Haydn Disk of the Month - October 2019

いろいろあった10月も今日でおしまい。

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今月は本当にいろいろありました。一見澄み渡った青空が映える普通の景色ですが、よく見ると普通ではないんですね。ここは私の住む多摩川の河川敷。そして撮ったのは10月13日、日曜日の午前中。そう、日本中に大きな被害をもたらした台風19号が関東に上陸した翌日の景色です。場所は小田急線の鉄橋の少し下流にある二ヶ領宿河原堰と言う堰。

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目の前に見える堰がそれですが、ここは、年配の方なら鮮明にご記憶のことだと思いますが、昭和49年(1974年)の台風16号で堤防が決壊し、住宅が川に次々と流されるところが報道され、「岸辺のアルバム」の舞台となった場所。写真を撮るのに立っているところがまさに決壊した場所です。

今年の台風19号は10月12日土曜の夕刻から夜半にかけて関東を直撃し、各地に記録的な雨を降らせ、多くの河川が氾濫し、この多摩川も報道などでご存知のとおり、数キロ下流の二子玉川で氾濫、対岸の武蔵小杉などに大きな被害をもたらしました。台風が過ぎ去った翌日は台風一過で空は抜けるように澄み渡りました。私の住むエリアは多摩川からは2キロほど離れているものの、前日の夜、念のためネットで多摩川の水位を見ていると、ぐんぐん上昇。少し上流の調布あたりのライブカメラでは、実家に行くのによく通る堤防上の道路スレスレまで水位が上がり、あとちょっとで越水というところまで来ました。岸辺のアルバムの時でもここまでの水位にはならなかったと記憶しています。自宅はハザードマップ上では多摩川氾濫時に水をかぶるエリア外ではありましたが、多摩川の堤防が決壊したら大変なことになるということで、張り詰めた一夜を過ごしました。

まさに紙一重のところで狛江あたりでは堤防が耐えたわけです。翌朝は散乱した庭木の葉などを片付けたついでに、車で多摩川沿いがどうなっているか見にいくと、調布との境にある団地は小川が増水して道には泥が10cm以上堆積。近所の人が総出で泥を書き出していました。そして向かったのがこの二ヶ領宿河原堰。車を近くに停めて堤防に出ると、多くの人が見に来ていました。河川敷自体はほとんど水につかったためびちょびちょ。そして川に近づくと轟音と共に濁った水が流れ、欄干には流れて来た草が詰まっていました。水流の激しさと、澄み渡る空の美しさの不思議な景色をしばらく眺めて帰宅した次第。異常気象とは言うものの、来年も同じような規模の台風が来ないとも限りません。なんとなく保っている普段の生活ですが、いつ何時この日常が保てなくなるかもしれないと思わなくてはならないのでしょうね。

全国で多くの方が被災しています。1日も早く日常を取り戻せるよう祈るばかりです。



さて、本題の10月にレビューしたアルバムからベスト盤を選ぶ月末恒例の企画ですが、今月はこちらを選びました!

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2019/10/30 : ハイドン–ピアノソナタ : パトリック・ホーキンスのスクエアピアノによるソナタ集(ハイドン)

今月レビューした4枚は奇遇にもいずれも鍵盤楽器によるアルバムで、皆素晴らしい演奏。どのアルバムを選んでもおかしくないものなんですが、最も心に刺さったのは直近でレビューしたこのアルバム。ハイドンと縁があった女性作曲家のマリア・へスター・レイノルズ・パークの作品とハイドンのソナタなどを併録したアルバム。アルバムの企画意図とハイドンの選曲、そして解説、関連して設けられたウェブサイトなど非常に力の入ったプロダクション。この選曲された背景を解説で知った上で聴くとハイドンという作曲家の魅力の真髄に触れられます。特に今まであんまりしっくりと来ていなかったピアノソナタ(Hob.XVI:51)はこの演奏を聴いてどうしてこのような曲となったか非常によくわかりました。演奏は外連味がないどころか、普遍的価値をもつ頭抜けた穏やかさに包まれており、聴くと幸せになれます!

今月レビューしたその他のアルバム。

2019/10/26 : ハイドン–ピアノソナタ : 【新着】ニコラ・スタヴィの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」(ハイドン)
2019/10/17 : ハイドン–ピアノソナタ : アレクセイ・リュビモフの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」(ハイドン)
2019/10/09 : ハイドン–ピアノソナタ : 絶美! ヤロスラフ・トゥーマの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」(ハイドン)

最終的にトゥーマとどちらにしようか迷った末の決断です。書いたように演奏だけ見ればどのアルバムも絶品ですが、スタヴィは再発ものでアルバム以上に再発したBISの酔眼を評価すべき、リュビモフは当ブログが推さなくてもすでに多くの方が評価しているということで選ばなかった次第。

さて、だんだん寒い季節に突入しますが、皆様、風邪など召されぬように、、、 そういえば「岸辺のアルバム」に出演していた八千草薫さんも亡くなってしまいましたね。(合掌)



2019年10月のデータ(2019年10月31日)
登録曲数:1,365曲(前月比±0曲) 登録演奏数:11,690(前月比+26演奏)



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パトリック・ホーキンスのスクエアピアノによるソナタ集(ハイドン)

10月に入り鍵盤物が続いておりますが、もう1枚。

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パトリック・ホーキンス(Patrick Hawkins)のスクエア・ピアノによる、マリア・ヘスター・レイノルズ・パーク(Maria Hester Reynolds Park)とハイドンのソナタなどを収めたアルバム。ハイドンの収録曲はピアノソナタ(Hob.XVI:51)、ピアノトリオ(Hob.XV:22)のアダージョ、カプリッチョ(Hob.XVII:1)「豚の去勢にゃ8人がかり」の3曲。収録は2014年6月23日から25日にかけて、米国サウスカロライナ州コロンビアにあるサウスカロライナ大学音楽学部のリサイタルホールでのセッション録音。レーベルは米Navona Records。

このアルバムには"Haydn and The English Lady"と思わせぶりなタイトルがついていいますが、併録されたソナタの作曲家、マリア・ヘスター・レイノルズ・パークがその英国婦人。解説の英文を紐解くと、マリア・パークは1760年生まれで若い頃はオックスフォードのオーケストラで鍵盤楽器奏者を務め、その後ロンドンに移って作曲したソナタなどを発表した人で、1813年に52歳で亡くなっています。ハイドンとどのような関係があったかと言うと、このアルバムに収録されているXVI:51のソナタは近年の研究で、このマリア・パークに贈られたと推定されているとのこと。ハイドンとの結びつきは、当時ハイドンが版画を収集していて、彼女の夫で優れた版画家であったトーマス・パークの手による著名な女優のドロテア・フィリップス(Dorothea Philips)の版画を購入し、作者であるトーマス・パークを紹介され、マリア・パークに出会ったとのこと。

このような経緯は明らかなものの、肝心のハイドンとマリア・パークがどのような関係であったかはわかりません。このアルバムで思い出したのが、ヌリア・リアルのアルバム。

2010/11/06 : ハイドン–オペラ : ヌリア・リアルのオペラ挿入アリア集

こちらは、ハイドンと若い歌手のルイジア・ポルツェリのために書いたアリアをテーマとしたアルバム。ハイドンの愛情がこもったアリアが並ぶ見事な企画。それに比べると、今日取り上げるアルバムの方はちょっと、企画が浅い感じが否めませんが、このアルバムタイトルに過剰な思い込みをした私の勇足と思うことにします(笑)

さて、ピアニストのパトリック・ホーキンスははじめて聴く人。ライナーノーツに簡単な紹介があるのみであまり詳しいことはわかりませんが、サウスカロライナ州コロンビアを拠点に活動する鍵盤楽器奏者で、ヨーロッパでも定期的に活動しているようです。この他にバッハの録音があるようですが、録音はそのくらいでしょうか。

演奏はスクエアピアノですが、ハイドンのソナタではジョアンナ・リーチ小倉貴久子トム・ベギンキャサリン・メイなどが録音を残しています。使用楽器は1831年製ウィリアム・ガイプ(William Geib)のスクエアピアノ。ライナーノーツに楽器の説明があまりないと思ってネットを調べていると、このアルバムの専用サイトをレーベルが用意していました。

HAYDN AND THE ENGLISH LADY - Home

アルバムに記載されている情報に加えて、楽器についてはかなり詳しい解説と細部の写真が掲載されていますので、興味のある方はご覧ください。



さて、肝心の演奏です。

ハイドンの前にマリア・パークの作品が4曲並びますが、意外にこれがなかなかいい。もちろん、ハイドンのソナタと比べるのは少々酷ですが、実にさっぱりとした愉しい曲想で、しかもスクエア・ピアノで弾くと、純粋にスクエアピアノの響きの美しさを楽しめる屈託のない音楽が心地よく流れます。スクエアピアノは、言われなければフォルテピアノと思ってしまうような音色で、フォルテピアノよりも少々響きが丸いと言うか厚いと言うか柔らかいと言うか、なんかそのような印象の響きです。ダイナミクスはフォルテピアノよりも少し狭いように聞こえますが、これが音楽をシンプルにわかりやすく聴かせる効果があるような気がします。

Hob.XVI:51 Piano Sonata No.61 [D] (probably 1794)
XVI:50とXVI:52と合わせてハイドンの作曲した最後の3つのソナタとして扱われることの多い曲ですが、2楽章構成と短く、録音も他2曲と比べてかなり少ない曲。展開はシンプルながら晩年の作らしくメロディーは閃きに満ちています。その曲を実に雅なスクエアピアノで演奏することで、そのひらめきが一層輝くよう。音域ごとに音色が結構異なるのでメロディーの面白さが際立ちます。ホーキンスのタッチはそのメロディー面白さを強調するようにメリハリをつけていきますが、やはり古典のハイドン、節度ある抑揚が実に心地よい演奏。作品の良さを際立たせようという穏やかな意図が感じられる自然な演奏。やはりハイドンにはこの自然さが必要です。入りのアンダンテから実に美しい響きに酔わされますが、続くプレストではハイドンの小気味よい展開の妙を存分に楽しむことができます。この曲、本格的なソナタではなく、美しい小品となったのは美しい版画のお礼として書かれたという経緯を知ると、この小気味よさこそがこの曲のポイントなんだとしっくりきますね。

Hob.XV:22 Piano Trio (Nr.36/op.71-2) [E flat] (before 1795)
続いてアダージョだけ取り出して鍵盤楽器だけで演奏されることも多いピアノトリオですが、解説によると元々このアダージョはハイドンがロンドン旅行などで長期間に渡ってエステルハージ家の楽長の座を留守にしたことのお詫びの印としてマリア・ヘルメネジルト王妃に贈られたもので、このアダージョが先に作曲され、後にピアノトリオのアダージョに転用されたものとのこと。こちらも鍵盤楽器で演奏されることが多い理由がわかりました。この曲の癒しに満ちた美しいメロディーもそうした背景を知って聴くと、ハイドンが音楽を愛する王妃に許しを乞う素敵な曲だとわかります。ホーキンスのは前曲同様、実に美しいタッチで、優しさに包まれた見事な演奏を披露。ハイドンが王妃にひざまづく様子が目に浮かびます。

Hob.XVII:1 Capriccio "Acht Sauschneider müssen sein" 「豚の去勢にゃ8人がかり」 [G] (1765)
「ハイドンと英国婦人」と言うタイトルのアルバムに、なぜこの曲が収められているのかいまいちよくわかりませんが(笑)、古楽器のソナタのアルバムにはよく入っている曲です。このオーストリア民謡を元にしたこのコミカルな曲には素朴な古楽器での演奏が似合うのでしょう。変奏ごとにニュアンスを巧みに変えてくるこの曲の面白さはスクエアピアノならでは。ことさら演出を強調しないホーキンスの演奏が、ここでも原曲の面白さを引き立てます。よく聴くと鍵盤の奥のフリクションのメカニックの音なども聞こえて、箱庭的面白さも加わります。現代ピアノでもこの曲の名演奏はありますが、このスクエアピアノでの演奏が、演奏する姿も含めて一番マッチしているんじゃないでしょうか。

アルバムタイトルからは、ハイドンの禁断の恋話がまだあるのかと過剰な期待を持って聴き始めたこのアルバムですが、聴いてみると実に微笑ましく、聴くと幸せな気持ちになるハイドンの魅力がたっぷりと詰まったアルバムでした。このアルバムから伝わるのは、素晴らしい芸術作品である版画を手に入れ、作家に自分の作品も贈るハイドンの誠実な心、王妃に長期の不在を詫びる素敵な曲を送る忠誠心、ちょっと下品な民謡も見事な作品にしてしまうユーモアなど、ハイドンの作品に一貫して存在するハイドンの心のあり方です。実に味わい深い名盤として多くの人に聴いていただきたいアルバムです。評価は[+++++]とします。



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tag : ピアノソナタXVI:51 ピアノ三重奏曲 豚の去勢にゃ8人がかり

【新着】ニコラ・スタヴィの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」(ハイドン)

今月に入ってこの曲3枚目です(笑)

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TOWER RECORDS / amazon

ニコラ・スタヴィ(Nicolas Stavy)のピアノによるハイドンの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」と、アンダンテと変奏曲(Hob.XVII:6)の2曲を収めたSACD。収録は2006年1月、パリのサンマルセル寺院(Temple Saint Marcel)でのセッション録音。レーベルはスウェーデンのBIS。

このアルバムは最近手に入れたもの。実はニコラ・スタヴィのこの曲はMANDALAレーベルの演奏が手元にあって、その演奏から10年以上経っての再録音と思って注文したんですが、届いて中身を見てみると、MANDALAレーベルのリマスター盤ということで同じ演奏だったということ。まあ、元はCDでSACDになったので良いかと思って、気を取り直して聴いてみると、これが素晴らしい。MANDALA盤も鮮烈な印象はなかったものの、良い演奏だったという記憶があったので、こちらに手を出したわけですが、うっかり入れた注文が福をもたらしたという次第。

ちなみにハイドン愛好家の皆さんなら、ご存知の通り、BISレーベルはかつてKOCHレーベルに多数の名演の録音を残したマンフレート・フスのハイドン・シンフォニエッタ・ウィーンのディヴェルティメントやオペラの録音をBISレーベルでまとめてリリースしているんですね。KOCHレーベルの消滅に際して良い録音をしっかりと残すという素晴らしい働きをしたわけです。そして今回もMANDALAレーベルのアルバムはすでに廃盤となっていて、BISがそれを自らのレーベルに加えるという判断をしたこと自体が、この演奏の価値を物語っているということでしょう。

ピアニストのニコラ・スタヴィはフランスのピアニスト。パリ国立高等音楽院、ジュネーヴ音楽院で学び、2000年にショパンコンクールで特別賞の受賞を含む数多の国際コンクールで入賞し頭角を現した人。ブレンデルに師事し大きな影響を受けたとのこと。彼のサイトを見ると、録音は2002年以降で、このアルバムがおそらく2枚目の録音。直近はBISレーベルからアルバムをリリースしていますが、ティシチェンコ、ブリテン、コルンゴルド、フォーレなどが並び、レパートリーもかなりマニアックですね。

さて、これまでフォルテピアノとタンジェントピアノでの名演に続いて、ピアノでのこの曲の名演盤です!

Hob.XX:1C "Die sieben letzten Worte unseres Erlösers am Kreuze " 「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」 (1787)
旧MANDALA盤もいい音だったんですが、SACDになって空気感のようなものが加わり、ピアノ響きが美しいですね。教会堂での録音ですが、残響は適度で鮮明さは保ってます。
スタヴィの演奏はメロディーラインの起伏を自然さを保ちながらもしっかりと描いていくもの。語り口の巧さが光ります。フォルテピアノとは比較にならないダイナミクスを表現できるピアノらしく、タッチの強弱をしっかりとつけての演奏。序奏からソナタに入ると美しいメロディーが次々と現れますが、ピアノならではの透明感と磨かれた音に打たれ続けるがごとき至福のひと時が続きます。すべてのソナタの音楽の流れを把握して、自身の音楽としてじっくりと紡ぎ出していくような落ち着いた展開。曲全体を俯瞰してしっかりと大きな流れを作っていく手腕は見事なもの。まさにこの曲の美しさに没入できます。なお素晴らしいのが弱音のコントロール。第3ソナタなど抑えた表現が絶美。緩徐楽章ばかりのこの曲にしっかりと構成感をもたらすのは静寂感がポイント。そして、第5ソナタのメロディーと伴奏の描き分け、第6ソナタの峻厳な強弱のコントラストなど聴きどころ多数。第6ソナタから第7ソナタにかけての展開の息を飲むような美しさ。7つのソナタが大河のように蕩々と流れていきます。
最後の地震はピアノらしくダイナミックなもの。ソナタの癒しをたちきり天地がひっくり返るような描写で締めます。

Hob.XVII:6 Andante con Variazioni op.83 [f] (1793)
そして、アンダンテと変奏曲もこの名曲の真価をしっかりと理解した演奏。変奏が重なり展開していく面白さと、キラめくようなメロディーの美しさ、ベートーヴェンの時代を先取りしたような展開力とこの曲に求められる聴かせどころを見事にまとめます。タッチの冴えも見事。やはり大局を押さえた語り口と構成力がスタヴィの魅力でしょう。

ピアニストの表現力を丸裸にしてしまうような、緩徐楽章ばかりの大曲を、デビューからまもない時期にこれだけ成熟した演奏を聞かせ、変奏曲では類まれな構成力を見せつけたということで、ニコラ・スタヴィの類稀な才能を明らかにした見事な録音と言っていいでしょう。このアルバムが廃盤にならず、BISのカタログに並び続けさせるという判断は酔眼です。MANDALA盤とともにお宝盤です。評価は両曲ともに[+++++]とします。



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tag : 十字架上のキリストの最後の七つの言葉

ピエール・アンタイ チェンバロ・リサイタル(白寿ホール)

コンサートの秋とばかりに、コンサートに通っています。

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日本アーティストマネジメント:ピエール・アンタイ チェンバロ・リサイタル

ハイドンがプログラムされているわけではありませんでしたが、ちょっと気になっていたコンサート。どうして気になっていたかというと、、、

2011/02/13 : ハイドン–室内楽曲 : アンタイ/クヴェール/ヴェルツィアーによるピアノ三重奏曲集

そう、以前レビューしたピアノトリオのアルバムが実に素晴らしかったからなんですが、チケットを取った後、よくよく確認してみると、以前のアルバムでフォルテピアノを弾いていたのはジェローム・アンタイ(Jérôme Hantaï)、今回のコンサートはピエール・アンタイ(Pierre Hantaï)。アンタイ違いかと思いきや、この2人、兄弟でした(笑)。しかも、この兄弟には、もう1人有名な奏者がいて、そちらもレビュー済みでした!

2011/11/23 : ハイドン–室内楽曲 : クイケン・アンサンブルによる「ロンドン・トリオ」

ロンドン・トリオでフラウト・トラヴェルソをバルトルト・クイケンとともに吹いていたマルク・アンタイ(Marc Hantaï)もこの兄弟とのこと。それぞれ生年月日をみるとマルク、ジェローム、ピエールの順でした。日頃奏者の背景はきちんと調べている方ではありますが、この辺りは把握外でした(笑)

そのピエール・アンタイ、1964年パリに生まれて、グスタフ・レオンハルトに触発されてチェンバロを学び始め、兄弟で活動しながら頭角を現し、同じく兄弟で活躍するクイケン兄弟やミンコフスキなどと共演を重ねているそうです。近年はル・コンセール・フランセを立ち上げ指揮にも活動領域を広げています。なおネットを検索してみると、何度か来日もしているようで、ラ・フォル・ジュルネなどにも来ていますね。



この日の会場は白寿ホール。小田急沿線の代々木八幡駅が最寄駅なのでうちからは非常に便利。ここははじめてです。株式会社白寿生科学研究所ということころが運営しているホールで、代々木公園脇のビルの7階にあります。

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開場時間に到着しロビーのある7階に上がると代々木公園越しに新宿の高層ビルや初台のオペラシティが一望できる眺望。屋上にも出られて開放感があっていいですね。まずはいつも通りワインで血流を適度に活性化します(笑)

プログラムは以下の通り。またロビーに掲示されていた情報によると、当日使用したチェンバロは「Jan Kalsbeek 2000年製作 ミートケモデル」とあります。専門外でどのような楽器かわからないのでこのまま検索してみると、情報がありました。梅岡楽器サービスのコンサートレンタル用2段鍵盤チェンバロのジャーマンタイプで、オランダのベテラン作家Jan Kalsbeek氏によるM・MIETKEモデルということでした。歯切れの良い音色でバッハなどの演奏に適したモデルとのこと。こちらに画像があります。

梅岡楽器サービス:レンタル用2段チェンバロ

配布されたプログラムと掲示によると演奏される曲は以下の通り。事前に公表されていたものとちょこちょこ変更点があります。

ラモー:クラブサン小曲集より
 アルマンド、クーラント(1728)、内気(1741)、三つの手、サラバンド(1728)、つむじ風、ロンドー型式のジーグ(1724))
J.S.バッハ:アリア(イタリア風のアリアと変奏 BWV989より)
ヘンデル:序曲「忠実な羊飼い」より P.アンタイ編曲
ヘンデル:組曲「ボ―トンハウスの筆写譜」より
 プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、メヌエットと変奏、ジーグ
D.スカルラッティ:ソナタK.3、ソナタK.208、ソナタK.175
 (休憩)
J.S.バッハ:パルティータ 第6番 ホ短調 BWV830
D.スカルラッティ:ソナタK.871


私にとってははじめて聴く曲がかなりあります。バッハとスカルラッティは馴染みはなくはありませんが、ラモーとヘンデルはオーケストラもの以外はほとんど未聴。ということで実に新鮮な体験となります。

ホールは300席と室内楽向け。ホールの内装も綺麗でなかなかいいホールです。珍しくフカフカの座席で疲れるかと思いきやなかなかいい座り心地でした。設計はどこかと調べてみると、音響設計も含めて竹中工務店。この日の席は前から8列目のやや右。アンタイの表情が良く見え、響きも非常にいい席でした。

開演前のステージの真ん中に置かれたチェンバロはなかなかの存在感。バルダッキーノ様の脚部が伝統を感じさせます。

開演時間となり、ホール内客席の照明が落ちると、まずはスタッフが出てきてチェンバロの蓋を開けます。開演直前まで蓋を閉じているのは照明が当たって調律に影響することを避けるためでしょうか。すぐにピエール・アンタイが登壇、軽く客席に会釈してすぐに演奏に入ります。

最初のラモーは素晴らしい色彩感。ダイナミクスにかなり制限のあるチェンバロで表現の幅を広げるのは主にテンポとアゴーギク。かなり自在にテンポを動かしながらキレの良いタッチでグイグイ弾き進めます。フランス人らしく独特の華やかさがラモーの魅力とシンクロしている感じ。曲間を短めにとって、対比を浮かび上がらせるあたり、曲の組み合わせにもこだわりがあるようですね。一覧のラモーの曲の演奏を終えたところで、拍手。
続いてバッハ。同じ楽器の同じ音色ながら、一瞬でバッハの世界に変わります。楽器の説明にバッハの演奏に適すると書いてあったのも納得。まさに厳粛な雰囲気に変わります。バッハは1曲のみで、すぐにヘンデルへ。ヘンデルになると音数が増えます。これでもかというように音が畳みかけてくる感じ。アンタイの見事なテクニックを存分に披露。キリリと引き締まった曲想、堂々とした祝祭感、そして畳み掛けるような音階。チェンバロでの演奏でこれだけの迫力を表現するのは曲、演奏ともに見事ですね。配布されたプログラムではここで休憩が入る予定でしたが、ロビーの掲示でこの後のスカルラッティの後に休憩が変更されました。
スカルラッティには膨大な数のソナタがあり、どこかハイドンのソナタにも共通する感覚があるのでたまに聴きますが、アンタイのチェンバロでの演奏はハイドンの延長上のような印象よりも抽象的な、あるいは現代的な印象が伴うものでした。調律も影響したかもしれませんね。時折不協和音のような響きが印象的に混じりながら、予想外の展開が連続するという感じ。前半のラモーとヘンデルがビシッと決まっていたのに対して、なんとなく座りの悪い印象も少々残りました。

休憩中は、ロビー以外にも屋上のスカイテラスに出ることができます。これは良いですね。生憎この日は雲が重く垂れ込める天気でしたが、外の空気をすってのんびりできるのは貴重です。

休憩後も、スタッフがチェンバロの蓋を開けるところから入ります。休憩中も蓋を閉めていたんですね。バッハのパルティータ6番。やはりバッハは有無をも言わせぬものでした。チェンバロの響きは非常に美しいものの、優雅な印象はなく、険しく攻めるようなバッハ。速めのテンポで曲が進むうちにバッハの深遠な世界に引き込まれるよう。ここでも自在にテンポを動かしながら自ら感じるままにバッハの音符に戯れるアンタイ。奏者自身は無我の境地なのでしょう。こちらはチェンバロの響きの渦に巻き込まれていくような不思議な感覚になります。やはりバッハは偉大ですね。
そして、最後にスカルラッティを1曲。最後のスカルラッティはアルカイックな雰囲気を楽しむことができました。ピエール・アンタイは、このチェンバロリサイタルを聴きに来たコアなお客さんのあたたかい拍手にはにかみながら会釈で応え、何度かのカーテンコールの後、「バッハ」とだけつぶやき、アンコールにバッハを演奏。曲名の発表があったのかもしれませんが、バッハに明るいわけではないため、曲名は分からず。パルティータの時の深遠な世界にすぐに戻る見事な演奏。バッハを2曲演奏してコンサートを終えました。



アンタイ違いからチケットをとったコンサートでしたが、非常に良い響きのホールで、名手の手による演奏を堪能。結果的にチェンバロという楽器の魅力を生で実感でき、大変良い経験になりました。

外に出ると幸い雨は降り出しておらず、散歩にちょうど良い気候だったため、白寿ホールから下北沢まで散歩がてらのんびり歩いて帰途につきました。



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アレクセイ・リュビモフの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」(ハイドン)

先日取り上げたヤロスラフ・トゥーマの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」の記事を書いている最中、そう言えば取り上げていない名演奏があったと、ちょっと気になっていたアルバムです。

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TOWER RECORDS / amazon

アレクセイ・リュビモフ(Alexei Lubimov)がタンジェント・ピアノで演奏した、ハイドンの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」。収録は2013年6月17日から20日にかけて、アムステルダム近郊のハールレム(Haarlem)にある統一メノナイト教会(Doopsgezinde Gemeente Church)でのセッション録音。レーベルはZIG-ZAG TERRITOIRES。

いつもながらハイドン以外の世情に疎く、リュビモフもこのアルバムで初めて聴いた人。モーツァルトのソナタ全集が非常に評判が良かったり、ブラウティハムと2人でモーツァルトの2台、3台のピアノのためのコンチェルトを録音していたりするなど、巷では有名な人のようですね。このアルバムは結構前に手に入れていたんですが、この9月に来日していくつかのコンサートの評判が非常に良いとのネットの情報でこのアルバムも聴き直して、その良さにようやく気づいた次第。しかも、この来日の前に引退を発表していたということで、逃したコンサートが最後の来日コンサートだったんですね。いやいやアンテナの感度が鈍っております(苦笑)

手元のアルバムはマーキュリー扱いの国内仕様盤ということで、白沢達生さんの訳による詳細な解説が日本語で添付されていますので、その情報を元に略歴などをさらっておきましょう。

アレクセイ・リュビモフは1944年モスクワ生まれのピアニスト。モスクワ中央音楽学校でリヒテルの師でもあったゲンリフ・ネイガウスに師事。当初は現代音楽を得意としていたとのこと。ソ連崩壊とともに西側での演奏機会も増え、フォルテピアノとの出会いをきっかけに古楽器も演奏するようになり、モーツァルトのソナタ全集をフォルテピアノで録音。アンドレアス・シュタイアーとのデュオや有名古楽器オケとの共演のほか、古楽器以外のオケとも共演を続けてきたとのこと。ネットを調べたところ、録音は膨大でモーツァルトから現代音楽まで幅広くこなしていますが、ハイドンの録音はおそらくこれが唯一のアルバムかと思われます。

このアルバムの聴きどころは、タンジェント・ピアノという聞き慣れない楽器での演奏という点です。リュビモフ自身の解説によれば、タンジェントピアノは18世紀半ばから後半にかけてドイツ語圏を中心に普及してしていた初期のピアノの一種とのことで、様々な機能を使って音色を変化させることができ、この表現の幅の大きさがこの楽器を選んだポイントとのこと。
録音に使用した楽器はレーゲンスブルクのシュペートのもの。(Späth & Schmahl Ratisbonne Regensburg, 1794)

Hob.XX:1C "Die sieben letzten Worte unseres Erlösers am Kreuze " 「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」 (1787)
一聴してフォルテピアノに近い音色ですが、チェンバロ的な金属っぽい音も混ざり、フォルテピアノとチェンバロの中間のような音色。ダイナミクスはフォルテピアノ並みに広く弦がよく鳴る楽器との印象。録音は古楽器の収録によく使われる会場だけに、この楽器の響きの繊細な魅力をうまく活かした精緻なもので、聴きやすいですね。リュビモフの演奏は、テンポはこの曲にしては若干速めに感じる、テンポ感の良いもの。中音域のフォルテピアノに近い音色に高音のチェンバロ的な付帯音が重なり、華やかさが加わることで、一貫して短調のこの曲に艶やかさが加わり、重くなりません。淡々とした演奏ながら、流石にフレーズごとの表情の彫りは深く、叙事詩が語られていくような趣きがこの曲に合っているように感じてきます。
第2ソナタに入るとチェンバロ的なざわめきが消え、明らかに音色が変わります。この曲の細かいトレモロのような装飾音の美しさを際立たせると同時に弱音の美しさが浮かび上がります。そう、このソナタ毎に音色を変え、それぞれのソナタを描き分けようというのが狙いだったんですね。実際に聴くとリュビモフの意図がよりはっきりと伝わります。微妙なタッチの変化での音色の変化も絶妙。
第3ソナタではタッチの力を抜いて少し音が軽くなり、ここでも荘重な曲想が重くなりすぎることなく、光り輝くような浮遊感をもたらします。この曲でこれほど華麗な展開を味わえるとは! まるでお花畑を遊び回るような気分になるから不思議です。
続く第4ソナタでは今度は音を立ててメロディーをクッキリと浮かび上がらせて、ドラマティックな雰囲気に変わります。ここにきて音色に加えてタッチでもソナタごとの表情を描き分けてくる設計の見事さがジワジワと効いてきますね。ハイドンのこの曲の真価を実に深いレベルで読み取っていることに驚きます。
聳つようなピチカートのイメージが残る第5ソナタですが、リュビモフは驚くべきことにピチカートの部分をのっぺりマスキングしてメロディーと伴奏の伴奏に割り切ってメロディーを浮かび上がらせます。この曲の真髄はシンプルなメロディーラインの美しさでした。次々現れる新鮮な解釈に脳が超活性化! 知らず知らずのうちにタンジェント・ピアノの多彩な音色に魅了されています。
楔を打つように厳粛な第6ソナタの入りの一撃に引き締められたかと思うと、優しく美しいメロディーに包まれる見事な展開。楔の強さがメロディーの美しさを際立たせます。
最後のソナタは極度に穏やかなタッチがこの曲の美しさをまたも際立たせます。本来は宗教的に特別な境地に至る曲ですが、あまりの美しさに詩情が勝り、幸福感に包まれる至福の境地。
地震は、アタックよりも連続音で迫力を出す演奏。古楽器での表現ではより効果的でしょう。タッチの鋭さが迫力を演出します。

この演奏、奏者の意図どおりタンジェント・ピアノの音色の変化と絶妙なタッチにより、ハイドンが書いたこの曲の多彩な魅力を見事に表現しきっています。トゥーマ盤も素晴らしかったんですが、このリュビモフ盤も絶妙ですね。やはりこの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」は名曲です。もちろん評価は[+++++]とします。

このアルバムを聴き直して、リュビモフの引退前の最後のコンサートという絶好の機会を聴き逃したことの大きさを思い知っております(涙)



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ユーリ・テミルカーノフ/読響の「驚愕」(サントリーホール)

10月に入りコンサートが続いています。9日は今年最も楽しみにしていたコンサートを聴いてきました。

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読売日本交響楽団:第592回定期演奏会

ユーリ・テミルカーノフの振る読響の「驚愕」とショスタコーヴィチの「バビ・ヤール」です。一般的にはテミルカーノフがショスタコーヴィチを振る「バビ・ヤール」が目玉なんでしょうが、私はもちろんテミルカーノフの「驚愕」目当てです。以前テミルカーノフがレニングラードフィル室内管を振った「朝」と「昼」のLPを取り上げていますが、これが実に素晴らしい演奏なんです。

2016/09/04 : ハイドン–交響曲 : ユーリ・テミルカーノフ/レニングラードフィル室内管弦楽団の「朝」、「昼」(ハイドン)

自分で書いた記事ながら、読むと感動的な演奏の記憶が蘇ります(涙)。1972年と今から50年近く前の録音ですが、彫りの深い確かな造形力に裏付けられ、実に優美でゆったりしているのに推進力十分な演奏。特に「昼」は私の溺愛する演奏です。このLPでテミルカーノフのハイドンの素晴らしさを知って以降、テミルカーノフはかなり気になる存在となりました。テミルカーノフが何度か来日して、ロシアのオケや読響を振っていることは知っていましたが、プログラムにハイドンが組まれたことはなかったように記憶しています。今回のコンサートにハイドンのそれも「驚愕」がプログラムされているのを知り、迷わずチケットを取った次第。約50年前の録音とはいえ、あの造形力の素晴らしさは類稀な音楽性に裏付けられたもの。テミルカーノフが振れば極上のハイドンが味わえるはずとの確信がありました。結果から言えば、その予想は見事的中。この日は忘れられないコンサートになりました。

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いつものように開場時間にはホールに到着。この日の席はいつものRA席ではなくP席。オルガン下のオケの後ろ右前、4台ものハープが並べられたすぐ後ろ。指揮者の動きがつぶさに見える席です。すぐ目の前ではハープが4台が時間をかけて調律していましたが、ハープは「バビ・ヤール」に使うものでハイドンでは入りません。もちろんハイドンは1曲め。お客さんの入りは8割程度だったでしょうか。

定刻になり、オケが揃って調律が終わるとテミルカーノフがゆったりとした足取りで登壇。この日は日下沙矢子がコンサートミストレス。ショスタコーヴィチ用の座席の前側に奏者が座りますが、なんとなく低音弦の人数が多いように感じました。数えてみるとコントラバスが6名、チェロが8名とハイドンにしては多かったのかもしれませんね。テミルカーノフが木管にさっと指示を出して序奏が始まるとイメージ通り、艶やかな音色がホールに響き渡ります。テミルカーノフの指揮は、いちいち拍子を取らず、手を左右に広げて大きな流れを直裁に指示する無駄のないもの。「昼」の録音で聴かせた素晴らしい立体感は予想通り。楽譜通りというわけではなく、テミルカーノフ流に洗練されたデフォルメを効かせながら重厚なのにしなやかな演奏。洗練された優美さは、まるでアクロポリスのエレクティオン神殿のよう。低音弦の人数は分厚い低音が響くわけです。このハイドンの交響曲の最高傑作たる「驚愕」の聴きどころは1楽章の構成の緊密さですが、そのハイドンの音楽の魅力が完璧に表現される秀演に鳥肌が立ちます。読響がまるでウィーンフィルになったようなふくよかな響きでリズムはキレキレ、そしてテミルカーノフ流のアクセントが見事に決まり、ハイドンの交響曲の均整の取れたフォルムが浮かび上がります。普段いろいろな演奏を聴いていますが、この1楽章には痺れました。間違いなく現代楽器による現代最高のハイドンの演奏に身を乗り出してかぶりつきます。
1楽章をビシッと締めると観客の咳き込みが落ち着くのを待たずに2楽章のアンダンテに入ります。楽章間の間も音楽のつながりが大事なのでしょう。この「驚愕」のアンダンテはいろいろな指揮者がいろいろな演出でハイドンのユーモアを表現してきますが、テミルカーノフはメロディーの1フレーズ目をかなり大きめの音で、2フレーズ目を極端に音量を落とし、ジャーンを際立たせます。オーソドックスながら、対比をあえて鮮明にすることでこれもまた新鮮。その後の展開の優美さはテミルカーノフの真骨頂。あの「昼」のアダージョで聴かせたのと同様、音楽の見事なフォルムが浮かび上がります。至福を通り越して夢の中にいるよう。
続くメヌエットでは入りの溜めをキャラクターにして独特の楔感を演出。そしてフィナーレは1楽章同様目眩くようなスタイリッシュさでピラミッドバランスのオケが躍動。日下さんのリードも誠に見事でオケも完璧な演奏でテミルカーノフのコントロールに応えました。観客の拍手は1曲目ということで熱狂までには至りませんでしたが、私はあまりに見事なテミルカーノフの「驚愕」に放心状態(笑) このような素晴らしいハイドンを聴くことができた喜びに満たされていました。

休憩後は、あの、暗澹たる「バビ・ヤール」。ハイドンの喜びに満たされてコンサートを終え、前半で帰ろうかとも思いましたが、テミルカーノフのショスタコーヴィチが如何なるものかも体験しておくべきと思いとどまり、後半も聴くことにしました。演奏については他に多くの方が書いているでしょうから、門外漢の私が書くのも野暮でしょう。

明るく幸福感に満ちたハイドンを見事にまとめたテミルカーノフ、後半のショスタコーヴィチは、時代が変わって音楽芸術が表現する目的や領域も変わり、ユダヤ人虐殺のソ連の芸術弾圧が契機となった実に暗澹たる音楽の闇の深さと、複雑怪奇な曲の大編成のオケ、コーラス、歌手をまとめる類稀なコントロール能力を印象付けました。このプログラム、この表現の極端な対比こそが企画意図だったのだろうと終演後に気付きました。

齢80歳のテミルカーノフのハイドンの「驚愕」、今まで聴いた中で最も心に残る演奏でした。最高でしたよ。

年齢を考えると、あと何回聴けるか分かりませんが、再度のハイドンの演奏を聞きたいものです。読響の中の人、よろしくお願いします!



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絶美! ヤロスラフ・トゥーマの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」(ハイドン)

最近手に入れたアルバム。

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TOWER RECORDS / amazon

ヤロスラフ・トゥーマ(Jaroslav Tůma)のフォルテピアノによる、ハイドンの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」を収めたSACD。収録は2003年8月30日から31日にかけて、場所はブラハとのみ記載されています。レーベルはチェコのPRAgA Digital。

フォルテピアノを弾くヤロスラフ・トゥーマははじめて聴く人。いつも通り軽くさらっておきましょう。1956年プラハ生まれの鍵盤楽器奏者で、オルガンからフォルテピアノ、クラヴィコードなどを弾き、現在はプラハ音楽演劇アカデミーで教職にある人。プラハ音楽院出身で卒業後オルガン奏者として数々のコンクールで優勝し頭角を現しました。その後はチェコを中心にオーケストラとの共演などで活躍するとともに、アルバムもかなりの数リリースされています。彼のサイトを見ると最近はARTA Recordsというレーベルからアルバムがリリースされています。バッハの録音が多いようですが、他にはチェコやボヘミアの作曲家、そしてトゥーマ自身の曲もあることから作曲もするよう。ハイドンの曲に関してはこのアルバムの他に音楽時計の曲がリリースされているようです。

このアルバムを取り上げたのは、もちろん演奏が素晴らしいからに他なりませんが、加えて録音も理想的。自然体の演奏ですが、7曲のそれぞれのソナタの起伏をしっかりと描く息遣いが素晴らしい演奏なんですね。

Hob.XX:1C "Die sieben letzten Worte unseres Erlösers am Kreuze " 「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」 (1787)
広い空間に心地よく残響が広がる素晴らしい録音。SACD-Hybridでマルチチャネルですがステレオで聴いても非常に自然な残響が美しいですね。楽器は1806年製のワルターのコピー。まずはフォルテピアノの響きの美しさに耳を奪われます。トゥーマの演奏は自然体で淡々と演奏していくもの。適度なアゴーギクに適度なアクセント、そして適度なコントラストがついた実に自然なもの。かといって平板さや単調さは微塵もなく、いきいきと音楽が躍動します。緩徐楽章が続くこの曲から迸る音楽を見事に表現しています。
序奏から自然な音楽の美しさに引き込まれます。ソナタに入ると主旋律のメロディーの美しさを知り尽くしているように訥々と語り始めます。聞き進めていくうちに描くメロディーの起伏はかなり大きく表現も大胆になってきていますが、自然な音楽の流れが切れることはありません。まるで宇野重吉の語りで物語を聴いているような、安心感に包まれながら物語の展開に引き込まれるよう。ソナタが進むにつれ、その名調子の魅力にどっぷりと浸かります。強音の部分でも響きの美しさは損なわれず、フォルテピアノという楽器が美しく響く範囲での演奏。この辺のタッチのコントロールはまさに絶妙。終始フォルテピアノの美しい響きに包まれます。この丁寧なタッチの演奏がこの曲本来のメロディーの美しさをさらに際立たせます。第3ソナタの入りなど絶美の極み。ソナタごとにしっかりとクライマックスを設けて、大きな波に揺られながら、純粋に祈りの心境に昇っていくような不思議な感覚に満たされていきます。それまでゆったりとしたテンポでじっくりと描いていたものが、オーケストラ版ではピチカートで演奏される第5ソナタに入ると意外に速いことで、キリリとしたコントラストをつけてきます。大曲だけにしっかりと起伏をつけてきました。そして第6ソナタでは劇的な印象を、第7ソナタでは諦観にもにた枯淡の境地に至ります。そして一番びっくりしたのが最後の地震。かき鳴らすように強音を響かせるような演奏も多い中、なんとかなり力を抜いて演奏。速度はやや遅めなくらいですが、地震の記録映像を落ち着いて見るような風情。最後に品位を保ちながら、この最後の場面に込められた心情を全く異なる形で表現するあたり、意表を突かれましたが、これは見事に締まりました。

この「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」という曲、ハイドンは渾身の作ということで、オリジナルの管弦楽版をこのクラヴィーア版、弦楽四重奏版、オラトリオ版に編曲していますが、このヤロスラフ・トゥーマの演奏、クラヴィーア版の面白さを最も際立たせる名演奏と言っていいでしょう。クラヴィーア版のお気に入りはインマゼール盤でしたが、調べてみると廃盤になっちゃっていんですね。録音の良さをあわせると、このトゥーマ盤が現在のベスト盤と断じます。評価はもちろん[+++++]とします。未聴の方、是非聴いてみてください!



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ジョナサン・ノット/東響の「グレの歌」(ミューザ川崎)

10月6日の日曜日はコンサートに行ってきました。

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ミューザ川崎シンフォニーホール開館15周年記念公演「グレの歌」

ジョナサン・ノット率いる東京交響楽団の秋の声楽曲シリーズ。昨年まで3年間はモーツァルトのダ・ポンテ三部作が取り上げられていて、2016年のコジ・ファン・トゥッテ、17年のドン・ジョヴァンニ、昨年のフィガロの結婚と存分に楽しんだことは記事に書いた通り。そして今年はガラッと趣向を変えて、シェーンベルクの「グレの歌」になったんですね。あんまり馴染みのない曲目でしたが、歌手にコジのドン・アルフォンソで老獪な歌唱を披露したサー・トーマス・アレンと何度かの実演でその素晴らしさを堪能している藤村美穂子さんの名前があったのでチケットを取った次第。残念ながら藤村さんはご都合により代わってしまいましたが、期待のコンサートであることには変わりありません。

配役などは以下のとおり。

ヴァルデマール:トルステン・ケール(Torsten Kerl)
トーヴェ:ドロテア・レシュマン(Dorothea Röschmann)
山鳩:オッカ・フォン・デア・ダムラウ(Okka von der Damerau)
農夫:アルベルト・ドーメン(Albert Dohmen)
道化師クラウス:ノルベルト・エルンスト(Norbert Ernst)
語り手:サー・トーマス・アレン(Sir Thomas Allen)
合唱:東響コーラス
合唱指揮:冨永恭平(Kyohei Tominaga)
指揮:ジョナサン・ノット(Jonathan Nott)
管弦楽:東京交響楽団

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この日のコンサートはミューザ川崎の開館15周年記念コンサートということで、グレの歌はミューザからの提案で実現したプログラムとのことと実演当日に知りました。シェーンベルクは実演でも「浄められた夜」は何度か聴いたことがあるものの「グレの歌」はあまり馴染みがなく、予備知識も乏しい状態。ということで、ホールに入ってみてステージいっぱいに並べられたオケの席を見てびっくり。比較的広いミューザのステージの隅々まで奏者の席が並びます。現代物だとパーカッションが色々並ぶことは多いのですが、そもそもオケの各パートの人数が半端ないですね。開演後にちょっと数えてみたところ、目についたところだけですが、コントラバス10人、チェロ14人、ホルンは11人いました。ヴァイオリンに至っては数える気にならないほど。オケだけ見るとマーラーの千人よりも多いような気がします。これほどの大編成の曲とステージを見て知った次第。加えて歌手も一流どころが揃い、15周年記念を祝うのに相応しいプログラムです。

プログラムによると「グレの歌」はシェーンベルクの比較的初期の作品で、デンマークの詩人ヤコブセンの同名の詩の独訳をテキストとしたもの。中世デンマークのヴァルデマール王が侍従の娘トーヴェを愛してしまい、トーヴェは嫉妬に狂う王妃に殺されてしまいますが、ヴァルデマール王はその死をもたらした運命に神を罵ったことで、王も命を落とし亡霊となってグレの地をさまよい、最後の審判を受けるのですが、なぜか最後はハッピーエンド的に終わるという、劇的と言うか、ちょっとわかりにくい筋。そのテキストにつけられたシェーンベルクの音楽は無調に至る前の後期ロマン派の音楽とのことですが、音楽も実に難解。ハイドンばかりでなく現代音楽も嫌いではない私ですが、分裂気味に展開しまくる音楽に聴く方も分裂気味。一言で言うと音多すぎです(笑)。そんな曲なんですが、この日のコンサートは、いつもながら隅々まで行きわたるノットのコントロールに完璧に応えるオーケストラ、圧倒的な声量と存在感の歌手陣、ノットの挑発にまたもチャレンジする東響コーラスの渾身の演奏によって、時に爽やか、時にロマンティック、時に壮麗壮大で要所は爆風のような迫力に圧倒される見事な演奏にノックアウトされました。

席は3階右上からオケを俯瞰して見下ろす席。この席、音響も非常にいいのは今年のサマーミューザでのアラン・ギルバートのローマの松で実証済みのお気に入りの席です。開演前のステージでは何人かの奏者が練習中ですが、目についたのは指揮台の前の巨大な楽譜。これだけの人数の大オーケストラの大曲ということが楽譜の大きさからも伺い知れます。

第1部は約1時間の長いもの。王に続いてトーヴェが愛を歌ったあと、山鳩がトーヴェの死と王の嘆きを歌う山鳩の歌で締めくくります。
オケの前の指揮者脇狭い隙間に歌手用の椅子が置かれ、最初はヴァルデマール王役のトルステン・ケールとトーヴェ役のドロテア・レシュマンの2人のみ登壇。コーラスは前半は入りません。曲はうっすら昔聴いた記憶がある程度。入りはキラめくような色彩感溢れるオケが印象的だと思っていると、やはり超巨大編成オケのパワーは凄まじいものがあり、すぐに迫力に圧倒されるようになります。超大編成オケが炸裂しても響きが飽和しないミューザの素晴らしい音響を堪能。オケの後ろと客席後ろの2箇所に据えられた電光掲示板に表示される歌詞を追うのに視線の移動が大きいきらいはありましたが、なんとか筋を追いかけながらの鑑賞でした。王役のトルステン・ケールは大音響のオケに負けないよく通る声で見事な歌唱、トーヴェ役のドロテア・レシュマンも艶やかなよく通り声。そして、当初藤村実穂子がキャスティングされていた山鳩役のオッカ・フォン・デア・ダムラウが予想外に素晴らしい存在感。第1部の途中で登壇し、オケの間奏の後の山鳩の歌は聴きごたえ十分でした。

休憩後はオルガン前中央に男性、両脇に女性が陣取るコーラスが入場します。不気味な重低音が響いて王が神を罵る歌を歌う短い第2部。続いて第3部は亡霊になってしまった王と従者が腹いせに狩で大騒ぎして、農夫、道化クラウスがそれを憂う場面。王の従者の男性コーラスがここにきて出番。終結部は「夏風の荒々しい狩」と名付けられ、語りのトーマス・アレンが自然を賛美。そしてなぜか女性コーラスの艶やかなハーモニーに乗って夏の太陽が昇ってハッピーエンドとなります。筋書きの説得力(=私の理解力)がイマイチなものの、終盤のオケとコーラス分厚いうねりは見事。あまりの迫力に拍手のフライングはご愛嬌でしたが、コンサートの終わりの拍手でこれほど熱狂的なのは初めてと言っていいくらいのブラヴォーの嵐が吹き荒れました。東響はいつも通り、ノットのタクトに完璧に対応、歌手も見事な歌唱、そして、出番は少なかったものの東響コーラスも分厚いハーモニーで演奏を盛り上げました。これだけの大編成ながら緩んだ部分は皆無。ブラヴォーの嵐も納得ですね。ノットも歌手もオケ、コーラスが退場した後も二度ほどステージに呼び戻され、最後はステージ周りにいたお客さんの中に降りていってハイタッチや握手攻めにあってました。トーマス・アレンも嬉しかったのか、自分のスマホで客席を写してましたね。観客は現代音楽ファンばかりでなく、川崎のオケファンも多いと思われますが、「グレの歌」でここまで盛り上がるとはと驚きました。ノットもミューザもいいお客さんがついていますね。

私も、「グレの歌」とシェーンベルクの真価に触れられた、貴重なコンサートとなりました。来年の秋は何が組まれるのか、今から楽しみです!



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tag : シェーンベルク

ハーゲン四重奏団のOp.76(トッパンホール)

10月1日、2日、3日はハーゲン四重奏団の来日コンサートに行ってきました。

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トッパンホール:ハーゲン・クァルテット/ハイドン&バルトーク ツィクルス

珍しく1つの団体のコンサートに3日連続で出かけたのには理由があります。それはプログラムを見ていただければ一目瞭然。

<2019年10月1日>
ハイドン:弦楽四重奏曲Op.76のNo.1
バルトーク:弦楽四重奏曲2番(Sz67)
ハイドン:弦楽四重奏曲Op.76のNo.2「五度」

<2019年10月2日>
ハイドン:弦楽四重奏曲Op.76のNo.3「皇帝」
バルトーク:弦楽四重奏曲第3番(Sz85)
ハイドン:弦楽四重奏曲Op.76のNo.4「日の出」

<2019年10月3日>
ハイドン:弦楽四重奏曲Op.76のNo.5「ラルゴ」
バルトーク:弦楽四重奏曲第6番(Sz114)
ハイドン:弦楽四重奏曲Op.76のNo.6

そう、ハイドンの弦楽四重奏曲の頂点たるOp.76「エルデーディ四重奏曲」全曲を3日に分けて演奏するプログラムなんですね。しかもハイドンの間にバルトークが挟まれるという実に興味深いプログラムなんです。今年2019年は当時はオーストリア・ハンガリー帝国だったオーストリアおよびハンガリーとの国交樹立150周年ということで、オーストリアはザルツブルク生まれのハーゲン兄弟を核とするハーゲン四重奏団が、両国の代表的な作曲家、ハイドンとバルトークの名曲を並べて来日公演を行うということで、実に祝賀ムード満点なプログラム。ただし、単に祝賀的なだけでははなく、著名ながら1993年のOp.20の録音以来ハイドンの録音がないハーゲン四重奏団が、Op.76の全曲を完全にハイドンが主役の曲順で取り上げるということも、このコンサートを3日連続で聴こうと思った理由です。意外にも当ブログではハーゲン四重奏団の演奏を取り上げたことはありませんが、指導役として多くの若手四重奏団育て、また、チェロのクレメンス・ハーゲンは多くのチェリストを育てていることはこれまでの記事で紹介した通り。現在は4人ともモーツァルテウムや、バーゼル音楽院で教職に就いているとのこと。いつものように一応簡単にさらっておきましょう。

ハーゲン四重奏団はモーツァルテウム管弦楽団の首席ヴィオラ奏者オスカー・ハーゲンを父に持つ4人の兄弟で1981年に設立されたクァルテット。現在のメンバーは以下のとおり。

第1ヴァイオリン:ルーカス・ハーゲン(Lukas Hagen)
第2ヴァイオリン:ライナー・シュミット(Rainer Schmidt)
ヴィオラ:ヴェロニカ・ハーゲン(Veronika Hagen)
チェロ:クレメンス・ハーゲン(Clemens Hagen)

第2ヴァイオリンはハーゲン兄弟から現在のライナー・シュミットに替わりましたが、シュミットになったのは1987年と、現在のメンバーとなって30年以上になります。2011年まではDeutsche Grammophonの看板クァルテットとして多くの作曲家のアルバムをリリースしていましたので、日本での知名度も高いですね。近年もドイツのMyrios Classicsから色々アルバムがリリースされているようですが、ハイドン以外を追いかける余力に乏しく全くノーケア。ハイドンの録音はDGの1988年の「ひばり」「騎士」などのアルバム、1992年から93年にかけての太陽四重奏曲集の2点のみ。これらのアルバムも随分前に聴いたのもので、典雅な演奏こそハイドンと思っていた私には、小細工の多いちょっと個性的な演奏聴こえて若干違和感を持ったという印象が残っています。

ということで、録音を含めても実に久しぶりに聴くハーゲン四重奏団。しかも室内楽にはぴったりのトッパンホールということで、30年近くの熟成を経たハーゲンのハイドンは如何なものか自分の耳で確かめるというのが今回のシリーズのテーマです。

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このシリーズ、3日連続のチケットを嫁さんの分も合わせて手配したんですが、1日と3日の嫁さんの都合がつかなくなり、1日はブログでよくコメントをいただくだまてらさんと、3日は同じくハイドンマニアの小鳥遊さんとご一緒させていただきました。お二人、異論、ご指摘などあればズバズバ突っ込んでください(笑)

席は3日とも同じ席で、前方7列目の中央やや右あたりでした。

<10月1日>
コンサートに行く時には、私は一切予習しません。事前にプログラムに入っている曲を聴くと、どうしてもその演奏と比べて聴いてしまう傾向が生まれるからです。というわけではるか昔に聴いたハーゲン・クァルテットの印象だけがイメージに残る中、最初のOp.76のNo.1が始まります。思った以上に第1ヴァイオリンのルーカスの個性が強かったですね。ウィーン風とはちょっと異なる糸を引くような滑らかなフレージングが印象的ですが、メロディーにかなりダイナミックにコントラストを付けていきます。冴え渡る伸びやかな高音を響かせたかと思うと、荒々しく刺激的なアクセントを付け、テンポはかなり動かして独特のハーゲン訛りとでもいうような個性的なフレージング。ただしアンサンブルは流石に30年以上このメンバーで続けているだけにスキがなく緊密。ルーカスのヴァイオリンとクレメンスのチェロのはっきりとコントラストの間を第二ヴァイオリンのライナー・シュミットが取り持ち、ヴィオラのヴェロニカが冷静に音を重ねていく感じ。
このNo.1はどちらかというと端正で流れの良い演奏が似合う曲との先入観を打ち砕くようにテンポも音量も自在に動かし、時折非常に音量を落としてハッとさせられるような瞬間を作っていきます。そのように演奏することで各パート間のやりとりがクッキリと浮かび上がり、全体の音楽の流れよりもハイドンが各パート間に仕込んだ曲の面白さが浮かび上がるような演奏。録音と異なり視覚情報の印象も大きいので、最初はくどいと思いましたが、しばらくでくどく感じることもなくなりました。この演奏スタイルは今回のシリーズを通して貫かれ、ハーゲン四重奏団の大きな特徴になっていました。2楽章に入るとそのコントラストは若干下がり、しなやかな肌合いに包まれ、クァルテットの精妙なアンサンブルと、弦の響きの美しさにホッとします。逆にメヌエットから終楽章にかけてはハーゲン流のコントラストが曲の面白さをしっかりと浮かび上がらせました。まずは1曲めということで、少々ボウイングに硬さがみられましたが、昔の演奏の記憶からハーゲンの印象がアップデートされた感じ。

2曲めのバルトークは、ハーゲンの演奏スタイルにより合っている感じ。バルトーク独特の不安げなストイックな曲調が際立ち、しかも緊密なアンサンブルが緊張感をさらに高めていき、水も漏らさぬタイトなアンサンブルを味わえました。

そして休憩後の「五度」は生のコンサートならではの迫力を堪能。ハイドンの曲がメインに据えられるコンサートは滅多にありませんが、休憩後に置かれたこの曲は、この日のメインプログラムに相応しい品格と迫力を兼ね備えた演奏でした。1曲めでは前座感が残ったハイドンですが、この曲は出だしから素晴らしい推進力で迫ってきます。適度にハーゲン的なコントラストを付けていき、若干いじりすぎたような印象がつきまとうところもなくはありませんでしたが、曲全体の推進力の勢いが勝りましたね。やはりこの曲は名曲ですね。緩徐楽章はNo.1同様しなやかさを保ちながらも独特のアクセントと音量を極端に落とす場面を作って個性を印象づけ、メヌエットでは斬りこむようなアクセントを超緊密なアンサンブルで刺激を振りまきます。そして終楽章はハイドンの書いた交錯するメロディーの面白さを視覚的な要素も含めて堪能。ルーカスが投げる変化球に全員がピタリと合わせてくる緊密さは逆にスリリングさが際立ち実に面白い。端正なばかりがハイドンではないと言わんばかり。この妙技にお客さんも拍手喝采。初日からブラヴォーが飛び交いました。アンコールは、翌日のプログラムの予習とばかりに、「皇帝」のメヌエット。メヌエットをアンコールに持ってくるとは流石にハイドン通です(笑)

1日めは、録音でしか触れてこなかったハーゲンクァルテットの真髄にようやく触れた印象が残りました。もちろん、コンサート後はだまてらさんと飯田橋近くの居酒屋で反省会。プチ情報交換で盛り上がりました(笑)

<10月2日>

2日めは「皇帝」と「日の出」です。この日は早くから売り切れていましたが、やはり人気曲だからでしょうか。前日のコンサートで雰囲気をつかめていましたので、この日は1曲めから落ち着いて聴くことができました。かなり濃い目の表現をするハーゲンが、聴き慣れた「皇帝」をどう攻めてくるのかとは思いましたが、やはり1楽章はしなやかな流れではなく、ハーゲン訛りでクッキリとコントラストがついた演奏でした。ただし、前日の1曲めほどの違和感はなく、むしろ訛りを楽しんで聴ける感じ。びっくりしたのがドイツ国歌で有名な2楽章。終始音量を極端に落として精妙極まる演奏。流石にタダでは済ませませんね。メヌエットからフィナーレにかけては、前日同様、メヌエットの諧謔さと、フィナーレの交錯を浮かび上がらせる至芸。ただの「皇帝」ではありませんでしたね。

2曲めのバルトークの3番は4つの部分が繋げて演奏される曲。「皇帝」の余韻を断ち切るような鬼気迫る緊張感。そして聴いているうちに弓が青光りしているような妖艶な瞬間や、突如振りまかれるピチカートなど、ハイドンの時代とは全く異なる音楽のつくりに興味津々。私にとっては普段滅多なことでは聴かない音楽を極上の空間、極上の演奏で純粋に楽しめる時間でした。

休憩後は「日の出」。この演奏はこのシリーズで取り上げたハイドンの6曲の中で最も素晴らしい演奏でした。まさにバルトークが前座と感じる演奏。もちろんハーゲン訛りは少なからずあるものの、演奏には堂々とした風格が漂い、各パートの緊密なアンサンブルと、素晴らしい推進力。1楽章は展開の面白さをじっくり味わえ、続くアダージョでは精緻なハーモニーにうっとり。そしてメヌエットはハーゲンクァルテットにしか演奏し得ないクッキリとしたコントラスト、フィナーレは入りは訛っていたものの徐々に盛り上がるクライマックスに至って、後光が射すような神々しさ。最後にクレッシェンドしていく部分の妙技は流石なところ。ホールのお客さんもハーゲンクァルテットの至芸にのまれましたね。この日の拍手とブラヴォーが一番でした。アンコールは予想通り翌日のNo.6からフィナーレでした。

<10月3日>

そして最終日。この日は「ラルゴ」とNo.6。1日め、2日めと休憩後のハイドンの見事な演奏が印象に残るコンサートでしたが、この日は後半にNo.6と比較的軽めの曲だったので、曲順を心配しましたが、その予想は的中。結果的には前半の「ラルゴ」の見事な演奏の方が印象に残りました。

コンサートも同じ奏者の3日めともなると、純粋に演奏に集中して聴くことができます。1曲めのラルゴに至ってハーゲン訛りが心地よく聴こえてくるではありませんか。しかもルーカスとクレメンスの間をとりもつライナー・シュミットとヴェロニカをよく見ると、実に巧みというか、ルーカスとクレメンスとの呼吸の合わせ方が絶妙。流石に30年以上アンサンブルを重ねているだけありますね。ラルゴはそんなことを考えながら聴いていました。この日のバルトークの6番はヴィオラのソロから入るんですが、ヴェロニカのヴィオラの深い響きが素晴らしい。そしてバルトークでもライナー・シュミットとヴェロニカの妙技に釘付け。このクァルテットが成り立っているのは、特にライナー・シュミットの功績が大きいとは同席した小鳥遊さんの見解ですが、まさにその通り。そして、最後のNo.6は、特に1楽章がデュエットが組み合わせてを変えながら展開するというハイドンのアイデアの面白さに気づきました。これは実演ならではで、録音ではなかなか気づきませんね。前日のアンコールでフィナーレを聴いた通り、最後は軽妙な終わり方だったため、1日め、2日めほどのインパクトが残りません。この日のアンコールは、私は初日の五度から来るのかと思いきや、なんとシューベルトの「ロザムンデ」のメヌエットでした。ハイドンの理性的な音楽とは異なり、濃密な情感にホールが満たされ、時代がさらに進むことで音楽も変りゆくのだとの余韻を残す見事な選曲でした。これまで頻繁に来日しているハーゲンですが、次回のコンサートはシューベルトなのかもしれませんね。



ハーゲン四重奏団の3夜連続コンサート、行って良かったですね。ハーゲンの良さはセッション録音では伝わらないですね。むしろ一発録りのライヴの方がいいように思います。これまでリリースされているハイドンの2枚も、ハーゲンの良さが伝わりません。レストランで冷凍食品を出されているような感じといえばいいでしょうか。実演で聴くハーゲンは訛りと感じる部分はあれど、その面白さと、逆にアンサンブルのスリリングさを際立たせる効果もあり、それが他のクァルテットとははっきりと異なるハーゲン四重奏団の個性でもあります。やはり実演を聴くことの大切さを再認識した次第。ハーゲン四重奏団にはハイドンの新譜をライヴで期待したいところです。



さて、最終日も同席の小鳥遊さんと、飯田橋駅近くの居酒屋で反省会に出かけました。

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ハイドンばかりでなくキリル文字諸国の激ニッチな作品を偏愛する小鳥遊さんとのコレクター同士ならではのたわいもない話で夜は更けていきました、、、(笑)

<業務連絡>
ちなみに、だまてらさん、小鳥遊さんと都合を確認したので、改めてオフ会の日程調整に入りま〜す(笑)



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tag : 弦楽四重奏曲Op.76

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Daisy


Author:Daisy

ハイドン(Franz Joseph Haydn)の膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。私はなぜハイドンにはまったのか?

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ハイドン所有盤リスト
Joseph Haydn Discography
所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものはリスト冒頭に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

登録曲数:1,365
登録演奏数:11,529
(2019年3月31日)
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オルガン協奏曲XVII1:1協奏交響曲音楽時計曲ピアノ協奏曲XVIII:4交響曲93番交響曲70番ヒストリカル軍隊交響曲81番交響曲80番ピアノ協奏曲XVIII:11トランペット協奏曲悲しみヴァイオリンとピアノのための協奏曲XVIII:6ロンドンヨハン・クリスチャン・バッハモーツァルトオックスフォード交響曲4番豚の去勢にゃ8人がかりピアノソナタXVI:51ピアノ三重奏曲十字架上のキリストの最後の七つの言葉ヘンデルバッハラモースカルラッティ驚愕ショスタコーヴィチシェーンベルク弦楽四重奏曲Op.76ベートーヴェンドヴォルザーク交響曲75番チェロ協奏曲ホルン協奏曲古楽器時計弦楽四重奏曲Op.50アンダンテと変奏曲XVIII:6弦楽四重奏曲Op.20弦楽四重奏曲Op.64弦楽四重奏曲Op.54天地創造ヴォルフレスピーギタリスリヒャルト・シュトラウスリゲティヨハン・シュトラウス交響曲10番ピアノソナタXVI:49交響曲54番迂闊者ネルソンミサトマジーニバリトン三重奏曲ピアノソナタXVI:52交響曲2番ピアノソナタXVI:37ピアノソナタXVI:46皇帝日の出弦楽四重奏曲Op.71交響曲88番ブルックナーベルリオーズウェーベルンナッセンベンジャミンシェルシグリゼーメシアンヴァレーズOp.20弦楽四重奏曲交響曲9番交響曲67番交響曲65番狩り交響曲61番交響曲39番交響曲73番リームピアノソナタXVI:20アンダンテと変奏曲XVII:6ピアノソナタXVI:6ピアノソナタXVI:48四季交響曲全集リムスキー・コルサコフラヴェルピアノソナタXVI:21ピアノソナタXVI:45ピアノソナタXVI:44第九太鼓連打ボッケリーニ交響曲99番シューベルト交響曲5番ストラヴィンスキーチャイコフスキーライヴ弦楽四重奏曲Op.2序曲ヴィヴァルディオペラ序曲アリア集パイジェッロピアノとヴァイオリンのための協奏曲XVIII:6すみだトリフォニーホールピアノソナタXVI:34ブーレーズサントリーホール弦楽四重奏曲Op.74無人島変わらぬまことアルミーダチマローザ哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェ騎士オルランド英語カンツォネッタ集ピアノ協奏曲XVIII:3ピアノ協奏曲XVIII:1アレルヤ交響曲79番ラメンタチオーネ交響曲3番チェロ協奏曲1番交響曲19番交響曲58番交響曲27番紀尾井ホールドビュッシーミューザ川崎LPオーボエ協奏曲ヴァイオリンとヴィオラのためのソナタピアノソナタXVI:50ピアノソナタXVI:32ピアノソナタXVI:40ピアノソナタXVI:38ピアノソナタXVI:29スタバト・マーテルピアノソナタXVI:39マーラー告別交響曲97番交響曲90番交響曲18番奇跡ひばりフルート三重奏曲交響曲102番交響曲86番ヴァイオリン協奏曲哲学者ニコライミサ小オルガンミサミサブレヴィス交響曲95番交響曲78番ピアノソナタXVI:23王妃武満徹ライヴ録音SACD交響曲21番マリア・テレジアクラヴィコードBlu-ray東京オペラシティ交響曲12番交響曲11番交響曲15番交響曲37番交響曲1番ピアノソナタXVI:2ピアノソナタXVI:8ピアノソナタXVI:14ピアノソナタXVI:25ピアノソナタXVI:42ピアノソナタXVI:12ピアノソナタXVI:5ピアノソナタXVI:1ピアノソナタXVI:4ピアノソナタXVI:3ディヴェルティメント東京芸術劇場交響曲98番ピアノソナタXVI:36ピアノソナタXVI:7ピアノソナタXVI:35ライヒャロッシーニドニぜッティ弦楽三重奏曲東京文化会館フルート協奏曲弦楽四重奏曲Op.17弦楽四重奏曲Op.9剃刀弦楽四重奏曲Op.103弦楽四重奏曲Op.77ピアノソナタXVI:31ピアノソナタXVI:26ファンタジアXVII:4バードパレストリーナモンテヴェルディアレグリ美人奏者ピアノ協奏曲XVIII:7アコーディオンスコットランド歌曲ヴェルナーガスマンピアノソナタXVI:24交響曲51番交響曲35番交響曲46番DVD交響曲47番テレジアミサピアノソナタXVI:28アリエッタと12の変奏XVII:3ラ・ロクスラーヌ帝国ハイドンのセレナードラルゴ五度ラウドン将軍弦楽四重奏曲Op.33弦楽四重奏曲Op.1騎士交響曲17番ピアノソナタXVI:27シベリウス時の移ろい交響曲42番ベルリンフィルホルン信号弦楽四重奏曲Op.55交響曲87番リュートピアノソナタXVI:10ピアノ五重奏曲チェチーリアミサラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン東京国際フォーラム雌鶏冗談ナクソスのアリアンナピアノ協奏曲XVIII:5ピアノ協奏曲XVIII:9ヴァイオリンソナタ交響曲52番ピアノ協奏曲XVIII:2ロンドン・トリオドイツ国歌カノンモテットオフェトリウムよみうり大手町ホールパッヘルベルアダージョXVII:9受難交響曲84番パリセットベルク主題と6つの変奏オペラアリアスクエアピアノピアノソナタXVI:41交響曲57番交響曲68番リラ・オルガニザータ協奏曲交響曲50番交響曲89番CD-R偽作トビアの帰還ホルン三重奏曲薬剤師オルガン協奏曲火事交響曲38番リベラ・メピアノ協奏曲XVIII:10交響曲34番交響曲77番温泉フルートソナタドイツ舞曲誕生日校長先生ピアノソナタXVI:47bisピアノソナタXVI:11ピアノ小品カートリッジ雅楽プロコフィエフサン=サーンス交響曲36番リストオーディオバリトン二重奏曲交響曲91番交響曲66番長岡鉄男歌舞伎おすすめ盤ピアノソナタXVI:47読売日響オペラ歌舞伎座スケルツァンド弦楽四重奏曲op.33ザルツブルク音楽祭ピアノソナタXVI:22変奏曲XVII:7天地創造ミサジャズ弦楽四重奏曲Op.42交響曲76番ピアノソナタXVI:43古楽器風東急文化村ノットゥルノヴェーベルン府中の森芸術劇場裏切られた誠実バリトン五重奏曲ハイドン入門者向け歌曲ピアノソナタXVI:G1ウィーンフィル月の世界交響曲72番建築ファリャマリアテレジア交響曲56番2つのホルンのための協奏曲展覧会ピアノソナタXVI:19弦楽四重奏曲全集シャンゼリゼ劇場皇帝讃歌交響曲24番大オルガンミサ新橋演舞場テ・デウムサルヴェ・レジーナカッサシオン室内楽曲ベトナム料理国立新美術館高音質CD交響曲28番交響曲13番交響曲62番交響曲107番交響曲108番ジプシー・ロンドチェンバロ四重奏曲カンタータ声楽曲戦時のミサ珍盤ザロモンセットN響ハルモニーミサミサ曲全集NHKホールハインリッヒミサピアノソナタ全集ジュピターレコードマーキュリー管弦楽曲室内楽変奏曲XVII:5交響曲41番ギターピアノソナタXVI:33府中ピアノソナタXVI:30カラヤンスウェーリンク書籍交響曲71番アプラウスピアノソナタXVI:13魂の歌仙台ヤナーチェク現代音楽ピアノソナタ

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