バルトルト・クイケン/オーケストラ・リベラ・クラシカ第44回定期演奏会(石橋メモリアルホール)

11月3日から8日まで約1週間、関西方面に旅に出ておりました。この後いつものように旅行記をアップします。そして帰着翌日の9日はチケットを取ってあったコンサートへ。

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オーケストラ・リベラ・クラシカ 第44回定期演奏会

皆様ご存知のとおり、オーケストラ・リベラ・クラシカ(OLC)はハイドンを集中的に取り上げているオケですが、私は前回の定期公演で初めて顔を出しました。その件は前回のレポートをお読みください。

2019/06/29 : コンサートレポート : 鈴木秀美/リベラ・クラシカ第43回定期演奏会(三鷹市芸術文化センター)

そして前回に続いて今回もチケットを取りましたが、お目当てはフラウト・トラヴェルソの名手、バルトルド・クイケンに他なりません。バルトルトのハイドンは冴え冴えとした名演ばかり。

2015/08/28 : ハイドン–室内楽曲 : 【新着】クイケン兄弟によるフルート三重奏曲集(ハイドン)
2015/07/19 : ハイドン–室内楽曲 : クイケン三兄弟によるフルート三重奏曲集(ハイドン)
2011/11/23 : ハイドン–室内楽曲 : クイケン・アンサンブルによる「ロンドン・トリオ」

フルートものには格別に造詣が深い当ブログのご意見番Skunjpさんをして「消え際の天才」と称されるバルトルト・クイケンのフルートを生で聴く千載一遇のチャンスということでチケットを取った次第。

この日のプログラムは以下のとおり。

ハイドン:交響曲第4番 ニ長調(Hob.I:4)
モーツァルト:フルート協奏曲 第1番 ト長調(K.313)
(休憩)
ヨハン・クリスティアン・バッハ:フルート協奏曲 ニ長調(W. C 79)
ハイドン:交響曲第104番「ロンドン」 ニ長調(Hob.I:104)

通常は協奏曲を1曲のところ、休憩前後に2曲の協奏曲がおかれるプログラム。そしてハイドンの交響曲は4番と104番「ロンドン」。ロンドンが取り上げられたということで、もうかなりの数の交響曲が演奏されたかと思いきや、配布されたプログラムによると、2002年に始まったこれまでの44回の公演で演奏されたのがハイドンの交響曲の半数くらいとのこと。加えて、このOLCの公演は鈴木秀美さんの体調や経済的理由により1年間お休みとなることが記されていました。104曲という数はそれだけインパクトのある数ということなんでしょう。

会場の石橋メモリアルホールは今回初めての訪問。もともと1974年に室内楽用のホールとしてオープンしたものが、2010年に建て替えられたものとのこと。上野学園の高層ビルの低層階に設けられたもので、設計は現代建築研究所。

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ホワイエは現代建築研究所らしく整然として白を基調としたクリーンな印象。ホワイエの要所の壁面にバブル全盛期に流行ったスタッコアンティコ風の仕上げの壁面があり妙に懐かしい気持ちになった次第(笑)

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この日の席は2階右側のバルコニー席から見下ろす感じ。

開演は15時。お客さんの入りは9割くらい。

1曲目のハイドンの交響曲4番では鈴木秀美さんは指揮台ではなく、オケの中央でチェロを演奏しながらの指揮。この曲は番号どおりごく初期の交響曲でおそらくモルツィン伯爵家の音楽長時代に作曲されたもの。メヌエットが終楽章にくる3楽章構成の小交響曲。編成はヴィオラ以下を1名に絞った小編成の弦楽器とホルン、オーボエが各2本。ホールの天井面が巨大な平面なせいか、オケの響きがやや鋭利に聴こえる感じ。演奏は快活そのもので、心配されたリズムも重くなく、素直に楽しめる演奏。1楽章はう少しテンポが速ければより爽快になるじゃないかしらと思いながら聴きました。なかなか良かったのがアンダンテ。不思議な音階のリズムに乗って静謐なメロディーが重ねられる初期のハイドンの独創的な音楽。生で聴くと楽器のメロディーの受け渡しの視覚的な情報もあって音楽の構造がよくわかりました。フィナーレのメヌエットはナチュラルホルンが重ねる響きが美しく聴き応え十分。鈴木秀美さんは中央でチェロでいきいきとオケをリードします。1曲目でしたがオケの精度も悪くなく、見事な演奏に拍手喝采。

続いて、お目当てのバルトルト・クイケンのソロによるモーツァルトのフルート協奏曲。この曲を聴くのは実に久しぶり。刷り込みはパイヤールが伴奏したランパル盤。1991年のモーツァルトのアニヴァーサリーイヤー前後によく聴いていました。ランパルの豊穣な音色とパイヤールの華やかな伴奏で実に華麗な演奏。ところがこの曲をクイケンが吹くと、一瞬にして峻厳な深みを感じさせるクイケンの世界に引き込まれます。もちろんフルートとフラウトトラヴェルソの違いはあるものの、ハイドンの名盤で聴かせたフワッとして慎み深いバルトルトの独特の世界が現れます。協奏曲のソロなのにことさら目立とうとするのではなく、淡々としながらも異常に冴え渡る感覚はこの人ならでは。あまりの素晴らしさにこちらの耳も冴え渡ります。各楽章のカデンツァはシンプルそのものでこちらもあっさりしたものですが、音色の深みは底知れず。絶品でした。

そして、休憩後はバルトルトの希望でプログラムに入れられたヨハン・クリスチャン・バッハのフルート協奏曲。モーツァルトやハイドン に大きな影響を与えたとされるクリスチャン・バッハは割と好きで手元にアルバムもかなりの数があります。この曲になって鈴木秀美さんの指揮も随分と穏やかになり、オケが実にしなやかになります。バルトルト・クイケンのフラウトトラヴェルソはモーツァルト以上に冴え渡り、もはや天上の音楽を聴くが如き至福の領域に。まるで清水の流れのように全く淀みのない清透なメロディー。速いパッセージでの音階も全く抵抗を感じない鮮やかさ。そしてフワッと自然に音が消え入る消え際の美しさ。クイケンの演奏は目眩くようなクリスチャン・バッハの作品によりマッチして、幽玄な世界に到達。こちらも絶品の演奏でした。もちろんお客さんもこの日1番の拍手でたたえました。何度かのカーテンコールの後、アンコールに演奏されたのはヨハン・セバスチャン・バッハのラルゴ。クリスチャンの華やかさから一変、まるで尺八でも聴くような求道的な張り詰めた演奏にお客さんものまれる素晴らしい演奏。いやいや、わざわざ聴きにきた甲斐がありました。やはりバルトルト・クイケンは素晴らしかったです。

クイケンの演奏の興奮も冷めやらぬ中、ステージ上の座席を増やして、最後のロンドン。序奏から大迫力で入りますが、何しろリズムが重い。ロンドンは名曲ではありますが、力任せの演奏はちょっとくどくなりがち。アクセントをかなり溜めがちなところがその印象を強くしていると思います。冒頭の4番やクリスチャン・バッハで鮮やかな演奏を聴かせていただけに、惜しいところ。クイケンのクリスチャン・バッハにブラヴォーと掛け声をかけたお隣の男性、2楽章の終わりで席を立ち帰ってしまわれました。

終演後、鈴木秀美さんから、OLCのコンサートを1年お休みすることなどが告げられた後、アンコールはオックスフォードのメヌエット。ザロモンセットの最後のロンドンの後に何を演奏しようかと考え、ハイドンがロンドンへの第1回旅行の最初にオックスフォードで演奏した曲を選んだとの説明に続いて演奏されました。畳み掛けるような前のめりの演奏でリズムもキレて迫力十分。これは素晴らしかった。

この日のコンサート、ハイドンの交響曲をコンサートで全曲演奏することがいかに大変なことかを実感させられるコンサートでした。鈴木秀美さんの体調不良もあるとのことですが、経済的理由もあると付け加えられており、商業的に100曲以上の交響曲を演奏、録音することはやはり大事業。前回のコンサートに初見参し、今後は顔を出そうということで出かけたコンサートでしばらくお休みになってしまうという巡り合わせからそう感じた次第。

さて、生で二度体験したOLCですが、勢いに乗った時の良さも体験したので、未入手のアルバムを集めて色々聴いてみようかと思います。



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tag : 交響曲4番 ロンドン オックスフォード モーツァルト ヨハン・クリスチャン・バッハ

鈴木秀美/リベラ・クラシカ第43回定期演奏会(三鷹市芸術文化センター)

東京でハイドンを集中して取り上げている皆様ご存知の鈴木秀美率いるオーケストラ・リベラ・クラシカですが、実に43回目の定期公演にして初めてコンサートに足を運びました。

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三鷹市芸術文化センター 風のホール:オーケストラ・リベラ・クラシカ 第43回定期公演

このコンビ、定期公演の録音をかなりの枚数リリースしており、私も手元に10数枚のアルバムがありますが、特に初期のものはピンとこないものが多く、最近はあまり追いかけておりませんでした。

2017/06/04 : コンサートレポート : 鈴木秀美/新日本フィルの天地創造(すみだトリフォニーホール)

また、以前聴いた鈴木秀美の振る新日本フィルの天地創造も歌手の配役がイマイチであまり楽しめなかったということで、どうもあまり相性がよろしくない状況だったというのがこれまでの流れ。

ただし、大阪での飯森範親さんと日本センチュリー響の活躍に対して、東京でも鈴木秀美さんとリベラ・クラシカに頑張っていただくべきということで、コンサートに出かけてみようと一念発起し、チケットを取った次第。会場も三鷹ということで自宅から車ですぐのところ。プログラムは以下の通り。

モーツァルト:歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」(K.588)より
・序曲
・第1幕フィオルディリージのアリア「岩のように」 "Come scoglio"
・第2幕フィオルディリージのレチタティーヴォ「ああ、行ってしまう・・・」 "Ei parte... senti..""
・第2幕フィオルディリージのロンド「お願いです、愛しい人」 "Per pietà ben mio"
ソプラノ:中江早希
 (休憩)
ハイドン:交響曲10番
ハイドン:交響曲第100番「軍隊」

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この日は生憎の小雨模様。三鷹駅からは歩くとちょっとした距離があるので集客にも若干の影響はあったでしょうか。私たちは車で30分ちょっきりでついて駐車場に車を停めたのが14時ちょうどくらい。ちょうどコンサートマスターの若松さんが歩いて駐車場に入るタイミングと一緒でした。

このホールは90年代に一度来て以来、かなり久しぶり。ホール周りを少しぶらついている間に開場時間となります。ホールは変わらず綺麗。収容人数は625名とのことで紀尾井ホールより少し小ぶり。お客さんの入りは半分くらい。土曜なのでもう少し入って欲しいところでしょう。席は1階の後ろの方でしたが、視界、音響共に問題なし。

定刻を少し過ぎて、オケが入場し、入念にチューニングをして鈴木秀美さん登場。1曲めのコジ・ファン・トゥッテの序曲はおなじみの曲。古楽器の直裁な音色がホールに響き渡ります。古楽器ということでかなり速めのテンポを予想していましたが、さにあらず。比較的落ち着いたテンポで、1曲めということでアンサンブルは少々荒い感じが残りますが、迫力はなかなか。この曲独特のめくるめく感じはほどほど。まずは挨拶がわりでしょう。

続いてソプラノの中江早希さん登場。「岩のように」はフィオルディリージが貞節を強い信念で守るという歌詞のアリア。中江さんは非常にふくよか、艶やかなを思わせるソプラノで見事な歌唱。伴奏はもう少しオペラティックでも良かったかもしれません。素晴らしい歌唱にお客さんは拍手喝采。鈴木さん、中江さんが一旦下手袖に下がっている間に続くレチタティーヴォの演奏が始まり、鈴木さんと中江さんが腕組みして登場するという演出付き。圧巻は中江さんの朗々としたロンドの歌唱。この曲は疑った恋人のフェルランドに許しを請う歌。終盤かなりの高音が出てくるのですが、声量、艶やかさ共に素晴らしく、惚れ惚れするような歌唱でした。やはり歌ものは歌手の力量がものをいいますね。もちろんお客さんも拍手喝采。

休憩を挟んで後半はお目当のハイドンです。休憩中にステージ上の座席配置はかなり縮小。そして指揮台まで撤去されます。後半最初の曲は最初期の作曲の交響曲10番。休憩明けにメンバーが登壇すると、いきなり演奏が始まります。鈴木さん、チェリストとしてオケの中にいました。この初期の曲ではありですね。演奏はこれまでの録音でも感じられたように、1楽章はあと少し弾む感じが欲しく、2楽章はアーティキュレーションも少し固めな印象。オケの演奏は手堅く安定感はあるのですが、もう一歩踏み込んで欲しいと思って聴いていると、3楽章で状況一変! これまでのオケとは別のオケのような見事なエネルギー感。オケのノリが激変。あまりの活気に驚きます。そう、この一体感を求めていたんです。3楽章は神がかったような見事な出来にこちらも覚醒。

そして、最後はこの日の目玉、軍隊です。メンバーが一旦退場してステージの座席配置を再び広げ、指揮台も復活。この軍隊も見事でした。先の曲でオケもリラックスしたのか、冒頭から集中力が違います。古楽器であることを活かした直裁な響きが迫力に繋がって、オケの響きの厚みはブリュッヘンを彷彿とさせる感じ。リズムのキレは程々ながら迫力でカバーしてこの曲ではそれが足を引っ張りません。素晴らしかったのが2楽章のアレグレット。例の軍隊風打楽器の登場場面では、上手客席後ろ扉から赤い鼓笛隊風衣装を纏った打楽器奏者3名が行進しながらガツン、ガツンと太鼓やトライアングルを鳴らして入ってくるではありませんか。完全に不意を突かれて驚きました。この打楽器奏者がキレててなかなかいいリズム。以前ヤンソンスとBRSOで軍隊をやった時も同様の演出がありましたが、その時は視界から認識できてのことでさほどの驚きはありませんでしたが、今回は完全に背後からガツンとくる演出にやられました(笑) なんとなく初演時のロンドンの観客も驚き、そして盛り上がっただろうなどと想像しながら軍隊の行進の喧騒を楽しみました。メヌエットを経て、終楽章でもこの3人の打楽器奏者が大活躍。やはりこの大迫力は魅力です。大音響で締めくくったコンサートにお客さんも拍手喝采。

何度かのカーテンコール後、アンコールは驚愕のメヌエット。アンコールにメヌエットを持ってくるとは、ハイドン通ならではの選曲。しかも演奏はアンコールらしくノリノリ。なんだかノリで打楽器奏者も大活躍するサービス付き。これは実演ならではのものですね。

前振りに書いた通り、少々不安もあったこのコンビのコンサートでしたが、結果的には大変楽しめました。やはり実演を聴かないとダメですね。今後はなるべく顔を出したいと思った次第。次は11月に上野の石橋メモリアルホールで「ロンドン」です。なんとモーツァルトのフルート協奏曲の独奏はバルトルト・クイケン! 

これは行かねば、、、



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tag : 交響曲10番 軍隊 モーツァルト

ハーディング指揮MCOのモーツァルト39、40、41番(東京オペラシティ)

3月14日は年度末の仕事でドタバタの中、コンサートに出かけてきました。

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東京オペラシティコンサートホール:ダニエル・ハーディング指揮マーラー・チェンバー・オーケストラ

ダニエル・ハーディング(Daniel Harding)指揮のマーラー・チェンバー・オーケストラ(Mahler Chamber Orchestra)の来日公演。プログラムはモーツァルトの最後の3つの交響曲。

交響曲第39番(K543)
交響曲第40番(K550)
交響曲第41番(K551)「ジュピター」

いつものようにコンサート会場でもらうチラシを見てチケットを取ったんですが、ハーディングというよりアバドが立ち上げたヨーロッパ室内管を聴いてみたくてチケットを取ったもの。

ハーディングはハイドンを振るイメージはあんまりありませんが、プティボンのアリア集や、ゴーティエ・カプソンがソロのチェロ協奏曲集などがあり、かなりはっきりとした表現で音楽を作ってくる人との認識。

2011/03/02 : ハイドン–オペラ : パトリシア・プティボンのアリア集

プティボンのアルバムは以前記事にしていて、キレのいい伴奏で見事なサポート。一方カプソンのチェロ協奏曲の方は、斬新な表現を狙うものの表現意欲が強すぎてハイドンの音楽の面白さをスポイルしてしまったような感じ。ただ、カプソンのチェロ協奏曲の録音は2002年ということで17年も前のものゆえ、その後の変化も含めて実演で確かめてみようという流れです。

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この日の席はタケミツメモリアルの2階R側中程。サントリーホールだとRBくらいに当たる席。客席は満席。ハーディングは度々来日しているようですが、流石の集客力ですね。

満席で開演時間を過ぎても駆け込む人が相次ぎ、場内が落ち着きオケのメンバーがステージに現れ始めたのは開演時間の10分過ぎくらい。チューニングを終えるとハーディング登壇。確か先日の来日時に骨折してしばらく車椅子だったような情報がありましたが、軽やかに歩いて登壇したのでもう大丈夫なのでしょう。笑顔で観客の拍手に応えると、すっと振り返って最初の39番が始まります。

タクトなしでオケに指示を出すと、このオケらしい凝縮感のある響きが繰り出されます。予想通り、ハーディング流の直裁なデフォルメを効かせてアクセントを強調した演奏。ただ、モーツァルトにしては要所のアクセントのリズムが重い。アクセントをためて強調するのがハーティング流なのでしょう、響きはすっきりとキレが良いのに、モーツァルトらしい流麗さがなく、メロディーの流れよりリズムの方が強調され、それが重いので、どうもすっきりしない感じ。おそらく繰り返しも全て取り入れているのでモーツァルトらしい軽やかさがありません。それでも楽章間の対比や各所に散りばめられた閃きは流石なところ。長いな〜と思って聴いていた39番も最後はぐっと盛り上がって終わりますが、響きの余韻が消えてもハーディングは腕を下ろさず、観客はフライング気味に拍手。と思った瞬間、次の40番が始まりました。39番と40番を繋げての演奏でした。

いつもコメントをいただくkatsudonさんによると、このアイデアはアーノンクールによるもの。40番の始まりが実に新鮮に聴こえるという意味ではなかなか面白いアイデアです。そして、39番ではちょっとくどかった印象が40番ではハーディング流の濃い演出がこの曲のデモーニッシュな迫力をアーティスティックに燃え上がらせ、今度は秀逸な感じ。曲によって合う合わないがクッキリ出るのもハーディング流と納得。この40番はリズムの重さは残るものの面白かった。

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休憩後はジュピター。やはりハーディング流のリズムを停滞させるアクセントが気になるもののこの壮麗な交響曲の構築感をしっかりだして、室内オケにも関わらず迫力十分。ここでも繰り返しをすべて取り込んでいるようで、息苦しいようなガッチリとした雰囲気を醸し出す感じ。流石だったのは終楽章のフーガの盛り上げ方。どんどん盛り上がってオケの奏者が楽器を搔きむしらんばかりの強奏でクライマックスを形作っていき、最後は圧倒的な迫力。お客さんの反応はやはり迫力にやられたのか盛大な拍手に包まれ、最後はソロ・カーテンコールへ。最後に登壇した時は右脚をかばうようにしていたので、骨折はまだ全快にはなっていないのでしょう。温かい拍手に謙虚に礼をする姿が印象的でした。

始まったのが遅かったのもありますが、全ての繰り返しを対応して3曲を演奏して、終演は9:30くらい。フルコースの料理をいただいた感はありますが、ちょっと味が濃く、量も多かったという感じでしょうか。やはりモーツァルトには流麗さ、軽やかさを求めてしまいますね。ハーディングの重めのアクセント、繰り返し、そして繰り返しでもそれほど変化をつけないと長さを感じさせるところがそう思わせてしまったのでしょう。ハイドンでも繰り返しの表情の変化は非常に重要で、数多の名演は、そのあたりの処理が実に巧みなんですね。

年度末で仕事も忙しいんですが、来週は紀尾井ホールでカンブルラン/エマールの現代音楽とエマールのゴールドベルクの2連発。仕事片付けなくては、、、



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tag : モーツァルト

パーヴォ・ヤルヴィ/ドイツ・カンマーフィルのロンドンなど(東京文化会館)

先週金曜日に続いて月曜日もコンサートのチケットを取ってありました。

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都民劇場:公演ラインアップ 音楽サークル 第659回定期公演

パーヴォ・ヤルヴィ(Paavo Järvi)指揮のドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団(Deutsche Kammerphilharmonie Bremen)の来日公演。会場は東京文化会館ということで主催は古風なチラシで異彩を放つ都民劇場(笑)。プログラムは以下のとおり。

シューベルト:交響曲5番
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲5番「トルコ風」 ヴァイオリン独奏はヒラリー・ハーン(Hilary Hahn)
ハイドン:交響曲104番「ロンドン」

このコンサートのチケットを取ったのはハイドンのロンドンがプログラムに組まれていて目に止まったせいもありますが、お目当てはヒラリー・ハーンです。

パーヴォ・ヤルヴィは、このカンマーフィルとのベートーヴェンの交響曲全集で一躍有名になり、2015年からはN響の首席指揮者を務めるなど、今をときめく存在。で、ですが、私はちょっと苦手な方。パーヴォは如何なものかとの興味で一昨年に聴いたコンサートは流石のコントロール能力の高さを見せつけたものの、ちょっと器用すぎて小手先的印象を感じたのも正直なところ。

2016/10/08 : コンサートレポート : パーヴォ・ヤルヴィ/N響のマーラー交響曲3番(サントリーホール)

そのヤルヴィがシューベルト、モーツァルト、そしてハイドンをどう料理するかにも興味はありましたが、やはり聴きどころはヒラリー・ハーン。ヒラリー・ハーンも2度ほど実演に接していますが、ブログを書く前のことで、記録が残っていないと記憶も曖昧(苦笑)。確か直近は2009年にポピュラー系のジョシュ・リッターとのデュオのコンサート。ヒラリー・ハーンのヴァイオリンは天才的なひらめきと、確かな音楽の骨格、表現をしっかり持った逸材との認識で、以前のコンサートの良い余韻が残っています。



このところ東京もぐっと冷え込んでくるなか、月曜日にもかかわらず、仕事をエイヤとやっつけて、久しぶりに上野の東京文化会館に向かいます。私が学生の頃は一流オケのコンサートは東京文化会館と決まっていましたね。前川國男先生のモダニズムの結晶のような建物は今でも素晴らしいオーラを放っていて、建築遺産としては揺るぎない価値を持つもの。

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ただし、コンサートホールとしては響きにかなり癖があり、ミューザ川崎をはじめとする音響の優れたホールとはかなり差がついてしまうのは致し方ないところ。

この日も開場時間にホールに参上。上野駅駅ナカで腹ごなしは済ませてきました。

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さて、この日の席は、いつも通り右側ですが、発売からだいぶ経ってからチケットを取ったのと、やはり舶来オケの価格帯のため、無理せず安い席をということで4階席。4回席までは階段です(笑)。眺めは上の写真の通りです。

開演時間になると会場内に盛大に学校のようにチャイム音が鳴るのはご愛嬌。場内の照明が徐々に落ちて、オケが入場。そして颯爽と洗われたヤルヴィが軽く観客に会釈して、1曲目のシューベルトが始まります。今回のこのコンビの来日ツアーではシューベルトがテーマの一つになっているようで、シューベルトだけのプログラムも用意されています。1曲目は響きに敏感。響きに癖がある東京文化会館のしかも4階ということで、音はあまり期待はしていなかったので、さして違和感はありませんでした。むしろ気になったのはヤルヴィのちょっとそそくさとした音楽の運び。ちょっと前に響きのいいミューザで、濃厚、流麗、分厚い響きのメータのシューベルトを堪能しているだけに、キリリと引き締まって、それはそれでスタイリッシュなヤルヴィの指揮はわかるものの、シューベルトの音楽とはもっとしなやかで、柔らかさがあってもいいと思わせてしまい、ヤルヴィ流のちょっと軽めの演奏はまずは前座という感じでした。

続いてお目当のヒラリーハーンの登場。白に金の柄のついた華やかなロングドレスで登場したヒラリー・ハーン、今度はモーツァルトということで軽やかさが曲にマッチしてヤルヴィのキレのいい伴奏を聴きながらリズムをとって入りを待ちます。静かな第一音から緊張感がみなぎり、抑制の効いたボウイングから繰り出される多彩な音色にうっとり。鋭さもあり、しなやかさもあり、そしてハーンの美点であるしっかりとハーンの音楽になっているところは期待通り。ヤルヴィが音色とキレという多彩な音色を繰り出すことに執心しているのに対し、ハーンは一貫してハーンの音楽を繰り出し、ハーンの方が格上に感じたのが正直なところ。テクニックを披露する曲ではなく、流麗な美しいメロディーを聴くべき曲ですが、ハーンは各楽章のカデンツァで、凝った構成のものを用意していましたが、いづれもヴァイオリンの音ではなくボウイングで音楽を作っていくという楽器の本質のようなものを聴かせたかったような構成。カデンツァでも唸らされました。流石にヒラリー・ハーン、モーツァルトでもただでは済ませない力量を見せつけました。もちろんほぼ満席の客席からは万雷の拍手が降り注ぎ、何度かのカーテンコールの後、アンコールを2曲。

バッハ 無伴奏ヴァイオリンパルティータ3番よりジーグ
バッハ 無伴奏ヴァイオリンソナタ2番よりアンダンテ

オケを前にして静まり返るホールにハーンの静謐なバッハが響き渡り、本編のモーツァルト以上の神々しいボウイングに圧倒されました。やはりハーンはすごいですね。



休憩後はハイドンの「ロンドン」。「ロンドン」はアルバムではリリースされているほとんどのものを聴いていますがの実演は2009年にホグウッドの振ったN響くらい。ハイドンの交響曲の集大成であり、壮大な構成で知られていますが、演奏は非常に難しく、特に3楽章、4楽章が力んで単調になりやすいもの。しっかりと構成を考えて、どこに聴かせどころを持ってくるかなかなか難しい曲でもあります。ヤルヴィは予想では速めのテンポで入るかと思いきや、序奏はかなりテンポを落としてきました。骨格の壮大さよりはフレーズごとの立体感を出そうというような感じ。1楽章は徐々にテンポを上げてきっちりとした構成感を出しまずまず。続く2楽章以降では、短い音でリズムを打つフレーズがたくさん出てきますが、それをあえてしているのでしょう、かなり均一に鳴らすのでリズムが単調に聴こえてしまい、本来味わい深いアンダンテとメヌエットが少し平板な印象に聴こえてしまいます。ただし、そこは流石にヤルヴィ、終楽章で最後のクライマックスに至る盛り上げ方は見事。インテンポでオケを煽りながら壮大な頂点を構築しフィニッシュ。もちろん観客も満足したようで拍手喝采。拍手に応えて、オケもアンコールを披露。非常に色彩感に富んだ曲でしたが聴いたことのない曲。帰り際、ホワイエの張り紙でシューベルトのイタリア風序曲2番と知りました。この日のステージにはティンパニが通常の2つの他、右側に大きなものがもう1つ。この3つ目のティンパニはアンコール曲でしか使っていなかったように見えましたので、アンコールは最初から予定されていたものでしょう。ハイドン以上に各パートが活躍する曲で、アンコールでオケの実力開帳といったところでしょう。

パーヴォ・ヤルヴィは流石にN響の首席指揮者を務めるだけあって、集客力もありますね。ただし、オケのドイツ・カンマーフィルですが、日頃聴く日本のオケと比べてレベルが高いという感じではなく、木管、金管などのソロを聴くとむしろ、東響や読響、N響の方が上手いかもしれませんね。日本での印象はやはりヤルヴィのベートーヴェン全集での鮮烈なキレ味の印象が強く、ドイツの一流オケという印象でしたが、やはりバイエルン放送響、ベルリンフィルなどとはそもそも格は違いますし、近年の日本のオケのレベルの高さを考えると、少し冷静な目で見た方が良いかもしれません。

この日の収穫はやはりヒラリー・ハーンでした。今月はハーンのバッハの無伴奏のコンサートも組まれていましたが、そちらもチケットとっておけばよかった、、、 次の機会を待つことにします(笑)



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tag : シューベルト モーツァルト ロンドン

ジョナサン・ノット/東響の「フィガロの結婚」(ミューザ川崎)

先週金曜日は楽しみにしていたコンサートを聴いてきました。

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東京交響楽団:コンサート情報(2018/19 Season)歌劇「フィガロの結婚」(演奏会形式)

一昨年より3年連続で東響の12月のプログラムにモーツァルトのダ・ポンテ三部作を取り上げたコンサート。その完結編となる「フィガロの結婚」。一昨年の「コジ・ファン・トゥッテ」があまりに素晴らしかったので、昨年に続き今回ももちろんチケットを取った次第。前二回の記事はリンク先をご覧ください。

2017/12/10 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の「ドン・ジョヴァンニ」(ミューザ川崎)
2016/12/12 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の「コジ・ファン・トゥッテ」(東京芸術劇場)

今回のキャストは以下のとおり。演出監修はバルトロ役のアラステア・ミルズが担当。

指揮/ハンマーフリューゲル:ジョナサン・ノット(Jonathan Nott)
バルトロ/アントニオ:アラステア・ミルズ(Alstair Mils)
フィガロ:マルクス・ヴェルバ(Markus Werba)
スザンナ:リディア・トイシャー(Lydia Teuscher)
アルマヴィーヴァ伯爵:アシュリー・リッチズ(Ashley Riches)
アルマヴィーヴァ伯爵夫人:ミア・パーション(Miah Persson)
ケルビーノ:ジュルジータ・アダモナイト(Jurgita Adamonyte)
マルチェリーナ:ジェニファー・ラーモア(Jennifer Larmore)
バルバリーナ:ローラ・インコ(Laura Incho)
バジリオ/ドン・クルツィオ:アンジェロ・ポラック(Angelo Pollak)
合唱:新国立劇場合唱団(New National Theater Chorus)
合唱指揮:河原哲也(Tetsuya Kawahara)

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CDでも3枚組が当たり前の長さゆえ、この日は平日金曜にもかかわらす開演時間は18:30。やはり平日18:30に川崎に来れるお客さん層は限られるということで、素晴らしい公演になることは予想できたにもかかわらず、客席の埋まり具合は8割ほどでした。これはもったいないですね。いつも通り開場時刻過ぎにホールに入って、先に入場していた嫁さんと合流。サンドウィッチで腹ごしらえして、ホールに入ります。

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この日の席はステージ右側の2階席。先日のメータ/バイエルン放送響の公演の3階席でも音はまったく問題なかったので心配なしです。コンサート形式での上演ということで、ステージ上にはなぜかオフィスチェアとコートハンガーが並んでいます。

程なく開演時刻となり、オケが準備を整えノットが登壇。いつも通り小走りでハンマーフリューゲルの前に立ち、振り返って観客の拍手に笑顔で応えると、すぐに聴き慣れた序曲に入ります。ノットはモーツァルトが好きなのでしょう、序曲から実に楽しげに指揮棒なしで大きく体を使いながらオケに指示を出し、オケは湧き上がるような推進力で小気味よく吹き上がります。我々の世代のフィガロの刷り込みはもちろんベームのベルリンドイツオペラ盤。キリッと引き締まりながらどこかに微笑ましさと慈しみあふれるベーム盤とは異なり、自由自在に伸び伸びとしたノットのコントロールの魅力が序曲から満ち溢れます。

序曲が終わり、フィガロとスザンナが登場。フィガロのマルクス・ウェルバは一昨年のコジのグリエルモ役でおなじみ、スタイリッシュなイケメン。スザンナのリディア・トイシャーは手元のチェチーリアミサのインマゼール盤でソプラノを務めていましたが、こちらも美人ソプラノで若々しい美声。フィガロとスザンナははまり役。シーツを広げて部屋に見立てて寸法を測り始めるという最小限の小道具で情景を想像させるという手法は、このシリーズに共通した演出です。そしてハンマーフリューゲルはノット自身が演奏するのも共通。かなりゆったりと練って入るしっとりとしたつなぎも舞台の転換をしっかりと印象付けるもの。複雑なオペラを指揮しながらさらりとハンマーフリューゲルの演奏もこなすところは流石の処理能力。東響もノットのコントロールに見事に応える完璧な演奏。ベームのタイトさで聴かせる演奏とは異なり、しなやかな充実感で聴かせます。そして緊張感、充実感は素晴らしいものがありました。

フィガロとスザンナのデュエットから、この劇のキーパーソンとなるアラステア・ミルズのバルトロ登場。短い歌で性格俳優的な味わいを出すあたりは流石。続いてマルチェリーナ役のジェニファー・ラーモア、ケルビーノ役のジュルジータ・アダモナイトと登場。ラーモアはベテランらしく演技に味わい深い華やかさがあり、歌い終わった後の観客への礼一つとっても実に見事な振る舞い。ケルビーノはボーイッシュな感じを狙うには美人すぎる感じ(笑)。どちらも役に徹した歌唱で見事。

アルマヴィーヴァ伯爵のアシュリー・リッチズは長身のバリトン。伯爵にはちょっと若い感じですが、迫力よりはスタイリッシュに聴かせる歌唱は悪くありません。後半にかけて嫉妬に狂ったりダメダメな伯爵役の演技はなかなかよかったです。そしてバジーリオのアンジェロ・ポラックもスーツでビシッと決めた衣装で古風な演出での役柄とは印象は異なり、こちらもスタイリッシュ。そして伯爵の祝福に集まった村人の新国立劇場合唱団のメンバーはなぜかコミカルな体型の人を集めた感じで、演技もコミカル路線(笑)。第1幕の終結、フィガロの「もう飛ぶまいぞ」からケルビーノの出兵に向けたマーチの盛り上がりへの演出はノットの真骨頂。オケをグイグイ盛り上げてオペラの醍醐味を存分に感じさせました。



観客の万雷の拍手もそこそこに、すぐに第二幕に入りますが、第1幕は前座でした。第2幕で登場した伯爵夫人のミア・パーション、これが凄かった。登場するなり最初のカヴァティーナで異次元の歌を聴かせます。これまで聴いたどのソプラノのよりも素晴らしい歌唱に腰を抜かさんばかり。一流のソプラノの底力と迫力に圧倒されました。声の輝かしさ、圧倒的な声量、鳥肌ものの弱音のコントロール、そしてその存在感。ホール中の空気を凍りつかせる素晴らしい歌に酔いしれました。やはり生の声はいいですね。

続くケルビーノの有名なアリアは、トロヤノスの美声のイメージとは異なり、現代風にサラサラ流れるような可憐な歌唱。第2幕の伯爵夫人の部屋の化粧室にケルビーノが隠れていることを取り巻くやりとりも、舞台装置なしに小道具だけでの進行にもかかわらず、わかりやすい演出でかなり楽しめました。そして第2幕のフィナーレの三重唱から五重唱そして七重唱へ発展してクライマックスを迎える盛り上がりも圧巻。ノットが縦横無尽に動き回ってオケを煽り、前半の2幕が終わります。いやいや盛り上がりました。



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100分間の前半もあっという間。25分の休憩で、皆さんロビーに出てオペラの賑わいを肴に一献。こちらもワインで素晴らしい舞台の余韻を楽しみました。

休憩後は第3幕から。この時点でレロレロ(笑)。後半も素晴らしかったのですが、美しいアリアの続く第3幕の中でも、やはりミア・パーションの「楽しい思い出はどこへ」が圧巻。再び美しいソプラノに打ちのめされました。ホール全体が静寂に包まれ、パーションの歌に酔いしれました。アリアの後の嵐のような拍手がその素晴らしさを物語るようでした。

そして庭園でのスザンナと伯爵夫人が入れ替わって伯爵に一泡吹かせる第4幕。幕切れの全てを許す和音が響くと、このたわいもない戯れを描いた筋書きが、モーツァルトの素晴らしい音楽によって、人の心を癒す一夜のオペラとしてかけがえのない価値を持つものなったことがわかるわけです。もちろん最後の合唱が終わりを迎えると、客席からはブラヴォーの嵐。最初にコーラスメンバーが舞台に上がり、ついで歌手が上がり、もちろん何度も呼び戻されます。ノットも演奏に満足したのか歌手とオケを終始讃えていました。18:30に始まったコンサートは、すでに22:00近い時間。この間、全く緩むことなく演奏し続け、素晴らしい舞台を支えた東響。この日の演奏は本当にレベルが高かった。フィガロを実演で聴くのは初めてでしたが、全くもって堪能いたしました!



3年に渡って演奏されたダ・ポンテ三部作で、来年は魔笛か、、とも想像しましたが、直近に発表された来シーズンの12月の予定にはその予定はありませんでした。たまたま一昨年にコジ・ファン・トゥッテのチケットを取ったことから3年に渡ってノットのモーツァルトを聴きましたが、これは貴重な体験となりましたね。ノットが楽しそうにオケを煽る姿。そしてミア・パーションの魂を撼わすアリア、忘れません。



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tag : モーツァルト

タネーエフ四重奏団のOp.2のNo.5(ハイドン)

もう1枚LPです。

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タネーエフ四重奏団(Taneyev Quartet)の演奏で、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.2のNo.5とモーツァルトの弦楽四重奏曲「不協和音」(KV465)の2曲を収めたLP。アルバムのリリースは1978年と記されております。レーベルは露Мелодия(Melodiya)。

こちらは最近ディスクユニオンで仕入れたもの。当ブログのコアな読者である小鳥遊さんはキリル文字を読みこなしてロシア盤をいろいろ物色されているとのことですが、当方、キリル文字にはめっぽう弱く、メロディア盤でも英語併記のものしか手を出せません。幸いこちらの盤はしっかりと英語がふられており、私にもハイドンの作品とわかり、平常心を保ちながら手に入れた次第(笑)

タネーエフ四重奏団は戦後すぐの1946年、レニングラード音楽院の学生によって設立されたクァルテット。私は初めて聴くクァルテットですが、タネーエフを初めとして、ショスタコーヴィチ、ベートーヴェン、シューベルト、ミャスコフスキーなどの弦楽四重奏曲全集を録音しているということで、メジャーな存在だと思われます。このアルバムの録音当時のメンバーは以下のとおり。

第1ヴァイオリン:ヴラディーミル・オフチャレク(Vladimir Ovcharek)
第2ヴァイオリン:グリゴリー・ルツキー(Grigori Lutzki)
ヴィオラ:ヴィサリオン・ソロヴィヨフ(Wissarion Solowjow)
チェロ:ヨシフ・レヴィンゾン(Josif Lewinson)

設立から1967年まではチェロがベニアミン・モロゾフだったということで、創立メンバーから1人代わった第2世代の録音ということになります。

このアルバムに収められたハイドンの弦楽四重奏曲Op.2のNo.5は、もともと管弦楽のためのディヴェルティメント(Hob.II:22)の弦楽パートが弦楽四重奏として登録されたもの。ハイドンの初期の平明な音楽の魅力に溢れた曲です。この時期のクァルテットは5楽章構成。2つのメヌエットの間に緩徐楽章が挟まる形。

Hob.III:11(II:22) String Quartet Op.2 No.5 [D] (c.1760–62)
針を落とすと、期待通り素晴らしく冴え冴えとした音楽が流れ出します。録音は絶品。やはりクァルテットはLPがいいですね。針で溝をこするからか弦をこする音の実体感はCDよりも生々しいですね。1楽章は軽やか、華麗、推進力十分。音楽がシンプルなだけに、第1ヴァイオリンのオフチャレクの艶やかな音色と一体感溢れるクァルテットの演奏が映えます。
続く最初のメヌエットでもオフチャレクのメロディーがしっかりと浮かび上がり、伴奏とのバランスも完璧。トリオでほのかな陰りを感じさせますが、その微妙な表情の変化が実に自然で美しい。
3楽章のラルゴはオフチャレクがあえて糸を引くようにポルタメント気味にメロディーを置いていきます。高音域の伸びが美しいだけでなく、繊細な表現力を見せつけ、この小品を実に深い音楽に仕立てていきます。鮮明な演奏でこの初期の作品が陰影のくっきりとした味わい深い音楽に仕上げます。
後半のメヌエットは、いつもながらハイドンのアイデアの豊富さを印象付けます。前半のメヌエットを踏まえてはいるのですが、全く違う響きで聴き手を驚かせます。今度はグイグイと強引にメロディーを引っ張り、鮮烈な印象の演奏。そしてトリオではピチカートでコミカルな表情を加えてメヌエット楽章の面白さを際立たせます。
終楽章はこのクァルテットの技術力を見せつけ、音階のキレもフレージングのキレも異次元。そして最後にすっと終えるセンスも見事。これは絶品の演奏。

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ハイドンの初期のクァルテットの見事な演奏に驚いていたところ、1面の残りはモーツァルトの「不協和音」の1楽章ですが、これまた見事にハイテンションな演奏に釘付けになります。

タネーエフ四重奏団を今更初めて聴いたわけですが、その恐ろしいまでの実力をこのアルバムから察した次第。音楽にみなぎる力と緊張感はちょっと類を見ないものです。もちろんハイドンの評価は[+++++]とします。世の中にはまだまだ掘り起こすべき演奏がありますね。引き続き発掘に努めます。



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tag : 弦楽四重奏曲Op.2 モーツァルト

ユベール・スダーン/東響の軍隊、田園など(サントリーホール)

金曜に続き、土曜もコンサートに出かけました。土曜日はサントリーホールです。

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東京交響楽団:第663回定期演奏会

チケットを取ったコンサートはユベール・スダーン指揮の東京交響楽団のコンサート。プログラムは以下のとおりです。

ハイドン:交響曲 第100番「軍隊」
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番 (K.218)
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」

もちろん、プログラムにハイドンが含まれるからに他なりませんが、それだけではありません。実はユベール・スダーンのハイドンは、スダーンがジョナサン・ノットに音楽監督を譲る直前、2014年3月のオールハイドンプログラムを聴いて以来で、しかもそのコンサートが私が東響を初めて聴いたコンサート。その時ももちろんハイドン目当てだったんですが、今回は前回のハイドンのコンサートから久々のスダーンのハイドンを聴きたくてチケットを取った次第。

2014/03/22 : コンサートレポート : ユベール・スダーン/東京交響楽団のオール・ハイドン・プログラム(東京オペラシティ)

今回はハイドンは1曲だけですが、モーツァルテウムの首席指揮者を務めた人だけに、モーツァルトも悪かろうはずもなく、そしてベートーヴェンの田園と親しみやすい古典の名曲が並ぶプログラムということで、楽しみにしていたコンサートです。

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この日は土曜のコンサートということで、いつもより少し早めにサントリーホールに着いたので、サントリーホールの脇の階段を登ってちょうどホールの上にあたるアークガーデンを散策。巨大オフィスビルコンプレックスの庭園にしては、立ち入る人が少ないようで、手入れもさほどされておらず、いい意味で野趣あふれる感じ(笑)

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近所にお住まいの方の犬の散歩コースくらいの感じですね。普段足を踏み入れないところを歩くと世界が広がります(笑)

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うだうだしているうちに開場時刻になりホールに入ります。

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もちろん、散歩で喉が渇いたので、いつものようにビールとワインで喉を潤し、コンサートに臨む準備完了。

さて、この日の席は初めてのP席。P席とはオケの背後の第9だったら合唱団が座る席。オケを背後から眺めるんですが、指揮者の指示は克明にわかります。お客さんの入りは流石に元東響の音楽監督の指揮で有名曲ということでほぼ満員。ジョナサン・ノットの振る時よりもお客さんの年齢層はかなり高めのようですね。

期待の1曲めの軍隊ですが、ほぼ予想通り、非常にオーソドックスな演奏。軍隊の生はヤンソンスとバイエルン放送響を聴いていますが、ヤンソンスらしく非常に丁寧に仕上げられた華麗な盛り上がりと高揚感に満ちた演奏でした。スダーンのコントロールはそれよりだいぶ古典的。楽章ごとの起承転結の面白さに焦点を当て、2楽章と終楽章で大活躍するティンパニがバロックティンパニでしかも節度をわきまえた盛り上がりにコントロールされていたのに加えて、オケも節度を保ったバランスの良い演奏。実にノーブルなハイドンという演奏でした。印象的だったのが東響の奏者の上手さ。特に木管陣は惚れ惚れするような美しい響き。スダーンのコントロールが行き渡って、奏者も見事にそれに応える阿吽の呼吸を味わえました。

2曲めはモーツァルトのヴァイオリン協奏曲4番。ヴァイオリンソロは堀米ゆず子で私は生では初めて聴きます。ハイドンも良かったんですが、このモーツァルトがさらに良かった。流石にモーツァルテウムを率いてきた人だけに音楽に華があり、実に軽やか且つ典雅な演奏。堀米ゆず子のヴァイオリンの響きの美しさも最高。モーツァルトは流石に自家薬籠中の物と言っていいでしょう。前日に聴いたホーネックのモーツァルトは弾き振りの堅固な一体感が聴きどころでしたが、この日のコンチェルトはスダーンと堀米ゆず子の仲睦まじい掛け合いの妙と、モーツァルトらしい華やかさに満ちた音楽の躍動感が聴きどころ。連夜のモーツァルトの名演に心打たれました。もちろんこの日の観客の皆さんもうっとり。万雷の拍手でもてなし、堀米ゆず子さんは何度もステージに呼び戻されますが、アンコールはなし。これも爽やかでいいですね。

前半の素晴らしい演奏にうっとりとしながら休憩時間を過ごしましたが、後半の田園は、それよりさらに凄かった! この日はハイドンを聴きにきたはずなんですが、この田園には圧倒されました。冒頭から非常に研ぎ澄まされた東響の弦楽セクションの奏でる美しいメロディに惹きつけられますが、スダーンのメロディの膨らませ方とフレーズごとのコントラストのつけ方が見事で、実に美しい音楽に聴こえます。それがただ美しいだけではなく、揺るぎない説得力を徐々に帯びてきて、だんだん鬼気迫るような迫力まで帯びてくるではありませんか。どの音もどの瞬間もどれを変えても音楽が崩れてしまうほどの完成度。先ほどモーツァルトで自家薬籠中と言いましたが、この田園はスダーン渾身の完成度。楽章が進むにつれて、どんどんしなやかに迫力を増し、もはや圧倒的な支配力で、素晴らしく自然な、しかも並みの指揮者には到達できないような三昧の境地に入って、こちらはただただ音楽に打たれるだけ。4楽章の嵐のあとの5楽章の牧歌の研ぎ澄まされた美しさ、さらにフィナーレに向かうクライマックスのノーブルな仕上げ。古楽器やらノンヴィブラートやらなどの演奏スタイルの議論などを吹き飛ばすようなオーソドックスに磨かれた音楽の持つ説得力の素晴らしさに打たれました。もちろんこの日の観客はこの素晴らしい田園に拍手喝采。いやいや本当に連日の名演にクラクラです(笑)

この素晴らしい演奏には長年音楽監督としてオケを育ててきたスダーンと東響の信頼関係、そしてユベール・スダーンという人の音楽への理解の深さが滲み出ていたのだろうと想像しています。

結果として、ハイドンの演奏も素晴らしかったものの、この日の軍隊はやはり前座でしたね。この日のメインディッシュはベートーヴェン。この田園は私の心に深く刻まれました。時代の先端をゆくヤルヴィのベートーヴェンも、ラトルのベートーヴェンもいいですが、私はこのスダーンの流行とは関係なく揺るぎない古典的美しさを帯びたベートーヴェンが最も好きですね。

ユベール・スダーン、また聴きに行きます!



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tag : 軍隊 モーツァルト ベートーヴェン

ホーネック/紀尾井ホール室内管のハフナー・セレナーデなど(紀尾井ホール)

昨日9月21日金曜日はチケットを取ってあったコンサートへ。

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紀尾井ホール:紀尾井ホール室内管弦楽団 第113回定期演奏会

今年の6月に初めて聴いたライナー・ホーネックと紀尾井ホール室内管弦楽団のコンサート。この時はハイドンの受難がプログラムに入っていたのでハイドン目当てで行きましたが、意外にもショスタコーヴィチのピアノ協奏曲が精緻な熱演、そしてベートーヴェンの田園は流石にウィーンフィルのコンサートマスターが振るだけあって実に自然なアーティキュレーションが素晴らしい演奏。正直ハイドンは前座という位置付けでした。

2018/06/19 : コンサートレポート : ホーネック/紀尾井ホール室内管の受難など(紀尾井ホール)

そのホーネックなら、モーツァルトはさらに素晴らしかろうということでチケットを取った次第。その読みは期待を大きく上回って当たりました! この日のプログラムとソリストは次の通り。

モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲(KV364)
モーツァルト:ハフナー・セレナーデ(KV250)

指揮・ヴァイオリン:ライナー・ホーネック(Rainer Honeck),
ヴィオラ:今井信子
紀尾井ホール室内管弦楽団

モーツァルトの曲の中でもこの協奏交響曲は特に好きな曲なので楽しみにしていました。

この日はあいにくの大雨。開場前はホールの外で待たなくてはならないので、ギリギリに到着して、まずは2階のカフェでビールとワインで景気づけ。

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冷えたグラスにプレミアムモルツと、赤ワインは常温と冷えたものが選べるなど酒飲みの好みを心得たサービスが心地よいですね。

この日の席はオケの右手2階。オケを右上から見下ろす席。客席には所々空席がありますが、チケットは売り切れていましたので、ほぼ満員。お客さんもホーネックのモーツァルトには期待しているのでしょう。

定刻になり、オケのメンバーが席につき、チューニングが終わると、ヴァイオリンを持ったライナー・ホーネックとヴィオラを持った今井信子が登場。客席に挨拶して、ホーネックがオケの方に振り向いて軽く合図すると、聴きなれたこの曲の序奏が始まります。前回のコンサートでは明らかにオケが寝起きが悪かったんですが、この日は最初から冴えていました。この曲の刷り込みはクレーメル、カシュカシアンがソロを務めるアーノンクール盤。オケはウィーンフィル。鋭利なクレーメルのヴァイオリンと外連味たっぷりのアーノンクールによるギャラントな演奏が印象に残っています。前回のコンサートでのハイドンやベートーヴェンの演奏から、ホーネックはオーソドックスな演奏で来るだろうと想像していましたが、それはこちらの読み違いでした。もちろんオーソドックスなスタイルに違いありませんが、まずはヴァイオリンのキレ方が凄まじい。テンポがキレているというか、弓の運びが曲のテンポの先を行きオケを類まれなリーダーシップで先導します。クレーメルが現代性を感じさせる鋭利なアーティキュレーションで圧倒するのに対し、ホーネックはモーツァルトの曲に内在する音楽のエネルギーを引き出すようにくっきりとメリハリをつけ、音量、テンポ、音色と全ての次元でハッキリとしたコントラストをつけて彫りの深い曲に仕立てていきます。あまりに見事なホーネックのヴァイオリンソロに釘付け。そしてそのソロが今井信子のヴィオラとオケを、タクトではなく音でコントロールしてき、類まれな一体感を感じさせるまとまり。ハッキリ言ってクレーメル盤の演奏の上を行く感じ。そしてヴァイオリンのキレもクレーメルより上と感じました。また、ホーネックが大柄な体を揺らしながら正確無比のボウイングで演奏する姿は視覚にも訴え、マゼールの指揮をみるのと同じような刺激に満ちたもの。ホーネックのヴァイオリンがここまでキレているとは思いませんでした。さざめくような序奏から愉悦感と推進力に満ちた展開が魅力の1楽章は、ホーネックのヴァイオリンの妙技と、類まれなコントロールを得て、緊張感に満ちたオーケストラが素晴らしい。
続く2楽章は、情感に流されず音楽の緊張感を保ったまま美しいメロディーをくっきりと浮かび上がらせるこれまた妙技の連続。特に弱音のコントロール、ホーネックのヴァイオリンソロが絶品。そして3楽章も同様。ハイドンの協奏曲の終楽章も手の込んだものですが、モーツァルトのメロディーのひらめきは流石なところ。構成はハイドンの方が面白さを味わいやすいですね。モーツァルトはメロディーの美しさをこれでもかと言わんばかりに技巧を凝らしして展開するところがハイドンファンとしてはちょっとくどく感じてしまいます(笑) 演奏の方はもちろん見事に曲を閉じて拍手喝采。いやいやこれは素晴らしい!

あまりに見事な協奏交響曲の余韻が残る中、休憩をはさんで、今度はハフナー・セレナーデ。ホーネックはヴァイオリンを持って登場。この曲でもヴァイオリンソロはホーネック。全8楽章の長い曲ですが、協奏交響曲以上にオケの集中度が上がって、いわゆるゾーンに入る至福の演奏。1楽章はホーネックは座ってコンマス役だったが、2楽章からは立ち上がってソロを担当。ヴァイオリンソロは協奏交響曲以上に絶品。2楽章の美しいカンタービレ、4楽章のさざめくような音階の繰り返しに多彩な表情をつける見事な手腕と圧倒的なテクニックに酔いしれました。曲中3つのメヌエットが挟まり、ハイドンのディヴェルティメントと同様の構成ながら展開の精緻さはハイドンとは桁違いに緻密。ハイドンの才能にも普段驚きっぱなしですが、モーツァルトの天才に改めて驚く瞬間多数。至福の時間とはこのことでしょう。紀尾井室内管のメンバーもホーネックにコントロールされて異次元の出来。いやいや素晴らしい演奏でした。

もちろんほぼ満員の客席はこの素晴らしいコンサートに万雷の拍手で応じていました。何回かのカーテンコールの後、アンコールはモーツァルトのマーチ(K.249)。コミカルな曲想にオケも少しリラックスして楽しげに演奏。オケを讃えるためか、ホーネックは最後の音が終わる前に下手に下がり、舞台上にはオケのみとなり、再び万雷の拍手に包まれました。ホーネックもオケのメンバーも笑顔で拍手に応えていて、この日の充実した演奏に満足していたのでしょう。

今まで聴いたモーツァルトでは最も心に残るコンサート。この先にもモーツァルトのプログラムが用意されているようですので、もう一度ホーネックの素晴らしいヴァイオリンを聴いてみたいと思います。



コンサート後、外に出ると雨はほとんど上がっていました。赤坂見附方面に歩いて帰り、駅の横の牛タンねぎしで夕食をいただいてコンサートの余韻を楽しみました。

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牛タンねぎしに入るのは20年ぶりくらいでしょうか(汗)

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お店は綺麗に改装されていてなかないい感じでした。さて、本日もコンサート。ユベール・スダーンの軍隊をサントリーホールに聴きに行ってきます。



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tag : モーツァルト

ウィリアム・バーガーのオペラアリア集(ハイドン)

声ものが続きます。オペラの賑わいと楽しさが詰まったナイス・プロダクション!

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amazon / TOWER RECORDS / HMV&BOOKS online

ウィリアム・バーガー(William Berger)のバリトン、ニコラス・マギーガン(Nicholas McGegan)指揮スコットランド室内管弦楽団(Scottish Chamber Orchestra)の演奏で、ハイドン、モーツァルト、チマローザのオペラから抜き出したアリアなど16曲を収めたSACD。収録は2012年7月23日から27日にかけて、エジンバラのアッシャーホール(Usher Hall)でのセッション録音。レーベルはLINN。

アルバムタイトルは"HOMMAGE À TROIS"。英語にすると”Tribute to three”。アルバムの内容を踏まえると「3人の偉大な作曲家への賛辞」とでも訳すのでしょうか。そう思ってライナーノーツの英文解説をパラパラと眺めてみると、「ハイドンへの賛辞」、「モーツァルトへの賛辞」、「チマローザへの賛辞」という記述があり、まさにタイトル通りであり、収められている曲もこの古典期の偉大な3人の作曲家による素晴らしいオペラのアリアばかりです。

このアルバムのメインのアーティストはバリトンのウィリアム・バーガー。わたしは初めて聴く人です。南アフリカ生まれで、ロンドンの王立音楽アカデミーで学び、多くのコンクールで表彰されて頭角を表し、現在は世界のオペラハウスで活躍している人。録音の方はヘンデル、モンテヴェルディなどの古楽が多いようです。

指揮のニコラス・マギーガンはハイドン好きな方にはおなじみでしょう。指揮ばかりではなく、フォルテピアノやフラウトトラヴェルソまで嗜む多芸な人。

2016/01/26 : ハイドン–室内楽曲 : ガメリート・コンソートのピアノ三重奏曲など(ハイドン)
2015/05/09 : ハイドン–交響曲 : 絶品、ニコラス・マギーガンの交響曲集第2弾(ハイドン)
2011/09/03 : ハイドン–交響曲 : 【新着】ニコラス・マギーガンのロンドン、88番、時計

マギーガンの交響曲集の第1弾の2008年録音のロンドンなどのアルバムはちょっと硬さがありましたが、2014年録音の第2弾は自在さの際立つ素晴らしい出来。そもそも1982年録音のマギーガンがメンバーであったガメリート・コンソートでの演奏も自在さが印象的な録音でした。

そして、今日取り上げるアルバムは、マギーガンの自在なフレージングオペラの一場面がイキイキと描かれる見事な演奏が詰まった素晴らしいアルバムです。いつものようにハイドンの曲のみ取り上げますが、モーツァルトはフィガロの結婚、ドン・ジョヴァンニ、コジ・ファン・トゥッテ、魔笛からのバリトンの傑作アリアが目白押しです。

ハイドンのオペラは歌詞の日本語対訳が手元にない曲も多いですが、ライナーノーツの英語訳の歌詞を見ながら想像力を駆使してアリアを味わいます(笑) アリアのタイトルもGoogle翻訳などを駆使して訳してみましたが、正しいかどうかはわかりませんことご容赦を(笑)

Hob.XXVIII:9 "L'isola disabitata" 「無人島」 (1779)
第1幕、エンリコ(Enrico)のアリア"Chi nel cammin d'onore"「名誉を得ようとする者」
アルバム冒頭に置かれたハイドンの作品。LINNレーベルのSACDということでオーディオ的に録音も秀逸ですが、曲調を考えるともう少し残響を取り込んでオペラハウスでのライヴのような雰囲気が感じられるとさらによかったかもしれません。ハイドンらしいイキイキとした晴朗な伴奏が痛快。オケの豊かな表情は流石マギーガン。ウィリアム・バーガーのバリトンはかなり高い音域まで伸び伸びとして、コミカルな表情もうまくこなしてます。明るい曲調からの転調の場面の面白さを含む挨拶がわりの1曲。

続いてフィガロの結婚から第3幕アルマヴィーヴァ伯爵とスザンナのデュエット「ひどいやつだ」、その続きのアルマヴィーヴァ伯爵のレチタティーヴヴォ「もうお前の勝ちだと言ったな」の2曲を挟んで、再びハイドン。

Hob.XXVIII:13 "L'anima del filosofo, ossia Orfeo ed Euridice" 「哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェ」 (1791)
第1幕、クレオンテ(Creonte)のアリア"Il pensier sta negli oggetti"「我々の考えは我々の愛情の対象に関するもの」
今度はゆったりとした癒しに満ちた序奏に乗って優しげなバリトンによる癒しに満ちた歌唱。モーツァルトほどのメロディーのわかりやすさはないものの、実に慈しみ深い雰囲気に包まれるハイドンの熟達の技。場面の雰囲気を描く描写力の素晴らしさ。バリトンのしっとりとした歌を際立たせる控えめなオーケストレーションが素晴らしいですね。マギーガンもそれを察してゆったりとした場面に徹する見事なコントロール。

Hob.XXVIII:12 "Armida" 「アルミーダ」 (1783)
第2幕、イドレーノ(Idreno)のアリア"Teco lo guida al campo"「彼を陣営に連れて行くがいい」
まさに戦いに連れ出されんばかり人を勇気付ける音楽。ここでも転調をうまく使って心理描写をしているよう。高らかに響き渡る柔らかなバリトンが印象的。行進曲風の触りの部分が戦場を想起させ、すぐに心細さを交錯させ、最後は勇敢さを表すような堂々としたバリトンの歌唱で終わる、またまた見事な構成。いつもながら構成の面白さはハイドンならでは。通好みのポイントです。

Hob.XXVIII:11 "Orlando Paladino" 「騎士オルランド」 (before1782)
第2幕、エウリッラ(Eurilla)とパスクァーレ(Paswuale)のデュエット"Quel tuo visetto amabile"「あなたの愛らしい表情」
このアルバムに何曲か仕込まれたソプラノとのデュエット。ソプラノはキャロリン・サンプソン(Carolyn Sampson)。今度は可憐な曲。天地創造のアダムとエヴァのデュエットを想起させるソプラノとのデュエット。これまでの曲はどの曲もアリアの途中で転調を実に巧みに使って心理描写を行なっていますが、この曲でもバッチリ決まります。途中のコミカルな掛け合いはモーツァルトばり。実に楽しいデュエット。

そのあと聴き慣れたモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」から第1幕レポレッロのアリア「みんなで楽しくお酒を飲んで」、第2幕ドン・ジョヴァンニのカンツォネッタ「おいで窓辺に可愛い娘」と続きます。情景描写の鮮明度は流石モーツァルトですが、メロディー任せのモーツァルトに、音楽の構成をフルに利用するハイドンと音楽の作りの違いを浮かび上がらせます。

Hob.XXVIII:8 "La vera costanza" 「変わらぬまこと」 (before 1779)
第2幕、ヴィロット(Villotto)のアリア"Gia la morte in mante nero"「黒いマントを纏って息絶えて」
またまた癒しに満ちた音楽に包まれます。柔らかなオーケストラの響きに漂うように優しさに満ちたバリトンが重なります。メロディーの美しさとオーケストレイションの巧みさに圧倒されるアリア。マギーガンの自在なフレージングで変化に満ちた曲の面白さが際立ちます。

第1幕、ヴィロット(Villotto)のアリア"Non sparate... mi disdico..."「撃たないで、、、諦めるから」
タイトルからいだくイメージとはちょっと異なる明るい曲。おそらくコミカルさをベースにした場面なんでしょう。千変万化する伴奏の面白さに釘付けです。リズムの変化と表情の変化の巧みさが際立ちます。ハイドンの曲はここまで。

この後コジ・ファン・トゥッテから「彼の苦しみを見て下さい」、魔笛から「恋を知るほどの殿方には」と「パパゲーノ」の2曲が続きますが、特に「パッ、パッ、パッ」から始まるパパゲーノのアリアは名曲ですね。昔よく聴いたショルティ盤のヘルマン・プライを思いだします。だんだん楽しさが増してきました!

そして最後に置かれたのはチマローザの「宮廷楽士長」という登場人物が宮廷楽士長1人の短いオペラから、シンフォニア、"Se mi danno il permesso"「もし、あなたが許してくれたら」 、”Ci sposeremo fra suoni e canti”「私たちは音と歌にかこまれて結婚します」。これが実にコミカルで面白い音楽。ちょっと調べたところ下記のサイトに解説がありました。

高砲おやじの気ままなブログ:チマローザ 「宮廷楽士長」

ハイドンは1890年代にエステルハーザでチマローザのオペラを13曲演奏した記録があるそうで、チマローザの音楽がハイドンの作曲にも影響を与えたものと思います。この砕けた音楽の面白さをマギーガンとバーガーが見事に表現。この曲をアルバムの終わりに持ってきた意図も伝わりました。

ウィリアム・バーガーとニコラス・マギーガンによるハイドン、モーツァルト、チマローザの3人の作曲家の作品を集めたアルバムでしたが、この楽しさは聴いていただかないと伝わらないでしょう。音楽の楽しさが詰まった好企画です。オペラが好きな人は必聴のアルバムでしょう。ハイドンのアリアは全曲[+++++]とします。



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【新着】ハリー・クリストファーズ/ヘンデル&ハイドン・ソサエティのラメンタチオーネ、86番など(ハイドン)

ちょっと仕事が忙しくて間が空いてしまいました。今日は新着CD。

HarryChristophers26_86.jpg
TOWER RECORDS / amazon / HMV&BOOKS onlineicon

ハリー・クリストファーズ(Harry Christophers)指揮のヘンデル&ハイドン・ソサエティ(Handel and Haydn Society)の演奏で、ハイドンの交響曲26番「ラメンタチオーネ」、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲3番、ハイドンの交響曲86番の3曲を収めたアルバム。ヴァイオリン協奏曲のソロはアイスリン・ノスキー(Aisslinn Nosky)。収録は2017年1月27日、29日、ボストンのシンフォニーホールでのライヴ。レーベルはCORO。

ハリー・クリストファーズとヘンデル&ハイドン・ソサエティはこのところハイドンの初期の交響曲とパリセットの交響曲をセットにしたアルバムをシリーズ物としてリリースし続けています。その最新盤が今日取り上げるアルバム。このシリーズはこれまで2度ほど取り上げています。

2016/05/01 : ハイドン–交響曲 : 【新着】ハリー・クリストファーズ/ヘンデル&ハイドン・ソサエティの昼、雌鶏など(ハイドン)
2013/09/26 : ハイドン–交響曲 : 【新着】ハリー・クリストファーズ/ヘンデル&ハイドン・ソサエティの朝、熊など(ハイドン)

それぞれアメリカの古楽器によるハイドンの交響曲の演奏の現在を伝えるなかなかのものでした。このシリーズ、プログラミングについては明確な企画意図がありそうですね。これまでの演奏から今回のアルバムまでの曲構成を整理してみましょう。

交響曲6番「朝」、ヴァイオリン協奏曲VIIa:4、交響曲82番「熊」(2013年)
交響曲7番「昼」、ヴァイオリン協奏曲VIIa:1、交響曲83番「雌鶏」(2016年)
交響曲8番「晩」、ヴァイオリン協奏曲VIIa:3、交響曲84番(2017年)

そして今回のアルバムが、

交響曲26番「ラメンタチオーネ」、モーツァルトヴァイオリン協奏曲3番、交響曲86番(2017年)

ということで、この後パリセットの85番「王妃」、87番が来るのは確実でしょう。組み合わされる初期交響曲の方は44番「悲しみ」、49番「受難」と来るか、22番「哲学者」、31番「ホルン信号」と来るのか何となく楽しみです。間に挟まれる協奏曲はオケのヘンデル&ハイドン・ソサエティのコンサート・ミストレスのアイスリン・ノスキーがソロを担当するヴァイオリン協奏曲が続いていますので、こちらはモーツァルトのヴァイオリン協奏曲4番、5番というのが順当なところでしょう。このような企画ものの面白さを味合わせてくれる好企画ですね。

演奏の方も最初の方は硬さを感じさせるところもあったんですが、ここにきて響きの自然さが際立つようになり、いい感じになってきました。

Hob.I:26 Symphony No.26 "Lamentatione" 「ラメンタチオーネ」 [d] (before 1770)
この曲の刷り込みはハイドンにのめり込むきっかけとなったピノック盤ですが、ピノック盤に近い颯爽とした入りが好印象。速めのテンポで爽快感あふれる演奏。響きはピノックよりしなやかで、ファイやアントニーニらのようなキレキレな弾けた感じはなく、古楽器の響きの自然な美しさを生かした演奏。これまでリリースされた4枚の中では力が抜けて自然な美しさが聴きどころとなるまでの洗練を感じさせてきました。程よいしなやかさに、程よいアクセント。単調さはなく音楽がしっかり脈打ってハイドンの曲の面白さがいきいきと描かれます。
独特の美しいメロディーで知られるアダージョは、クリストファーズの自然なデュナーミクのコントロールによって淡々と演奏されることで、かえって深い情感を感じさせる秀演。このアダージョや哲学者の1楽章はシンプルな音形だからこそか、淡々とした演奏が深みを感じさせます。よく聴くとオケのパート間の音量バランスや溶け合うような響きが緻密なコントロールによって生まれていることがわかります。凛とした美しいいメロディーから時代の気配が立ち上ります。まさに至福のひととき。
意外に良かったのが終楽章のメヌエット。仄暗い短調のメロディーを適度な緊張感と透明感の心地よいバランスでまとめた演奏。そしてトリオではセンス良く力を抜いてメリハリをつけます。流れの良さと響きの自然さが際立つ見事なコントロールで曲をまとめました。

続くモーツァルトも基本的に外連味なく素直にまとめた演奏ですが、同様にバランスよくしなやかさで聴かせる演奏ですが、古楽器の響きの美しさが抜きん出ているので聴きごたえ十分。アイスリン・ノスキーのヴァイオリンも流石にこのオケのコンサート・ミストレスだけあって見事な調和。協奏曲のソロとしてはもう少し踏み込みを期待したいところもありますが、ソロの存在感ではなくアンサンブルの楽興で聴かせるという珍しい例として悪くありません。ライナーノーツに写るノスキーの姿はちょっとパンクロッカー風ですが、その姿でオーセンティックな響きの魅力を繰り出すという存在がパンクなのでしょう(笑) これはこれで楽しめる演奏でした。

Hob.I:86 Symphony No.86 [D] (1786)
さて、期待の86番。ラメンタチオーネの演奏から想像するに、悪かろうはずはありません。序奏はアッサリした感じも残しながら、響きの美しさで聴かせる演奏。主題に入ると予想通り速めのテンポで畳み掛けるようにグイグイいきます。やはりこの曲はリズムのキレが最もインパクトがありますね。起伏も見事について素晴らしい躍動感に包まれます。速めでキレのあるリズムの連続による血湧き肉躍る陶酔感。この曲に仕込まれたハイドンの機知を見事に汲み取り、様々な楽器が代わる代わるにリズムを打っていく見事な連携。ディティールも何気に凝ったところも散りばめられ、一筋縄では行かないところを印象付けます。1楽章の見事さにすっかり呑まれました。
続くラルゴもアッサリしなやかながら濃い情感をまといます。速めのテンポによる見通しの良さも併せ持ち、続くメヌエットでは、その見通しの良さを保ちながらダイナミックに弾みます。響きの余韻を味わいながらの重なる響きとのコントラストを楽しむ余裕があります。そしてトリオでのコミカルな展開でスッと力を抜いて再びダイナミクスに圧倒される見事な構成。一貫した推進力。
このアルバムの最後を飾るフィナーレはこのオケの機能美を見せつける素晴らしい展開。ハイドンのフィナーレはこうでなくては! 各パートのソロのふわりとした軽さとオケの全奏部の重厚感の対比をくっきりと浮かび上がらせながら頂点に向けて盛り上がっていく快感。強奏部分でもフォルムの美しさを保っているのが完成度の高さを印象付けます。最後は見事にフィニッシュ。これは名演ですね。

ハリー・クリストファーズと手兵、ヘンデル&ハイドン・ソサエティによる交響曲集の4枚目ですが、ここにきて演奏レベルが上がって、これまでの4枚の中では一番の出来。昨今古楽器、あるいは古楽器風の演奏も少なくありませんが、アントニーニやファイやアーノンクール、ピノックなどそれぞれに個性的な響きを持つ中、このアルバムの録音会場となったボストンのシンフォニーホールの響きの良さも手伝って、オーソドックスなタイプの演奏の中でも、最も聴きやすい録音の名演奏盤というのがこのアルバムの位置づけでしょう。もちろんファイやアントニーニもいいんですが、この演奏を聴くとハイドンの曲の純粋な良さを味わえる気がします。評価はハイドンの両曲とも[+++++]とします。

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Author:Daisy

ハイドン(Franz Joseph Haydn)の膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。私はなぜハイドンにはまったのか?

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所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものはリスト冒頭に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

登録曲数:1,365
登録演奏数:11,529
(2019年3月31日)
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