アラン・ギルバート/都響のレスピーギプログラム(ミューザ川崎)

相変わらずばたついていて通常記事が書けていません(涙) が、チケットを取ってあったコンサートが攻めてきます(笑)

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フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2019:東京都交響楽団名匠のガイドで聴くイタリアン・プログラム

ミューザ川崎の夏の風物詩となっているフェスタサマーミューザKAWASAKI。今年で15年目とのこと。つい先週もノット/東響のリゲティなどを聴いたばかりですが、そのコンサートはサマーミューザ直前のコンサート。

この日のお目当ては実演で聴いたことのないレスピーギ。ハイドンばかり取り上げているブログですが、若い頃(30年くらい前、、、)はレスピーギも結構聴いていたんですね。刷り込みはもちろんトスカニーニのローマ三部作。1990年ごろトスカニーニの録音がRCAから大量にCD化されて店頭に並び、今は亡き六本木WAVEで手に入れ、キレッキレのトスカニーニ節を堪能したのを覚えています。そしてカラヤン/ベルリンフィルのLPも手に入れ、金属片が飛び散らんばかりのDGGの鮮明録音で真空パックにしたようなベルリンフィルのローマの祭りとローマの松にビックリしたものです。そのローマの祭と松が実演で聴けるということと、加えて有名な「リュートのための古風な舞曲とアリア」の3番までプログラミングされているとのことでチケットを取った次第。フェスタサマーミューザは川崎市のフランチャイズオケである東響の他、読響、N響、都響、新日本フィル、日本フィル、東京フィル、東京シティフィル、神奈川フィル、仙台フィルにゲルギエフの振るPMFフィルまで登場するというなかなかゴージャスな音楽祭。日本のオケの中でも都響はニューヨークフィルの音楽監督だったアラン・ギルバートが振るということで、力の入り方が他のオケとは異なります。

この日のプログラムは下記の通り。

「名匠のガイドで聴くイタリアン・プログラム」
ヴォルフ:イタリア風セレナーデ(管弦楽版)
レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲
(休憩)
レスピーギ:交響詩「ローマの噴水」
レスピーギ:交響詩「ローマの松」

ちなみに、配布されたプログラムには、今回のコンサートの選曲にあたりアラン・ギルバートにミューザの写真を見せたところ、即座にレスピーギをやろうということになったとの件が書かれていました。ご存知の通りミューザ川崎は首都圏のホールの中でも音の良さはピカイチ。サントリーやオペラシティともだいぶ差がつきます。このホールを見てレスピーギを選んだセンスは見事です。

もちろん、アラン・ギルバートも録音も含めて初めて聴きます。昨年から都響の首席客演指揮者になっていたんですね。そしてこの9月からは膨大な建設費で話題になったハンブルクのエルプフィルハーモニーを本拠地とするNDRエルプフィルの首席指揮者に就任するとのこと。お手並み拝見というところでしたが、アラン・ギルバート、これが素晴らしいお手並みでした!



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この日の席は3階席のRA。オケの右上から俯瞰する席です。ミューザは色々な席で聴いていますが、3階席でも音は鮮明。そしてこの日のプログラムのローマの松は金管のバンダが入るとわかっていましたので、オケ側に席をとりました。以前デュトワがN響でマーラーの千人を振った時にはバンダ隊のすぐ後ろでクライマックスでオケの音がバンダにかき消されて音響的にはイマイチだったので、オケとバンダの適度な距離感がある方が良かろうとの選択です。これも当たりでした!

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いつものように、ビールとサンドウィッチで適度にお腹を満たして、コンサートに臨みます。今日はビールの注ぎ方がイマイチ(笑)

お客さんの入りは8割くらいだったでしょうか。アラン・ギルバートの日本での知名度がちょっと影響したかもしれませんね。ステージ上は大編成のオケの席が設えられていました。

1曲めはヴォルフのイタリア風セレナードということで、唯一レスピーギ以外の曲ですが、この曲でいきなりギルバートの才能に釘付けになりました。8分少々の曲ですが、軽やかさと豊かな音楽に満ち溢れた素晴らしい演奏に驚きました。オケの掌握度も完璧。大柄な体を揺らしながらタクトから音楽が湧き出てくるような見事なコントロール。都響も弦楽器を中心にギルバートの指示に完璧に応える見事な演奏。コンサートの出だしの曲はオケが落ち着かないこともままありますが、最初から完璧な入り。こうしたセレナードをこれだけ豊かに仕上げる手腕は誠に見事。

そして、2曲めはレスピーギのリュートのための古風な舞曲とアリアの第3組曲。我々の世代はこの曲の第3曲のシチリアーナがNHKのクラシック番組のテーマ曲になっていたのでおなじみの曲ですね。プログラムを読んで驚いたのは、この曲が作曲されたのがローマ三部作を書き上げたあとなんですね。素材は16、17世紀のリュート曲ということで、凝ったオーケストレイションの絢爛豪華なローマ三部作を作曲しつつもこのような美しい旋律に対する憧れを持っていたのでしょう。弦楽合奏だけになったオケで奏でられるこの曲もアラン・ギルバートによって極上の響きを帯びます。なんと高雅で気品ある響きでしょう。しなやかに膨らまされたメロディーが次々と押し寄せてくる快感。憂いを帯びた「イタリアーナ」、しなやかな陰陽の対比が美しい「宮廷のアリア」と続き、おなじみの「シチリアーナ」に至って感極まります。懐かしさと美しさに満たされます。美しいメロディーが次々に癒しや力強さ、郷愁を帯びながら展開していきます。そして最後の「パッサカリア」で分厚い弦楽合奏の迫力をたっぷり聴かせて終わります。この曲が現代音楽が芽吹く1931年に書かれたことに驚きます。まさに古典回帰。もちろんあまりの素晴らしさに客席からは割れんばかりの拍手が降り注ぎました。

休憩を挟んで後半は「ローマの噴水」に「ローマの松」です。前半もかなりの人数だったのですが、休憩中にさらにオケの席が増やされステージいっぱいに席が並びます。前半楽譜を見ながら指揮をしていたアラン・ギルバートですが、休憩中に指揮者の譜面台は片付けられ、後半は暗譜のようです。そして右に視線をやると、パイプオルガンの席に灯りがともっています。ローマの噴水はオルガン任意となっていましたが、オルガンが加わるようです。

出だしの「夜明けのジュリアの谷の噴水」は弱音のコントロールと色彩感が見事。続く「朝のトリトンの噴水」ではグロッケンシュピールやチェレスタ、トライアングルなどが加わり前半の曲とは色彩感とオーケストレイションが全く異なります。圧巻はこの曲のクライマックスの「昼のトレヴィの泉」。パイプオルガンも足鍵盤が大活躍でオケの大音響にパイプオルガンの重低音が加わりもはや風圧。前半にデリケートなコントロール力を見せつけたアラン・ギルバートですが、もちろんオケのコントロール力は迫力面でも見事。このホールにはレスピーギとの読みを効かせただけに、全てのパートがくっきりと浮かび上がりながら炸裂する様は圧倒的でした。オーディオセットで聴くのとはダイナミックスの次元が異なります。そして興奮を冷ますような最後の「たそがれのメディチ荘の噴水」の透明感あふれる響きが染み渡ります。都響は木管も弦も鳴り物陣も見事な演奏。特にフルートのふくよかな響きが印象的でした。

そして最後の「ローマの松」。噴水の後、何度かのカーテンコールの後、指揮台に戻ると拍手を断ち切るようにいきなりタクトを振り上げ、あの喧騒に満ちた「ボルゲーゼ荘の松」に入ります。この勢いはまるでカルロス・クライバー! しかも録音でのローマの松よりも精度高くミラーボールに目がくらむようなキラキラ感。オケからあのような音色がどうして出るのか不思議なくらい、バランスも音量も完璧。テンポもキレキレで鮮烈な入りに圧倒されます。そして暗騒音のような「カタコンブの松」への鮮やかな場面転換もセンス抜群。オケを俯瞰しながら聴くとドラやシンバルが弱音部実に巧みに使われれているのがよく見えます。そして曲中に下手のドアが開き、楽屋からトランペットのメロディーが響き渡ります。ここでもクラリネットやフルートの表情豊かさが印象的。そして「ジャニコロの松」ではピアノやハープの音色にハッとさせられたと思うと深みのある弦の響きの魅力をしっかりと印象付けます。終盤録音による鳥の鳴き声が流れますが、意外にも違和感はありませんね。そしてクライマックスの「アッピア街道の松」はアラン・ギルバートの面目躍如、フルオーケストラとオルガン、そして左右の3階席に別れたバンダ隊の吹きならす金管による迫力はこれまで聴いたどのコンサートよりもド、ド、ド迫力。オケの全てのパートへ指示を出し、そして左右のバンダ隊に視線を送ると高らかな号砲が吹き鳴らされるのは音響的な快感意外の何者でもありませんね。最後の1音が消えかかるのに怒号のような拍手に包まれたのはもちろんです。マーラーの陰鬱さやブルックナーの神々しさとは無縁のイタリア的音響の快感。この曲はやはり実演で聴いてこそでしょう。

アラン・ギルバートも都響の完璧な演奏に満足したのでしょう。笑顔で奏者を讃えながらカーテンコールに応じていました。やはり、ニューヨークフィルを長年統率してきた実力派かなりのもの。オーケストラコントロール力はもちろんですが、前半のセレナーデや舞曲を夢のように楽しく聴かせるところこそアラン・ギルバートの真骨頂でしょう。この人がハイドンを振ったらさぞかし素晴らしかろうと想像しながらホールを後にしました。



ミューザのコンサート後はいつも楽しみにしている1階の牛タン屋さんへ。昔仕事で一時仙台に住んでましたので、牛タンは懐かしの味なんですね。ここは美味いです。

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食べログ:杉作

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さあ、もう月末ですね、、、(苦笑)



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ジョナサン・ノット/東響のシュトラウス、リゲティ、タリス、シュトラウス(ミューザ川崎)

またもやご無沙汰になっちゃいました。色々バタバタしておりましたが、コンサートには通っております。

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東京交響楽団:川崎定期演奏会 第70回

7月21日はミューザ川崎にお気に入りのジョナサン・ノット/東響のコンサートに久々に出かけました。今回はハイドン目当てではなく、リゲティ目当てです(笑)

2018/12/11 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の「フィガロの結婚」(ミューザ川崎)
2018/04/15 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響のマーラー10番、ブルックナー9番(サントリーホール)
2017/12/10 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の「ドン・ジョヴァンニ」(ミューザ川崎)
2017/10/15 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の86番、チェロ協奏曲1番(東京オペラシティ)
2017/07/23 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の「浄められた夜」、「春の祭典」(ミューザ川崎)
2017/07/17 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響のマーラー「復活」(ミューザ川崎)
2016/12/12 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の「コジ・ファン・トゥッテ」(東京芸術劇場)

ご覧のように、2016年に素晴らしい「コジ・ファン・トゥッテ」を聴いてからノットのコンサートにはかなり行っています。モーツァルトのダ・ポンテ三部作は皆絶品でしたが、肝心のハイドンはちょっと弄りすぎで今ひとつだったんですが、元アンサンブル・アンテルコンタンポランの音楽監督だっただけに現代物は皆素晴らしい出来だったということで、ノットがリゲティのしかも「2001年宇宙の旅」で使われたレクイエムを振るということでチケットを取った次第。

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この日のプログラムは下記の通り。

J.シュトラウスⅡ:芸術家の生涯 op.316
リゲティ:レクイエム
(休憩)
タリス:スペム・イン・アリウム(40声のモテット)
R.シュトラウス:死と変容 op.24

ソプラノ:サラ・ウェゲナー(Sarah Wegener)
メゾソプラノ:ターニャ・アリアーネ・バウムガルトナー(Tanja Ariane Baumgartner)
合唱:東響コーラス(合唱指揮:冨平恭平)

このプログラム、一見滅茶苦茶な組み合わせに見えます。が、配布されたプログラムの最後に掲載されたこのプログラムを組んだ意図をノットにインタビューする記事を読むと、実によく考えられたプログラムであることがわかりました。今回の軸はノットが高く評価するアマチュア合唱団の東響コーラスがどこまでできるかというのがテーマ。ということで現代もののリゲティに40声部からなるタリスを組み合わせ、20世紀と16世紀の合唱によるピュアな宗教的表現の対比を描こうとするもの。そしてヨハン、リヒャルトの両シュトラウスの曲はワルツに潜む生と死と、19世紀の退廃の時代のドラッグのような時代感覚の対比を描こうとするもの。その二つの対比軸をコンセプトにするものとのこと。開演前にこの記事を読んでプログラムの企画意図に唸りました。

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高まる期待をいつも通りワインで落ちつかせて、コンサートに臨みます。

この日の席はいつもの2階席のRA。オケを右真横から俯瞰する席。指揮者の指示がよくわかるお気に入りの席です。

この日はステージいっぱいにオケ席が配置され、オルガン下の客席は合唱団の席となります。お客さんの入りは8割程度だったでしょうか。一般受けしにくいプログラムゆえ仕方のないところでしょうが、前日のサントリーホールの同プログラムとともにこのコンサートを聴かなかった人は一生の不覚です。この日は東響コーラスにやられましたね。アマチュア合唱団とは思えないポリフォニーの美しさ、精妙さ、そして人の声だけが持つエネルギーの力は圧倒的でした。

1曲めはヨハン・シュトラウスの「芸術家の生涯」。我々の世代はクレメンス・クラウス/ウィーンフィルの黄昏たいぶし銀の演奏で親しんだ名曲です。出だしの金管の音がちょっとひっくりかえったのはご愛嬌。ノットの指揮は予想以上にテンポを落としてじっくりワルツを描くもの。ウィーンの粋な雰囲気というよりデラックスなワルツという感じ。ノットの表情づけの濃さがちょっと気になるのは、刷り込みが高雅すぎるからかもしれませんね。

続いて、お目当のリゲティ。前曲の明るい雰囲気から一変。暗黒峻厳な雰囲気になります。冒頭から微弱な音量のコーラスがただならぬ雰囲気を描きます。間近でコーラスの精妙かつ透明なミクロポリフォニーに包まれる恍惚としたひと時。これは録音では決して味わうことができない響きです。入りのイントロトゥスで緊張感をピキピキに味わったところで、2001年に使われたキリエに入ります。脳内には2001年の映像が交錯しますが、この音楽、実に繊細な構成になっているのに気づきます。コーラスをはじめとしてオケの各楽器が非常に細かく制御され、数多の楽器の織りなす綾が様々な色に光り輝きながら大きな流れとコントラストを作っていきます。その千変万化する音色のそれぞれに耳をそばだてながら異様な雰囲気に包まれる不思議な感覚。コーラスを見ると実に細かく各パートが制御されていることに気づきます。どうしたらこのような音楽が生み出せるのか、常人の創作能力では計り知れぬ領域に達しています。
続く審判の日ではソプラノとメゾソプラノが大活躍。鋭い響きが交錯する中、艶やかなソプラノやメゾソプラノの叫びが加わり、パーカッションの乱舞、そして束の間の静寂が繰り返されます。
最後のラクリモサは不気味な低音にかすかな高音が重なりながら発展。宇宙の果てにいるような感覚。音楽が静寂に包まれ曲が終わるとブラヴォーの嵐。ノットも東響コーラスの健闘に満足いったようで、コーラスメンバーを称えますが、それがマナーなのかコーラスメンバーは緊張を保ちながら直立不動で拍手を受け続けます。いやいや素晴らしかった。生で聴くリゲティは圧倒的でした。

休憩を挟んで、後半はタリスのスペム・イン・アリウム。コーラスのみの曲ですが、オケも入場します。客席が落ち着くとノットとコーラスにスポットライトがあたり、オケは暗転。このタリスは素晴らしかった。実に40声部に及ぶ構成もさることながら、オルガン下の座席いっぱいでも足りず折りたたみ椅子を配置して入った120名規模のコーラスが完璧に制御されて40声部を歌うエネルギーは圧巻。まるでホールが16世紀に引き戻されたような純粋な祈りの空間になります。これがアマチュア合唱団との驚きとともに練習を繰り返してこの領域に至った努力に打たれます。なんと純粋な響き! なんと圧倒的なエネルギー! 10分少々の曲ですが素晴らしい歌唱に本当に圧倒されました。この快演に聴き入っていたオケも含めて場内から嵐のような拍手が降り注ぎました。

そして最後はリヒャルト・シュトラウスの「死と浄化」。先ほど合唱のみの曲でもステージ上にオケがいたのと同様、タリスの曲が終わってもコーラスは下がらず、席に残ります。互いの渾身の演奏をしっかり聴こうということでしょう。これはいいですね。
この曲は滅多に聴く曲ではありませんが、刷り込みはべームとケンペ。特にシュトラウスの愛弟子のベーム/シュターツカペレ・ドレスデンのザルツブルク音楽祭ライヴはこの曲の豊かな表情を楽しめる名盤。ノットは丁寧にじっくりとメリハリをつけて音楽を作っていき、フレージングも盛り上げ方も非常に巧み。これはリヒャルト・シュトラウスに合いますね。この複雑な構成の大曲を場面ごとに見事に描き分けていきます。ベームが大局から音楽を作っていくとするとノットはディティールを丁寧に磨いてシュトラウス独特の退廃した雰囲気と官能的な響きの交錯を描いていく感じ。オケもノットの棒に従ってきっちり描いていきます。ただ、この曲のティンパニのリズムの打ち方は難しいですね。苦労している様子が間近でよくわかります。それでもしっかりとノットの指示に合わせて渾身の打撃!
英雄的なメロディーから目まぐるしく変わる曲想を繰り返しながら終結に向かい、最後はしっかりと盛り上げて終わります。東響渾身の演奏に今度は先ほどまで表情の硬かった東響コーラスが笑顔の拍手で称えます。もちろん観客も拍手喝采。ノット監督、この日が最後のコンサートとなるチェロ主席の西谷さんを労い、最後は2人でカーテンコールを受け、一般参賀。

この日のコンサート、プログラムの企画意図通り、両シュトラウスの対比と中世と現代のコーラスによる宗教的表現の対比を鮮やかに浮き彫りにする見事な構成を体験できました。そしてリゲティの生の迫力、何より東響コーラスの渾身の歌唱が心に残る素晴らしい演奏会でした。



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鈴木優人/神奈川フィルの「天地創造」(横浜みなとみらい)

ちょっと間があきました。7月13日土曜日はお目当のコンサートに行ってきました。

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神奈川フィルハーモニー管弦楽団:みなとみらいシリーズ第350回

バッハ・コレギウム・ジャパンで活躍している鈴木優人が神奈川フィルで天地創造を振るということでチケットを取ってあったもの。

天地創造の実演はアーノンクール/ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスラ・フォル・ジュルネでのダニエル・ロイス/ワルシャワ・シンフォニア鈴木秀美/新日本フィル高関健/東京シティフィルに続いて5回目です。これまで聴いた中では、意外と言っては失礼ですが、高関健の振る東京シティフィルの演奏が、天地創造の美しいアリアの素晴らしさを素直に楽しめるという点で心に残る演奏でした。

神奈川フィルのコンサートはオッコ・カムのシベリウスプログラムに続いて2度目です。

鈴木優人はバッハ・コレギウム・ジャパンのコンサートの奏者としては何度か聴いていますが指揮者としてのコンサートは初めてです。昨年9月よりご本家バッハ・コレギウム・ジャパンでも首席指揮者に就任しているということで、今や楽壇で大活躍の人。ということで、天地創造の貴重な実演の機会というだけではなく、これはおさえておかなくてはならぬとのことでチケットを取った次第。

歌手などは下記の通り。

ガブリエル、エヴァ:澤江衣里(ソプラノ)
ウリエル:櫻田亮(テノール)
ラファエル、アダム:ドミニク・ヴェルナー(バリトン)
合唱:バッハ・コレギウム・ジャパン

歌手はバッハ・コレギウム・ジャパンではおなじみの人が揃い、合唱もバッハ・コレギウム・ジャパンが担当。コンサート前の鈴木優人さんのプレトークでは、バッハ・コレギウム・ジャパンの合唱団が日本のオケと共演するのはこの日が初めてのことということでした。

この日の席は2階のオケの右背後のRA。歌手の声は後ろから聞くことになりますが、オケを俯瞰して、何より指揮者の指示が克明にわかるお気に入りの位置。この日は車で来ましたので、比較的早めにホールに着いてプレトークも最初から聞くことができました。

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天気はあいにくの曇天。このホールのホワイエは天気がいいと実にいい眺めなんですが、こればかりは致し方ありません。お客さんの入りは8割強ぐらいでしたでしょうか。



さて、定刻になり、オケが入場し、チューニングを終えてからコーラスが入場。そして歌手と鈴木優人さんが登場して第1部が始まります。

入りの混沌の場面は予想に反して、遅めのテンポでかなり丹念な描写。鈴木優人の指揮はテンポとデュナーミクを克明に指示するかなり細かいもの。弦は予想通りノン・ヴィブラート気味で透明感ある響き。神奈川フィルのメンバーはリズムもデュナーミクも指揮に忠実に危なげない演奏で序盤の難しい部分をこなします。ラファエルの第1声は声量こそほどほどながら、こちらも安定した歌唱で、天地創造の肝となる役にふさわしい安定感。ウリエルの櫻田さんは何度か実演を聴いていますが、いつもながら見事な歌唱。そしてガブリエルの澤江さんはふくよかな響きを伴う美しい声で第1部のガブリエルのアリアを熱唱。非常に美しい声ですね。第4日から第1部の終結部にかけての盛り上げ方も見事で、迫力十分のクライマックス。そのまま第2部に入ると思いきや、拍手で一旦歌手と指揮者が下手に下がってオケはチューニング。第二部は美しいアリアの宝庫なんですが、前半は第1部同様迫力の演出が見事でしたが、特に美しいアリアが多い後半は歌の良さを引き出すには少々オケが強めに感じました。鈴木優人の指示も非常に細かく、もう少し力を抜くと歌手はともかく奏者の自然な音楽を引き出せるように感じた次第。歌手の安定感は変わらず素晴らしいものがありました。

休憩を挟んで第3部。オケがリラックスしたのか、演奏も自然さが増して、アダムとエヴァの2つの美しいデュエットも惚れ惚れするような歌唱。1輪の赤い花を使った演出や、終曲で歌手がコーラス席に下がるところなど視覚的な面白さもあって最後は荘重なクライマックス。終曲に加わる4人目のソロが男性だったのがちょっとびっくりでしたが、カウンターテナーなんでしょうか。

鈴木優人さん、チェンバロを弾きながらにも関わらず緻密で手堅い指揮は流石で、この大曲を見事にまとめ上げました。オーケストラのコントロール能力は非常に高く、迫力の演出も見事。そしてコーラスのハーモニーの素晴らしさはバッハ・コレギウム・ジャパンならでは。そして歌手も皆素晴らしい出来で、お客さんからは嵐のような拍手が送られました。神奈川フィルも最後まで緊張感を保つ力演。

神奈川フィルのコンサートは終演後にオケのメンバーがロビーに出てお客さんを見送るんですね。お客さんの表情を見れば、この日の演奏がお客さんの心に届いたかわかりますね。そしてそのような姿勢もお客さんがまた聴きに来ようと思うことにしっかり繋がると思います。また聴きに来なければなりませんね。

いいコンサートでした!

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tag : 天地創造

プロフィール

Daisy


Author:Daisy

ハイドン(Franz Joseph Haydn)の膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。私はなぜハイドンにはまったのか?

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ハイドン所有盤リスト
Joseph Haydn Discography
所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものはリスト冒頭に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

登録曲数:1,365
登録演奏数:11,529
(2019年3月31日)
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時計悲しみ古楽器弦楽四重奏曲Op.50アンダンテと変奏曲XVIII:6弦楽四重奏曲Op.54弦楽四重奏曲Op.20弦楽四重奏曲Op.64天地創造ヴォルフレスピーギリヒャルト・シュトラウスリゲティヨハン・シュトラウスタリス軍隊交響曲10番モーツァルトピアノソナタXVI:49迂闊者交響曲54番ネルソンミサバリトン三重奏曲ピアノソナタXVI:52ベートーヴェン交響曲2番ピアノソナタXVI:37ピアノソナタXVI:46皇帝日の出弦楽四重奏曲Op.71ブルックナー交響曲88番ベルリオーズバッハナッセンウェーベルンベンジャミングリゼーシェルシメシアンヴァレーズ弦楽四重奏曲Op.20交響曲65番交響曲67番交響曲9番弦楽四重奏曲Op.76交響曲39番交響曲61番交響曲73番狩りリームピアノソナタXVI:48ピアノソナタXVI:6ピアノソナタXVI:20アンダンテと変奏曲XVII:6四季交響曲全集リムスキー・コルサコフラヴェルピアノソナタXVI:45ピアノソナタXVI:21ピアノソナタXVI:44ピアノ三重奏曲第九太鼓連打ヒストリカルオックスフォード交響曲99番ボッケリーニシューベルトロンドン交響曲5番チャイコフスキーストラヴィンスキーチェロ協奏曲ライヴピアノ協奏曲XVIII:11弦楽四重奏曲Op.2序曲ヴィヴァルディオペラ序曲パイジェッロアリア集ピアノとヴァイオリンのための協奏曲XVIII:6すみだトリフォニーホールピアノソナタXVI:34サントリーホールブーレーズ弦楽四重奏曲Op.74哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェ騎士オルランド無人島アルミーダチマローザ変わらぬまこと英語カンツォネッタ集ピアノ協奏曲XVIII:4ピアノ協奏曲XVIII:3ピアノ協奏曲XVIII:1交響曲3番交響曲79番ラメンタチオーネアレルヤ驚愕チェロ協奏曲1番交響曲58番交響曲27番交響曲19番紀尾井ホールショスタコーヴィチドビュッシーミューザ川崎協奏交響曲LPオーボエ協奏曲ヴァイオリンとヴィオラのためのソナタピアノソナタXVI:40ピアノソナタXVI:50ピアノソナタXVI:32ピアノソナタXVI:38ピアノソナタXVI:29スタバト・マーテルピアノソナタXVI:39マーラー十字架上のキリストの最後の七つの言葉交響曲97番告別交響曲90番奇跡交響曲18番ひばりフルート三重奏曲交響曲102番交響曲86番ヴァイオリン協奏曲哲学者ニコライミサ小オルガンミサミサブレヴィス交響曲95番交響曲93番交響曲78番ピアノソナタXVI:23王妃SACDライヴ録音武満徹交響曲81番交響曲80番交響曲21番マリア・テレジアクラヴィコード豚の去勢にゃ8人がかりBlu-ray東京オペラシティ交響曲12番交響曲11番交響曲4番交響曲15番交響曲1番交響曲37番ピアノソナタXVI:14ピアノソナタXVI:25ピアノソナタXVI:8ピアノソナタXVI:42ピアノソナタXVI:2ピアノソナタXVI:12ピアノソナタXVI:1ピアノソナタXVI:4ピアノソナタXVI:5ピアノソナタXVI:3ディヴェルティメント東京芸術劇場交響曲98番ピアノソナタXVI:36ピアノソナタXVI:7ピアノソナタXVI:35ライヒャドニぜッティロッシーニ弦楽三重奏曲シェーンベルク東京文化会館フルート協奏曲ホルン協奏曲弦楽四重奏曲Op.17弦楽四重奏曲Op.9剃刀弦楽四重奏曲Op.77弦楽四重奏曲Op.103ファンタジアXVII:4ピアノソナタXVI:31ピアノソナタXVI:26パレストリーナモンテヴェルディアレグリバード美人奏者交響曲70番アコーディオンピアノ協奏曲XVIII:7スコットランド歌曲ヴェルナーガスマンピアノソナタXVI:24交響曲46番交響曲51番交響曲35番DVD交響曲47番テレジアミサピアノソナタXVI:28アリエッタと12の変奏XVII:3帝国ラ・ロクスラーヌハイドンのセレナードピアノソナタXVI:51ラルゴ五度ラウドン将軍弦楽四重奏曲Op.1弦楽四重奏曲Op.33騎士交響曲17番ピアノソナタXVI:27シベリウス時の移ろい交響曲42番ベルリンフィルホルン信号弦楽四重奏曲Op.55交響曲87番トランペット協奏曲リュートピアノソナタXVI:10ピアノ五重奏曲チェチーリアミサラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン東京国際フォーラム雌鶏冗談ナクソスのアリアンナピアノ協奏曲XVIII:5ピアノ協奏曲XVIII:9ヴァイオリンソナタ交響曲52番ピアノ協奏曲XVIII:2ロンドン・トリオカノンモテットドイツ国歌オフェトリウムよみうり大手町ホールパッヘルベルアダージョXVII:9受難交響曲84番パリセットベルク主題と6つの変奏オペラアリアピアノソナタXVI:41スクエアピアノ交響曲68番交響曲57番リラ・オルガニザータ協奏曲交響曲89番交響曲50番CD-R偽作トビアの帰還ホルン三重奏曲薬剤師オルガン協奏曲火事交響曲38番リベラ・メピアノ協奏曲XVIII:10交響曲77番交響曲34番温泉フルートソナタドイツ舞曲誕生日校長先生ピアノソナタXVI:11音楽時計曲ピアノソナタXVI:47bisピアノ小品カートリッジ雅楽プロコフィエフヘンデルサン=サーンス交響曲36番リストオーディオバリトン二重奏曲交響曲75番交響曲66番交響曲91番長岡鉄男歌舞伎おすすめ盤ピアノソナタXVI:47読売日響オペラ歌舞伎座スケルツァンド弦楽四重奏曲op.33ザルツブルク音楽祭ピアノソナタXVI:22変奏曲XVII:7天地創造ミサジャズ弦楽四重奏曲Op.42交響曲76番ピアノソナタXVI:43古楽器風東急文化村ノットゥルノヴェーベルン府中の森芸術劇場裏切られた誠実バリトン五重奏曲ハイドン入門者向け歌曲ピアノソナタXVI:G1ウィーンフィル月の世界交響曲72番建築ファリャマリアテレジア交響曲56番2つのホルンのための協奏曲展覧会ピアノソナタXVI:19弦楽四重奏曲全集シャンゼリゼ劇場皇帝讃歌交響曲24番大オルガンミサ新橋演舞場サルヴェ・レジーナテ・デウムカッサシオン室内楽曲ベトナム料理国立新美術館高音質CD交響曲28番交響曲13番交響曲108番交響曲62番交響曲107番ジプシー・ロンドチェンバロ四重奏曲スカルラッティ声楽曲カンタータ戦時のミサ珍盤ザロモンセットN響ハルモニーミサミサ曲全集NHKホールハインリッヒミサピアノソナタ全集ジュピターレコードマーキュリー管弦楽曲室内楽変奏曲XVII:5交響曲41番ギターピアノソナタXVI:33府中ピアノソナタXVI:30カラヤンスウェーリンク書籍交響曲71番アプラウスピアノソナタXVI:13魂の歌仙台ヤナーチェク現代音楽ピアノソナタ

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