ショルティ/ロンドンフィルの「奇跡」、「時計」(ハイドン)

年度はじめに相応しく、メジャーアーティスト、メジャーレーベルのメジャーな曲。私個人の嗜好のままレビュー盤を選んでいくと、どんどんマイナーなアルバムになってしまいますので、意図してメジャーなアルバムをセレクトします。

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amazon / amazon(ザロモンセット)/TOWER RECORDS(ザロモンセット)

サー・ゲオルク・ショルティ(Sir Georg Solti)指揮のロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(London Philharmonic Orchestra)の演奏で、ハイドンの交響曲96番「奇跡」、101番「時計」の2曲を収めたアルバム。収録は1981年3月、ロンドンのキングスウェイホールでのセッション録音です。レーベルは英DECCA。

ショルティはマーラー等派手なオーケストレイションの曲を得意としていたからか、はたまたかなり強引な指揮姿からか、豪腕なイメージが強い人ですが、このロンドンフィルとのハイドンを聴くとさにあらず。オケを思い切り煽って鳴らしまくるのですが意外とダイナミクスを強調した演奏ではなく、アクセントはあまり強調せず流れの良い大きな起伏で聴かせる演奏なんですね。これまで当ブログでもいろいろ演奏をとりあげています。

2012/02/25 : ハイドン–オラトリオ : ショルティ晩年の天地創造ライヴDVD
2012/01/02 : ハイドン–オラトリオ : ショルティ/シカゴ響による天地創造旧盤
2011/06/27 : ハイドン–交響曲 : ショルティ/ウィーンフィルの「ロンドン」1996年ライヴ!
2011/03/27 : ハイドン–交響曲 : 爆演、ショルティの指揮者デビュー録音、ロンドンフィルとの太鼓連打他
2010/12/03 : ハイドン–交響曲 : ショルティ/ロンドンフィルによる102番、103番「太鼓連打」2
2010/12/02 : ハイドン–交響曲 : ショルティ/ロンドンフィルによる102番、103番「太鼓連打」

ただし、最も録音年代の古いロンドンフィルとの太鼓連打の指揮者デビュー録音でははち切れんばかりの覇気に満ちた爆演。この演奏が最もショルティらしい演奏と言っていいでしょう。デビュー当時のショルティの気合いの入りかたは尋常ではありませんでしたが、今日取り上げる1980年前後のザロモンセットでは、いい具合に力が抜け、ハイドンとはしゃにむに振るのではないとの悟りを得たのか、適度に力がぬけたショルティの余裕が感じられる演奏だと言うところでしょう。

Hob.I:96 / Symphony No.96 "The Miracle" 「奇跡」 [D] (1791)
響きの良い録音会場として多くの名録音を生んだ今は亡きキングスウェイホールの豊かな響きにつつまれた奇跡の序奏。ショルティらしい精緻なゆったり感。主題に入るとテンポを一気に上げ、いきなり素晴しい躍動感。インテンポで畳み掛け、この曲独特のコミカルなメロディーを素晴しいキレの弦楽器群が描いて行きます。意外と低音弦は抑え気味で主に高音弦の迫力で聴かせ、この推進力とハンガリーの伝統と思わせるヴァイオリンのキレは見事。オケはいい意味で適度な粗さもあり、それが迫力にもつながっています。ショルティがオケを煽っているのがよくわかります。
つづくアンダンテも基本的に落ち着いた表現ながらインテンポの余韻がのこってヴァイオリンパートの流麗さで聴かせる演奏。弦楽器の雄弁さと、奏者全員がショルティの煽りにしっかりとついて行っているのが流石。木管、金管もすこし控えめであくまで弦楽器主体なところにこのしなやかな表情が生まれるのでしょう。
メヌエットは流石に迫力に振ってきますが、それでも力ませではなく、あくまで音楽が一貫して流れ、特に弦楽器の雄弁さに裏付けられた一貫性があります。徐々に迫力を増し、オケが怒濤の迫力を帯びてきます。木管のソロは落ち着きはらって美しいメロディーラインをこともなげに吹いてきます。テンポは乱れず、音楽が滔々と流れて行きます。
アバド盤で鮮烈なキレが印象的だったフィナーレ。ショルティのコントロールはミクロ的なキレではなく大局的な見地でのキレがあります。最初は抑えて入りますが、徐々にマグマにエネルギーが満ち、オケの底力が発揮されます。それでも高音弦中心のスタイリッシュなイメージを保ちます。非常に高揚感を感じながらもオケの力が抜けた名演奏。

Hob.I:101 / Symphony No.101 "Clock" 「時計」 [D] (1793/4)
続いてこちらも名曲「時計」です。ことさら1楽章の緊密な構成感が聴き所ゆえ、このアルバムのショルティの録音の出来が素直に刺さります。またまた緊張感を帯びたゆったりさで入ります。序奏の規模が奇跡よりも大きいので、しなやかにオーケストラが響くのをゆっくり楽しめます。そしておもむろにギアチェンジして怒濤のインテンポ。特に低音弦を抑えながらのこの高揚感。あえて旋律の美しさに目を向けさせようと言うのでしょうか。高音弦だけでもこれだけ迫力を出せることを誇示したいのでしょうか。真意はわかりませんが、いずれにせよ素晴しい高揚感。時計の1楽章の理想的な演奏でしょう。
有名な時計のリズムを刻むアンダンテは、予想通り速めのテンポでいきます。おそらく途中からのうねりも速めに畳み掛けてくるのでしょう。速めののテンポと軽々としたリズムからハイドンの諧謔的なメロディーの面白さが滲み出てきます。このあたりはショルティの面目躍如。時計の面白さを良く踏まえた演奏。中盤からの盛り上がりもテンポを落とさずしっかりと隈取りを重ねて素晴しい迫力。再び枯れてもテンポは落とさず、オケは規律を失いません。最後まで弦楽器のボウイングに力が漲り、エネルギーはおとろえません。
メヌエットは前曲と異なり、かなりアトラクティヴ。クッキリと旋律を描き、色彩感も抜群。陽光に映える白亜の神殿のような圧倒的存在感。丁寧にフレーズを重ね、徐々にクライマックスに近づいていきます。間奏のフルートが妙に上手くて気になります。冴え冴えとした動と静の対比が見事。
最後のフィナーレに集中。入りはオーソドックスですが、おそらくトランス状態のような陶酔がまっているでしょう。やはり低音弦を抑えてメロディー主体の盛り上がり。これがショルティのハイドンのスタイルでしょうか。不思議に落ち着いてもいながら響きは陶酔まっしぐら。明らかにこの楽章に焦点を合わせてきています。最後はやはりショルティ、オケを鳴らしきって終わります。

サー・ゲオルク・ショルティ指揮のロンドンフィルによるザロモンセットのアルバムから「奇跡」と「時計」というハイドンの交響曲でも指折りの名曲。やはり一流どころのハイドンたる雄弁な演奏だと再認識。ショルティの古典派が良いというイメージを持たない方も多いかもしれませんが、これは名演です。私はカラヤン/ベルリンフィルのザロモンせっとよりもショルティの方を推します。この2曲の評価は[+++++]ですね。未聴の方は是非聴いてみてください。

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tag : 奇跡 時計

クーベリック/バイエルン放送響の時計1970年10月ライヴ(ハイドン)

久々のライヴもの。

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ラファエル・クーベリック(Raphael Kubelik)指揮のバイエルン放送交響楽団(Bavarian Radio Symphony Orchestra)の演奏で、ハイドンの交響曲101番「時計」、バルトークの管弦楽のための協奏曲の2曲を収めたアルバム。このアルバムに演奏年の表記はありませんが、クーベリックのディスコグラフィのサイトによると収録は1970年10月1日、2日のライヴとのこと。レーベルは米FIRST CLASSICS。

Rafael Kubelík - Discographie - Discography

クーベリックのハイドンはこれまでにも4度取りあげています。

2012/07/24 : ハイドン–交響曲 : クーベリック/バイエルン放送響の99番1982年9月7日ライヴ
2012/01/27 : ハイドン–声楽曲 : クーベリック/バイエルン放送響の「戦時のミサ」
2010/10/11 : ハイドン–協奏曲 : フルニエ/クーベリックのチェロ協奏曲2番
2010/05/24 : ハイドン–オラトリオ : クーベリックの天地創造

クーベリックの紹介は99番の記事をご覧ください。

クーベリックは、多くの録音を残す事になったバイエルン放送響の首席指揮者として、1961年から79年までその任にありましたので、今日取り上げる1970年の頃は、まさにオケを完全に掌握していた頃でしょう。以前取りあげた、同じ組み合わせの後年の99番のライブが素晴しかっただけに、ちょっと期待が高まります。クーベリックの穏やかながらバランスのよいコントロールで聴く時計は、どうでしょうか。

Hob.I:101 / Symphony No.101 "Clock" 「時計」 [D] (1793/4)
年代なりの粗さはあるものの、比較的鮮明な録音。音の実体感、骨格がしっかり出ているので聴きやすい録音です。予想通り、クーベリックらしいオーソドックスな序奏。穏やかな表情ながらじわじわと盛り上がっていきます。まさに王道を行くような安定感。中盤からの畳み掛けるような曲想のところでも、まったく慌てず、徐々に徐々に手綱を締めて、じわりと盛り上がります。アポロン的均衡が見事に保たれた、均整のとれた1楽章。
時計のリズムを刻むアンダンテは、まさにゆったりと時を刻むオーソドックスな時計。最近の演奏の多くがかなり速いテンポでキレよく進めると比べると時代を感じますが、このオーソドックスさを好む人も多いでしょう。やはりクライマックスに向け、じわりと盛り上げて行くクーベリックの穏やかな手腕が聴き所でしょう。
楽章の変わり目のテンポは超自然。最近の奇を衒った演奏を聴いているからこそ、この自然さが貴重です。メヌエットはわずかにレガートを効かせ、実に安定した演奏。教科書通りの誠実さ。まさに時計と言う曲の堅実さの真髄をつくような演奏。途中のフルートのソロの部分はフルートが浮かび上がるような不思議な浮遊感をうまく表現しています。ハイドンが書いたメロディーのオリジナルなイメージはこうだったのではないかとも思わせる説得力。
フィナーレに入っても気負う事なく、実に自然な演奏。手綱を強く引く事はなく、かわらず穏やか。迫力で聴かせると言う演奏ではなく、典雅な進行の面白さを聴けと言われているよう。確かにハイドンの書いた曲の艶やかな魅力がこの曲にはあり、明確にそこに表現のポイントを置いているよう。もちろんクライマックスでかなりの盛り上がりは聴かせますが、まったく破綻する事はなく、優雅な余韻を残します。ライヴとのことですが、拍手はカットされているようですね。

このあとのバルトークは上記のディスコグラフィが掲載されたサイトによると1968年頃のライヴのようですが、バルトークとなるとクーベリックもかなり力が入り、オケも髪を振り乱したようなかなりの迫力。前曲のバランスのとれたハイドンは、やはりハイドンに対するクーベリックの穏やかなイメージが解釈の根底にあるのでしょうね。

以前取りあげた後年の99番の覇気にくらべると、やはり穏やかさが目立ち、もう一超え踏み込んでほしいとも思わせる演奏でしたが、これはこれで名演だと思います。こうしたハイドンを振るひとはもうあまりいなくなっていますね。ハイドンの時計と言う曲の原風景のようなクーベリックのコントロールでした。評価は[++++]としておきましょう。

気づいてみれば、もうすぐ来年。今年もバタバタしているうちに暮れていきますね。

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tag : 時計 ライヴ録音 ヒストリカル

【新着】ブルーノ・ヴァイル/カペラ・コロニエンシスの交響曲99番、時計、軍隊(ハイドン)

知らぬ間に第3弾がリリースされていたようです。このシリーズ、なかなか粋なジャケットデザインです。

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amazon / TOWER RECORDS

ブルーノ・ヴァイル(Bruno Weil)指揮のカペラ・コロニエンシス(Cappella Coloniensis)の演奏で、ハイドンの交響曲99番、101番「時計」、100番「軍隊」の3曲を収めたSACD。収録は2012年9月29日、2013年2月16日の両日、ドイツ、エッセンにあるエッセン・フィルハーモニーのアルフレッド・クルップホールでのライヴ。レーベルは独Ars Production。

ヴァイルのハイドンはトーマス・ファイなどと同様、かなりの回数取りあげています。

2013/05/09 : ハイドン–交響曲 : ブルーノ・ヴァイル/ターフェルムジークの86番
2012/08/11 : ハイドン–管弦楽曲 : ブルーノ・ヴァイル/カペラ・コロニエンシスの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」
2012/01/24 : ハイドン–オラトリオ : ブルーノ・ヴァイル/カペラ・コロニエンシスの四季
2011/08/14 : ハイドン–声楽曲 : 【お盆特番4】ブルーノ・ヴァイルのテレジアミサ、ネルソンミサ
2011/01/10 : ハイドン–オラトリオ : ブルーノ・ヴァイルの天地創造
2010/12/25 : ハイドン–交響曲 : 【年末企画】ブルーノ・ヴァイルの交響曲50番、64番、65番
2010/03/08 : ハイドン–交響曲 : ブルーノ・ヴァイル、ザロモンセットへ

いろいろ書いているとおり、最近のカペラ・コロニエンシスとの演奏は、昔の溌剌としたヴァイルの良さから、かなり落ち着いてきていますので、好みも別れる所でしょう。このアルバム、久しぶりのヴァイルの新譜と言う事で何となく気になっていました。

Hob.I:99 / Symphony No.99 [E flat] (1793)
予想通り、さっぱりと速めのテンポで入ります。先日ファイの新譜を聴いたばかりですが、ヴァイルも新参者ファイに負けてはおれぬとの気合いの入った演奏。ファイよりも変化は少なめですが、キビキビとしたオケの魅力はターフェル・ムジークとの時代を彷彿とさせるもの。一時落ち着いてしまったと思ったんですが、ヴァイルのキビキビとタイトな演奏の魅力は健在でした。中盤以降は素晴しい推進力で畳み掛ける迫力に溢れたもの。ライヴですが会場ノイズは皆無で音響処理をしているのでしょう。
アダージョはゆったりと盛り上がる魅力に溢れた曲ですが、ヴァイルのアプローチは古楽器的な音色を活かしたさっぱりとした感興で聴かせるもの。途中さらりとフルートの音色の透明感が際立つ部分が印象的。ジャケット写真を見ると管楽器は古楽器ですね。メヌエットはキビキビとしたオーケストラコントロールで聴かせます。
期待のフィナーレはファイが千変万化する表情の変化で聴かせたものを、ヴァイルはオーソドックスながら、各楽器の面白い響きを重ねて油彩で色を置いていくような練りをを感じるもの。途中テンポを落としたところのカジュアルな表現など、ハイドンの面白さを知り尽くした人ならではの工夫があります。分厚いオケに奏者の息づかいを感じるような各楽器の面白い響き。なかなかいい99番です。拍手はカットされています。

Hob.I:101 / Symphony No.101 "Clock" 「時計」 [D] (1793/4)
時計も序奏は速目でさっぱりとしたもの。やはり主題に入るとがっちりとしたオケによる推進力溢れる演奏。オケは適度に粗いのですが、それが良い方向に働いてます。時計の良さは1楽章にあると確信している私にとって、このヴァイルの畳み掛けるように推進していく演奏は理想的。モダン、スタイリッシュでかつオーセンティックなところをおさえたバランスの良い演奏と言っていいでしょう。
有名な時計のアンダンテは速い速い。予想はしてましたが、まるでおとぎの国の時計のような微笑ましさ。中盤以降の激しいフレーズに入っても快速テンポは変わらず、グイグイいきます。落ち着かないぐらい速い。
その勢いを受けて、メヌエットも比較的速いテンポで楽天的に入ります。音楽に勢いがあるせいか、アクセントもきっちり効いてメリハリも十分。
そして最後のフィナーレは、なぜかほっとするような落ち着きを帯びています。もちろんクッキリとして推進力もほどほどあるのですが、全体に音楽がなじんで、ゆったりと流れる印象があります。カペラ・コロニエンシスの低音弦の迫力はなかなか見事。クライマックスはオケが振り切れんばかりに鳴って終了。

Hob.I:100 / Symphony No.100 "Military" 「軍隊」 [G] (1793/4)
そして、期待の軍隊。この曲も最近ファイの名演に接しています。ヴァイルの演奏はオーソドッックスなものですが、前曲からの流れの影響か、落ち着きが感じられます。やはり、じっくりと歌う部分の存在が曲を落ち着かせます。堂々として、風格があり、穏やかでもある演奏と良いでしょう。風格の1楽章。
そして軍隊の行進を描いたアレグレットは普通にはじまりますが、ここぞの爆発が凄い。普通の演奏とは異次元のアクセント。床を踏み鳴らすような音まで聴こえて、ハイドンの機知に応えているよう。なかなかユニーク。打楽器陣大活躍。流石SACDだけあって鮮明に響きます。
メヌエットは響きの余韻を楽しむよう。十分ダイナミックなんですが、前楽章が異次元のダイナミックさだったので、流麗、穏やかな演奏に聴こえるのが不思議なところです。
フィナーレも同様、最初は大人しく、テンポもすこし穏やか目に聴こえますが、徐々に盛り上がり、特に固い音のティンパニが加わると響きが引き締まり、最後は爆発します。やはり軍隊はこうこなくては。

久々にブルーノ・ヴァイルらしいハイドンを聴くことができました。硬質な響きと鋭いアクセントが決まったときのキレは流石というところ。ただし、ターフェル・ムジークとの初期交響曲、パリセットの飛ぶ鳥を落とす勢いの演奏とくらべると、やはり落ち着いていて、あと一歩の踏み込みを求めたくなってしまうのも正直なところ。迫力のコントロールは見事ですが、逆に曲としての音楽的なまとまりについては、これ以上の演奏も増えてきているというのが正直なところでしょう。私の評価は3曲とも[++++]とします。

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tag : 交響曲99番 時計 軍隊 SACD

ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管の時計旧盤

今日はなぜかLPが聴きたくなり、古めのLPを取り出しました。

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ユージン・オーマンディ(Eugene Ormandy)の指揮するフィラデルフィア管弦楽団の演奏で、ハイドンの交響曲101番「時計」とジョージ・セル指揮のクリーヴランド管弦楽団の演奏で、交響曲92番「オックスフォード」の2曲を収めたLP。今日はオーマンディの方の演奏を取りあげます。収録は1949年5月10日としか記載がありません。レーベルは英COLUMBIA。

オーマンディのハイドンは以前に2回取りあげました。

2012/05/24 : ハイドン–協奏曲 : ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管のトランペット協奏曲、協奏交響曲
2011/03/28 : ハイドン–交響曲 : オーマンディ/フィラデルフィア管の88番1958年モスクワライヴ

オーマンディの略歴などはモスクワライヴの方の記事をご参照ください。

ネットの情報などによると、オーマンディはハイドンの録音は多くなく、この時計については、今日取り上げる1949年のモノラル盤と1961年のステレオ盤の2種の録音があるようです。今日取り上げるLPはディスクユニオンでたまたま見かけた英COLUMBIA盤。かなり年季の入ったLPですが、針を落とすと、豊かな音楽が溢れ出てくるではありませんか。この癒しに満ちた響きも悪くありません。

Hob.I:101 / Symphony No.101 "Clock" 「時計」 [D] (1793/4)
厳かにはじまる序奏。ゆったりというよりは緊張感あるかなり遅めのテンポでじっくり入ります。主題に入るとテンポを上げますが、アクセントは抑え気味で、なだらかに面取りをした流線型のオケが、迫力よりも推進力優先でやわらかく畳み掛けていきます。意外にも強音は音を短く切って、さっぱりとしたアクセント。これがオーマンディ流の美学でしょうか。ヴァイオリンパートの純度の高いアンサンブルによる音階の繰り返しが聴き所。1楽章の最後はずばっと踏み込んでようやくキリリと締まります。
有名な時計のリズムのアンダンテは実におおらかな音楽。香しい芳香を放つオーケストラ。リズムはすこし溜めを効かせて、生成りの布のような素朴な表情も見せます。音量を変え、表情を変えつつ変奏が進みますが、実に趣き深いアンダンテ。
メヌエットに入ると力強さが戻りますが、弦楽器の磨かれた表情は変わらず、うっすらと色気のようなものが漂うのも前楽章までと同様。フレージングに溜めがなくささっと煽るので、曲が軽快に聴こえ、それが全体を華やかな印象に保つのに寄与しているよう。美しい響きと適度な力感のバランス。じつに玄人好みの演奏。LPならではの華やかな響きでしょう。
フィナーレは一気にスピードを上げて、所々アクセントをつけながらも軽やかな仕上がり。程よい迫力を感じさせる部分と、抑えた音量でスビーディに進む部分を上手く織り交ぜながら曲をすすめ、最後は吹き抜けるように終わります。

ユージン・オーマンディと手兵フィラデルフィア管弦楽団による時計の1949年の演奏は、やはりオケの音色の美しさと、適度な力感、適度な盛り上がりをおりまぜたバランスの良い演奏でした。LPならではの実体感あるクリアな響きを楽しめる、なかなかいい録音でした。評価は[++++]とします。

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tag : 時計 LP ヒストリカル

【追悼】ヴォルフガング・サヴァリッシュ ウィーン響との「驚愕」「軍隊」「時計」

ヴォルフガング・サヴァリッシュが亡くなりました。報道などによれば去る2月22日、ドイツの自宅にて亡くなったとのこと。89歳でした。今日は追悼の意味をこめて、サヴァリッシュのハイドンの交響曲のアルバムを取りあげましょう。

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ヴォルフガング・サヴァリッシュ(Wolfgang Sawallisch)指揮のウィーン交響楽団の演奏で、ハイドンの交響曲94番「驚愕」、100番「軍隊」、101番「時計」の名曲3曲を収めたアルバム。収録はPマークが1961/63年としか記載されていないので詳細はわかりませんが、直前のセッション録音であろうと想像されます。今は亡きPHILIPSの"KLASSIK FÜR MILLIONEN"と題された廉価盤シリーズの1枚。

サヴァリッシュはN響の桂冠名誉指揮者であり、40年近くにわたってN響と共演してきたため、日本でもおなじみの存在です。実演に接した人も少なくないのではないでしょうか。得意としていたのはリヒャルト・シュトラウスをはじめとしたドイツもの。デュトワがN響を振るまではN響も重厚なドイツものの演奏を得意としていたのはサヴァリッシュの影響でしょう。私は残念ながらテレビではいろいろ見たものの、実演に接する機会はありませんでした。前にも触れましたが、サヴァリッシュの振った録音の中でも印象深かったのがOrfeoからリリースされたバイエルン州立管弦楽団とのブルックナーの交響曲。手元に1番、5番、6番、9番のアルバムがありますが、中でも6番の深い森の奥からの響きのような音色の良さと、あっさり気味と感じる寸前の速いテンポで一気に聴かせる独特の演奏が特に印象に残っています。

ハイドンでは天地創造と四季の録音がありますが、何れも以前に取りあげています。

2010/11/15 : ハイドン–オラトリオ : サヴァリッシュ、N響の天地創造ライヴ
2010/06/10 : ハイドン–オラトリオ : 重厚、サヴァリッシュの四季

残された録音数を見る限り、サヴァリッシュはハイドンを得意としていた訳ではなさそうですが、1991年のN響との天地創造ライヴも、1994年のバイエルン放送交響楽団との四季ライヴも高評価でした。

以前の記事でもサヴァリッシュのことを詳しく取りあげていませんので、この機会に調べておきましょう。

Wikipediaなどの情報によれば、ヴォルフガング・サヴァリッシュは1923年ドイツ、バイエルン州ミュンヘンに生まれた指揮者、ピアニスト。幼少期からピアノ、音楽理論、作曲を相次いで学び、指揮は現代音楽の指揮で名高いハンス・ロスバウトに師事。戦後は1947年にアウクスブルク市立歌劇場でフンパーディンク作曲のオペラ「ヘンゼルとグレーテル」を振ってデビューし、この時の指揮が高く評価され、同劇場の第一指揮者に抜擢されました。ピアニストとしては、主にリートの伴奏者として活動。その後、1953年にアーヘン、1958年にヴィースバーデン、1960年にケルンのそれぞれの市立歌劇場の音楽総監督に就任し、オペラ指揮者としての腕を磨きました。また33歳の若さでバイロイト音楽祭初出演を果し、当時の最年少記録となりました。(1960年にロリン・マゼールが30歳で初出演し、現在はこれが最年少記録)。歌劇場での活躍の一方で、オーケストラの音楽監督でも活躍し、ウィーン交響楽団、ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団、スイス・ロマンド管弦楽団の首席指揮者を歴任。1967年からN響の名誉指揮者(1994年からは桂冠名誉指揮者)、1971年からはバイエルン国立歌劇場の音楽監督(1982年から1992年は音楽総監督)に就任。バイエルンのポストを退任後、リッカルド・ムーティの後任としてフィラデルフィア管弦楽団の音楽監督に就任しました。その後は特定のポストには就かず、2006年3月以降は心臓病の悪化を理由にスケジュール入れず事実上引退となっていたとのことです。

その指揮姿からか冷静沈着な人との印象でしたが、あらためてサヴァリッシュのハイドンの交響曲を聴き直すと、ウィットに富んだハイドンの交響曲の魅力が十分に反映された名演でした。記憶の中の印象とはかなり異なり、ハイドンが微笑む姿が目に浮かぶような演奏。実に味わい深い演奏でした。

Hob.I:94 / Symphony No.94 "Mit dem Paukenschlag" 「驚愕」 [G] (1791)
少し古めな音色ながら、今は亡きPHILIPSレーベルの特徴である空気感を感じる録音。速めのテンポでドイツ的重厚さとスタイリッシュさの同居した爽やかな演奏。オケの表情はサヴァリッシュならではの、流れのいい磨き込まれたもの。リズムは強調せず、旋律がかなりの速いテンポで流麗に流れ、燻したような独特の輝きももつ演奏。ハイドンの書いた曲の面白さを余すところなく伝える躍動感溢れる演奏。ウィーン交響楽団らしい色っぽい音色も相俟って、非常に充実した1楽章です。
ビックリのアンダンテは、やはり速めのテンポで、さりげなくドンドン進みます。全体の規律重視でビックリするようなアクセントはなく、実に味わい深い演奏。この楽章もさりげなく奥深い演奏と言っていいでしょう。地味な印象もありますが、良く耳を傾けると、表情の豊かさに気づかされます。
つづくメヌエットも一貫して速いテンポですが、筆の勢いと墨の濃淡がはっきりした行書のように、どんどんテンポを刻んで活きます。フィナーレは速めのテンポが活きて素晴らしい高揚感。ウィーン交響楽団もサヴァリッシュのコントロールに余裕をもってついていく様子が聴き取れます。何気ない演奏なんですが、ハイドンの曲らしい、ウィットと軽さの表現が秀逸。この4楽章が一番の聴き所です。

Hob.I:100 / Symphony No.100 "Military" 「軍隊」 [G] (1793/4)
続いて軍隊。サヴァリッシュのコントロールは前曲でほぼつかんでいますが、より演出効果が活きる軍隊になると、すこし表現が大きくなり、流麗なオケに一段とエネルギーが宿っていくのがわかります。鮮明さはほどほどながら柔らかく響き合うオケに力が入っていきます。メロディーラインが浮き上がり、ハイドンのウィットが非常にわかりやすく響きます。テンポを溜めないので非常に流麗。サヴァリッシュの軍隊がこれほど良かったという記憶はなく、意外な発見という印象。1楽章は怒濤の迫力で終わります。
軍隊の行進の場面の2楽章。流れよく1楽章から入り、ここでも速めのテンポながら大波、小波の襲ってくる展開がさっぱりしたリズムに乗ってやってきます。このさらりとしながらも彫りの深い、図太い響きを聴かせるのはサヴァリッシュならではでしょう。ブルックナーのアルバム同様、実に味わい深い音楽。
サヴァリッシュの意図に見事に打たれて、メヌエットもじわりと重なるドイツ的な音の塊がテンポ良く流れてくる音楽に圧倒されます。フィナーレは実に軽やかなメロディーから入りますが、派手な鳴りものは控えめにしてティンパニが主体に活躍、響きの骨格はドイツ的重厚さにあるんですが、軽やかなメロディーラインに乗っているせいかやはりスタイリッシュな印象が加わり、軍隊のクライマックスも非常にまとまりの良いもの。オケのバランスが崩れないのが流石なところ。

Hob.I:101 / Symphony No.101 "Clock" 「時計」 [D] (1793/4)
時計も期待できそうですね。1楽章の充実した構成がサヴァリッシュの棒で見事な立体感を構築しそう。ゆったりした序奏が終わると予想通り、速めのテンポで流麗かつ覇気溢れる演奏。頂点を目指した素晴らしい盛り上がり。まさに時計の1楽章の理想的な演奏。有無をも言わせぬ怒濤の推進力。サヴァリッシュがこれほど踏み込んだ演奏をするとは思いませんでした。一気呵成に音楽が吹き抜けます。
時計のアンダンテはまさに、ウィットに富んだ楽しげな演奏。1楽章の嵐のような盛り上がりから、この典雅なメロディーへの転換は見事。予想通り中間部の盛り上がりでは、じわりとエネルギーが増し、後半は大胆なリズムの刻みに変化。
時計のメヌエットはこのアルバムで一番構えた表現。鉈を振るうようにザクザクとした表現。これまでの曲のどこか流麗な印象は影を潜め、ズバズバ踏み込んできます。
フィナーレはサヴァリッシュらしい流麗さが戻ってきました。全2曲が楽章間の対比よりは一貫性で聴かせたのに対し、時計では、おそらく2楽章の面白さを際立たせるために楽章間に明確な表情をつけたものと思われます。ここまでくるとサヴァリッシュの燻したようなドイツ的なオケの音色を流麗にインテンポでグイグイ引っ張っていく演奏はハイドンの曲の面白さを際立たせ、非常に効果的であるものと納得します。最後は実に味わい深い盛り上がりを聴かせて終了。

N響での長年に渡る活躍、そしてテレビでの露出の多さを合わせると日本のクラシック音楽界の発展に多大な貢献をされたヴォルフガング・サヴァリッシュ。これまで、あまりちゃんと聴いていなかったのか、亡くなられてはじめてきちんと聴いた唯一の交響曲集は、他の指揮者とは明確に異なる、とても微笑ましく、それでいてドイツ的な響きの魅力と、速めのテンポで曲の構造を見通し良くすすめながら、ここぞと言う時の推進力と素晴らしい盛り上がりを聴かせる素晴らしいものでした。正直、ここまでいい演奏だとはこれまで気づいていませんでした。残されたアルバムは、さも廉価盤然としたものですが、演奏は一級品。サヴァリッシュの音楽が心に刺さりました。評価はつけ直して全曲[+++++]としました。

ご冥福をお祈りいたします。

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tag : 驚愕 軍隊 時計

カール・リヒター/ベルリンフィルの驚愕、時計

無理矢理シリーズ化されていますが、今まで取りあげていなかった著名演奏家の演奏シリーズ。

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カール・リヒター(Karl Richter)指揮のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏でハイドンの交響曲94番「驚愕」、101番「時計」の2曲を収めたアルバム。収録は1961年3月、ベルリンでのセッション録音。録音サイトの記載はありませんが、ドイツ表現主義の鬼才ハンス・シャロウン設計の現ベルリンフィルハーモニーは1963年竣工ですのでフィルハーモニーでの録音ではありません。レーベルはARCHIVの日本盤(ポリドール)。

カール・リヒターと言えばバッハの大家。というよりマタイなどは神格化された演奏。昔某雑誌で無人島にもっていくアルバムのような特集がありましたが、たしかリヒターのマタイが選ばれていたような気がします。もちろん手元にもありますが、実はちょっと苦手にしております。切々と迫ってくる響きに打たれ続ける修行のような演奏ゆえ、重荷に感じてしまうようなところがあります。バッハではやはりロ短調ミサ、それもコルボのような透明感とソノリティの美しさを極めた演奏を好みます。まあ、こちらの器が問われているというのが正直なところでしょう。

そのバッハの大家のリヒターがハイドンの驚愕と時計を、なんとベルリンフィルを振って録音しているということで気になっていたアルバムですが、今回取りあげている一連ののアルバム同様、レビューを書くようなしっかりとした聴き方で聴いていないため、なんとなく特徴をつかみかねているというところです。今日はリヒターのハイドンに迫りたいと思います。

カール・リヒターは1926年、ドイツのプラウエン生まれの指揮者。牧師の子として生まれ、ドレスデン聖十字架教会聖歌隊に入り音楽教育を受け始めました。1946年ライプツィヒに移りライプツィヒ音楽大学に入学、聖トーマス教会のカントルであったカール・シュトラウベらに師事。1949年には教会音楽の国家試験に合格して、聖トーマス教会のオルガニストに就任しました。1951年にはミュンヘンに移り聖マルコ教会のオルガニストに就任。バッハ・コンクールでの良い演奏がきっかけとなってミュンヘン国立音楽大学のオルガンとルター派教会音楽の講師なりました。1951年にはまた、ハインリヒ・シュッツ合唱団の指揮者となり、主にバッハのカンタータを演奏していき、名称をミュンヘン・バッハ合唱団に改称しました。追って1953年にはミュンヘン・バッハ管弦楽団を設立。そして有名なマタイ受難曲を1958年にARCHIVレーベルに録音し、以降一連のバッハの録音をARCHIVに残す事となります。日本へは1969年にはミュンヘン・バッハ管弦楽団、合唱団と、1979年には単身来日しているとのこと。1981年に心臓麻痺で亡くなっています。

Hob.I:94 / Symphony No.94 "Mit dem Paukenschlag" 「驚愕」 [G] (1791)
録音は1961年にしては鮮明。近めに定位する直接音重視の録音。ベルリンフィルが非常に穏やかに響き渡る序奏、かと思いきや、すぐに馬力を発揮。やはりベルリンフィルの弦楽器群は抜群のエネルギー感。リヒターの指揮は実にバランスの良い正統的なもの。ハイドンの生気を十分に生かした表現。この力感はやはりオケがベルリンフィルであることが大きいでしょう。弦楽器の奏でるメロディは良く彫り込まれた立体感あるもの。先日のムラヴィンスキーのハイドンはボディービルダーのように筋肉を浮かび上がらせるほどの力感だったのに対し、リヒターの力感は体操選手のようなバランスと端正さの伴ったもの。良く聴くとインテンポでタイトに引き締まった素晴らしい演奏。記憶の中の演奏よりだいぶ鮮明。
2楽章のビックリアンダンテはドイツ的均衡を感じさせるもの。じっくり磨き上げたフレーズを重ね、此処ぞ爆発というところも鋭いアタック。やはりベルリンフィルならではの先鋭なアタック。教科書的名演と言っていいでしょう。正確きわまりないフレージングでどこにも隙がなく張りつめた緊張感を感じます。弦楽器の鋭く分厚い響きは流石ベルリンフィル。
予想通りメヌエットも骨格のしっかりした演奏。墨をたっぷりと含んだ太い筆で書いた楷書のよう。筆の運びのリズムが良く、また力を抜いた部分は流れるようで風格すらあります。
フィナーレをことさら強調しないのはリヒターの見識でしょうか。これまでの楽章と同様ベルリンフィルの素晴らしい弦楽セクションが少しづつ力感を増しながらメロディーをこなしていきます。ただし平常心はたもちながら、淡々とすらした風情。最後の場面はベルリンフィルの低音弦セクションの迫力を聴かせて終わります。やはり楷書の名筆のような整然とした印象を残します。

Hob.I:101 / Symphony No.101 "Clock" 「時計」 [D] (1793/4)
続く時計は前曲以上にベルリンフィルの素晴らしい弦楽セクションが威力炸裂。時計の最も充実している1楽章の畳み掛ける迫力が素晴らしいです。冷静なリヒターも最初からオケを煽っている感じ。前曲の均整のとれた美しさとは異なり、ここはいきなり気合い漲る感じです。
そしてゆったりとした時計のリズム。アンダンテは予想通り、美しい時の流れをきざむ時計。徐々に盛り上がる部分でベルリンフィルのざっくりとした迫力が味わえます。均整のとれたなかから沸き上がるエネルギー。ティンパニも鋭いリズムでサポート。
この曲でもメヌエットは盤石。端正な指揮ながらベルリンフィルの筋肉質の響きが垣間見え、オーケストラの充実した響きを純粋に楽しめます。
そしてフィナーレはそよ風のようなかなり抑えた入りから、ベルリンフィルの輝かしい音色の全奏に移り、それでもどこか冷静にテンポをコントロールする視点のもと、力感と抑制を交錯させながらクライマックスへと音楽を導いていきます。良く聴くと素晴らしいヴァイオリンの音階のキレ。フィナーレをかなり盛り上げる演奏も多い中、時計の聴かせどころを1楽章だと設定して、盛り上げながらも流すように進めるところが秀逸です。

バッハの大家、カール・リヒターとベルリンフィルによるハイドンの「驚愕」と「時計」を収めたアルバム。ベルリンフィルという強力なオケを得て、リヒターの規律でしっかり隈取りされたベルリンフィルの迫力ある演奏が聴き所でしょう。やはりハイドンの交響曲をきっちり正統的に演奏している感じ。古典派交響曲の理想的教科書的演奏というところでしょう。ハイドンらしい機知やユーモアのある雰囲気はあまり感じられませんが、これは指揮者の誠実さと生真面目さの現れだと思います。響きの向こうにバッハと相通じる精神性のようなものもイメージできるところは流石リヒターと言うべきでしょう。演奏の質から言っても、この時代としては悪くない録音という意味でも最高評価で良いのですが、ハイドンらしさ、あるいはハイドンの交響曲の解釈としてという視点で言うと、生真面目すぎるように感じられなくもなく、評価は両曲とも[++++]としておきます。この演奏を[+++++]としても全く違和感ありませんが、これは好みの範囲かもしれません。皆さんはどう聴かれますでしょうか。

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tag : 驚愕 時計 ヒストリカル

カール・リステンパルトの驚愕、軍隊、時計

今日は秘蔵のアルバム。

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カール・リステンパルト(Karl Ristenpart)指揮のザール室内管弦楽団(Orchestre de Chambre de la Sarre)の演奏によるハイドンの交響曲94番「驚愕」、100番「軍隊」、101番「時計」の有名曲3曲を収めたアルバム。収録は1966年9月23日から26日、現ドイツのザールブリュッケンの北西、ザールイ(Saarlouis)の近くのフラウラウターン(Fraulautern)でのセッション録音。レーベルは仏ACCORD。

これは秘蔵のアルバム故、再発盤ももちろん手元にあります。

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同じ演奏をUNIVERSAL傘下になったACCORDからリステンパルトの一連の録音がシリーズで再発売されたときのもの。残念ながら両者ともに現役盤ではない模様。HMV ONLINEでもamazonでもTOWER RECORDSでも検索に引っかかりません。

癒されるハイドンの交響曲の演奏とはリステンパルトの演奏のこと。まろやかなオーケストラの音色と完璧なまでに穏やかにコントロールされた演奏。古くさい感じは微塵もなく、完璧なリズムとバランス感覚に溢れた珠玉の演奏です。

いままでちゃんと調べていなかったのでリステンパルトの略歴を紹介しておきましょう。情報はいつもながら素晴らしい情報量のBach Cantatas Website。

リステンパルトは1900年、ドイツのキール(Kiel)に生まれた指揮者。1950年代から60年代にかけての、今日取り上げるアルバムのオケであるザール室内管弦楽団を振ったバッハ、モーツァルトの素晴らしい録音で有名な人とのこと。年配の方にはなじみがあるのでしょうが、私はハイドンの演奏からリステンパルトを知ったため、他の演奏はあまり知りません。ベルリンとウィーンの音楽院で音楽を学び、1932年に女性中心のカール・リステンパルト室内アンサンブルを設立しました。
戦後は政治的にクリーンだったため、RIAS放送合唱団、RIAS放送室内管弦楽団、RIAS放送交響楽団なとどを指揮してRIAS放送のために管弦楽曲の録音を行う機会に恵まれ、また1947年から52年まで彼のカール・リステンパルト室内管弦楽団とフィッシャー=ディースカウなどのソリストとともに感動的なバッハのコンサートシリーズを開催し続けました。1950年代に入りベルリンの経済状況が悪化してきたのを機に、1953年にザール放送のための室内管弦楽団創設のため、ベルリンを離れました。
ザール室内管弦楽団はジャン=ピエール・ランパルをはじめとするフランスの一流奏者によって構成されていたため、設立当初から非常に高い評価をうけていたとのこと。ザール室内管弦楽団とはバロックから現代音楽まで、50人以上の作曲家の作品からおよそ170枚のアルバムを録音し、世界中に販売されたということです。
リステンパルトのバッハとモーツァルト演奏の大家としての印象が強いですが、実際は数多の録音の約半数が現代音楽であるということでもわかるとおり、現代音楽も得意としていたようです。これは放送局のためのオケであるということが影響しているようです。
リステンパルトは1967年、ポルトガルの演奏旅行中に心筋梗塞で亡くなったとの事。その後アントニオ・ヤニグロに率いられることになりましたが、ヤニグロ体制になって4年後の1973年、ザール室内管弦楽団はザールブリュッケン放送交響楽団と合併したという事です。

どおりでオケが上手いはずです。やはり情報は大切ですね。

Hob.I:94 / Symphony No.94 "Mit dem Paukenschlagk" 「驚愕」 [G] (1791)
実にゆったりと非常に柔らかい音でまとめられた1楽章。腕利き揃いといわれれば、やはりその通り。オケの一体感が素晴らしく、ベルリンフィルのように奏者どうしがしのぎを削って自己主張し合うのとは対極にある演奏。自然で朗らかで、気品にあふれ、おまけに録音も1966年としては非常に良いもの。ハイドンの書いた楽譜から、じつに完璧なプロポーションの響きが立ちのぼります。もはや言葉で説明するのもはばかられるほどにうっとり。
2楽章のビックリは、そもそもビックリさせようというより、ビックリさせようとする音符を書いたハイドンの曲を如何に流麗かつ彫刻的に聴かせようかと考えての演奏のよう。美しすぎるアクセント。ゆったりと演奏しながら、ダイナミックな響きをリステンパルト自身が楽しんでいるよう。ジェントルな指揮から立ちのぼる色気。
メヌエットは、最高の舞曲。聴いているこちらが踊り出してしまいそうなほどに、優雅な雰囲気です。優雅、典雅、高雅。われわれ日本人に、これほどまでに気品にあふれた音楽を生み出す事はできるのでしょうか。
フィナーレもオケが十分鳴っているにもかかわらず、癒しと慈しみに溢れています。クリーミーな泡につつまれた香り高いトラピストビールをゆったりと楽しむがごとき至福の時間。おとぎの国のような驚愕の「驚愕」でした。

Hob.I:100 / Symphony No.100 "Military" 「軍隊」 [G] (1793/4)
残りの2曲をレビューするのはやめましょう。出だしからリステンパルトの至福の世界。軍隊もおとぎの国。決して子供じみているということではなく、大人のおとぎの国。ゆったりと盛り上がる、海のうねりのような音楽のうねりに身を任せます。最高。

Hob.I:101 / Symphony No.101 "Clock" 「時計」 [D] (1793/4)
時計もおとぎの国の時計。2楽章リズムは熟練職人の手による研ぎすまされた機械音を楽しむがごとき楽しさ。フィナーレに至っては名残惜しさに満ちあふれます。

久々に取り出して聴いたリステンパルトのハイドン。私のハイドンの交響曲の中でも溺愛する一枚。上の写真のジャケットのものは、1997年にパリに行った時にレアールのFnacで手に入れたもの。想い出のアルバムです。このアルバムでハイドンの交響曲の新たな魅力を知った次第。今でも色あせぬ素晴らしい感動。いやいやレビューになってませんね。評価はもちろん全曲[++++++]、おっとつけすぎました。[+++++]です。

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tag : 驚愕 軍隊 時計

【新着】ニコラス・マギーガンのロンドン、88番、時計

最近交響曲のアルバムをしばらく取りあげていないので、手元の未聴盤からの一枚。

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ニコラス・マギーガン(Nicholas McGegan)指揮のフィルハーモニア・バロック管弦楽団の演奏でハイドンの交響曲104番「ロンドン」、88番、101番「時計」の3曲を収めたアルバム。収録はロンドンが2007年2月10、11日、88番が2008年11月15、16日、時計が2009年9月12、13日、何れもサンフランシスコの対岸、バークレーにある第一組合教会(First Congregational Church)でのライヴ。レーベルはフィルハーモニア・バロック・プロダクションというオケの自主制作レーベルでしょうか。

指揮者のマギーガンは1950年、ロンドン北部の街、サウブリッジワースの出身。ケンブリッジのコーパス・クリスティ・カレッジやオックスフォードのマグダレナ大学で学び、1985年以来、このアルバムのオケであるサンフランシスコを本拠地にするフィルハーモニア・バロック管弦楽団の音楽監督の地位にあります。またドイツのゲッティンゲンの国際ヘンデルフェスティバルの芸術監督でもあります。フィルハーモニア・バロック管弦楽団はアメリカでも指折りの古楽器オケとみなされるまでになっているとのことです。いつものようにマギーガンのサイトへのリンクを張っておきましょう。

Nicholas McGegan(英文)

マギーガンと言えばヘンデルなんでしょう、かなりの数のオペラ等の録音がリリースされています。ただ、私はあまりヘンデルに明るくないので、マギーガンの力量の程はあまり知りません。それゆえ、真っ白なキャンバスのような状態でマギーガンの奏でるハイドンの音楽を聴きます。

このアルバムはハイドンの交響曲の名曲集のような選曲。普通はロンドンを最後にもってくるのでしょうが、このアルバムでは最初。録音日時を見ると録音順で曲を並べているようです。それぞれの曲の演奏の間は1年ほどの間が空いているので、その演奏のテンションの違いも聴き所となりますね。

Hob.I:104 / Symphony No.104 "London" 「ロンドン」 [D] (1795)
初っ端はロンドン。古楽器オケ特有の雅な響き。ミンコフスキのような響きのダイナミクスを狙ったものでもなく、ブリュッヘンのエネルギー感、ワースのナチュラルさとも違い、端正でバランスの良い力感。フレーズはくっきり,テンポは安定して非常に正統的な演奏に聞こえます。高音弦のキレの良さも感じさせ、癖もなくいい演奏。ちょっと惜しいのはライヴとしては今一歩踏み込んだエネルギー感が欲しいところ。録音は最近のものだけに万全。教会でのライヴですが残響は過度でなく自然なもの。会場ノイズはほとんど聞こえず最後の拍手がなければライヴとわからないくらい。
2楽章のアンダンテは古楽器らしく若干速めのテンポでさっぱりとしたフレージング。ただしアクセントはかなり明確に付けているので、くっきりした感じがして飽きさせません。
メヌエットからはすこし気合いが乗り始め、白熱した演奏に。良く聴くとフレーズごとのアクセントを巧みに変化させて響きを魅力的にしてみます。ピチカートの部分の音量の変化など非常にデリケートなもの。曲自体のメロディーが直裁に聞こえるのはヴァイオリンをはじめとした弦楽器ビヴラートが弱く響きが透明だからでしょう。
フィナーレはライヴなりの盛り上がりをみせますが、弾むようなフレーズを多用して重厚感よりもキレを重視したコントロール。最後はライヴらしく燃え上がりますが、かたや最後まで巧みにアクセントのコントロールが効いている印象も残るロンドンでした。最後は万来の拍手。

Hob.I:88 / Symphony No.88 "Letter V" 「V字」 [G] (1787?)
ロンドンよりも約1年半後のライヴ。出だしの印象はロンドンのときよりすこしリラックスした感じと活き活きとした感じが加わってよりライヴらしい演奏に感じます。オケの響きもすこし荒れは感じられますが一体感は増している感じに。1楽章の後半リズムが変わるところでのモーフィングのような処理は面白いですね。オケ全員が乗って演奏しているような躍動感がポイントでしょう。キレもノリもよくなった2楽章。
2楽章のラルゴは木管楽器の響きの美しさがいきなり素晴らしい演奏。この楽章もリラックスして弾いているようすがつたわってきます。フレージングもゆったり感が感じられてて余裕があります。
メヌエットは舞曲らしい愉悦感が良く出た演奏。ロンドンのときはコントロールに気をつかって巧みなアクセントをつけたり、盛り上げたりと、ちょっと作為に気をとられているような印象もちょっぴり感じたんですが、88番のほうは自然な流れが基調にあり、音楽としてのまとまりも良いように感じます。
フィナーレはこの曲特有のコミカルなメロディーを自然に演奏していきます。時折アクセントを効かせて、最後はテンポを適度に煽ってもりあげ、やはり万来の拍手を浴びます。

Hob.I:101 / Symphony No.101 "Clock" 「時計」 [D] (1793/4)
最後は時計。最も最近である2009年9月のライブ。マギーガンの演奏の特徴がだいたい把握できてきました。時計の1楽章は非常に変化に富んだ充実した楽章。現代楽器の演奏では大きな視点で流麗でテンポの速めな演奏が聴き映えがするんですが、マギーガンはすこし近視的にフレーズ単位のコントロールでくっきり感を出すことを狙っているようで、大局的な視点が少し弱い感じ。代わりにくっきりしたメロディーと雅な古楽器にしては力強いアクセントを楽しめます。
2楽章の時計のメロディーは予想通り速めのテンポで、フレーズも非常に爽快にすすめます。奏者の反応も俊敏で聞き応えは十分。最近の演奏のほうがオケの反応の鮮やかさを聴かせどころにしてきているように感じます。音量を落とした部分も含めて各奏者がきっちりと時計のリズムに合わせて音楽を奏でていくところはなかなか見事。
メヌエットも少し速め。88番同様自然なフレージングで好印象。
フィナーレも時計の聴き所の一つ。意外とテンポは中庸で、予想したほど速くありません。マギーガンらしくアクセントをくっきりつけて曲の流れよりもフレーズごとのメリハリを重視した演奏。最後の変奏はメロディの絡み合いを分解してみせるような演出。最後に金管がうなり、盛り上がってフィニッシュ。

聴き終わって感じたのは、やはりアメリカのオケだということ。くっきりしたフレージングとハイドンの音楽の時代感覚のようなものとは関係なく、古楽器による音楽的な面白さを追求しているような演奏。マギーガンのくっきりとした表現もそうした印象につながっているような気がします。音楽的にはハイドンの名曲をうまく料理して曲の面白さを表現していますが、ハイドンの演奏としてはちょっと実験的な印象もあります。評価は全曲[++++]とします。

関西地方は今日は台風の影響で大雨や強風で大変だったようですね。東京も降ったり止んだリというところ。せっかくの土曜だったのに出かけなかった人も多かったのではないでしょうか。おかげさまで夕方のスポーツクラブは空いていて、いつもよりゆったり泳ぐことができました。先週の長野旅行で栄養過多ですので、しっかり絞らなくては(笑) 明日も絞ります。

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tag : ロンドン 交響曲88番 時計 古楽器 ライヴ録音

ベルナルド・ハイティンク/ウィーンフィルの時計ライヴ

今日は珍しいハイティンクのハイドン。

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ベルナルド・ハイティンク(Bernard Haitink)指揮のウィーンフィルの演奏でモーツァルトの交響曲35番「ハフナー」、ハイドンの交響曲101番「時計」、リヒャルト・シュトラウスの「ドン・ファン」の3曲を収めたCD-R。演奏は2000年12月17日のウィーンでのライヴ。ホール名は記載されていませんのでわかりません。レーベルはGNPというCD-R専門のレーベル。CD-Rはたいていはディスクユニオンで入手しています。

ハイティンクのハイドンはほとんど録音がないような気がしていますが、このアルバムは数少ないハイティンクのハイドンの録音の一つでしょう。

ハイティンクはきらいな指揮者ではありませんが、決定盤的な演奏もあまり思い浮かばず、堅実な職人気質な指揮者という印象。手元にはベートーヴェンの交響曲全集とかウィーンフィルとのブルックナー、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団とのマーラー、ファルスタッフのDVDなどがありますが、どれもそこそこ良い演奏ながら、突き抜けた名演、これぞハイティンクというような経験はあまりありません。好きな人も多い指揮者だとは聞いていますが、今ひとつとらえどころがないという印象も否めません。

交響曲101番「時計」(Hob.I:101)1793/4年作曲
冒頭から非常に瑞々しいウィーンフィルの音色が冴えます。ハイティンクらしいちょっと無骨さを感じさせる筋骨隆々な時計の1楽章。やや速めなテンポでオーケストラの響きは引き締まった素晴らしいテンション。一音一音の力感は素晴らしいものがあります。ウィーンフィルの美しい響きは感じられるものの、目立つのはボディービルダーの鍛えられた肉体のような力感の美しさ。この力感は流石。1楽章は素晴らしい盛り上がりで終えます。
有名な2楽章の時計のメロディ。こちらも速めかつあっさり目で、力感溢れる演奏。練らず緩まずでこちらも引き締まった美しさ。徐々に盛り上がって響きの渦に。素晴らしい感興。このあっさりとしたテイストを残しながらこれだけの大波のような盛り上がりを演出するところがハイティンクらしいところ。オケの団員は弾く悦びを満喫しているんじゃないでしょうか。
じっくり間をとって3楽章のメヌエットへ。これまでの演奏からはメヌエットの盛り上がりとオーケストラの響きの険しさが期待できますが、意外にゆったりとした入り。そこそこの迫力ですが、むしろ前楽章より力が抜けている感じ。途中のフルートのソロは響きは美しいもののちょっと拍子がおくれてたどたどしいところもあり、期待と異なる枯れた感じに近いメヌエット。
そしてフィナーレ。入りはしばらく抑えたコントロールですが、すぐにフルスロットルへ。圧倒的な音響で聴かせようというよりは楽譜の指示に忠実な適度な爆発感。ここでも筋骨隆々なオケの骨格が非常に良く出た音響。ミケランジェロの彫刻のような天才的な造形と彫り込みの深さというよりは無名の彫刻家のよく見ると素晴らしくできた筋骨美しい彫像のような趣。最後は無駄なく盛り上がって会場の拍手を誘います。

やはりこの演奏のポイントはタイトな力感でしょう。ただ、3楽章とフィナーレはそういうノリで通すという感じでもなく、少し緩んでしまいます。評価は[++++]としたいと思います。

このアルバム、じつは冒頭のハフナーが意外にいい出来。こちらの方がタイトな演奏の魅力がストレートに出た演奏。こちらはおすすめの演奏ですね。

ハイティンクのハイドンの演奏はベルリンフィルとの95番(所有)の他に、当ブログの読者の方からの情報ではドレスデン・シュターツカペレとの86番もあり、今回ネットで調べたら他にクリーヴランド管との86番やシカゴ響との44番「悲しみ」等のライヴ盤があることがわかりました。このあたりも機会があれば聴いてみたいと思ってます。なんとなくもう一超えした突き抜けたハイティンクの演奏があるような気がしてなりません(笑)

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tag : 時計 ライヴ録音 ウィーンフィル CD-R

フリッツ・ブッシュの時計、軍隊、トランペット協奏曲

今日はヒストリカルものを。

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フリッツ・ブッシュ(Fritz Busch)指揮のウィーン交響楽団とウィーン・トンキュンストラー管弦楽団の演奏でハイドンの交響曲101番「時計」、序曲(Ia:4)、トランペット協奏曲、交響曲100番「軍隊」の4曲を収めたも。時計のみウィーン・トンキュンストラー管弦楽団で、その他はウィーン交響楽団の演奏。トランペット協奏曲のソロはアドルフ・ホラー(Adolf Holler)という人。録音はすべて1950年ウィーンで。会場名などの記載はありません。レーベルはヒストリカル復刻専門のArchipel Records。

しばらく古めのものを取り上げていなかったので、今日はヒストリカルなものでもだいぶ古いものを紹介しましょう。そういえば当ブログではフルトヴェングラーもワルターもクナッパーツブッシュもちゃんと取り上げてませんね。それぞれハイドンの素晴らしい録音が残されているので、そのうち、きちんとした形でレビューに取り上げたいと思います。

今日はフリッツ・ブッシュ。今ひとつ日本では目立たない存在ながら演奏の迫力は抜群で私は好きな指揮者。1890年生まれのドイツの指揮者で、1951年9月には61歳の若さで亡くなられています。このアルバムの演奏は亡くなる前年の演奏。

まずは時計から。テープの関係か若干音程が落ち着かないところがありますが、1950年として水準レベルの録音。穏やかな序奏から主題に入るところで振り切れます。独特のオケの乾いた音が響き渡ります。それほど大時代的でもなく、録音の古さを脳内補正して聴くと、インテンポで畳み掛けるような演奏。1楽章を聴くだけで度肝を抜かれるような迫力と古典のバランス感覚が同居する素晴らしいコントロール。テープの劣化に伴う音程の不安定さが惜しいですが、解像度や迫力はこの年代の録音としては申し分なし。
2楽章は少し速めに時計のリズムを刻みます。オーボエの正弦波実験音のような特徴的な持続音を効果的に加え個性を際立たせます。途中から1楽章同様素晴らしい迫力のオケの熱演。吹き上がるオケの響きの快感。キリッとした時計のリズムに支えられ、安定したテンポ感で演奏も破綻せず、2楽章も素晴らしい盛り上がり。特にヴァイオリンのキレが抜群ですね。
3楽章のメヌエットは絶妙の力加減。強すぎもせず抑え過ぎでもない9分の力で堂々したメヌエットを奏でます。弦楽器の張りのある音色が素晴らしいですね。途中のフルートのソロ部分では音量をかなり絞った静寂を巧く使ってフルートを浮き立たせるなどの効果的な演出もあり、力ばかりでなく抑えた部分の表現も秀逸。このメヌエットは素晴らしいですね。
フィナーレはこれまでの演奏からの期待を裏切らない素晴らしい演奏。最初の序奏からフォルテッシモに至るまでの部分は十分を抑制を利かせて対比を明確化。フォルテッシモからは文字通り畳み掛けるような素晴らしい迫力と高揚感。ブッシュがオケをあおってちょっと前のめりになる部分も散見されるほど。すべての楽器が振り切れるまで弾ききっている感じがよく伝わります。ハイドンの巧みなフィナーレの楽譜をザクザクに弾きまくるような素晴らしい迫力で曲を閉じます。
時計は導入部のテープの問題による音程が落ち着かないと言う録音の傷など何も気にならないような、快演。時計の楽譜の神髄に迫る素晴らしい演奏ですね。

つづいて序曲(Ia:4)。この曲は1784年頃の作曲。この曲からオケはウィーン交響楽団。4分弱の曲ですが、この曲も度肝を抜くような演奏。冒頭から滑稽なリズムで始まりますが、途中から鋼のようなヴァイオリンのメロディーが圧倒的な存在感。間の取り方がうまく、曲のおもしろさも十分表現されていますね。このヴァイオリンのフレージングの迫力は素晴らしいですね。

次はトランペット協奏曲。トランペットが入る前にオケだけで観客をなぎ倒さんばかりの、素晴らしい迫力。聴き慣れたメロディーですが、魂入ってます。トランペットはふつうの入り、というか1950年の演奏とは思えない素晴らしいコントロールです。アドルフ・ホラーというトランペット奏者は初めて聴く人ですが、非常に巧いです。ただし、冒頭からブッシュの指揮するオケの、これまた度肝を抜く迫力に終始圧倒されている感じ。ブッシュのオケのアクセントの影響からかホラーも割と明確なアクセントをつけていき、オケと張り合う展開に。火花散る感じも出てきてなかなかスリリングな演奏。1楽章のカデンツァでは仕返しとばかりに突き抜けるような美音を大迫力で奏でやり返します。良い勝負。
2楽章のアダージョはオケが少々控えめになり、トランペットに主役を譲ります。音色からか多少古風に聴こえる部分もありますが、トランペットの奏でる旋律の朗々とした響きは見事。腕利き同士のがっぷり四つのアンダンテ。
3楽章は意外に柔らかいオケの入り。トランペットも最初は軽々と吹き、オケの出方をうかがうような展開。途中までおたがいに様子見で不気味な静けさ。途中でトランペットがテンポを極端に落としたりしてあおります。結局最後に爆発して終了。
この曲も見事!

最後は軍隊。大爆発にかなり期待が高まります。
序曲以降の音質はほぼ一定ですのでまとめてされた録音なんでしょうか。1楽章の序奏から最初の盛り上がりまでの流れは手に汗握る緊張感。最初の主題からもぞくぞくするような緊張感が持続します。途中弦楽器のレガートを強調するようなフレーズがあったり、音量を落とす部分の静寂感を強調したり、演出上手は時計の時と同様。すっかりブッシュの術中にハマっている感じ。1楽章は迫力で聴かせるのではなく演出の巧みさにやられた感じです。終盤ヴァイオリンのキレが押し寄せ、迫力のうちに終了。ちょっと音飛びのような録音の傷があります。
2楽章はサカサカ速めに入ります。期待とはうらはらに大爆発とはなりません。不思議と速めのテンポによる旋律の美しさが印象に残る演奏。ファンファーレから太鼓に連なる部分もある意味あっさりこなしていき、最後のフィニッシュの部分の音階を強調するなど、意図的なコントロールでしょう。
3楽章のメヌエットもやや速めの入り。こちらもアクセントのつけ方が巧いのか、旋律の美しさが非常に印象に残ります。軍隊の楽譜から爆発ではなく旋律の美しさを浮き彫りにするとは素晴らしい視点。
フィナーレに至ってブッシュの読みが見えました。ここに至ってフルスロットルになります。素晴らしいフィナーレの展開を楽しむようなブッシュのコントロールが冴え渡り、フレーズ単位の演出の変化が痛快。軍隊のフナーレのこれほど豊かな楽想を表現した演奏は今まで聴いたことがありません。感服です。最後素晴らしい盛り上がりも聴け大満足です。

評価はもちろん全曲[+++++]です。録音の傷など、何も問題ありません。ハイドンの楽譜からこれだけの音楽を引き出せる魔法のような指揮。いやいや久しぶりに取り出して聴いたフリッツ・ブッシュは爆演でした。ヒストリカルものが好きな方は必聴のアルバムです。モノラルだったり音が悪いアルバムが苦手な方も、この録音の奥から聴こえる素晴らしい音楽に是非打たれてみてください。やめられなくなります。(悪魔の誘いです、笑)

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tag : 時計 オペラ序曲 トランペット協奏曲 軍隊 ヒストリカル おすすめ盤

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Daisy


Author:Daisy

ハイドン(Franz Joseph Haydn)の膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。私はなぜハイドンにはまったのか?

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ハイドン所有盤リスト
Joseph Haydn Discography
所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものはリスト冒頭に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

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(2019年3月31日)
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アンダンテと変奏曲XVIII:6弦楽四重奏曲Op.20弦楽四重奏曲Op.64弦楽四重奏曲Op.54天地創造ヴォルフレスピーギタリスリゲティヨハン・シュトラウスリヒャルト・シュトラウスモーツァルト交響曲10番軍隊ピアノソナタXVI:49交響曲54番迂闊者ネルソンミサバリトン三重奏曲ピアノソナタXVI:52ベートーヴェン交響曲2番ピアノソナタXVI:37ピアノソナタXVI:46日の出皇帝弦楽四重奏曲Op.71ブルックナー交響曲88番ベルリオーズベンジャミンバッハウェーベルンナッセンヴァレーズメシアンシェルシグリゼー弦楽四重奏曲Op.20交響曲65番交響曲67番交響曲9番弦楽四重奏曲Op.76狩り交響曲73番交響曲39番交響曲61番リームピアノソナタXVI:20ピアノソナタXVI:6アンダンテと変奏曲XVII:6ピアノソナタXVI:48四季交響曲全集リムスキー・コルサコフラヴェルピアノソナタXVI:45ピアノソナタXVI:44ピアノソナタXVI:21ピアノ三重奏曲第九オックスフォードヒストリカル太鼓連打交響曲99番時計ボッケリーニシューベルトロンドン交響曲5番ストラヴィンスキーチャイコフスキーチェロ協奏曲ピアノ協奏曲XVIII:11ライヴ弦楽四重奏曲Op.2序曲ヴィヴァルディオペラ序曲アリア集パイジェッロピアノとヴァイオリンのための協奏曲XVIII:6すみだトリフォニーホールピアノソナタXVI:34ブーレーズサントリーホール弦楽四重奏曲Op.74変わらぬまこと無人島哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェ騎士オルランドアルミーダチマローザ英語カンツォネッタ集ピアノ協奏曲XVIII:4ピアノ協奏曲XVIII:3ピアノ協奏曲XVIII:1交響曲3番交響曲79番ラメンタチオーネ古楽器アレルヤチェロ協奏曲1番驚愕交響曲58番交響曲19番交響曲27番紀尾井ホールショスタコーヴィチドビュッシーミューザ川崎オーボエ協奏曲LP協奏交響曲ヴァイオリンとヴィオラのためのソナタピアノソナタXVI:40ピアノソナタXVI:32ピアノソナタXVI:50ピアノソナタXVI:38ピアノソナタXVI:29スタバト・マーテルピアノソナタXVI:39マーラー十字架上のキリストの最後の七つの言葉交響曲90番告別交響曲97番奇跡交響曲18番ひばりフルート三重奏曲悲しみ交響曲102番交響曲86番ヴァイオリン協奏曲哲学者ニコライミサ小オルガンミサミサブレヴィス交響曲95番交響曲93番交響曲78番ピアノソナタXVI:23王妃武満徹SACDライヴ録音交響曲80番交響曲81番交響曲21番マリア・テレジア豚の去勢にゃ8人がかりクラヴィコードBlu-ray東京オペラシティ交響曲12番交響曲11番交響曲15番交響曲4番交響曲1番交響曲37番ピアノソナタXVI:25ピアノソナタXVI:2ピアノソナタXVI:8ピアノソナタXVI:12ピアノソナタXVI:42ピアノソナタXVI:14ピアノソナタXVI:1ピアノソナタXVI:5ピアノソナタXVI:3ピアノソナタXVI:4ディヴェルティメント東京芸術劇場交響曲98番ピアノソナタXVI:7ピアノソナタXVI:36ピアノソナタXVI:35ドニぜッティロッシーニライヒャ弦楽三重奏曲シェーンベルク東京文化会館ホルン協奏曲フルート協奏曲弦楽四重奏曲Op.17弦楽四重奏曲Op.9剃刀弦楽四重奏曲Op.103弦楽四重奏曲Op.77ファンタジアXVII:4ピアノソナタXVI:26ピアノソナタXVI:31パレストリーナアレグリモンテヴェルディバード美人奏者交響曲70番アコーディオンピアノ協奏曲XVIII:7スコットランド歌曲ヴェルナーガスマンピアノソナタXVI:24交響曲46番交響曲51番交響曲35番DVD交響曲47番テレジアミサピアノソナタXVI:28アリエッタと12の変奏XVII:3ラ・ロクスラーヌ帝国ハイドンのセレナードピアノソナタXVI:51五度ラルゴラウドン将軍弦楽四重奏曲Op.33弦楽四重奏曲Op.1騎士交響曲17番ピアノソナタXVI:27シベリウス時の移ろい交響曲42番ベルリンフィルホルン信号弦楽四重奏曲Op.55交響曲87番トランペット協奏曲リュートピアノソナタXVI:10ピアノ五重奏曲チェチーリアミサ東京国際フォーラムラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン雌鶏冗談ナクソスのアリアンナピアノ協奏曲XVIII:5ピアノ協奏曲XVIII:9ヴァイオリンソナタ交響曲52番ピアノ協奏曲XVIII:2ロンドン・トリオドイツ国歌カノンモテットオフェトリウム弦楽四重奏曲Op.50よみうり大手町ホールパッヘルベルアダージョXVII:9受難パリセット交響曲84番ベルク主題と6つの変奏オペラアリアピアノソナタXVI:41スクエアピアノ交響曲57番交響曲68番リラ・オルガニザータ協奏曲交響曲89番交響曲50番CD-R偽作トビアの帰還ホルン三重奏曲薬剤師オルガン協奏曲火事交響曲38番リベラ・メピアノ協奏曲XVIII:10交響曲77番交響曲34番温泉フルートソナタドイツ舞曲誕生日校長先生ピアノソナタXVI:11音楽時計曲ピアノソナタXVI:47bisピアノ小品カートリッジ雅楽プロコフィエフヘンデルサン=サーンス交響曲36番リストオーディオバリトン二重奏曲交響曲75番交響曲66番交響曲91番長岡鉄男歌舞伎おすすめ盤ピアノソナタXVI:47読売日響オペラ歌舞伎座スケルツァンド弦楽四重奏曲op.33ザルツブルク音楽祭ピアノソナタXVI:22変奏曲XVII:7天地創造ミサジャズ弦楽四重奏曲Op.42交響曲76番ピアノソナタXVI:43古楽器風東急文化村ノットゥルノヴェーベルン府中の森芸術劇場裏切られた誠実バリトン五重奏曲ハイドン入門者向け歌曲ピアノソナタXVI:G1ウィーンフィル月の世界交響曲72番建築ファリャマリアテレジア交響曲56番2つのホルンのための協奏曲展覧会ピアノソナタXVI:19弦楽四重奏曲全集シャンゼリゼ劇場皇帝讃歌交響曲24番大オルガンミサ新橋演舞場サルヴェ・レジーナテ・デウムカッサシオン室内楽曲ベトナム料理国立新美術館高音質CD交響曲28番交響曲13番交響曲108番交響曲62番交響曲107番ジプシー・ロンドチェンバロ四重奏曲スカルラッティ声楽曲カンタータ戦時のミサ珍盤ザロモンセットN響ハルモニーミサミサ曲全集NHKホールハインリッヒミサピアノソナタ全集ジュピターレコードマーキュリー管弦楽曲室内楽変奏曲XVII:5交響曲41番ギターピアノソナタXVI:33府中ピアノソナタXVI:30カラヤンスウェーリンク書籍交響曲71番アプラウスピアノソナタXVI:13魂の歌仙台ヤナーチェク現代音楽ピアノソナタ

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