ブラウティハムのハイドン&ベートーヴェン(トッパンホール)

5月15日はチケットをとってあったコンサートに出かけました。

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トッパンホール:ロナルド・ブラウティハム(フォルテピアノ) ―ワルトシュタインを弾く

ハイドン愛好家にはお馴染みのロナルド・ブラウティハム。スウェーデンのBISレーベルからフォルテピアノによるハイドンのソナタ全集をリリースしており、古楽器による演奏ながら現代ピアノに近い力感を感じさせる演奏が印象に残っています。記事には3度取り上げていますが、それも直近でも2012年と7年も前のこと。

2012/04/02 : ハイドン–ピアノソナタ : ブラウティハムの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」
2010/10/04 : ハイドン–協奏曲 : ブラウティハムのピアノ協奏曲集2
2010/10/03 : ハイドン–協奏曲 : ブラウティハムのピアノ協奏曲集

そのブラウティハムが来日してハイドンを弾くということで、私としては聴かないわけにはいかないコンサートということでチケットをとってあったもの。プログラムは下記の通り。

ハイドン:ピアノソナタ変ホ長調(Hob.XVI:49)
ベートーヴェン:ピアノソナタ第3番ハ長調(Op.2-3)
 <休憩>
ハイドン:ピアノソナタ変ホ長調(Hob.XVI:52)
ベートーヴェン:ピアノソナタ第21番「ワルトシュタイン」ハ長調(Op.53)

ハイドンとベートーヴェンのソナタを交互に4曲並べたものですが、これが非常によく考えられた選曲なんですね。

最初のハイドンのXVI:49が1789年から90年にかけて作曲されたものでハイドンのソナタの完成度が頂点を迎えようとしていた頃の作品。続くベートーヴェンの3番(Op.2-3)は1793年から95年にかけて作曲されましたが、Op.2の3曲はベートーヴェンが1792年にウィーンに出向いてハイドンに教えを受けた後に書かれたもので、3曲まとめてハイドンに献呈されたもの。いわばハイドンの音楽の影響を受けたベートーヴェンがそれに応えた回答。そして後半のハイドンのXVI:52は、ベートーヴェンが3番を書いていた頃、ヨーロッパの楽壇の頂点に上り詰め、第2回のロンドン旅行に出かけていた1794年から95年にかけてロンドンで書かれたハイドンのソナタの頂点。そして最後のワルトシュタインはベートーヴェン中期の傑作としてハイドンが最後の弦楽四重奏曲を未完のまま筆を置いた1803年から翌4年にかけて書かれたもの。ハイドンの2曲にもハイドン自身の飛躍が明らかに刻まれ、ベートーヴェンも同様。そしてそれぞれが互いに影響しあって、ハイドンが形式を完成させた古典期のクラヴィーアソナタをベートーヴェンが打ち砕くように発展させていく現場を一夜にして俯瞰できるようにした見事なプログラムといっていいでしょう。

ハイドンのソナタ全集とベートーヴェンのソナタ全集を録音したブラウティハムには、この偉大な2人の作曲家のこのころの火花散るように刺激しあっていたことが克明に見えたのでしょうね。

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いつものように少し早めにホールに着いたので、2階の「小石川テラス」で一休みしてからホールに向かいます。ここはゆったりできるのでお気に入りです。

約400席のホールは満員。この日の席は中央通路の少し前の右側。鍵盤楽器のコンサートは奏者の表情が見える右側の席がお気に入りです。定刻を少し過ぎてホールの照明が落ち、ブラウティハムが登壇。写真の印象通り、シルバーヘアの大柄な人。客席に向かって軽く会釈し、座るとすぐにハイドンの演奏に入ります。

コンサートの1曲めということで、まずは指慣らしのように意外と淡々とした演奏。録音の印象からするともう少しダイナミックで推進力がもう少しあったかしらなどと思いつつ聴き進めましたが、そんな中でも速いパッセージの音階の鮮やかさや大柄なブラウティハムの刻むリズムのキレの良さを感じさせるもの。プログラムによると楽器は2002年、ポール・マクナルティ作のものでアントン・ワルターの1800年モデルのレプリカ。ハイドンのソナタ全集で使用した楽器と音色は非常に似ていますが、同じポール・マクナルティ作のワルターのレプリカでも1795年モデルのレプリカでした。この楽器、絶対音量はともかくピアノに近いスケール感を感じさせる音量レンジがあります。ブラウティハムは譜面を見ながらの演奏ですが、驚いたのは自分で譜面をめくりながら演奏すること。繰り返しの部分で左手でページをさらりと戻すところなど、見事な譜捌き(笑)。そして演奏の揺るぎない安定感は流石一流どころ。フレーズごとに非常に丁寧にデュナーミクをコントロールしていながら、さりげなくこの曲のかっちりとした構成感を踏まえて軽々と弾き進める姿にホール中の視線が集まります。楽章の切れ目も間をおかず、さらりと次に入ります。2楽章のアダージョ・エ・カンタービレに入ると集中力が一段アップ。ホールに響き渡るフォルテピアノの美しいメロディーに酔いしれます。高音から低音まで音色が見事に揃い、そして繊細な響きは楽器に加えてブラウティハムのタッチのなせる技でしょう。特に弱音部の響きの美しさは絶妙。そしてフィナーレでは音階のタッチの軽やかさが見事。鍵盤のフリクションが軽いことで、音階はそよ風のごときしなやかな表情を持つことがわかりました。ただ、このハイドンでの軽やかさは前座でした。

続くベートーヴェンの3番はピアノでしか聴いたことがありませんでしたが、ピアノで聴くのとは全く異なる印象。一音一音の粒だちではなく一連の音符が流れるように線で聴こえてくるでありませんか。それもハイドンより複雑で音数の多い楽譜になって、音階の流れるようなタッチがさらに活きてきます。ブラウティハムはこの曲でも軽々と演奏していきますが、集中力はもう一段アップしてホール内がブラウティハムの紡ぎ出す音楽に完全にのまれます。この前のOp.2の1番と2番はよりハイドンのソナタに近い曲の作りですが、この曲によってベートーヴェンがハイドンの教えの殻を破ったことが、ハイドンの曲と並べて聴くことでよりハッキリとわかります。ピアノでの印象が強かった曲ですが、ブラウティハムの演奏、この時代の楽器で聴くことで、曲自体の位置付けも変わりました。ハイドンに比べると、より自在に、時に暴走するように展開するベートーヴェンの音楽が自然に心に入ってきます。この曲の刷り込みはケンプ。2楽章はケンプのしなやかなタッチによるピアノの磨かれた響きと比べてしまいますが、フォルテピアノだとメロディーラインよりも全体の響きの美しさに耳がいきますね。ブラウティハムは見事な弱音コントロールでこの楽章をこなします。スケルツォでフォルテピアノのダイナミクス一杯に使ったタッチを堪能。そしてフィナーレは形式的な美しさを極めたハイドンに対し即興的に展開するベートーヴェンの面白さが際立ちます。前半でハイドンとベートーヴェンの違いをハッキリと印象づけました。

休憩を挟んで、後半に入ります。後半の1曲めはハイドンのXVI:52。ハイドンのソナタの頂点たる曲です。コンサートでは昨年、ポール・ルイスのストイックなど迫力の名演を聴いています。ブラウティハムは前半よりさらに集中力がアップし、このハイドンは完璧な演奏。ハイドンのソナタの頂点にふさわしく楽器のキャパシティをフルに使ってメロディーの美しさ、構成の面白さ、美しく繊細なハーモニー、そして頂点にふさわしい風格を披露。息を呑むような至福のひとときでした。張り詰めた緊張感の糸が切れることなく、このソナタを演奏し終えた瞬間は、ハイドンという作曲家の成し遂げたものの大きさを感じる幸せな時間でした。

そして最後は今回のコンサートの目玉、ワルトシュタインですが、これが凄かった。速いパッセージの連続というか嵐のように音符が駆け巡る曲だからこそ、ブラウティハムはまるでビロードのように滑らかに、いともたやすく弾きこなしていきながら、うねるように大きな視点で曲をまとめ上げていく至芸。あまりのタッチの鮮やかさに目もくらむよう。展開の多彩さといい音数の多さといい、ハイドンのソナタとは次元の違う領域にベートーヴェンが到達したことを思い知らされるよう。そして、有名な2楽章は一つのテーマを執拗に繰り返していきながら陶酔の極致に至る長大なドラマを演じ切ります。ハイドンの粋な展開とは真逆の一点集中型の追い込みによる迫力は、ハイドンの時代の粋や華麗さや典雅さとは異なる領域に音楽を進めました。このワルトシュタインもピアノの印象が強かったんですが、ブラウティハムの演奏によって、フォルテピアノの軽やかな音階による演奏でこそ、音のながりとハーモニーが大局的な音楽の構成をより鮮明に浮かび上がらせることを確信しました。最後の一音が鳴り止まぬうちに盛大な拍手に包まれ、この日のコンサートが類い稀なものであったことをお客さんが共有することとなりました。

ブラウティハムが何度かカーテンコールに応えて、アンコール。ブラウティハム自身が悲愴ソナタのアダージョと話して演奏。テクニックが優ったワルトシュタインに対して、濃密な詩情を聴かせる選曲でした。もちろん拍手喝采に包まれる見事な演奏を楽しみました。

このコンサート、「キング・オブ・ザ・フォルテピアノ」と呼ばれているブラウティハムの凄さをまさに実体験した貴重な経験になりました。演奏の見事さもさることながら、このプログラムは見事。曲が生まれる時代を俯瞰し、そして2人の偉大な作曲家のしのぎを削る創作の現場を垣間見るような気持ちになる実によく考え抜かれたもの。幸せな気分に浸りながら帰途につきました。

またの来日を楽しみに待ちたいと思います。



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tag : ピアノソナタXVI:49 ピアノソナタXVI:52 ベートーヴェン

ポール・ルイス、圧巻のXVI:52(王子ホール)

母が亡くなってから葬儀の手配、通夜、告別式とドタバタとしているうちに過ぎてしまいました。不思議と音楽を聴いたりブログを書いていると気が紛れるため、告別式の翌日でしたがコンサートに出かけ、普段通り記事も書くことにしました。

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銀座王子ホール:ポール・ルイス ~ HBB PROJECT 全4回 Vol.2、3~

ポール・ルイス(Paul Lewis)は最近、ハイドンのソナタ集をリリースして、演奏も素晴らしいものでしたので、記事にも取り上げました。

2018/05/10 : ハイドン–ピアノソナタ : 【新着】ポール・ルイスのピアノソナタ集(ハイドン)

その、ポール・ルイスが来日し、HBBプロジェクトと銘打って、ハイドン、ベートーヴェン、ブラームスの曲を織り交ぜたプログラムのコンサートを開くということで、母の体調が悪くなる前にチケットを取ってあったもの。しかも、この日のプログラムはありがちなハイドンが前座ではなく、むしろハイドンがメインという感じ。ポール・ルイスのソナタ集はおそらく全集を目指すものとみられ、しかもインタビュー記事などを見るとハイドンには一方ならぬ思い入れがありそうですので、期待できますね。

ブラームス:7つの幻想曲集(Op.116)
ハイドン:ピアノ・ソナタ(Hob.XVI:20)
 (休憩)
ベートーヴェン:7つのバガテル(Op.33)
ハイドン:ピアノ・ソナタ(Hob.XVI:52)

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この日のコンサート会場の王子ホールは私は初訪。銀座の三越裏と超一等地にあり非常に便利。この日は葬儀翌日ということで仕事はお休みしておりましたので、いろいろ片付けて、18時の開場時間にはホールに到着。

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いつものように、ビールなどでサンドウィッチをいただき腹ごしらえ。お酒の種類もいろいろ選べ、サンドウィッチも悪くありません。大きなホールよりもコンサート前の時間は楽しめていいですね。

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王子ホールは客席数315席と約400席の紀尾井ホールより少し小さめのホール。この日はホールのほぼ中央といい席。1時間前の開場時間には客席に座る人もまばらだったんですが、開演時間になるとほぼ満席。私はポール・ルイスは初めてでしたが、このホールでは度々コンサートを開いているようで、日本でもおなじみの人だったようですね。



さて、開演時間になると、黒い衣装に身を包んだポール・ルイスが登場。客席に軽く会釈すると、1曲目のブラームスの7つの幻想曲集が始まります。ご存知のように私はブラームスは苦手。指慣らしというスタンスで聴き始めましたが、出だしからどうもタッチが重め。しかもフォルテの音が割れ気味で中音部の響きが濁って聞こえます。ハイドンのアルバムでもアクセントをはっきりつけてリズムを自在に操るのがポール・ルイス流とはわかっていましたが、なんとなくまだ本調子ではないのかという印象が残りました。またピアノの響きのエネルギーに対してホールが小さいのと、響きに癖があるように聞こえましたが、そうではないことが休憩後にわかりました。ブラームスのピアノ曲は不雑に入り組む音が夕陽を浴びて陰りを伴って流れていくような印象を持っていましたが、ポール・ルイスの演奏はかなりはっきりとしたアクセントとテンポをかなり動かしながらフレーズを再構築していくような風情で、ブラームスらしい陰りよりも鮮明なコントラストをつけていくことで明晰さを重視した演奏。これでされに歯切れが良ければ印象が違ったでしょう。

拍手に包まれ、2度ほど下手舞台袖と往復すると、すぐに2曲目のハイドン、しかも期待のハ短調ソナタ、XVI:20に入ります。ハイドンに入ってもタッチに軽やかさが伴いません。流麗なこのソナタですが、テンポが遅めだったからかどことなくぎこちなく繋がりが滑らかでない印象を残します。流麗さよりもアクセントをくっきりつけながら陰影をしっかりつけていくところはブラームスと同様。この曲は好きな曲だけに、どこか自分の中で理想的な音形をイメージして、それと比べて聴いてしまっているのかもしれませんね。そして美しいメロディーがきらめくアダージョでもゆっくり目でじっくりと描いていき、きらめきよりも陰影重視という感じ。曲のもつ美しい詩情に対し、峻厳な詩情を伴います。これはこれでなかなかのものですが、どうしてもタッチのキレがもう少しあればと思ってしまいます。フィナーレも本来のポール・ルイスのキレではなかったように感じましたが、快速テンポ見事なテクニックを披露して、前半を終わります。

なんとなく、ホールがピアノのエネルギーを処理しきれない感じと、響きの濁りが気になる前半でしたが、原因は調律だったように思います。休憩時間になると調律師が入り、ピアノの音階を入念にチェックしてチューニング。

そして、後半の1曲目はベートーヴェンの7つのバガテル。このベートーヴェンに入るなり、前半のタッチの重さが嘘のようにタッチがキレ、そしてルイスも神がかってきたようにオーラに包まれます。7つの小品からなる曲ですが、リズムと音形の面白さをベートーヴェンが意図したであろう響きから諧謔性を強調して、アクセントの面白さが際立つように仕立てます。タッチはキレキレ、そして響きも濁らず、強音も歪まずにホールに響きわたります。この時点で調律が原因との想像が確信に至ります。ポール・ルイスもホールの響きに反応して表現の起伏を大きくしていき、ピアノの響きを自在にコントロールする、所謂ゾーンに入った状態。曲が進むごとに、表現の角度を変えながらめくるめくようにアイデアを披露。習作のような作品の軽さにとどまらずフォーマルな気品を纏わせる表現力は圧巻。ホール内にも緊張感が満ち溢れルイスのタッチにお客さんが集中していました。5曲目のアレグロ・マ・ノン・トロッポに入ると諧謔な曲調をさらに諧謔に仕立て、快刀乱麻のタッチで魅了。そして終曲は5曲目以上にタッチが冴えピアノという楽器の放出するエネルギーの限りを尽くしたような終結。それまでポーカーフェイスだったポール・ルイスも最後の一音を放つ瞬間にどうだと言わんばかりに客席をギッと睨み返す見得を切ります。もちろん演奏の迫力に完全に圧倒されたお客さんからは万雷の拍手が降り注ぎました。

そして舞台袖に1度下がって再び登壇するなり、拍手を断ち切って、すぐに最後のハイドンに入ります。ベートーヴェンの最後の一音と韻を踏むようにハイドンのソナタの冒頭にエネルギーが引き継がれ、これまでに聴いたどの演奏よりもエネルギーに満ちた入り。この日はプログラム構成のみならず演奏自体もこの最後のハイドンがメインでした。ブラームスが完全に前座。このハイドンのXVI:52は決定的な名演でした。なんというエネルギー、なんという集中力、そしてなんという推進力。ハイドン作曲時はフォルテピアノの時代からブロードウッドのピアノへの変遷期。鍵盤楽器が放出するエネルギーに触発されて書かれたと思われるこのソナタが現代のコンサートグランドピアノとポール・ルイスという類まれな奏者を得て、時代を超えて迫力とは何かを表現してきました。誠に圧倒的な演奏に打ちのめされるよう。このソナタに込められたエネルギーに今更ながら気付かされた次第。そのエネルギーを冷ますように諦観に満ちたアダージョを挟んで、終楽章は連続する打鍵音のメタファーが交錯しながら快速テンポで展開する見事な構成に再びエネルギーを込めて、ソナタに命を吹き込みます。ポール・ルイスは完全に曲を掌握して全ての曲を暗譜で弾き切りました。もちろん会場からは嵐のようなブラヴォーが降り注ぎ、前半とは明らかに異なる興奮状態に。いやいや、本領発揮とはこのことでしょう。

何度かのカーテンコールの後にはベートーヴェンの6つのバガテル(Op.126)からNo.5、11のバガテル(Op.119)からNo.1と2曲のアンコールが披露されました。

前半からカーテンコール時もポール・ルイスは表情を変えずにいたんですが、流石に最後はほんのり微笑んで、特に後半の出来には満足していたことでしょう。アルバムで聴かれる魅力とはまた異なる、ライヴならではのポール・ルイスのハイドンの魅力がしっかりと脳裏に焼き付けられました。おそらくこの後続くであろう、ソナタのアルバムも一層楽しみになりました。

しばらくドタバタとしそうですが、なるべく普段通りにやっていきたいと思いますので、皆さまよろしく願いいたします。



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tag : ピアノソナタXVI:20 ピアノソナタXVI:52

【新着】小笠原智子のソナタ集(ハイドン)

またまた新譜が続きます。

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TOWER RECORDS / amazon

小笠原智子(Tomoko Ogasawara)のピアノによる、ハイドンのアンダンテと変奏曲(Hob.XVII:6)、ピアノソナタ(XVI:52)、モーツァルトの幻想曲(KV.475)、ピアノソナタ14番(KV.457)の4曲を収めたCD。収録は2017年1月2日から5日にかけてフライブルクのSWRスタジオでのセッション録音。レーベルは独Coviello CLASSICS。

こちらも最近手に入れたアルバム。奏者の小笠原智子さんははじめて聴く人。藝大卒業後渡独し、ベルリン芸術大学も卒業。活動はドイツやヨーロッパ中心のようで、ヨーロッパ各地でコンサートを開催しているほか、現在はフライブルク音楽大学ピアノ専攻科で教えているそうです。

なんとなく日本人の弾くハイドンは聴いておかなくてはということで入手したアルバム。しかも選曲はハイドンの名曲2曲にモーツァルトも名曲を揃えて意欲的な組み合わせ。虚心坦懐に聴きましたが、これがなかなか良かった。

Hob.XVII:6 Andante con Variazioni op.83 [f] (1793)
非常にリラックスした入り。もちろんそういう曲なんですが、鏡のように澄み切った心境を表すように冴え冴えとしたピアノの音が広がります。ピアノの高音域がくっきりと広がり、ピアノ響きの美しさだけでなく、そこでまさに弾いているような実体感もあるるなかなかいい録音。奏者の気負いのなさが音楽から伝わります。グールドではありませんが、かすかに歌うような音が録られているのが面白いところ。一音一音の響きは日本らしい端正なところもあり、輝きのある音色と相俟って凛とした空気を感じさせます。肉食系のヨーロッパの伝統の延長とは違う響き。その端正さがこの曲の孤高な感じとうまくマッチしています。音楽の重心は完全に高音寄りでキラメキ感のある演奏。後半の変奏に入って徐々に力感が増してくるあたりになると、ちょっと線の細さが気になりますが、それも前半から一貫したスタイルということでしょう。特段モードチェンジすることなく淡々とこなしていきます。終盤の込み入った部分ではちょっと音階の鮮やかさが陰るようなところもありますが、不思議と曲想には一貫性があり、凛とした雰囲気を保って終わります。

Hob.XVI:52 Piano Sonata No.62 [E flat] (1794)
先のアンダンテと変奏曲では高音寄りの音作りでしたが、ソナタの方はそれより意識してか低音を響かせてきました。この曲はやはりピアノの重厚な響きが魅力の一つですから、曲に合わせた音作りということでしょう。聴き進むうちに誰かの弾き方に似ていると思い始めましたが、マリア・ジョアン・ピリスでした。前曲よりも流れの良さと迫力を感じる演奏で、次々と展開するハイドンの音楽に合わせて変幻自在に表情を作っていくところなどかなりの表現力と唸ります。それでいて持ち前の端正な響きの美しさを持った音色で統一され、1楽章はなかなかの迫力で締めます。
続くアンダンテは小笠原さんのタッチの特徴がよく出た楽章。キラメクような高音と直裁なタッチによるハーモニーの重なりの端正な美しさで聴かせる楽章。力みなく冷静に一貫した音楽を紡ぎ出す落ち着いた演奏。音楽はフレーズごとに様々な表情を見せますが、奏者のしなやかで落ち着いた心情が一本筋を通しているのか、実に落ち着いた音楽が響きます。
フィナーレはこのアルバムの白眉。リズムのキレよく響きもよく通って複雑に絡み合うこの曲のメロディーを見事にコントロール。特に左手のリズムのキレの良さが曲に活気を与えて、最後までクリアな響きを維持しています。終盤踏み込んだ表現をいくつか聴かせて終わります。

この後のモーツァルトの幻想曲はじっくりと腰を落ち着けて安定感のある演奏。そしてソナタは感情の起伏にさらに踏み込んでモーツァルトのデモーニッシュな翳りと転がるような音階の美しさを織り交ぜながら見事に描いた演奏。アダージョの美しさは見事なもの。

まったく未知の小笠原智子さんのピアノによるハイドンとモーツァルトの名曲集。このアルバムを通して聴いてみると、録音を聴いているというより一夜のコンサートを聴いているような気分になります。ピアノの美しさや先鋭的な表現などではなく、ベテランピアニストならではのいぶし銀の至芸を聴いているように感じます。音楽は無理なくきっちりと表現し、力みなく、さりとて短調でもなく、聴き終わるとジワリと音楽の温かみが伝わってくるよう。このアルバムよりもテクニックのキレた演奏は色々ありますが、このアルバムでしか味わいがあることも事実。私は気に入りましたので、両曲とも[+++++]とします。

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tag : アンダンテと変奏曲XVII:6 ピアノソナタXVI:52

山名敏之のカプリッチョ「豚の去勢にゃ8人がかり」3種(ハイドン)

久々のCD。しかも国内盤です!

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TOWER RECORDS / amazon / ローチケHMVicon

山名敏之(Toshiyuki Yamana)のフォルテピアノによるハイドンのカプリッチョ「豚の去勢にゃ8人がかり」(Hob.XVII:1)、クラヴィコードによるクラヴィーアソナタ(XVI:52)、ハープシコードによるカプリッチョ「豚の去勢にゃ8人がかり」、クラヴィコードによるクラヴィーアソナタ(XVI:20)、クラヴィコードによるカプリッチョ「豚の去勢にゃ8人がかり」などを収めたCD。アルバムタイトルは「ハイドンと18世紀を彩った鍵盤楽器たち」。収録は2012年3月13日から15日、大阪は関空のそばの泉佐野市にあるエブノ泉の森ホールでのセッション録音。レーベルは浜松市楽器博物館コレクションシリーズで知られるALM RECORDS。

ふと手に入れたアルバムですが、内容をよく見てみるとハイドンのソナタをフォルテピアノ、クラヴィコード、ハープシコードで弾き分ける、なかなか含蓄あるアルバムでした。

奏者の山名敏之さんは藝大ピアノ科卒業後、オランダのスウェーリンク音楽院などでフォルテピアノを学んだ人。録音時は和歌山大学教育学部の教授です。2009年から2012年まで「ハイドン・クラヴィーア大全」というシリーズでハイドンのクラヴィーア独奏曲をクラヴィコード、ハープシコード、フォルテピアノの3種の鍵盤楽器で演奏したそう。いわば日本のトム・ベギンといえばハイドン通の皆さんにはわかりやすいでしょうか。

このアルバムはそうした活動の成果として録音されたものと思いますが、選ばれた曲と楽器が変わっています。冒頭の収録曲を改めて噛み砕いてみると、フォルテピアノ、ハープシコード、クラヴィコードの3種の楽器で弾き分けられたのは、カプリッチョ「豚の去勢にゃ8人がかり」という不思議な名前の曲。その間にクラヴィコードでXVI:52と、XVI:20という名ソナタのクラヴィコードによる演奏が挟まれているという構成。特にカプリッチョは当ブログで以前取り上げた時には大宮真琴さんの「新版ハイドン」に従い「8人のへぼ仕立て屋に違いない」という名前で掲載していましたが、このアルバムのライナーノーツの記載によればそれは誤訳で、歌詞の意味を踏まえると「豚の去勢にゃ8人がかり」が正しい訳とのことです。

このアルバムの解説は奏者の山名さんによるものですが、この意欲的なアルバム構成の背景がよくわかる力作。量といい内容といいアルバムの解説というよりは論文と言ってもいいもの。デザインを専攻している方ならばよくご存知のドナルド・ノーマンの名著「誰のためのデザイン?」の記述で有名になったアフォーダンスという概念を軸に、フォルテピアノ、ハープシコード、クラヴィコードというハイドンが作曲していた時代に使われた楽器そのものが、作曲、作品にどのような影響を与えたか、そして当時作曲に使われていたクラヴィコードの特徴がハイドンの音楽に与えた影響などについて各楽器のフリクションやダンパーペダルなど楽器のメカニズムに関する分析をもとに影響を記述したもの。純粋に音楽を楽しみたい方にはちょっとトゥー・マッチな内容かもしれませんが、これはこれで読み甲斐があるもので、これだけでもアルバムを手に入れる価値があるかもしれませんね。

さて、このアルバムのキーになっている「豚の去勢にゃ8人がかり」という曲はこれまで4回取り上げています。

2017/06/12 : ハイドン–ピアノソナタ : 【新着】フランチェスコ・コルティのソナタ集(ハイドン)
2017/05/12 : ハイドン–ピアノソナタ : フランツペーター・ゲーベルスのソナタ集(ハイドン)
2013/01/27 : ハイドン–ピアノソナタ : デレク・アドラムのクラヴィコードによるソナタ集
2010/09/27 : ハイドン–ピアノソナタ : ジョアンナ・リーチのスクエアピアノ2枚目

この中でも、デレク・アドラム盤は私がクラヴィコードという楽器へ開眼するきっかけとなったアルバム。音量が極端に小さく、響きも後年の楽器より貧弱な楽器の知る人ぞ知る素晴らしさに目覚めさせてくれたアルバムです。そして、今日取り上げるアルバムも、クラヴィコードによる演奏が含まれているということが手に入れようと思った直接の動機。ということで、珍曲「豚の去勢にゃ8人がかり」の3つの楽器による弾き分けと、有名な2つのソナタのクラヴィコードの演奏の出来が気になるわけですね。

Hob.XVII:1 Capriccio "Acht Sauschneider müssen sein" 「豚の去勢にゃ8人がかり」 [G] (1765)
まずは挨拶がわりか、冒頭にはこのカプリッチョのフォルテピアノによる演奏が置かれています。フォルテピアノは1782年製アントン・ヴァルターの複製品で2002年ロバート・ブラウン作のもの。曲はユーモラスなメロディーがロンド形式で何度も転調しながら現れるもの。3つの楽器の中では最もダイナミックレンジの広いフォルテピアノの特徴を生かして、テンポよく快活に入り、徐々にダイナミックに変化していくところが聴きどころでしょう。終盤はフォルテピアノらしからぬ迫力を帯びて堂々としたもの。ユーモラスさや諧謔性よりも楽器を鳴らしきることに主眼を置いているような演奏。録音は浜松市楽器博物館コレクションシリーズで手慣れているだけに楽器の魅力を伝えるいい録音です。

Hob.XVI:52 Piano Sonata No.62 [E flat] (1794)
続いてクラヴィコードによるソナタの演奏。クラヴィコードは1790年頃のJohann Bodechtel作の複製品で2002年フランスのクリストファー・クラーク作のもの。このソナタはご存知のとおり、ハイドンのソナタの総決算のような曲。クラヴィコードで演奏した実際の音量はフォルテピアノよりもかなり小さいものでしょうが、録音だけにレベルを調整してフォルテピアノに近い音量で録られています。クラヴィコードは音量は小さいですが繊細な音色と音色の変化、ヴィブラートがかけられることなどが特徴であり、音量を気にせずに集中してきくと小宇宙的な世界を楽しめます。解説ではピアノやフォルテピアノが音を発するタイミングに集中して演奏するのに対し、クラヴィコードは音を鳴らし終わるタイミングに集中して演奏するという楽器の特性により、音を響かせるダンパーペダルなしでもこの壮麗なソナタを十分音を響かせて演奏できることに触れられています。そう言われて耳を澄ませて聴くと、なるほどそうした楽器の特性がこの曲の作曲にも影響していると思えてきます。演奏の方は絶対的なダイナミックレンジが狭いながらも小音領域での相対的なダイナミックレンジの広さで十分ダイナミックに聴こえ、ソナタの格に負けない風格ある演奏に聴こえます。山名さんの演奏は特に速い音階の鮮やかな指使いが印象的。前出のデレク・アドラムの演奏が楽器製作者らしく、クラヴィコードのちょっと落ち着かない音程の不安感を全く感じさせない絶妙なタッチと高潔な諧謔性を感じる芸術性の高さが素晴らしい演奏だったのに対し、楽器の弱点であるちょっとしたふらつき感と音域ごとの音色の違いをそのまま感じさせる面もあったのが惜しいところ。

Hob.XVII:1 Capriccio "Acht Sauschneider müssen sein" 「豚の去勢にゃ8人がかり」 [G] (1765)
続いてカプリッチョのハープシコードによる演奏。楽器は17世紀のルッカースの複製品で、1978年エジンバラのグラント・オブライエン製作のもの。ハープシコードさしい凜とした音色はこのユーモラスな曲の典雅な側面に光を当てます。今度は楽器自体もダイナミックレンジは逆に狭く音量のコントロール幅は狭い中、メロディーの表情で聴かせることになります。メロディーを奏でる高音域のクリアな響きの美しさは魅力的。この音色が古典期のハイドンの作品を妙にバロック風な響きに聴かせるのが面白いところ。

Hob.XVI:20 Piano Sonata No.33 [c] (1771)
今度はクラヴィコードによる中期の名ソナタの演奏。曲の格からいうとソナタ2曲が構成も緻密で構築感のある曲なんですが、フォルテピアノやハープシコードと直接響きを比較できる配置でクラヴィコードの響きを聴くと、直接的な響きの印象で少し聴き劣りする印象を持ってしまいます。演奏自体は悪くないんですが、楽器と曲の組み合わせは、少し無理があるように感じてしまいます。それだけ奇抜な組み合わせにチャレンジしているのはよくわかります。特にこの響きの美しい曲では、クラヴィコードの濁った響きが顔を出すところもあって惜しいところ。タッチの強さが音程に影響するクラヴィコードだけに、楽器に起因するのか、演奏の問題なのかはわかりません。演奏の質は高いものの、この曲の美しさを表現しきれていないようにも感じました。

Hob.XVII:1 Capriccio "Acht Sauschneider müssen sein" 「豚の去勢にゃ8人がかり」 [G] (1765)
最後はクラヴィコードで演奏したカプリッチョ。前のソナタではちょっと響きの濁りが気になったのですが、このカプリッチョでは不思議と気になりません。おそらくこの曲の曲想、音域、リズム、展開そのものにクラヴィコードの音色が合うのでしょう。実にしっくりとくる演奏で、クラヴィコードの不可思議な響きもこの曲のユーモラスさの演出に一役買っている感じ。この演奏でこのアルバムが締まりました。

このほか、XVI:20のソナタの自筆譜や初版譜に基づく1楽章の演奏が末尾に収められています。

山名敏之によるフォルテピアノ、クラヴィコード、ハープシコードでハイドンのクラヴィーア曲を弾き分けた好企画。このアルバム、フォルテピアノなどの楽器を演奏する方、研究者の方には論文や解説が大きな価値を持つものと映るでしょう。私にとっても、3つの楽器を弾き比べた音色とそこから浮かび上がる音楽の違いを楽しめるものとして実に興味深いアルバムです。演奏の出来については客観的に見るとフォルテピアノとハープシコードの演奏の面白さが逆に際立つもので、クラヴィコードの演奏では最後のカプリッチョでようやく合点がいきました。ということで評価は、フォルテピアノ、ハープシコードの演奏は[+++++]、クラヴィコードの演奏はカプリッチョが[+++++]、ソナタのXVI:52[++++]、XVI:20は[+++]としました。

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テレーズ・デュソーのピアノソナタ集(ハイドン)

なんだかピアノの響きにはLPが合うようで、ピアノソナタの名録音がつづきます。

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テレーズ・デュソー(Thérèse Dussaut)のピアノによる、ハイドンのピアノソナタ2曲(Hob.XVI:49、XVI:52)とファンタジア(Hob.XVII:4)の3曲を収めたLP。収録についてはネットで色々調べるとおそらく1972年にリリースされたもののよう。レーベルはARION。

こちらも先日ディスクユニオン新宿店で仕入れたもの。LP売り場は適度に分類されているんですが、交響曲や弦楽四重奏曲はハイドンのコーナーがあるもののピアノ曲はH前後のいろいろな作曲家のアルバムが混ざっており、LP時代には現在もCD化されていない未知のピアニストのアルバムがまだまだあるようで、売り場構成と相まって宝探し的楽しみがあります。このアルバムもそうして発見した一枚。

ジャケットをよく見ると古いスケッチですが、明らかにハイドンのような顔をした男がフォルテピアノの横に座り、鍵盤の前には貴婦人が立っているスケッチ。調べてみるとフランスの画家、ドミニク・アングルの1806年の習作「森の家族」とのこと。アングルは1780年、南仏のモントーバン(Montauban)生まれで、トゥールーズ、パリで学んだのち、当時の若手の登竜門だったローマ賞を受賞し、政府給費留学生として1806年にローマに渡ります。この絵がパリトローマのどちらで書かれたのかはわかりませんが、ハイドンはパリにもローマにも行っていませんので、実際の場面ではなく、当時ヨーロッパ中で知られていたハイドンから音楽を学んでいる姿を想像してスケッチしたものでしょうね。当時のハイドンの人気を物語るものでしょう。LPの魅力はこうしたジャケットにもあるわけで、たかが印刷ですが、なんとなくいい雰囲気が漂うわけです。

さて、本題に戻って、奏者のテレーズ・デュソーについて調べてみます。

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テレーズ・デュソーは1939年、ヴェルサイユ生まれのピアニスト。父は作曲家のロベール・デュソー(Robert Dussaut)、母も作曲家のエレーヌ・コルヴァティ(Hélène Corvatti)。フランスでマルグリット・ロンとピエール・サンカンにピアノを学び、ドイツではロシアのピアニスト、ウラディミール・ホルボフスキに師事しました。1957年には国際ARDコンクールで優勝し、以後はコンサートピアニストとして活躍、現代音楽にも積極的に取り組んできたそうです。近年は教育者として活躍しているとのこと。

Hob.XVI:49 Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
しっとりとしたタッチから流れ出る音楽。女性奏者らしいタッチの柔らかさが印象的。サラサラと流れながらも要所でのアクセントはくっきりとつけていきます。まさに気品に溢れた演奏。LPだからか研ぎ澄まされたピアノの音色の美しさが際立ちます。ハイドンの曲のメロディーの美しさも展開の面白さもアイデアの豊富さもすべて折り込んでさらりと美しくまとめいる感じ。ジャケットのスケッチが、女性ピアニストが演奏を終え、ハイドンが満足げに微笑んでいる姿にも見えてきました(笑) 実に品のいい演奏。
アダージョに入ると、実際の音量以上に静けさを感じさせます。楽章がかわって、気配も変わった感じ。聴き手を包み込むようなオーラが発散しています。心に沁み渡るような浸透力。仄暗い部屋の真ん中でスポットライトを浴びながら静かにピアノの響きと向き合うッデュソーの心境がつたわるようです。後半の左手のアクセントの連続は澄み渡るような美しさ。実際の力感ではなく、力感を表現するのは音の対比のみでできるのだとでも言いたげなほど、力が抜けているのに音楽の起伏は険しく感じられる演奏。美しすぎるアダージョ。
3楽章はメヌエット。ことさら演奏スタイルを変えることなくさらりと入り、淡々と進めていきます。キラメキを増す右手にと、絶えず静けさを保ち続ける冷静さのバランスが絶妙。

Hob.XVII:4 Fantasia (Capriccio) op.58 [C] (1789)
こだまのようにメロディーが響き合う小曲。テンポよくすすむ曲想にあわせてタッチのキレも一段と鮮やかになりますが、なにより素晴らしいのが可憐な雰囲気に満ちていること。やはりデュソーの演奏の特徴はこの気品にあります。時折前曲のソナタの演奏では見せなかった激しいアクセントが姿を現してちょっとびっくりしますが、この小曲でのメリハリをきっちりつけようということでしょう。最後の終わり方もちょっと驚く間をとって遊び心をみせます。最後まで透徹したタッチとしなやかさが感じられる名演奏です。

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Hob.XVI:52 Piano Sonata No.62 [E flat] (1794)
曲の構えが大きい分、ぐっと迫力を増した入り。最初の曲ではしなやかさが印象的だったんですが、この曲では力感は十分。素晴らしい迫力に圧倒されます。もちろん繊細な響きの魅力は保っていますので気品に満ちた迫力です。この曲ではやはり力感の表現がポイントとみたのでしょう、1楽章はしなやかな中にも迫力が満ち溢れ、力で押していくようなところもある演奏。
そしてアダージョも打鍵の余韻を実に品良く響かせます。余韻の隅々までしっかりコントロールされた演奏。ところどころでかなり力を抜いた音階をちりばめたり、アクセント、特に左手のメロディーをデフォルメしたりすることで、この優雅な曲にくっきりとした表情の変化をつけていき、音楽の彫りを深くしていきます。
終楽章のプレストへの入りが実に印象的。連続音から始まるこの曲の表情を見事に演じます。タタタタと続く音を実に表情豊かにしあげてきます。このセンスこそデュソーの演奏の真骨頂。全編に気品が満ちているのは音の響きに関する鋭敏な感覚があってのことでしょう。この曲でも一つとして同じ音をならさぬようタッチは非常にデリケート。速い音階の滑らかさとアクセントの対比も見事。突然テンポを落としたりとハイドンのしかけた機知にも呼応します。曲の読みが深いですね。この曲も見事の一言。

ディスクユニオンの売り場から掘り起こしたアルバムですが、これは宝物レベルの名盤でした。まったくしらなかったテレーズ・デュソーというピアニストによるハイドンでしたが、ジャケットに移る美麗な姿そのままの気品に溢れた名演奏でした。音に対する鋭敏なセンスを持ち合わせ、ハイドンのソナタから実に深い音楽を引き出す腕前の持ち主。1曲目のXVI:49ではそのセンスの良さで聴かせ、ファンタジアではタッチのキレのよさ、そして最後のXVI:52では迫力と彫りの深さで圧倒されました。LPのコンディションも悪くなく、美しいピアノの響きを堪能できました。評価は全曲[+++++]とします。

このところの陽気でだんだん目の周りが痒くなってきました。魔のシーズン突入ですね(笑) めげずに頑張ります!

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ルドガー・レミーのブロードウッドピアノによるソナタ集(ハイドン)

今日はハイドンが活躍していた時代のピアノで演奏したピアノソナタを取り上げます。

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TOWER RECORDS / amazon

ルドガー・レミー(Ludger Rémy)のピアノによる、ハイドンの晩年のピアノソナタ3曲(Hob.XVI:52、XVI:51、XVI:50)を収めたアルバム。ピアノは1794年製のブロードウッドピアノ(John Broadwood 1794)。収録情報はPマークが1987年とだけ記載されています。レーベルはaudio max。

このアルバムに興味を持ったのは、もちろんブロードウッドピアノで弾かれているから。現代のピアノの透徹した響きの美しさもいいものですが、ハイドンが作曲していた頃、どのような響きをイメージして曲を書いたのかということにも興味は尽きません。こうした興味が本格的に生まれたのはクラヴィコードで弾かれたハイドンの素晴らしい演奏を聴いてからです。

2013/01/27 : ハイドン–ピアノソナタ : デレク・アドラムのクラヴィコードによるソナタ集

そのような興味が生まれると、色々と楽器に興味が湧いてくるわけで、その後楽器の変遷を見に、浜松の楽器博物館にも詣でております。

2015/09/15 : 旅行・温泉巡り : 【番外】浜松市楽器博物館詣で+うなぎ!

このアルバムの演奏に使われているのは1794年製のブロードウッドピアノですが、浜松市楽器博物館の所蔵楽器をウェブサイトで調べてみると、なんと7台ものブロードウッドのピアノがヒットします。いずれも1800年以降のものですが、資料番号K-0041、K-0022あたりの楽器がこの演奏に使われたものに近いのではないかと想像しております。

浜松市楽器博物館:所蔵資料データベース:検索=Broadwood

一応ブロードウッドピアノの歴史をWikipediaなどから紐解いておきましょう。
1732年にスコットランドに生まれたジョン・ブロードウッドが1952年にロンドンに移り、チェンバロ製作者のバーカット・シュディの元で働き始めたのが興り。シュディの娘と結婚し1773年にシュディが亡くなりピアノの制作を始め、1780年にはオリジナルなピアノを完成。1795年には息子もピアノ制作に加わりブロードウッド&サンとなります。ブロードウッドピアノの特徴は、それまで手や膝で操作していたペダルを脚で操作する方式を導入するなどの革新をもたらしているとのこと。ブロードウッド社のウェブサイトに掲載されている歴史を辿ると1774年にウィーンのハイドンにハープシコードを届けているという記載が見られるのに加え、1791年の最初のロンドン旅行の際にブロードウッドの楽器を使用しているとのことで、ハイドンとも浅からぬ関係があったようです。

このフォルテピアノから現代のピアノへの進化の途上にあるブロードウッドピアノによって、ハイドンの晩年のソナタがどう響くのか興味津々ですね。

奏者のルドガー・レミーは調べてみると手元の以前レビューしたアルバムでフォルテピアノを弾いていました。

2014/06/27 : ハイドン–声楽曲 : 【新着】ドロテー・ミールズの歌曲集

ルドガー・レミーは1949年、ドイツのオランダ国境に近いカルカー(Kalkar)生まれの鍵盤楽器奏者、指揮者、音楽学者。フライブルク、パリなどで学び、メインは17世紀から18世紀のドイツ音楽の研究などドイツでの教職のようです。

Hob.XVI:52 Piano Sonata No.62 [E flat] (1794)
ブロードウッドピアノはフォルテピアノよりも音に力強さと厚みがあり、冒頭の力強いタッチから始まる曲の迫力が十分伝わります。ルドガー・レミーは楽器が良く鳴る勘所を踏まえて、楽器のキャパシティいっぱいのダイナミックレンジを使って鮮烈な響きを引き出してきます。フォルテピアノによる雅な響きとは力感が異なり、ピアノに近いダイナミクスで音色はフォルテピアノに近いと言ったらいいでしょうか。手元にある浜松楽器博物館の制作で小倉貴久子さんの弾く1802年製のブロードウッドピアノ(コレクションシリーズ38)と音色は近いんですが、浜松の楽器の方が調律が気持ちよく決まっていて、響きに濁りがありません。逆にルドガー・レミーの演奏の方が力強さを感じますので一長一短というところでしょうか。ピアノに負けないダイナミクスを感じさせます。まさにハイドンがこの曲に込めたダイナミクスはこのブロードウッドピアノがあってのことかもしれません。ピアノの演奏に耳は慣れていますが、この演奏を聴いてフォルテピアノの世界から扉が一つ開いたところを想像します。1楽章のダイナミクスがまさにその象徴のように思えてきました。
続くアダージョも所々に力強いタッチとその余韻を楽しむような曲想であり、進化途上のブロードウッドピアノの響きがそのタッチの魅力をかえって浮かび上がらせるよう。耳をすますとこの先進化を遂げていくピアノの音色に近い響きも聴き取れ、なかなか想像力に訴える演奏。響の濁りも含めてなんだかとても聴き心地がよくなってきました。ルドガー・ラミーは訥々と語りかけるように弾き進め、ブロードウッドピアノならではの響きの余韻も十分に取り入れたダイナミックかつ詩的なニュアンスも踏まえた演奏で応えます。音色になれると演奏の深みがわかってきます。
3楽章に入ると鮮やかなタッチと絶妙な間のコントラストを効かせながらハイドンの素晴らしい音階の交錯による音楽が冴えてきます。澄みきりすぎた現代のピアノからは失われてしまったデリケートな響きのニュアンスもあるのだと知ります。

Hob.XVI:51 Piano Sonata No.61 [D] (probably 1794)
今度は落ち着き払った入り。噛みしめるようにしっとりとブロードウッドピアノをしっとりと鳴らしながらハイドンの素朴な音楽を奏でていきます。フレーズごと微妙に明るさと翳りが変化する様子を巧みに表現していき、ピアノでは表現できない音色の多彩さがあることに気づきます。やはりフォルテピアノよりもわずかにダイナミクスの表現に秀でていることの大きさが効いています。抑えた部分では音色の美しさ、強音では弱音との音色の変化の大きさがピアノ以上にダイナミクスを感じさせます。穏やかな1楽章に対して、少しタッチを強める2楽章への変化も実に面白く聴こえます。

Hob.XVI:50 Piano Sonata No.60 [C] (probably 1794)
そして冒頭のXVI:52とともにハイドンのソナタの頂点をなすこの曲では、さらにタッチの強弱の絶妙な力加減がブロードウッドピアノをとうして生む音色の変化の面白さに耳を奪われます。ルドガー・レミーのタッチも精緻を極め、ブロードウッドピアノという楽器を知り尽くした人だけが、楽器の響きを活かし尽くすように操る妙技。音楽に創意がみなぎり、タッチは自在の極致へ至ります。久々に脳内にアドレナリンが溢れてきます。完全にルドガー・レミーの音楽に圧倒されます。1楽章のタッチとリズムの変化、2楽章の抑制された美しさ、3楽章の軽妙さと、どれをとっても現代ピアノでの表現の幅を上回る豊穣な音楽が湧き出てきます。これは見事。絶品です。

ルドガー・レミーがハイドン存命時の楽器であるブロードウッドピアノで弾いた最後の3つのソナタ。この演奏を聴いて、新たな時代の楽器の潜在力がハイドンのこの3つのソナタの作曲に際して大きな影響があったというふうに思えるような素晴らしい演奏でした。特に最後のXVI:50は絶品。現代ピアノに比べればダイナミクスでも音色の統一感でもまだまだ進化途上のものですが、逆にハイドンのこのこれらのソナタには、タッチの強さによる音色の変化や、響きの美しさが際立つ面白さがあることがわかります。これは是非皆さんに聴いていただきたいアルバムですね。評価はもちろん全曲[+++++]とします。

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tag : ピアノソナタXVI:52 ピアノソナタXVI:51 ピアノソナタXVI:50 古楽器

リリー・クラウスのピアノソナタXVI:52 1963年来日時のNHK録音(ハイドン)

今日は懐かしい人の演奏。

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リリー・クラウス(Lili Kraus)の演奏によるハイドンのピアノソナタ(Hob.XVI;52)、モーツァルトの幻想曲(K.475)、ピアノソナタ(K.457)、グルック「メッカの巡礼」による10の変奏曲(K.455)の4曲を収めたアルバム。収録は1963年1月に東京のNHKで収録されたセッション録音。レーベルはキングレコードからリリースされているNHK CD。

リリー・クラウスと言えばモーツァルト。パッと花が咲いたような可憐な演奏が記憶に残る人。ハイドンも少し録音があり、EMIのソナタ集や、以前取り上げたピアノトリオなどがあります。

2014/01/19 : ハイドン–室内楽曲 : リリー・クラウス/シモン・ゴールドベルク/アンソニー・ピニのピアノトリオ(ハイドン)

リリーク・クラウスの演奏で取り上げたのは、上のピアノトリオのみですが、これは1939年と戦前の録音。EMIに録音されたソナタ集は1957年とそれぞれかなり古いもの。今回NHKからリリースされたこのアルバムは1963年とこれまでの中では最も後の録音ということになります。

リリー・クラウスの詳しい略歴はリンク先の記事をご参照いただくとして、1936年の初来日の後、1942年からのアジア遠征で訪問したインドネシア、ジャワ島で日本軍に捉えられ、終戦まで軟禁された経験をもっているにもかかわらず、1963年に2度目の来日を果たします。ライナーノーツにはその来日時の公演プログラムのからリリー・クラウス自身の言葉が引用されています。

「(前略)私の1936年の最初の日本訪問中に芽生えた友情は、第二次大戦の辛い苦しい試練に耐えました。今、神の御恵みにより、過去の暗い雲は取りはらわれ、私は貴方の国へ再び戻る期待で、深くそして喜ばしい感動に満たされております。生命ある音楽は、今一度、私達を永久の友情に再び結び合わせますでしょう。」


このアルバムの録音は、その第2回の来日時のコンサートの合間に東京のNHKで収録されたものとということで、大変貴重なものと言えるでしょう。

このアルバムのレビューの前に、EMIのソナタ集からXVI:52を聴いてみます。モノラルながら1957年にして高音に独特の輝きを持つ可憐なリリー・クラウスのピアノの音色が心地よい録音。迫力よりは粒立ちのよい音階と華やかな雰囲気で聴かせる演奏です。右手でメロディーをクッキリ浮かび上がらせ、時折左手でキリリとアクセントをつけ、軽やかで華やかなドラマを演出します。2楽章の冒頭にテープの伸びと思われる音の揺らぎがありますが、気になるほどではありません。2楽章は思ったよりも深く迫力に満ちた展開。そしてフィナーレは鮮やかなタッチで疾走します。緩急の変化をしっかりつけた、リリー・クラウス49歳の頃の覇気とキレを味わえるバランスの良い演奏。

Hob.XVI:52 Piano Sonata No.62 [E flat] (1794)
本題の1963年の演奏。こちらもモノラル録音。EMIのものに比べると時代が下った分自然さは上がりますが、比較すると高音がこもり気味に聴こえ、普通に聴く分にはEMI盤の方が聴き映えがするかもしれません。リリー・クラウスらしい華やかさはEMI盤。ピアノの音の自然なバランスはこちらといったところでしょう。自然なタッチで、前演奏同様、クッキリとしたメリハリをつけて音楽が進みますが、リリー・クラウス独特の「あの」華やいだ感じは少し後退。なんとなくリリー・クラウスらしい軽やか、可憐な響きは録音のバランスに大きく影響を受けていたのかもしれません。1楽章は甲乙つけがたい感じ。
続くアダージョではこのアルバムのニュートラルな感じの印象が勝ります。EMI盤の彫り込みの深い演奏も良いのですが、曲想に素直に淡々とした印象を感じさせ、ところどころにリリー・クラウスらしさをうっすらと感じさせるセンスの良さも悪くありません。しっとりと沁みる演奏。
そしてフィナーレもしなやかさを保ちながら入りますが、すぐに粒立ちの良いタッチの心地よい響きに包まれます。タッチの硬軟の変化、フレーズごとの表情の濃淡が純粋に楽しめる演奏。薄化粧越しに聴いていたリリー・クラウスという人の音楽をようやく直に聴いたような印象。曲が進むにつれて真剣な音楽の迫力がじわりと伝わります。特に1音1音のタッチの絶妙な変化は見事なもの。少し荒さは感じさせるものの、この演奏でリリー・クラウスという人の音楽の真髄に触れた気がします。

この後のモーツァルトはさらに迫真の演奏。ハイドンに増して集中力が上がり、音楽の完成度はさらに上がります。

リリー・クラウスの1963年の来日時の貴重な録音。EMI盤が白粉の匂い漂う薄化粧をまとったリリー・クラウスの姿だとすると、こちらの録音は化粧を落としたリリー・クラウスの音楽に向き合った演奏といった感じ。どちらも彼女の音楽らしい個性に溢れた演奏ですが、どちらかと言うと、私はこのアルバムの演奏によって、リリー・クラウスという人の音楽に近づいた気がします。おそらく一般的にはEMI盤を取る人の方が多いかもしれません。評価は両演奏ともに[++++]とします。というのもこのアルバムに含まれるモーツァルトが絶品。やはりリリー・クラウスという人はモーツァルトの人とあらためて認識した次第。ハイドンの演奏が悪いということではありませんので、念のため。

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tag : ピアノソナタXVI:52 ヒストリカル

アンジェラ・ヒューイットのソナタ集(ハイドン)

いやいや、実に久しぶりのレビュー。レビューの仕方忘れちゃいそうでした(笑) 今日は正統派のアルバムを取り上げます。

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TOWER RECORDS / amazon / ローチケHMVicon

アンジェラ・ヒューイット(Angela Hewitt)のピアノによる、ヘンデルのシャコンヌ(HWV435)、組曲2番(HWV427)、組曲8番(HWV433)、ハイドンのアンダンテと変奏曲(Hob.XVII:6)、ピアノソナタ(Hob.XVI:52)の5曲を収めたアルバム。収録は2008年9月17日から18日、2009年3月17日から18日、ベルリンのイエス・キリスト教会でのセッション録音。レーベルは英hyperion。

このアルバムは最近手に入れたもの。結構知られたアルバムだとは思いますが、巡り合わせか手元になかったもの。

アンジェラ・ヒューイットはご存知の方も多いでしょう。いちおういつもどおり略歴をさらっておきます。1958年、カナダのオタワ生まれ。父はオタワの教会のオルガニストだったことから幼少期から音楽に親しみピアノ、ヴァイオリン、リコーダー、バレエなどを学びました。その後トロント音楽院、オタワ大学などで学び、国際的に活躍するようになります。1994年からhyperionレーベルと契約し、バッハを中心に多数のアルバムをリリースしており、アンジェラ・ヒューイットといえばバッハというイメージが強いのではないかと思います。

ちなみに私はアンジェラ・ヒューイットの録音はこのアルバムがはじめて。虚心坦懐に聴くことにいたしましょう。

前半はヘンデルの曲。ヘンデルのピアノ曲はちゃんと聴くのは久しぶり。バッハのような雰囲気とそれなりに分かりやすいフレーズ展開が心地よいですね。ピアノはFAZIOLIなので特に低音から高音まで艶やかな表情が印象的です。

Hob.XVII:6 Andante con Variazioni op.83 [f] (1793)
ハイドンの傑作変奏曲ですが、冒頭から落ち着きはらったヒーイットのタッチで艶やかなFAZIOLIが鳴り響きます。録音はイエス・キリスト教会らしく残響が非常に美しく、ピアノの響きをより艶やかに聴かせます。特に高音の磨き抜かれた音色は魅力的。独墺系の奏者とははっきりと違う演奏。旋律、特に高音のメロディーはFAZIOLIの音色に加えて女性奏者の感性がにじむところでしょうか。メロディーをクッキリと浮かび上がらせていながらかなり落ち着いた演奏。一つ一つの変奏の表情をゆったりかつしっかりつけていくので、変奏ごとの変化の面白さが強調され、クリアな響きと音楽の深さが両立して、実に味わい深い演奏。徐々に力感を増しながら変奏が進むと、 FAZIOLIの堅固なフレームを響かせるほどの強音の余韻が静寂の中に消え入り、響きのコントロールが絶妙。終盤が力づくにならないようクリアさを保ちながらクライマックスを迎えます。力強い和音が混濁せずにクリアさを保っているのもアンジェラ・ヒューイットならでは演奏でした。

Hob.XVI:52 Piano Sonata No.62 [E flat] (1794)
一転、勢いよく入ったXVI:52。前曲よりも高音が若干おとなしめの録音。空気感というか鮮明さも前曲の方が冴えていました。演奏の基本は変わらないものですが、冴え冴えと落ち着いた感じがちょと劣るように聴こえます。ほんのわずかな違いですが、それだけ前曲が冴えていたということでしょう。特に強音にわずかな力みが感じられます。
続くアダージョは打鍵音の余韻の面白さで聴かせる曲。FAZIOLI独特の艶やかな音色がこの曲の醸し出す雰囲気に華を添えます。女性にしては力強い左手の音階でグイグイと曲を盛り立てますが、1楽章ほどの力みを感じることはありません。この辺が音楽の微妙なところ。間の取り方の上手さのせいでしょうか。最後の消え入るのような静寂感も見事なもの。
そして、フィナーレは鋭利にクマ取られた低音がさらに効果的に響きます。いつもながら想像力豊かなハイドンの展開にわくわくしながら聴き続けますが、クリアなアクセントの連続と、まるでクリスタル細工のような清涼な光を帯びた響きによって、複雑な響きの織りなす綾の魅力が際立ちます。力感を感じさせるのに重厚というよりは華麗に響くヒューイットマジックと言っていいでしょう。聴きなれたハイドンのソナタの華麗な輝かしさにスポットライトを当てた演奏でした。

ちゃんと聴くのは初めてのアンジェラ・ヒューイットのアルバムですが、ヒューイットの演奏はFAZIOLIピアノの音色の美しさを最大限に生かして、しかもその美しさをアーティスティックにまとめてくる、こちらの期待した通りの演奏。手元に彼女のバッハのアルバムは1枚もありませんが、バッハの演奏が評判いいのも想像がつきます。こうした明確な個性は演奏者の人気に大きくつながるものでしょう。ファンがつく演奏家だと思います。ハイドンの曲を演奏という点では響きの美しさに耳が行ってしまいがちな演奏ではありますが、これはこれでありでしょう。私は気に入りました。評価は両曲とも[+++++]とします。

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ディノ・チアーニのピアノソナタXVI:52ライヴ(ハイドン)

今日もヒストリカルなアルバム。

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ディノ・チアーニ(Dino Ciani)の演奏を6枚のCDにまとめたトリビュートアルバム。この中にハイドンのピアノソナタ(Hob.XVI:52)のライヴが含まれています。ハイドンの収録は1966年2月12日、イタリアのジェノヴァ近郊の港町、ラパッロ(Rapallo)でのライヴ。レーベルは伊DYNAMIC。

ピアノファンの方には怒られそうですが、ディノ・チアーニについては今まで知りませんでした。今回ハイドンの演奏が含まれているということと、ちょっとだだならぬアルバムの雰囲気にピンときて注文した次第ですが、アルバムが到着して色々調べてみると、このディノ・チアーニという人、凄い人でした。

ディノ・チアーニは1941年生まれのイタリアのピアニスト。Wikipediaなどによれば、生まれはアドリア海沿いのイタリアの街、トリエステのすぐ南にある、現クロアチア領のフィウメ(Fiume)。イタリアのジェノヴァでピアノを学び、その後ローマの音楽学校でアルフレッド・コルトーの上級クラスに進み、コルトーから不世出の奇才と称えられたとのこと。1961年にはブダペストのリスト=バルトーク・コンクールで準優勝となり、以後は世界的に活躍しましたが、32歳のとき交通事故で急逝してしまいました。ピアノ愛好家からはチアーニが健在だったらポリーニの現在の地位は危うかったであろうとか、ミケランジェリを脅かす存在とかと言われているとのこと。夭逝の演奏家といえば、リパッティ、デニス・ブレイン、ユーリ・エゴロフなどが知られていると思いますが、彼らと同じオーラを感じますね。

肝心の演奏はどうでしょう。

Hob.XVI:52 Piano Sonata No.62 [E flat] (1794)
音質は年代なりで、響きの良いホールでの演奏を少し遠くから録ったもの。冒頭からテンポよくキレのいい溌剌とした演奏。ライヴなのでちょっとしたタッチの乱れなどありますが、演奏はエネルギーに満ち、オーラのようなものが漂います。高音がクリアにキレてメロディーラインが輝くあたり、只者ではありません。展開部に入るところでスロットルを一気にしぼって極端に力を抜くあたり、はっとさせられる演出に才能を感じます。曲の構造を見切っての見事な構成。ライヴでのこの確かな設計、細かいところではなく大局をみての演奏と納得させられます。1楽章はやはり流石の出来といっていいでしょう。
つづくアダージョは弾き流すようなくだけた表情の演奏。ピアノの強固な響きの美しさで聴かせる演奏が多い中、キレのいい1楽章のほとぼりを冷ますようにサラサラと進め、ところどころにデフォルメ気味のアクセントをあしらってメリハリをつけることで個性を主張します。この独特の演奏から醸し出される表情は他の演奏とは異なる曲の表情に気づかせてくれます。くだけているのに俊敏な不思議な感覚。
フィナーレは速いパッセージが続きますが、クッキリとした表情を保っているのは確かなテクニックを持っている証拠。グールドとは異なりますが、独特の固い響きにはグールドのような人を寄せ付けないオーラのようなものを感じさせます。大胆なテンポの変化、透徹した響きの魅力、冴え渡るタッチなど、そこここに天才の片鱗を感じさせる演奏でした。最後は拍手も録音されています。

このあとにモーツァルトのファンタジア(K.475)、ハ短調ソナタ(K.457)が続きますが、録音がデッドでクリアにガラッとかわり、なかなかいいコンディションの録音でモーツァルトが楽しめます。

ポリーニやミケランジェリと比較される夭逝のピアニスト、ディノ・チアーニによるハイドンのピアノソナタの貴重な録音。くっきりとクリアにキレたタッチ、速いパッセージに宿るエネルギー、鳥肌がたつような弱音への変化、そして全体を見通した見事な構成感、長生きしていれば、おそらく現代を代表するピアニストとして活躍していただろうことは想像に難くありません。この一曲だけからでも、その才能はつたわります。アルバム自体にはハイドン以外の演奏もいろいろ含まれており、いろいろ楽しめるものですので、興味のある方は是非手に入れて才能を直接感じてください。もちろん評価は[+++++]とします。

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tag : ピアノソナタXVI:52 ヒストリカル ライヴ録音

リヒテルのXVI:52 1967年ロンドンライヴ(ハイドン)

ライヴを中心にいろいろな演奏が出回っているリヒテルのハイドン。未入手の音源が手に入りました。

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TOWER RECORDS / amazon

スヴャトスラフ・リヒテル(Sviatoslav Richter)のピアノによるハイドンのピアノソナタ(XVI:52)、ウェーバーのピアノ・ソナタ3番(Op.49)、シューマンの2つのノヴェレッテ Op.21より第4番、第8番、ショパンの舟歌(Op.60)、ドビュッシーの前奏曲集第2集より4曲(妖精たちはあでやかな舞姫/エジプトの壺/交替する3度/花火)などを収めたアルバム。収録は1967年6月11日、ロンドンのロイヤル・フェスティヴァル・ホールでのリサイタルの模様をBBCが収録したライヴ。レーベルはica CLASSICS。

リヒテルはハイドンを気に入っていたようで、リサイタルでもかなりの回数取り上げていました。リヒテルの力感溢れるハイドンは好きなので未聴のアルバムを少しずつ手に入れては楽しんでいます。これまでにもリヒテルのハイドンは何回か取り上げています。

2014/01/24 : ハイドン–ピアノソナタ : 【新着】スヴャトスラフ・リヒテル1984年東京ライヴ(ハイドン)
2013/07/15 : ハイドン–ピアノソナタ : 【新着】リヒテルのピアノソナタライヴ集
2010/11/23 : ハイドン–ピアノソナタ : リヒテルの1993年のソナタ録音
2010/02/23 : ハイドン–ピアノソナタ : リヒテルのソナタ録音

今日取り上げるのはハイドン晩年の傑作ソナタXVI:52ですが、この曲のリヒテルの演奏はネットを調べたところ下記の録音があります。

1949年5月30日モスクワライヴ:Venezia(所有盤)
1960年2月27日ブカレストライヴ:AS disc
1960年3月3日キエフライヴ:TNC
1966年11月3日メッシーナライヴ:MESSINA
1966年11月19日フェラーラライヴ:PHILIPS
1967年5月8日モスクワライヴ:RUSSIAN MASTERS
1967年6月11日ロンドンライブ:ica(所有盤:今日取り上げるアルバム)
1987年2月マントヴァセッション録音:DECCA(所有盤)
1993年セッション録音:DECCA(所有盤)

今日取り上げるアルバムを含めて4種が手元にあります。つまりまだ未入手のものが5種あるということで、コレクション意欲が高まります。手元のアルバムでは1967年録音のDECCAのセッション録音がピアノの美しい響きが録られたバランスの良い名演奏としておすすめできるものですが、リヒテルの鋼のような強靭なタッチの快感に酔うという面は少し弱いもの。ということでコンサートの模様を興奮とともに詰め込んだライヴ盤に興味が湧くわけです。このアルバムは1967年とライヴの中では最も新しいもの。しかもロンドンでBBCによる放送用の録音ということで、録音にも期待できそう。アルバムの解説によればもともとモノラルの音源をアンビエント・マスタリングで聴きやすく仕上げたということです。

Hob.XVI:52 Piano Sonata No.62 [E flat] (1794)
冒頭の分厚い響きは流石にリヒテル。セッション録音とは異なり豪放な入りに電気ビリビリ。速めのテンポで音楽に力と勢いが漲り、そしてこれぞリヒテルという彫刻的な立体感。あまりに見事なフォルムにうっとりします。この力感とイキイキとしたリズム感、そしてふと力を抜いた部分の静寂感の神がかったバランス。録音はセッション録音とはだいぶ差がつきますが、1967年のライヴとしては悪くありません。モノラルをアンビエント・マスタリングで処理しているのも不自然ではありません。リヒテルの力感は力任せというのとまったく異なり、一人だけ異次元の走りをみせるウサイン・ボルトのように圧倒的な余裕のなかでの迫力。アムランに代表される、青白い炎をカミソリでえぐるような切れ味の最新の演奏と比べると、古風に感じなくもありませんが、それでもその個性は際立つもの。
アダージョでは鋼のような強靭さをすこし緩めて孤高の表情で美しいメロディーを置いていきます。それでも左手による低音の強靭さは隠しきれず、何か背後に大きな意思があるのを不気味に感じさせるような大きな音楽を造っていきます。
フィナーレはキレキレ。これで録音がよけれがものすごい迫力を味わえたことでしょう。リヒテルがさらりと弾きこなす速いパッセージの鮮やかなキレをそこここに散りばめ、そして余裕をもってそれをつなぎ合わせて音楽組み立てます。あまりに鮮やかなフィニッシュに最後は拍手が降り注ぎます。

リヒテルの1967年のロイヤル・フェスティヴァル・ホールでのライブの冒頭に演奏されたハイドンの傑作ソナタ。期待を裏切らない名演でした。強靭なタッチによる険しいハイドン。ただし表現には余裕があり、力任せの演奏とはまったく異なり、孤高の個性という次元。ハイドンの曲のなかでも力感が映える曲をこれほどまでに見事に演奏されてはかないません。ライブなので少々のタッチの乱れはありますが、音楽の乱れは微塵もなく堅固なもの。流石リヒテルという演奏でした。評価は[+++++]とします。

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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノソナタXVI:52 ライヴ録音 ヒストリカル

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Daisy


Author:Daisy

ハイドン(Franz Joseph Haydn)の膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。私はなぜハイドンにはまったのか?

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所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものはリスト冒頭に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

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(2019年3月31日)
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