ピエール=アンドレ・ヴァラド/東響の「プリ・スロン・プリ」(サントリーホール)

昨日9月1日(土)はチケットをとってあったコンサートへ。

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サントリーホール:サマーフェスティバル2018 野平一郎がひらく 《フランス音楽回顧展Ⅰ・Ⅱ》

いつものようにコンサート会場で配られるチラシを見てチケットをとったもの。普段ハイドンばかり聴いているわけですが、現代音楽は嫌いではなく、、、というより結構好きで、武満、デュティユー、メシアンとアルバムも結構集めたりコンサートにも出かけています。中でも武満と並んでブーレーズは好きな作曲家でたまにアルバムを手に取りハイドン脳の初期化の為に聴いています。ハイドンもアルバムで聴くよりコンサートの方が面白いのは言うまでもありませんが、現代音楽、とりわけブーレーズは多くのパーカッションが散乱するように音を発するため、コンサートで聴くほうが100倍面白いわけです。

2015/07/02 : コンサートレポート : ロト/読響の十字架上のキリストの最後の7つの言葉(サントリーホール)
2013/05/05 : コンサートレポート : 【番外】ラ・フォル・ジュルネで衝撃のブーレーズライヴ

そのことを身をもって体験したのは2013年の・フォル・ジュルネ音楽祭で聴いたアンサンブル・アンテルコンタンポランのコンサート。特にシュル・アンシーズ(3台のピアノ、3台のハープ、3台の鍵盤打楽器のための)は圧巻。とてもライヴとは思えぬ超絶的に精緻な演奏に驚いたものです。

と言うことで、ブーレーズの代表作の一つであるプリ・スロン・プリが取り上げられると言うことで迷わずチケットをとった次第。しかもこのプリ・スロン・プリ、日本初演は1993年若杉弘指揮の都響で、それ以来25年ぶりの日本再演と非常に貴重なコンサートとのこと。

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チケットをとったのはブーレーズ目当てでしたが、このコンサートはサントリーホールが主催するサントリーホールサマーフェスティバル2018という一連のコンサートのうちの一つ。このフェスティバル、8月22日から9月1日までの開催で、その3本柱の企画のうちの1つがザ・プロデューサー・シリーズということで、今年はピアニストで作曲家の野平一郎がプロデユーサーとなり、自作オペラとフランス音楽回顧展ということで3つのコンサートをプロデュース。その中の一つで、フェスティバルの最終日のコンサートがこの日のコンサートというわけです。

この日のプログラムは下記の通り。

《フランス音楽回顧展Ⅱ》現代フランス音楽の出発点〜音響の悦楽と孤高の論理〜

ラヴェル(ピエール・ブーレーズ編曲):「口絵」 ※日本初演
フィリップ・ユレル:「トゥール・ア・トゥールⅢ」〜レ・レマナンス〜 ※日本初演
ピエール・ブーレーズ:「プリ・スロン・プリ」〜マラルメの肖像〜

指揮:ピエール=アンドレ・ヴァラド(Pierre-André Valade)
ソプラノ(プリ・スロン・プリ):浜田理恵
管弦楽:東京交響楽団

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指揮のピエール=アンドレ・ヴァラドは全く初めて聴く人です。1959年フランスのリヨンとボルドーのちょうど間にあるコレーズ(Corrèze)の生まれで、現在はコペンハーゲンのアテラス・シンフォニエッタの客演指揮者、リヨンのアンサンブルオルケストラル・コンタンポランの首席客演指揮者で現代音楽の指揮には定評のある人とのこと。
プリ・スロン・プリでソプラノを歌うのは浜田理恵。こちらも初めて聴く人ですが、藝大卒でフランス在住、ヨーロッパを中心に活動する人で、新国立劇場やN響との共演も多いとのこと。
オケは最近ジョナサン・ノットの振るコンサートでおなじみになりつつある東京交響楽団。東響の現代音楽はジョナサン・ノットがアンサンブル・アンテルコンテンポラン出身だけに、悪かろうはずもなく、以前に聴いた細川俊夫の「嘆き」は緊張感に満ちた素晴らしい演奏でした。

ということで、いつも通り開場時間にサントリーホールに駆けつけます。土曜日のコンサートで開演は18時、開場は17時20分ですが、開場時間にはホールの前の広場にお客さんはまばら。ハードなプログラムゆえ満席にはならないだろうと思っていましたが、結果的には入りは3〜4割といったところでしょうか。これまで私が通ったサントリーホールのコンサートでは最もお客さんの入りの悪いコンサートでした。カンブルランと読響のメシアンのアッシジの聖フランチェスコが売り切れていたので現代音楽もまんざらではないと思っていましたが、指揮者の知名度が影響したのでしょうか。

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とりあえず、いつものように駆けつけ一杯で脳神経を鋭敏な状態に覚醒し(笑)、ハードなプログラムに備えます。この日の席は好きなRA席の1列目。大編成のオケのティンパニの真上で、指揮者の指示もオケの奏者の様子も俯瞰できる現代音楽を聴くには絶好の席。特にステージの後ろ半分は多数の打楽器群が並び壮観です。この日のプログラムは難曲続きですので、ステージ上には多数の奏者が上がって楽器の調子を確かめていました。

開演時間になると、団員が登壇。1曲めのラヴェルからフルオーケストラ。ラヴェルの作品ですが、原曲は2台5手という特殊な構成のためのピアノ曲で、それをブーレーズが編曲したもので、この演奏が日本初演。わずか2分の短い曲ですが、ブーレーズらしくラヴェルの音楽の現代性をフルオーケストラに置き換え、音色に関する鋭敏な感覚でまるでブーレーズの曲のように響かせます。あっという間に終わりますが、しっかりと最後に振り切れるあたりの構成も見事。東響の奏者も精緻な演奏で非常に緻密な演奏でした。あっという間のことに観客があっけに取られる感じ。

一部の楽器が入れ替わり、続いてフランスの現代作曲家、フィリップ・ユレルの作品。こちらは20分くらいだったでしょうか。曲も作曲家も全く予備知識なく、プログラムを頼りに聴きましたが、ストイックに前衛がほとばしる一方、金管陣の大音量が続く部分が多く、少し硬直した作風に聞こえました。演奏の方はピエール=アンドレ・ヴァラドがうまく東響の奏者に指示を出す一方、大きな流れよりもディティールを合わせに行く部分に集中している感じで、微視的な印象が強い演奏でした。オケも精度は十分でしたが曲の理解が不十分なこともあり、ちょっと消化不良。

休憩を挟んでいよいよブーレーズ。手元にはブーレーズの振るアンサンブル・アンテルコンタンポランのアルバムがあり、軋むような響きと、宇宙の彼方の星の響きが無作為に飛び交うような空間を意識させる見事な演奏が印象に残っています。

冒頭の楔を打つような響きでハッとさせられたと思うと、全くメロディーにならないような断片をオーケストラの楽器が指揮者の指示で組み立てていくところを視覚的に体験するようで非常に面白い。オケを上から俯瞰しながら、特に打楽器が繰り出す様々な単体の音がきがどのように連携して、響きを形作るのかがよくわかりました。

曲は5部構成で、マラルメの詩を歌うソプラノが絡みますが、プログラムに載せられた詩の意味からブーレーズがどうしてこの響きを想像したのかまるで不可解。ハイドンの時代からは想像だにできない隔たりがありますが、人間の想像力は感情を通り越して、現代芸術の極北に達した感を強く抱いた次第。ただ、その音楽はハイドンの時代と同様、楽譜に落とされ、奏者はその楽譜と指揮者の指示に忠実に従って響きを作って行くところは同じ。違いは感情を音楽にのせることはなく冷徹なまでに部品に徹するように演奏すること。この冷徹なまでに忠実な演奏を汗水たらして熱演するところに聴きどころがあるのも同じなんですね。

ブーレーズの演奏が精緻を極めた作曲家の脳内のイメージの忠実な再現だとすると、この日のピエール=アンドレ・ヴァラドの演奏はブーレーズのイメージのいわば複製画のような印象。複製者の創意が滲み出たものとは違い、筆の勢いが少し落ちてしまった複製のよう。この超緻密かついくつ音符があるのかわからないような超絶的に複雑な曲を、そもそも作曲家のイメージ以上に筋を通した音楽にまとめることはそもそも無謀だと思えるほど。東響のメンバーは技術的にはかなり頑張って演奏していて、生の迫力を存分に味わえましたが、音楽の流れはブーレーズのアルバムと比べて聴いてみるとかなり違う印象を持つのは仕方のないところ。楽器の中ではピアノがリズムをリードするようなキレを感じさせられなかったのが大きかったでしょうか。一方、ソプラノの浜田理恵は声の艶やかさ、星稜ともに素晴らしく場内を圧倒する素晴らしい歌唱でした。

全体は5部に分かれ、最後の第5部の終結の爆音の響きが消え去ると、1時間以上のこの大難曲の熱演に会場からは熱い拍手が送られ、ブラヴォーが飛び交いました。色々書きましたがコンサートとしては大満足。まずはこのフェスティバルを運営するサントリーホールの英断、野平一郎の好企画、この日の演奏者のメンバーの努力を考えると、素晴らしいコンサートだったと言えるでしょう。この曲を生で聴けるのは国内では25年ぶりだと思うと、実に貴重な機会だったわけです。

帰って、コンサートのことを思い出しながら、ブーレーズ盤を聴きつつ記事をまとめる幸せな時間を過ごしました。またハイドン生活に戻ります(笑)

(参考アルバム)
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TOWER RECORDS (Boulez 20th Century) / amazon / amazon(Boulez 20th Century)



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ロト/読響の十字架上のキリストの最後の7つの言葉(サントリーホール)

昨日7月1日は、読響のコンサートにサントリーホールへ行ってきました。

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読売日本交響楽団:第550回定期演奏会

昨年末N響で第九を振って、日本でもちょっとメジャーになったフランソワ=グザヴィエ・ロト。その話題のロトが読響に客演しハイドンの十字架上のキリストの最後の七つの言葉を振るということでチケットをとってあったもの。もちろんハイドン目当てもあってこのコンサートのチケットをとったんですが、実はハイドン以外もブーレーズのノタシオンにベルクのバイオリン協奏曲と魅力的なプログラムということで、正直にいうと本当はブーレーズ目当てでとったもの。

当ブログのコアな読者の皆さんならご存知のことと想いますが、ブーレーズとかデュティユーとかメシアンとか嫌いではありません。数年前のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンで来日したアンサンブル・アンテル・コンテンポランの精緻な演奏に圧倒されて以来、ブーレーズにも目がありません。ハイドンは録音でもそこそこ楽しめますが、ブーレーズの生の演奏の衝撃は録音とは異次元でした。キリスト教徒が実は仏像も大好きみたいな変な流れになってしまいましたが、もちろんロトのハイドンとはいかなるものかという興味もあります。

いつもながらギリギリまで会社で仕事と奮闘しつつ、エイやと仕事をぶん投げサントリーホールに向かいます。こうした流れが定着しているせいか、嫁さんがホール内のドリンクコーナーでサンドウィッチと赤白ワインを注文して待っててくれます。

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開演まであまり間がないのでサンドウィッチをワインでさらりとかきこんで、いざ座席へ。

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座席は最近定番のRA席の1列目。オケを上から俯瞰できるお気に入りの席です。ステージ上には1曲目のブーレーズのノタシオンに合わせて大オーケストラの布陣。特に後方にパーカッション群がずらりと並び壮観です。

ほどなく開演時間となり、オケのメンバーが入場してきます。この日の観客の入りは6割ほどでしょうか、読響にしては珍しく空席が目立ちます。スクロヴァチェフスキのブルックナーなどでは満席となりますので、やはり現代音楽とハイドンでは興行的にはなかなか厳しいのでしょうか。

オケと大勢のパーカッション担当が入場したところで、フランソワ=グザヴィエ・ロト登場。気のいいフランスのおじさんという感じ。派手な色のネクタイにスーツというあんまり指揮者っぽくないいでたちで、ブーレーズの超巨大な指揮者用楽譜の前に立ち、指揮棒無しで振り始めます。

解説によればノタシオンはもともと1945年にピアノのための12のノタシオンが作曲され、それから31年後の1976年、バイロイトで指輪を振ったブーレーズはノタシオンにオーケストレーションを施すことを思い立ち、1978年に1番から4番を完成、その後1984年に改定、また最後に7番が加わり5曲となったもの。作曲者により1、7、4、3、2あるいは1、3、4、7、2の順番で演奏されるよう推奨され、この日は前者での演奏。

ロトは大きな身振りでオケに指示を出しながらブーレーズの精緻すぎる楽譜を巧みに音にしていきますが、冒頭から読響はちょっとリズムが重め。ただしRA席とオケを上から俯瞰するように眺めながら各楽器が巧みに音を紡いでゆく様子を見るのはまことにスペクタクルで、実に興味深い。各楽器が決して同じフレーズを演奏しないのにリズムの骨格だけは共有しながら巨大な音楽を作っていく、ブーレーズ独特の音楽の人間離れした造りは圧巻。音だけで聴くのとは別格の面白さです。やはりアンサンブル・アンテル・コンテンポランの研ぎたてのカミソリのような超精緻な演奏の印象が耳に残っているので、各奏者のわずかな入りのばらつきやキレきらないところが耳についてしまいます。それでも曲が進むにつれて、熱気と殺気のようなものをロトが引き出し、最後の曲を終えるクライマックスでは風圧のような迫力を伴ってオケが炸裂。生演奏ならではの迫力を味わえました。

もちろん少々入りの悪い会場からも万雷の拍手。ブーレーズがわかるコアなお客さんだからでしょうか、読響メンバーの熱演をたたえていました。いやいや、この曲を演奏するのは並のことではありません。ロトも読響には前月、幻想交響曲で初登場とのことですが、続いてブーレーズを持ってくるとはあっぱれです。

ステージ上は次のベルクのヴァイオリン協奏曲に向けて配置をかなり修正します。ヴァイオリン独奏は郷古廉(ごうこ すなお)さん。この曲も生で聴くのは初めて。録音ではクレーメル/コリン・デイヴィス盤、スターン/バーンスタイン盤、ブラッハー/アバド盤などを愛聴しています。録音ではかなり静謐で精緻な印象を持っていたのに対し、意外と大きな音量でグイグイいくのに最初は面食らいました。精緻さという狙いではなくかなり雄弁。ソロの郷古さんも悪くありませんが、オケの雄弁さにちょっとインパクト負けしていなくもない感じ。透き通るような高音の音色で最後は天上に昇華していく様子は流石なところ。もちろん拍手喝采に包まれますが、ロトはさらりとかわして引っ込んでしまいます。

休憩を挟んで、いざハイドンです。

前半のステージいっぱいに配置されたオケとたくさんのパーカッションが休憩時間いっぱいを使って片付けられ、休憩終了間際に、ステージ中央部に小さくまとまった小編成オーケストラに配置が修正されます。よく考えるとプログラムの前半に大編成オケによる難曲2曲、そして休憩後は小編成オケによるハイドンと、普通はあまり組まないプログラム。後半迫力不足に感じるリスク大な構成です。

しかし、その心配は杞憂でした。ロトが組んだこのプログラムの真意に観客もすぐに気付いたでしょう。

序奏が始まるとすぐに、実に濃密なロトの音楽に釘付けになります。大きなアクションでオケを巧みに操りながら、このハイドンの名作を劇的に、かつ洗練されたモダンな表現も織り交ぜながらグイグイ煽っていきます。この曲を完全に掌握して、音楽は迫力のみではないとでも言いたげにオケを実に巧みに操ってイキイキとした音楽を作っていくではありませんか。これには観客もいきなり引き込まれ、みなさんオケのリズムに乗りながらハイドンの書いた名旋律を味わっていました。すべて緩徐楽章の7つのソナタを緊張感を保ちながら、やはり雄弁にデュナーミクの幅を大きくとりながら描いていきます。先日聴いてよかったテルプシコルド四重奏団の演奏などは、抑えた表現の中に音楽が息づいていましたが、こちらは大きな抑揚によって陰影の濃いわかりやすい表情の音楽。くどい感じはなく、上品な深い色を主体としたダイナミックな構図の油彩のような表現。面白かったのはピチカートの印象的な第5ソナタ。ピチカートの音量を抑えると同時にテンポも落とし、その間に鳴るメロディーがくっきりと印象的に浮かびあがるところ。音色に関する鋭敏な感覚を垣間見せる表現でした。終盤の第6、第7ソナタでは大波のうねりのような盛り上がりを見せ、そして最後の地震では、炸裂ではなく古典の均衡の中での感興で聴かせるあたり、流石なセンスでした。この曲でもオケを俯瞰しながらき、金管、木管がどこで音を重ねてくるのか手に取るようにわかり非常に勉強になりました。地震の場面のみ活躍するティンパニも渾身の演奏。今日はいつもの岡田さんではありませんでしたね。

ロト渾身の十字架に会場は割れんばかりの拍手。いやいや素晴らしかった。前半のブーレーズ、ベルクはもっと素晴らしい演奏はあるでしょうが、後半のハイドンは滅多に聴く事ができない素晴らしい感動を味わわせてくれました。かなり個性的な音楽をつくってくる人ですが、フランス人らしい、カンブルランとはまた違ったエスプリを感じさせながらも、古典期としてもふさわしいバランス感覚があり、この人のハイドンは期待できます。放送で見た第九もよかったので、今度は天地創造か四季を聴かせてほしいものです。

正直ブーレーズ目当てでチケットをとりましたが、ハイドンに圧倒されたコンサートでした。

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演奏の余韻を楽しみながら外に出ると、涼しい風が吹いていました。いつものようにホール向かいのplatesでパスタセットを楽しんで帰りました。

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食べログ:プレーツアーク森ビル店

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カジュアルで美味しい良いお店です!

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tag : ブーレーズ ベルク サントリーホール

【番外】ラ・フォル・ジュルネで衝撃のブーレーズライヴ

5月4日、5日は有楽町の東京国際フォーラムに出かけ、久しぶりに「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」のいくつかのコンサートを聴きました。今年のテーマは「パリ、至福の時」。

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」2013公式サイト

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンには過去何度か出かけています。2007年のモーツァルトを特集した年には意外とハイドンもいろいろ取りあげられていたので、ミシェル・コルボのモーツァルトのレクイエム他、ハイドンのピアノトリオや、バリトントリオの演奏を生で聴く貴重な機会に恵まれました。残念ながらそのころブログをはじめていなかったのでレポートはありません。ブログに書いておくと自分にとっての記録にもなって意外と役立ちます。記憶は年々おぼろげになっていきますので(笑)。

最近は毎年行っている訳ではありませんが、ゴールデンウィークの都心でのイベントとしても定着しており、賑やかな雰囲気の中で音楽を楽しめるいいイベントです。

さて、今年のテーマはパリ。ハイドンのパリセットでもやればいいのにと思いつつも、そんなマニアックな設定があるはずもなく、特に出かける予定もありませんでした。ところがところが、ちょっと前の日経新聞にアンサンブル・アンテルコンタンポラン来日という記事をみてビックリ。日頃ハイドンを偏愛していることはもちろん、なぜかブーレーズも嫌いではなく(もちろん指揮ではなく曲の方)、アルバムもいろいろ集めています。これは聴かなくてはと、新聞記事を見た通勤電車の中から即座に嫁さんにメールを打って、取れるチケットを手配したという次第。ということで5月4日と5日は東京国際フォーラム巡礼となったわけです。

4日にチケットをとったのはこちら。

公演番号:243(ホールC 14:15〜15:00)
ブーレーズ:デリーヴ1(6つの器楽のための)
ドビュッシー:フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ
ミュライユ:セレンディブ(22人の音楽家のための)
スザンナ・マルッキ指揮 アンサンブル・アンテルコンタンポラン

アンサンブル・アンテルコンタンポランは1976年にピエール・ブーレーズが設立した、31人のソリストからなる団体。初代音楽監督がピエール・ブーレーズですが、現在の音楽監督はこのコンサートを指揮するスザンナ・マルッキ(Susanna Mälkki)。知らない人ですのでちょっと調べておきましょう。

スザンナ・マルッキは1969年ヘルシンキ生まれのフィンランドの指揮者です。ヘルシンキのシベリウス・アカデミーやロンドンの王立音楽アカデミーなどで学び、スウェーデンのイェーテボリ交響楽団の首席チェロ奏者などを務めた後、2006年からアンサンブル・アンテルコンタンポランの音楽監督を務めています。

アンサンブル・アンテルコンタンポランは、なんと今回18年振りの来日ということで、聴きにきた甲斐があるというもの。

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4日は定刻の少し前に東京国際フォーラムに到着。幸い天気に恵まれ東京国際フォーラムの中庭は大混雑。かなりの人出でした。

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今日の席はホールCの1階の左前の方。かなり左はじの方でしたが、音はダイレクトに届き、いい席でした。

ブーレーズ:デリーヴ1(6つの器楽のための)
1曲目からいきなりブーレーズ! 調べると1984年の作品。ピアノ、ヴィブラフォン、ヴァイオリン、チェロ、フルート、クラリネットのための曲。短い曲ですがブーレーズらしいきらめくようなめくるめく音の錯乱が印象的な名曲。ピアノとヴィブラフォンの透明感とフルートとクラリネットの鋭い響きが相俟って、細胞分裂の瞬間を音にしていくような響き。アンサンブル・アンテルコンタンポランのメンバーは流石に演奏し慣れている様子で、この難曲を精緻な響きで保ちます。家に帰ってブーレーズ自身の指揮のアルバムと比べても、ダイナミクスの多彩さ、響きの凝縮度、静寂感の表現が素晴しく、女流ながら精緻なスザンヌ・マルッキの指揮は見事なものでした。

ドビュッシー:フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ
つづいてドビュッシー。指揮はなし。アンサンブル・アンテルコンタンポランの3人のメンバーによる演奏。ドビュッシーの曲の中でも印象派的な部分と抽象的な響きの混じった曲。武満がドビュッシーを聴いて影響をうけたというのがわかるような曲。やはり現代曲の演奏で磨かれた3人の素晴しく精緻な演奏にホールの観衆は釘付け。濃密な音楽に酔いしれました。

ミュライユ:セレンディブ(22人の音楽家のための)
再びスザンヌ・マルッキが指揮台に立ちます。このプログラムのメインであろうミュライユと言う人の曲。解説によれば、1947年生まれのアメリカに拠点をおくフランスの現代作曲家。メシアンに師事していたそう。コンピュータによる音響分析により特定の音の倍音構成を和声に用いたり変調してポリフォニーに応用する「スペクトル楽派」の創始者の一人とのこと。打楽器群による多彩な響きとブーレーズを彷彿とさせる分裂と集散を繰り返しながらダイナミクスが波のように襲ってくる曲。ここでもアンサンブル・アンテルコンタンポランのライヴとは思えない精緻な響きに会場内が水を打ったように鎮まり、聴衆の脳髄に前衛が刺さりました。

お祭りムードのラ・フォル・ジュルネですが、Cホールの観客はアンサンブル・アンテルコンタンポランのあまりに見事な演奏にフランス現代音楽の底力に圧倒されたよう。素晴しい演奏でした。

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ホールの出口から中庭を望みます。ここはラファエル・ヴィニオリの素晴しい設計で空間構成も見事。ホールからの動線のスペクタクルさも楽しみの一つです。

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次にとったコンサートまでの間、中庭に出てみると、出店の一つの看板に「のび〜るアイス」と気になるコピーが。写真の右上に注目。

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これが「のび〜るアイス」。食べてみると確かに弾力があり、「のび〜る」に偽りなし(笑)

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私はもちろんHeineken。ブーレーズの余韻を楽しみます。

さて、もう一つチケットをとったのがこちら

公演番号224(ホールB7 16:00〜16:45)
トゥリーナ:交響的狂詩曲 op.66
ファリャ:恋は魔術師
アントニア・コントレラス (フラメンコ歌手)
海老彰子 (ピアノ)
オーヴェルニュ室内管弦楽団
ジャン=フランソワ・エッセール (指揮)

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こちらは、ファリャを生で聴いてみたくてとったもの。指揮者もオケも歌手もはじめて聴く人。ホールに来てみて思い出しましたが、ここは音楽用ではなく会議用のホールで音が全く響かず、ちょっと演奏者に気の毒。とくに情熱的なスペインの音楽を演奏するには向いていません。トゥリーナの曲はピアノ海老彰子さんの演奏が日本人離れしたラテン的な響きが印象的なものでした。オケと指揮は期待したほどホットではなく、むしろ理性的な演奏。そして恋は魔術師は圧倒的なプレゼンスのフラメンコ歌手登場で、独特のスペイン語の語りとクラシック歌手とはまったく異なる歌が面白かったです。ここでもエッセールの指揮はテンポ良くクッキリと理性的な演奏。ファリャ独特の闇の深さとゾクゾクするようなエキゾチックな魅力とは少々異なる演奏でしたが、やはりそこは生の魅力もあり、なかなか楽しめました。返す返すもこのホールで音楽をやるのは気の毒と感じたコンサートでした。

コンサートを満喫したところで、帰りは最近出来た東京駅前の旧東京中央郵便局を建替えたKITTEに寄ってみました。

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KITTE | キッテ オフィシャルホームページ

入ってビックリ。もの凄い人でした。2階以上に上がるエスカレータに長蛇の列。連休を手軽に都内で過ごす人たちの恰好のお出かけスポットだったわけですね。

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外から見るとこんな感じ。旧東京中央郵便局舎の部分が商業施設になり、上はJPのタワーオフィス。調べてみるとJPタワーは三菱地所設計。KITTEはなんと歌舞伎座を担当した隈研吾さんでした。隈さん流行ってますね。混んだエスカレーターに並ぶのもなんなので、1階でちょっとお土産を買っただけでしたが、巨大な吹き抜けを象徴的に設けて、商業施設としてはかなり大胆な空間構成のもの。透明感のあるミラーの反射や格子状のトップライトなど、光の扱いの上手い隈さんならではのところも見られ、商業施設としては流行りそうな感じがするいい施設。リンクを張ったホームページの方がちょっと魅力を伝えきれていない感じですね。

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そして4日の帰りは東京駅から。こちらも改装して綺麗になったんですね。最近東京駅に用事がなかったので、改装後の駅舎に入るのは初めての事。見上げて写真撮っちゃいました。



そして5日もアンサンブル・アンテルコンタンポラン目当てに東京国際フォーラムへ。この日は1つだけ。

公演番号342(ホールC 12:30〜13:45)
ラヴェル:序奏とアレグロ
ブーレーズ:シュル・アンシーズ(3台のピアノ、3台のハープ、3台の鍵盤打楽器のための)
スザンナ・マルッキ指揮 アンサンブル・アンテルコンタンポラン

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コンサートが12:30からということで、ちょっと早めに東京国際フォーラムについて、ガラス棟のエスカレーターを降りたところにあるカフェでサンドウィッチなどをつまんで腹ごしらえ。

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今日も好天に恵まれ、東京国際フォーラムは大繁盛。ラ・フォル・ジュルネも5日が最終日ですが、まだチケットが残った公演もあり、カフェの向かいのチケット売り場は沢山の人で溢れていました。

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今日もホールは響きの良いホールC。今日は1階右寄り後方で、眺めは全体が見渡せていい席ですが、音は昨日の方がダイレクトでいいですね。昨日のコンサートがあまりに良かったので今日も期待できます。

ラヴェル:序奏とアレグロ
昨日のドビュッシーも良かったんですが、このラヴェル、絶品でした。ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、フルート、クラリネット、ハープという8人のアンサンブルで奏でられるラヴェル。やはり腕利き揃いだけあって精緻な演奏から素晴しい色彩感が浮かび上がります。特にハープの美しさは素晴しかったですね。ヴァイオリンも管楽器もフランス風というのではなく、現代音楽をこなす正確な演奏からラヴェルの書いた音楽が鮮明に浮かび上がるという美しさの限りを尽くしたものでした。自然でかつ厳しさもあるなかから音楽の力が湧いてくる感じと言えばいいでしょうか。

ブーレーズ:シュル・アンシーズ(3台のピアノ、3台のハープ、3台の鍵盤打楽器のための)
ラヴェルの演奏でうっとりした余韻の中、ステージ上には3台のハープ、3台のピアノ、3組ヴィブラフォンなど打楽器がつぎつぎと配置され、場内がざわめきます。3台のハープとピアノが並ぶ姿は圧巻。そして、この大曲シュル・アンシーズ、超絶的名演でした。ブーレーズの真骨頂である人間の意図するものとは思えない膨大な数の音符の散乱、閃光のような鋭い爆発、響きの余韻を点描したように尾を引くトレモロ、三方から予期せず次々と押し寄せる衝撃。30分少しだたでしょうか、ただただ響きに打たれる至福の時。やはりスザンナ・マルッキのコントロールは秀逸。指揮棒なしで手を振るようすはブーレーズそっくり。そして3人のハープ、ピアノ、パーカッションの演奏も精緻の限りを尽くした見事なものでした。最後の一音の余韻が消えてしばらく凍り付いたように静まるホール。マルッキが手をゆっくりおろし場内から嵐のような拍手とブラヴォーの声。いやいや、生の音楽のパワーの凄まじさをまざまざと見せつけられました。横を見ると普段現代音楽など聴かぬ嫁さんもあまりのスゴさにあんぐり。これはすごいと圧倒されたようでした。

現代最高の現代音楽のもつパワーを再認識した次第。ハイドンが聴いたらどう思ったでしょうか。

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興奮冷めやらぬ中、ホールを後にします。ホールCからも中庭のようすが手に取るようにうかがえます。今日はこのコンサートで終わり。せっかくの有楽町なので、交通会館で地方物産、ロフト、イトシアの地下などを散策。昼前にサンドウィッチだけだったのでちょっとお腹が減ったので、イトシアの地下で食事を。

食べログ:うまやの楽屋

まずは生ですが、ここは一番搾りのフローズンを注文。ちゃんと飲むのははじめて。

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飲んでみると上の凍った泡とビールの温度差がかなりあり、何となく想像していたものとは違いました。涼感はありますが、ビール本来の美味しさが上がるものではないと、何となく納得。

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そして戴いたのは牛タン定食。麦飯で。仙台でいろいろ牛タンの美味しいものを戴いたので、本場の牛タン自体の旨味溢れる感じには一歩譲るものの、意外とみそ汁が美味しかったり、生卵がついて変化がつけられるなど独自の工夫もあり、悪くありませんでした。

このあと新宿に寄って買い物をして、連休の都内お出かけイベントは終了。新宿ではもちろんディスクユニオンでちょっと仕入れしました(笑)

ハイドンのブログなのに、なぜかブーレーズにノックアウトされたゴールデンウィークでした。

(参考盤)
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HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

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Daisy


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ハイドン(Franz Joseph Haydn)の膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。私はなぜハイドンにはまったのか?

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