながら高貴な印象があるなかなか良い演奏。副旋律のメロディーの面白さをクッキリ浮かび上がらせているところも秀逸。速めのテンポで進めながら、溌剌とした魅力もあり、ときおり枯淡の表情もある、表現の幅の広い演奏。
メヌエットも一貫して速め。グイグイ引っ張るように進める推進力の高い演奏。演奏自体に若さが漲っているように感じます。
予想通り鮮度の高いフィナーレ。次々と楽器が重なっていきながらメロディーがまとまっていく様子はこの曲一番の聴き所。強奏の鋭さ、迸るエネルギー、アンサンブルの火花散る掛け合いなど、後年の演奏より明らかにキレは上。ヴァイオリンの早いパッセージも難なくこなし、アンサンブルとしてのまとまりも良い等、後年の活躍を予感させる覇気に満ちあふれています。最後のはじけ方も素晴しい!

エマーソン弦楽四重奏団の1988年の録音によるハイドンのクァルテットは、後年の演奏からは陰を潜めてしまった、覇気とエネルギー、そして鮮度の高さが感じられる演奏でした。後年の演奏にも磨き抜かれた美しい響きという美点がありますが、こちらの演奏にはハイドンの曲に全力でぶつかるエマーソン弦楽四重奏団の息吹が感じられ、比較すると、私自身はこちらの演奏の方を取りたいところです。評価は[++++]と後の演奏と同じとしますが、相対評価では、こちらの方が上だと思っております。

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