グレン・グールド1958年ストックホルムでのXVI:49(ハイドン)

手に入れていなかったアルバムをゲット!

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グレン・グールド(Glenn Gould)のピアノによるハイドンのピアノソナタ(Hob.XVI:49)などを収めた2枚組のアルバム。ハイドンの収録は1958年10月1日、ストックホルムの音楽アカデミー(The Musical Academy, Stockholm)での録音。ノイズも拍手もないことから放送用録音と思われます。

実に久々にグールドを聴きます。

2011/01/29 : ハイドン以外のレビュー : グールド1959年のザルツブルク音楽祭ライヴ
2010/02/16 : ハイドン–ピアノソナタ : グールド最晩年の輝き

皆様ご承知の通り、グールドは最晩年にハイドンのソナタ6曲を録音しており、それがグールドのハイドンを代表するアルバムとして現在もリリースされ続けています。グールドの個性が突き抜けた演奏であり、ブログ初期に記事にしていますが、私はスタジオに籠って完全なる演奏を編集し続けて出来上がったグールドの演奏よりも、初期のライヴでの冴えまくった狂気のような瞬間にこそグールドの真髄があると思っており、上に挙げた1959年のザルツブルク音楽祭のモーツァルトなどをたまに取り出しては聴いています。
晩年のスタジオ録音以外にハイドンの録音があるとは思いもせずあまり探してもいませんでしたが、このアルバムの他にも録音がありそうなので、捜索開始です(笑)

さて、このストックホルムでの録音集ですが、手元にあるグールドの詳しい伝記、オットー・フリードリック著宮澤淳一訳「グレン・グールドの生涯」の巻末の演奏一覧にも触れられていないものばかり。この1958年の夏以降は8月にザルツブルクでミトロプーロスの振るコンセルトヘボウ管と共演、ブリュッセルでのコンサートを経て、9月にはベルリンでカラヤン/ベルリンフィルと共演ののちストックホルムに入り、このアルバムに収められた下記の曲を録音しています。

9月30日 モーツァルト:ピアノ協奏曲24番(KV491) ゲオルク・ルートヴィヒ・ヨッフム(オイゲン・ヨッフム兄)/スウェーデン放送響
10月1日 ハイドン:ピアノソナタ(Hob.XVI:49)
10月5日 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲2番 ゲオルク・ルートヴィヒ・ヨッフム/スウェーデン放送響
10月6日 ベートーヴェン:ピアノソナタ31番(Op.110)、ベルク:ピアノソナタOp.1

前掲書本文にはザルツブルクからベルリン、ストックホルムを経て、その後ヴィスバーデン、フィレンツェ、ローマ、テルアヴィヴ、エルサレムなどの演奏旅行中に体調を崩し、深刻な状況となった経緯などが書かれており、けっして良い体調ではなかったことがわかります。ただし、このアルバムを聴くと、この時期のグールドのタッチは冴え渡り、モノラルながら非常に鮮明な録音も手伝って若いグールドの才能を堪能できる素晴らしいプロダクションとなっています。

Hob.XVI:49 Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
このアルバムを聴く前にスタジオ録音の方も久々に聴き直してみましたが、どちらも1楽章は速めながら、1958年の方はなりふり構わず韋駄天のように飛ばしまくるような速さで、それに比べると晩年の演奏スタティックに聴こえるほど。若きグールドはハイドンの音楽を早送りのような速度でハイドンのメロディーの巧みな構成のをおもちゃ箱のような子供の頃の記憶とダブらせて表現しようとしているのでしょうか。それにしても超特急のような速度で指は全く乱れず、テクニックのキレは恐ろしいほど。
この演奏、1楽章の速さだけだったら記事にすることはありませんでした。素晴らしいのが続く2楽章のアダージョ・カンタービレ。この楽章はこの1958年盤の聴きどころ。グールド独特の孤高な感じと、1楽章から続く軽さが見事に融合して、音楽は冴え渡ります。他のピアニストとは描く風景が全く異なり、荒涼たるカナダの雪原を思わせる険しさのような気配を帯びるハイドンの音楽。現代音楽に通じる静寂と峻厳さを感じさせる瞬間があると思いきや、音階にはグールド流の硬質感があり、全くもって個性的なハイドン。
そして、続く3楽章はさらにグールドの個性全開。ハイドンの音楽をデフォルメしまくって、新たにグールド流に再構築した音楽。透徹してアーティスティックなデフォルメの技が冴えわたります。今更ながらグールドの才能に驚いた次第。

この後に置かれたベートーヴェンの31番がグールド流のエキセントリックさを抑えた沁みる演奏で素晴らしいんですね。CD1のヨッフム兄とのコンチェルトも素晴らしい演奏で、体調というか心理的に追い込まれていたにも関わらず、このアルバムに収められた演奏は若きグールドの才能が迸る素晴らしいものばかり。ということで、肝心のハイドンの演奏は[+++++]。ハイドン目当てでない方にもお勧めできる素晴らしいアルバムです。



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tag : ピアノソナタXVI:49

ブラウティハムのハイドン&ベートーヴェン(トッパンホール)

5月15日はチケットをとってあったコンサートに出かけました。

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トッパンホール:ロナルド・ブラウティハム(フォルテピアノ) ―ワルトシュタインを弾く

ハイドン愛好家にはお馴染みのロナルド・ブラウティハム。スウェーデンのBISレーベルからフォルテピアノによるハイドンのソナタ全集をリリースしており、古楽器による演奏ながら現代ピアノに近い力感を感じさせる演奏が印象に残っています。記事には3度取り上げていますが、それも直近でも2012年と7年も前のこと。

2012/04/02 : ハイドン–ピアノソナタ : ブラウティハムの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」
2010/10/04 : ハイドン–協奏曲 : ブラウティハムのピアノ協奏曲集2
2010/10/03 : ハイドン–協奏曲 : ブラウティハムのピアノ協奏曲集

そのブラウティハムが来日してハイドンを弾くということで、私としては聴かないわけにはいかないコンサートということでチケットをとってあったもの。プログラムは下記の通り。

ハイドン:ピアノソナタ変ホ長調(Hob.XVI:49)
ベートーヴェン:ピアノソナタ第3番ハ長調(Op.2-3)
 <休憩>
ハイドン:ピアノソナタ変ホ長調(Hob.XVI:52)
ベートーヴェン:ピアノソナタ第21番「ワルトシュタイン」ハ長調(Op.53)

ハイドンとベートーヴェンのソナタを交互に4曲並べたものですが、これが非常によく考えられた選曲なんですね。

最初のハイドンのXVI:49が1789年から90年にかけて作曲されたものでハイドンのソナタの完成度が頂点を迎えようとしていた頃の作品。続くベートーヴェンの3番(Op.2-3)は1793年から95年にかけて作曲されましたが、Op.2の3曲はベートーヴェンが1792年にウィーンに出向いてハイドンに教えを受けた後に書かれたもので、3曲まとめてハイドンに献呈されたもの。いわばハイドンの音楽の影響を受けたベートーヴェンがそれに応えた回答。そして後半のハイドンのXVI:52は、ベートーヴェンが3番を書いていた頃、ヨーロッパの楽壇の頂点に上り詰め、第2回のロンドン旅行に出かけていた1794年から95年にかけてロンドンで書かれたハイドンのソナタの頂点。そして最後のワルトシュタインはベートーヴェン中期の傑作としてハイドンが最後の弦楽四重奏曲を未完のまま筆を置いた1803年から翌4年にかけて書かれたもの。ハイドンの2曲にもハイドン自身の飛躍が明らかに刻まれ、ベートーヴェンも同様。そしてそれぞれが互いに影響しあって、ハイドンが形式を完成させた古典期のクラヴィーアソナタをベートーヴェンが打ち砕くように発展させていく現場を一夜にして俯瞰できるようにした見事なプログラムといっていいでしょう。

ハイドンのソナタ全集とベートーヴェンのソナタ全集を録音したブラウティハムには、この偉大な2人の作曲家のこのころの火花散るように刺激しあっていたことが克明に見えたのでしょうね。

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いつものように少し早めにホールに着いたので、2階の「小石川テラス」で一休みしてからホールに向かいます。ここはゆったりできるのでお気に入りです。

約400席のホールは満員。この日の席は中央通路の少し前の右側。鍵盤楽器のコンサートは奏者の表情が見える右側の席がお気に入りです。定刻を少し過ぎてホールの照明が落ち、ブラウティハムが登壇。写真の印象通り、シルバーヘアの大柄な人。客席に向かって軽く会釈し、座るとすぐにハイドンの演奏に入ります。

コンサートの1曲めということで、まずは指慣らしのように意外と淡々とした演奏。録音の印象からするともう少しダイナミックで推進力がもう少しあったかしらなどと思いつつ聴き進めましたが、そんな中でも速いパッセージの音階の鮮やかさや大柄なブラウティハムの刻むリズムのキレの良さを感じさせるもの。プログラムによると楽器は2002年、ポール・マクナルティ作のものでアントン・ワルターの1800年モデルのレプリカ。ハイドンのソナタ全集で使用した楽器と音色は非常に似ていますが、同じポール・マクナルティ作のワルターのレプリカでも1795年モデルのレプリカでした。この楽器、絶対音量はともかくピアノに近いスケール感を感じさせる音量レンジがあります。ブラウティハムは譜面を見ながらの演奏ですが、驚いたのは自分で譜面をめくりながら演奏すること。繰り返しの部分で左手でページをさらりと戻すところなど、見事な譜捌き(笑)。そして演奏の揺るぎない安定感は流石一流どころ。フレーズごとに非常に丁寧にデュナーミクをコントロールしていながら、さりげなくこの曲のかっちりとした構成感を踏まえて軽々と弾き進める姿にホール中の視線が集まります。楽章の切れ目も間をおかず、さらりと次に入ります。2楽章のアダージョ・エ・カンタービレに入ると集中力が一段アップ。ホールに響き渡るフォルテピアノの美しいメロディーに酔いしれます。高音から低音まで音色が見事に揃い、そして繊細な響きは楽器に加えてブラウティハムのタッチのなせる技でしょう。特に弱音部の響きの美しさは絶妙。そしてフィナーレでは音階のタッチの軽やかさが見事。鍵盤のフリクションが軽いことで、音階はそよ風のごときしなやかな表情を持つことがわかりました。ただ、このハイドンでの軽やかさは前座でした。

続くベートーヴェンの3番はピアノでしか聴いたことがありませんでしたが、ピアノで聴くのとは全く異なる印象。一音一音の粒だちではなく一連の音符が流れるように線で聴こえてくるでありませんか。それもハイドンより複雑で音数の多い楽譜になって、音階の流れるようなタッチがさらに活きてきます。ブラウティハムはこの曲でも軽々と演奏していきますが、集中力はもう一段アップしてホール内がブラウティハムの紡ぎ出す音楽に完全にのまれます。この前のOp.2の1番と2番はよりハイドンのソナタに近い曲の作りですが、この曲によってベートーヴェンがハイドンの教えの殻を破ったことが、ハイドンの曲と並べて聴くことでよりハッキリとわかります。ピアノでの印象が強かった曲ですが、ブラウティハムの演奏、この時代の楽器で聴くことで、曲自体の位置付けも変わりました。ハイドンに比べると、より自在に、時に暴走するように展開するベートーヴェンの音楽が自然に心に入ってきます。この曲の刷り込みはケンプ。2楽章はケンプのしなやかなタッチによるピアノの磨かれた響きと比べてしまいますが、フォルテピアノだとメロディーラインよりも全体の響きの美しさに耳がいきますね。ブラウティハムは見事な弱音コントロールでこの楽章をこなします。スケルツォでフォルテピアノのダイナミクス一杯に使ったタッチを堪能。そしてフィナーレは形式的な美しさを極めたハイドンに対し即興的に展開するベートーヴェンの面白さが際立ちます。前半でハイドンとベートーヴェンの違いをハッキリと印象づけました。

休憩を挟んで、後半に入ります。後半の1曲めはハイドンのXVI:52。ハイドンのソナタの頂点たる曲です。コンサートでは昨年、ポール・ルイスのストイックなど迫力の名演を聴いています。ブラウティハムは前半よりさらに集中力がアップし、このハイドンは完璧な演奏。ハイドンのソナタの頂点にふさわしく楽器のキャパシティをフルに使ってメロディーの美しさ、構成の面白さ、美しく繊細なハーモニー、そして頂点にふさわしい風格を披露。息を呑むような至福のひとときでした。張り詰めた緊張感の糸が切れることなく、このソナタを演奏し終えた瞬間は、ハイドンという作曲家の成し遂げたものの大きさを感じる幸せな時間でした。

そして最後は今回のコンサートの目玉、ワルトシュタインですが、これが凄かった。速いパッセージの連続というか嵐のように音符が駆け巡る曲だからこそ、ブラウティハムはまるでビロードのように滑らかに、いともたやすく弾きこなしていきながら、うねるように大きな視点で曲をまとめ上げていく至芸。あまりのタッチの鮮やかさに目もくらむよう。展開の多彩さといい音数の多さといい、ハイドンのソナタとは次元の違う領域にベートーヴェンが到達したことを思い知らされるよう。そして、有名な2楽章は一つのテーマを執拗に繰り返していきながら陶酔の極致に至る長大なドラマを演じ切ります。ハイドンの粋な展開とは真逆の一点集中型の追い込みによる迫力は、ハイドンの時代の粋や華麗さや典雅さとは異なる領域に音楽を進めました。このワルトシュタインもピアノの印象が強かったんですが、ブラウティハムの演奏によって、フォルテピアノの軽やかな音階による演奏でこそ、音のながりとハーモニーが大局的な音楽の構成をより鮮明に浮かび上がらせることを確信しました。最後の一音が鳴り止まぬうちに盛大な拍手に包まれ、この日のコンサートが類い稀なものであったことをお客さんが共有することとなりました。

ブラウティハムが何度かカーテンコールに応えて、アンコール。ブラウティハム自身が悲愴ソナタのアダージョと話して演奏。テクニックが優ったワルトシュタインに対して、濃密な詩情を聴かせる選曲でした。もちろん拍手喝采に包まれる見事な演奏を楽しみました。

このコンサート、「キング・オブ・ザ・フォルテピアノ」と呼ばれているブラウティハムの凄さをまさに実体験した貴重な経験になりました。演奏の見事さもさることながら、このプログラムは見事。曲が生まれる時代を俯瞰し、そして2人の偉大な作曲家のしのぎを削る創作の現場を垣間見るような気持ちになる実によく考え抜かれたもの。幸せな気分に浸りながら帰途につきました。

またの来日を楽しみに待ちたいと思います。



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tag : ピアノソナタXVI:49 ピアノソナタXVI:52 ベートーヴェン

ウラディミール・フェルツマンのソナタ集(ハイドン)

今日はピアノソナタ。最近手に入れたアルバムで、これが絶品の演奏。

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ウラディミール・フェルツマン(Vladimir Feltsman)のピアノによるハイドンのピアノソナタ8曲(Hob.XVI:46、XVI:34、XVI:49、XVI:20、XVI:48、XVI:39、XVI:33、XVI:44)、12の変奏曲(Hob.XVII:3)の9曲を収めた2枚組のアルバム。収録は2012年3月31日、9月24日から26日にかけて、このアルバムのリリース元であるニンバスの本拠地である英ブリストル近郊のモンマス(Monmouth)にあるワイアストン・リーズ(Wyastone Leys)でのセッション録音。

ピアノのウラディミール・フェルツマンは初めて聴く人。いつものように調べてみると、1952年モスクワに生まれのピアニスト、指揮者。11歳でモスクワフィルとの共演でデビューするなど若くして頭角を現し、1969年からモスクワ州立チャイコフスキー音楽院でピアノを学び、その後モスクワ、レニングラード両音楽院で指揮を学びました。1971年にはパリで開催されたマルグリット・ロン国際ピアノコンクールで優勝し、以来世界の楽壇で活躍しています。どうやらバッハを得意としている人のようで、Apple Musicでバッハのパルティータ集を聴きかじってみると、独特の朴訥さを感じさせるタッチが魅力で、どちらかというと東洋的というか、禅の境地のようなものを感じる演奏をする人との感触を得ました。ハイドンのソナタをさらりと弾きこなす手腕はこのバッハの演奏の境地との類似性を感じます。
今日は、CD1枚目の4曲を取り上げます。

Hob.XVI:46 Piano Sonata No.31 [A flat] (1767/70)

さりげないごく普通の入りという印象でしたが、すぐにほんのりと詩情が漂い始めます。特にスタッカート気味の部分に独特の風情が乗ります。緊張感を催す演奏ではなく、リラックスして淡々と弾き進めていく自然な流れとアクセントの対比の面白さが聴きどころと見ました。安定した技術に裏付けられたさりげない自然さ。指の回りもしなやかなわけではなく、響きの美しさの中にリズムもアゴーギクも適度に凸凹した印象を残しますが、それがこの演奏の面白さ。名のある陶工の茶碗に見られる焼きムラを景色として味わうのと似た感じ。これが実に心地よい。
この曲は初期の曲ながらアダージョの美しさが聴きどころの曲。リズムも自在に動かしながら弾き進めていくこの楽章は曲の美しさを際立たせる見事なタッチが印象的。まさに詩人の演奏というべき神業。豊かな表情が透徹した純粋さを表現する稀有な演奏。
フィナーレは文字通り軽妙洒脱なタッチの面白さで聴かせます。1曲目からいきなり素晴らしい演奏に圧倒されます。

Hob.XVI:34 Piano Sonata No.53 [e] (c.1782)
左手の力強いタッチとリズムの面白さで聴かせる曲ですが、それに限らずしなやかな流れとくっきりとした表情の美しさでまとめる見事な展開。流れ良く聴かせるのはこの人の天性の才能でしょう、はっきりとしたコントラストをつけながら、一貫して淀みなく曲を流していくところは見事。フレーズのつなぎもハッとさせるような閃きを聴かせます。
アダージョでは響きを研ぎ澄ますように形を整えるという感じの演奏ではないにもかかわらず、さらりとした演奏の中にディティールの様々な美しさを垣間見せ、ふと暖かな気配を感じさせたり、閃きを見せたりと聴くものを飽きさせません。
終楽章もリズムに変化を持たせながらさりげなくまとめます。最後に見得を切るのがこの人のスタイルなのでしょう、キリリと引き締めて終わります。

Hob.XVI:49 Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
晩年の有名なソナタ。ここにきて、かなり派手なアクセントをかまして表現力を駆使してきます。ハイドンの曲に仕込まれた機知を汲み取ってどうだと言わんばかりの外連味溢れる演奏。晩年のソナタだからこそ、こうしたウィットを込めたのだろうと言わんばかりの演奏にニンマリ。奏者の浮かび上がらせたハイドンの意図は私にはしっくりきました。このソナタから迫力や響きの美しさではなく、この外連味を汲み取るセンスは秀逸。全編に遊び心が満ち溢れます。
なぜか枯淡の境地を感じさせるアダージョ。ピアノという楽器の響きの美しさを感じさせながらも、叙情的にならずに淡々と曲を弾き進めていくことでかえって切ない感情を浮かび上がらせます。この曲の真髄に迫るさりげない解釈に凄みさえ感じるほど。
そしてフィナーレはタッチの硬軟の対比を随所に設けてテーマとなるメロディーに変化をつけて表現力を見せつけます。見事。

Hob.XVI:20 Piano Sonata No.33 [c] (1771)
好きな曲。1楽章は美しい2楽章の前座のようにこれまで聴く癖がありましたが、フェルツマンはこの楽章にも巧みに表情をつけることで、この楽章独自の面白さを印象付け、私の曲の印象も変わりつつあります。一般的な丁寧な演奏から生まれるまとまりの良い曲想から抱く印象とはちょっと違って、この曲の展開の面白さにいつもと違う方向からスポットライトが当たり、ハッとさせられました。
そして、お目当てのアンダンテ・コン・モートは期待以上に心に沁みる演奏でした。響きに固執することなく、小川の流れが岩に当たって所々急な流れになったり、穏やかになったりする自然の美しさをそのまま書き写したような曲の表情に気づかされます。緩急自在かつ響きの磨き度合いも自在に変化させるフェルツマンの軽妙なタッチ。絶美。
フィナーレはピアノの響きの面白さを適度な力感で楽しむがごとき演奏。力任せになることはなく、左手のアクセントを交えながら曲のメロディーと陰影の美しさを交錯させて流すように演奏。すっと力を抜く面白さまで加えて終えるあたり、流石のセンスです。

CD1枚目を聴いてウラディミール・フェルツマンの曲に対する読みの深さを思い知った感じ。表面的な響きの美しさというレベルを狙っているのではなく、曲ごとにハイドンが意図したであろうイメージを次々と汲み取って表情を作っていくことで、一見シンプルなハイドンのソナタの深さを見事に表現しきっています。このことが最もよくわかるのがXVI:49。このソナタに込められたアイデアをこれほどわかりやすく表現した演奏は他にありません。恐ろしいまでの表現力の持ち主ですが、それを穏やかにまとめるところが真の実力者と見ました。感服です。評価は4曲とも[+++++]といたします。必聴です。



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tag : ピアノソナタXVI:46 ピアノソナタXVI:34 ピアノソナタXVI:49 ピアノソナタXVI:20

【新着】ポール・ルイスのピアノソナタ集(ハイドン)

なぜかピアノの新譜が続きます。

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ポール・ルイス(Paul Lewis)のピアノによるハイドンのピアノソナタ4曲(Hob.XVI:49、XVI:50、XVI:32、XVI:40)を収めたアルバム。収録は2017年4月15日、8月20日から22日にかけて、ベルリンのテルデクススタジオ(Teldex Studio Berlin)でのセッション録音。レーベルはharmonia mundi。

このアルバムはリリースされたばかりのものですが、先日当ブログのマルクス・ベッカーの記事を取り上げていただいたyoshimiさんのブログの記事のコメントでその存在を知り、注文を入れていたもの。

どうやら巷では話題のポール・ルイスですが、私は存在も含めて初めて聴く人です。調べてみるとこのアルバムがリリースされているharmonia mundiからベートーヴェンのピアノソナタ全集や、イルジー・ビエロフラーヴェクの振るBBC響とのピアノ協奏曲全集、マーク・パドモアとのシューベルトの主要歌曲、主要ピアノソナタ集などを次々とリリースしており、いずれもなかなかの評判ということで、harmonia mundiの看板ピアニストといったところ。ハイドンの未聴盤の発掘に極度に偏ってアルバムを収集している私だけが知らぬ存在だったというのがオチでしょう(笑)

いつものように略歴をさらっておきましょう。1972年英リバプール生まれで、マンチェスターのチェタム音楽学校、ロンドンのギルドホール音楽演劇学校などで学び、その後はアルフレート・ブレンデルに師事。1994年にロンドン国際ピアノコンクールで2位に入賞したのを皮切りにその後多くのコンクールでの入賞を経て欧米のコンサートや音楽祭で活躍するようになります。2005年から2007年にかけて欧米のコンサートでベートーヴェンのピアノソナタ全曲を演奏するのと並行し、harmonia mundiに全ソナタを収録し、それぞれのアルバムがGramphone誌のEditor's Choiceに選定された上、第4巻は同誌の最優秀器楽賞と2008年の年間ベストアルバムに選定されており、このことがポール・ルイスの名を世界に轟かせたのでしょう。以後の活躍、アルバムのリリースは先に触れたとおりです。

さてさて、なんとなくアルバムが届いてから記事にしようとしているうちに、yoshimiさんのブログで取り上げられました。レコード芸術の5月号にインタビューも掲載されており、その引用も含めてyoshimiさんのブログに詳しく触れられていますので、是非ご覧ください。

気ままな生活 ポール・ルイス ~ ハイドン/ピアノ・ソナタ集

私の方は、前記事で取り上げたトッド・クロウの演奏の余韻が残る中、曲ごとに演奏の特徴に触れておきましょう。

Hob.XVI:49 Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
非常に艶やかで磨かれたピアノの響きが心地よい録音ですが、低音はあえて抑え気味にして中高音域の美しさを強調しようとしている感じ。リアリティよりも雰囲気重視の録音。全ての音が艶やかに響くところはブレンデルに師事したというのが頷けるところ。トッド・クロウのしみじみと語るような語り口の上手さとは表現の角度が異なり、グイグイと弾き進めながらも多彩なタッチの変化で聴かせます。推進力があり、淀みなく音楽が流れていきます。1楽章はハイドンのソナタの喧騒感を上手く表現しています。
続くアダージョ・カンタービレは思ったほど沈まず、美しい音色でメロディーを包み込むような演奏となります。柔らかなさざなみに乗って装飾を凝らした主旋律がくっきりと浮かび上がります。
そして終楽章も楽章間の表現の差はあまり感じさせず、軽やかな躍動感を軸にさらりと弾き進めてまとめます。

Hob.XVI:50 Piano Sonata No.60 [C] (probably 1794)
演奏スタイルは前曲と同様、曲ごとの変化を感じさせることなく、センス良くまとめる力で演奏している感じ。この曲でも落ち着かないほどグイグイとひっぱていくのがポール・ルイス流なんでしょう。時折りふっと静けさを感じさせる他は一貫して攻め続けていく感じ。場面転換の瞬間瞬間のはっとさせるようなアイデアは流石なところ。アダージョは前曲よりもしっとり感が出てきて、要所でテンポも大きく動かすことで表現の幅が大きくなります。終楽章に入ると表現はさらに大胆なひらめきが散りばめられ、ポール・ルイスの面目躍如。最後の力の抜き方も見事です。

Hob.XVI:32 Piano Sonata No.47 [b] (1776 or before)
この曲は師であるブレンデル盤が刷り込みです。ブレンデルの力感とコクが新鮮なセンスで刷新されたような演奏。全般にライトな印象はやはり録音の影響もありますが、この曲独特の重さを少し軽減して儚い華やかさを感じさせるのが流石なところ。この華やかさが続くメヌエットにも引き継がれ、得も言われぬような美しいメロディーが漂います。軽やかな中にトリオの険しさが顔を覗かせることで曲のメリハリがつきます。フィナーレは目の覚めるような鮮やかなタッチの右手とゴツゴツした左手の織りなす見事な調和で一気に聴かせます。

Hob.XVI:40 Piano Sonata No.54 [G] (c.1783)
最後にしっとりと落ち着いた語り口も聴かせようという意図での曲順でしょうか。どちらかというとセンスとタッチのキレ味で聴かせるルイスのハイドンですが、ここにきて静寂感と詩情が溢れる演奏でアルバムに深みが加わります。ルイスのしっとり感はそれでも軽やかさと華やかさを失わないのが流石。ブレンデルのような骨太な印象とは逆に良い意味で線の細いところがそう感じさせるのでしょう。
終楽章はやはりタッチの鮮やかさが聴かせどころ。あまりに鮮やかなタッチで若干技巧披露的な余韻がついちゃいました。

ポール・ルイスによるハイドンのソナタ集でしたが、ルイスの閃きに満ちた鮮やかなタッチが楽しめるいいアルバムでした。ジャケットを見るとピアノの横に自信ありげにすっくと立つポール・ルイスの姿が印象的ですが、よく見ると左側のピアノの黒にうっすらと数字の1が浮かび上がっています。レコード芸術誌のインタビューでも来年ハイドンのソナタ集の2枚目がリリースされると触れられていますが、これまでのルイスの録音歴を考えると全集化もあり得ると思います。数枚リリースするアルバムの1枚目にわざわざ1とは書かないのが普通ですよね。ということでこれからが楽しみな企画になりました。評価は全曲[+++++]とします。

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【新着】モリッツ・エルンストのピアノソナタ全集第1巻(ハイドン)

久々にCDに戻ります。ちょっと気になっていたアルバムが到着しました。

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モリッツ・エルンスト(Moritz Ernst)のピアノによる、ハイドンのピアノソナタ全集の第1巻で、6曲のソナタ(Hob.XVI:7、XVI:8、XVI:35、XVI:36、XVI:37、XVI:49)が収められたアルバム。収録は2015年、バイロイトにあるピアノメーカー、シュタイングレーバー&ゼーネ社(Steingraeber & Söhne)の室内楽ホールでのセッション録音。レーベルはPerfect Noiseという不思議な名前のレーベル。

最近リリースされたこのアルバム。タイトルにJoseph Haydn Complete Sonatas Vol.1との記載があり、気になっていたもの。ピアニストもレーベルも全く未知のものでしたので、まずは当ブログが取り上げないわけにはいかないとのことで注文を入れていたもの。到着して手に取ってみると、まずは未知のレーベルながらなかなかセンスのいい造りで一安心。ライナーノーツに目をやると、ドイツのワーグナーの聖地バイロイトにあるピアノメーカーのシュタイングレーバー&ゼーネ社のピアノでの録音とのこと。ハイドンのソナタの録音はスタインウェイが多いのはもちろん、ウィーンのベーゼンドルファーによるものや、最近ではジャン=エフラム・バヴゼが日本のヤマハで全集の録音を進めています。変わったところでは、アンジェラ・ヒューイットがイタリアのファツィオーリを弾いて録音を残しています。が、このアルバムで弾かれているシュタイングレーバーは初めて聴くもの。ピアノの楽器に詳しいわけではありませんが、ちょっと珍しい選択でしょう。気になったのでシュタイングレーバーについてちょっと調べてみました。

Steingraeber & Söhne(日本語)

メーカーのウェブサイトには日本語のページも用意され、リンクされているPDFにもちょっと怪しげな訳ではありますが日本語の解説がつけられています。創立は1852年とハイドンが生きていた時代で、シュタイングレーバー家による家族経営の小規模なピアノメーカーのようですが、リリースされているモデルは多岐にわたり、有名なピアニストにも愛用者がいるようです。このアルバムでもハイドンのソナタ全集を録音するにあたり、このピアノを選んだ理由はライナーノーツにも記載されていませんので、音色で確認するしかないでしょう。

奏者のモリッツ・エルンストは1986年、ドイツの押すとヴェストファーレン地方で生まれたピアニスト、チェンバリストでヨーロッパでは広く活躍している人のよう。特に現代音楽を中心に活動してきたようで、これまでにリリースされたアルバムは現代ものが多いですね。

Moritz Ernst

このアルバム、ハイドンのピアノソナタ全集を標榜するだけあって選曲もなかなか考えられています。初期のソナタ、中期のソナタ、晩年のソナタをうまく配置した選曲。さて、肝心の演奏、そしてシュタイングレーバーによる響きは如何なものでしょう。

Hob.XVI:7 Piano Sonata No.2 [C] (before 1760)
比較的狭い空間で残響共々とらえた録音。少し遠くにピアノが位置するワンポイント録音のような感じ。もちろん現代ピアノなんですが、ちょっと古めかしい印象もある独特の音色。これがハイドンのソナタに合いますね。最初は非常に短い曲ですが、エルンストの演奏はかなり客観的に主情を廃した演奏。演奏のスタンスとしてはオルベルツに近いかもしれません。現代音楽を得意としているだけにタッチは正確で、初期のハイドンのソナタをまるで慣らし運転のようにさらりとこなします。

Hob.XVI:8 Piano Sonata No.1 [G] (before 1760)
中音域の独特の音色がシュタイングレーバーの特徴でしょうか。この曲でもさらりとしたタッチでハイドンの諧謔的なフレーズを冷静に展開していきます。まるで練習曲をさらりとこなすようなスタンスのエルンスト。この初期の曲にはこのようようなスタンスがふさわしいのでしょう。少し表現が踏み込んでくるのが2楽章のメヌエット以降。メヌエットからアンダンテの穏やかな表情への変化はなかなかのもの。そして転がるような終楽章へ。ハイドンの音楽に潜む機知をしっかりと汲みとります。

Hob.XVI:35 Piano Sonata No.48 [C] (c.1780)
中期のソナタに入ります。速いパッセージの入りはスタインウェイでの華麗な響きに慣れていますが、このシュタイングレーバーの家庭的な響きで聴くと、ソナタ自体が身近な存在に聞こえます。もちろんエルンストの指は軽やかに回り少しの破綻も見せません。それどころ左手のアクセントの力強さはかなりのもの。なんとなくもう少し聴きどころを作った方が良さそうとは思いながらも、さらりとしたタッチで押し通します。2楽章に入ると少しくつろぎながらくっきりとメロディーラインを浮かび上がらせ、音楽の琴線に触れるようになります。全集を一定の水準で統一感を持たせようとしている中での、しっかりと盛り上げる聴きどころも必要ですね。エルンストの手の内がだんだんわかってきました。フィナーレはまたさらりとこなします。ハイドンの演奏に必要な軽さをしっかりと表現できています。

Hob.XVI:36 Piano Sonata No.49 [c sharp] (before 1780)
あえて少しリズムを重くしたのでしょう。ゴリっとした感触の印象的な入りはなかなかの迫力。基本的に一定のスタンスによる安定した演奏ながら、曲ごとに少しづつ表情をつけてきます。さっと音量を落とした直後のアクセントなどエルンストならではの個性的な表現もちりばめます。この曲ではリズムもテンポも自在に操ることで曲の面白さをうまく引き出しています。2楽章のスケルツァンドも自在なタッチでハイドン独特のメロディーをアクロバティックに再構成。そして短調のメヌエットもどこか冷静な視点でさらりとこなします。この冷静さはどこかに現代音楽の演奏に通じる視点を持っているよう。

Hob.XVI:37 Piano Sonata No.50 [D] (c.1780)
聴き慣れた曲ですが、ピアノの音色が異なるのと、エルンスト流のクールさ、現代性で新鮮な響きを作っています。ここにきてリズムもタッチも少しづつ思い切った表現が見られるようになってきます。これがちょっとハイドンのソナタとしては前衛的でもあり、ちょっとバランスに欠ける印象にもつながります。ここがハイドンの難しいところ。
聴きどころのドラマティックな2楽章。1楽章の演奏で少し外れ感があったんですが、2楽章に入るとこれが実に素晴らしい演奏に変わります。1楽章の先走り感はどこへやら。しっとりと落ち着いた音楽が流れます。そしてフィナーレも落ち着きを保ちながら多彩なタッチでまとめます。

Hob.XVI:49 Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
最後はハイドン晩年の傑作ソナタ。多くの名演奏がひしめく曲。ここまで聴いてきて、シュタイングレーバーのピアノは、少々古風な音色の面白さがある一方、複数の音が鳴った時のハーモニーの美しさに少々難ありだということがわかりました。この最後のソナタでもメロディーラインのタッチの面白さが浮かび上がる一方、ハーモニーのが単音的に聴こえるのが曲の印象を左右していますね。現代ピアノでのハイドンのソナタの豊かな響きよりも音色はピアノながらフォルテピアノに近い一音一音の存在感が特徴になるでしょうか。エルンストの冷静なタッチもそう感じさせている一因かもしれませんね。この曲では表現は今までの曲同様多彩なんですが、曲に込めらた心情のようなものよりもタッチの変化のようなものに気を取られ、表現がちょっと表面的な印象につながっています。
アダージョでは前曲同様、エルンストの現代的ながら自在な表現がマッチして曲の深みを感じさせます。そしてフィナーレはさっぱりとした表情で弾き抜けます。

ハイドンのピアノソナタ全集を意図するモリッツ・エルンストの演奏ですが、曲から一定の距離をおいて客観的な視点で曲を捉えた演奏で、使用しているシュタイングレーバーという楽器の響きもあって、さらりとした表情の印象が強く残る演奏でした。楽器の選択はハイドンの時代の響きに対するイメージを優先させたものだと思いますが、悪くはありません。この演奏の印象はやはりモリッツ・エルンストのタッチにあり、独特の現代的感覚がそのような印象を残していると思われます。これからハイドンのソナタ全集を残すという一大プロジェクトに挑むということで、今後の演奏に注目したいと思います。評価は全曲[++++]とします。

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ジャン=クロード・ぺヌティエのピアノソナタ集旧録音(ハイドン)

またまたお宝盤発掘! どうしてもLPにいってしまいます。

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ジャン=クロード・ぺヌティエ(Jean-Claude Pennetier)のピアノによるハイドンのピアノソナタ3曲(Hob.XVI:34、XVI:48、XVI:49)を収めたLP。収録は1984年10月、南仏マルセイユの北にあるソーヴァン城(Château de Sauvan)でのセッション録音。レーベルはharmonia mundi FRANCE。

ぺヌティエのハイドンのソナタの録音は以前に取り上げていますし、ラ・フォル・ジュルネで実演も聴いています。

2015/05/04 : コンサートレポート : ジャン=クロード・ペヌティエの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」(ラ・フォル・ジュルネ)
2010/11/24 : ハイドン–ピアノソナタ : ジャン=クロード・ペヌティエのピアノソナタ集

以前取り上げたピアノソナタ集のCDは曲はXVI:50、51、52などで、録音は1999年から2000年にかけて。今日取り上げるアルバムの録音はその約15年前の1984年の録音で、曲はXVI:34、48、49とCDとは重なっておらず、ハイドンのピアノソナタの晩年の名曲を網羅する形になっています。CDというメディアが世の中に出回ったのが1982年ということでこのLPはその直後の録音ということになります。ネットで調べてみた限りではこの録音がCD化された形跡もなく、知る人ぞ知る存在でしょう。

針を落としてみると、驚くほど瑞々しい響き。ジャケットにはピアノはベーゼンドルファーを使っていると書かれています。気になってCDの方をチェックしてみるとこちらはスタインウェイ。CDも非常に響きに美しい録音でしたが、このLPにはベーゼンドルファーの豊穣な響きが最上の形で記録されています。

Hob.XVI:34 Piano Sonata No.53 [e] (c.1782)
少し遠くに残響を伴って定位するピアノ。LPのコンディションは最高で響きの美しさが際立ちます。ぺヌティエの強力な左手のアクセントがメリハリをつけながらの流麗なタッチ。後年の悟ったような表情は見せず、曲の淀みない流れの美しさに焦点を当てた演奏。1楽章はあっという間に流れていきます。1楽章の演奏から想像できましたが、続くアダージョは自然なデュナーミクの美しさが極まる絶美の演奏。ぺヌティエの自在なタッチの魅力にとろけそう。そしてフィナーレも自然な表情の美しさを保ったまま、流れるようなタッチでどこにもストレスを感じさせない演奏。ピアノの純粋無垢な響きの美しさが楽しめます。時折り響きをざらりと分解するような表現でハッとさせるのも効果満点。最後にクライマックスを持ってくるあたりのマナーもオーソドックスでいいですね。

Hob.XVI:48 Piano Sonata No.58 [C] (1787/9)
続くソナタも響きの美しさと流れの良さは変わらず。しかも一音一音の表情が実に豊かで、ハイドンのピアノソナタのオーソドックスな演奏の最上の姿と言っていいでしょう。特に低音の余裕のある図太い響きの魅力はLPならでは。ちょっと強面のぺヌティエのぶっとい指からこれほどの詩情が立ち上るとは。タッチに余裕があるからこそコントロールできる柔らかさということでしょう。まさに夢見心地で響きに酔います。ゆったりとした雰囲気をさらりとかわすかのようにそよ風のような優しさて、驚くほど流麗なタッチで2楽章に入ります。テンポはかなり速めにもかかわらず、まるで魔法のように鮮やかなタッチで弾き進めます。若きぺヌティエの驚くべきテクニック。タッチの冴えをここぞとばかりに聴かせますが、驚くほど自然に響くところに凄みを感じさせます。これは凄い!

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Hob.XVI:49 Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
LPをひっくり返して最後のソナタ。片面に1曲ゆったりとカッティングされているため響きにも余裕があります。この曲はリズムとメロディーの面白さを融合したハイドンの見事な筆致を楽しめる曲。ぺヌティエの自然なタッチは変わらず、左手の図太いアクセントと流麗な右手のパッセージが乱舞する絶妙な演奏。スタインウェイよりも内声部が豊かに響くように感じるためか、非常に豊穣に響きわたります。フレーズ毎の表情ではなく流れるように表情を変えていくことでメロディーの自然なつながりの面白さが浮かび上がります。2楽章は前2曲同様自然な詩情の美しさが沁みます。もう少し表情が濃いとロマン派の曲のように聴こえてしまう寸前のバランス感覚。大きな波のようにうねる曲想をしっかりと捉えてゆったりと盛り上げます。宝石のように磨き抜かれた響きに三度うっとり。この曲はフィナーレがメヌエット。最後まで落ち着き払ったぺヌティエの見事なコントロールで、ハイドンの機知に溢れたソナタを一貫してロマンティックな姿に仕立て上げてきました。この曲も最後の一音を轟かせて終了。

ジャン=クロード・ぺヌティエの1984年に録音されたハイドンのピアノソナタ集。ベーゼンドルファーの豊かな響きを活かした秀逸な録音によって若きぺヌティエがハイドンを流麗にまとめた演奏。後年の録音では枯れたところも聴かせましたが、このころのぺヌティエの演奏はタッチの鮮やかさも、バランスよくまとめる力も後年よりも上と聴きました。この3曲は絶品の出来と言っていいでしょう。評価はもちろん3曲とも[+++++]とします。LPの再生環境がある方、見かけたら即ゲットをオススメします!

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テレーズ・デュソーのピアノソナタ集(ハイドン)

なんだかピアノの響きにはLPが合うようで、ピアノソナタの名録音がつづきます。

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テレーズ・デュソー(Thérèse Dussaut)のピアノによる、ハイドンのピアノソナタ2曲(Hob.XVI:49、XVI:52)とファンタジア(Hob.XVII:4)の3曲を収めたLP。収録についてはネットで色々調べるとおそらく1972年にリリースされたもののよう。レーベルはARION。

こちらも先日ディスクユニオン新宿店で仕入れたもの。LP売り場は適度に分類されているんですが、交響曲や弦楽四重奏曲はハイドンのコーナーがあるもののピアノ曲はH前後のいろいろな作曲家のアルバムが混ざっており、LP時代には現在もCD化されていない未知のピアニストのアルバムがまだまだあるようで、売り場構成と相まって宝探し的楽しみがあります。このアルバムもそうして発見した一枚。

ジャケットをよく見ると古いスケッチですが、明らかにハイドンのような顔をした男がフォルテピアノの横に座り、鍵盤の前には貴婦人が立っているスケッチ。調べてみるとフランスの画家、ドミニク・アングルの1806年の習作「森の家族」とのこと。アングルは1780年、南仏のモントーバン(Montauban)生まれで、トゥールーズ、パリで学んだのち、当時の若手の登竜門だったローマ賞を受賞し、政府給費留学生として1806年にローマに渡ります。この絵がパリトローマのどちらで書かれたのかはわかりませんが、ハイドンはパリにもローマにも行っていませんので、実際の場面ではなく、当時ヨーロッパ中で知られていたハイドンから音楽を学んでいる姿を想像してスケッチしたものでしょうね。当時のハイドンの人気を物語るものでしょう。LPの魅力はこうしたジャケットにもあるわけで、たかが印刷ですが、なんとなくいい雰囲気が漂うわけです。

さて、本題に戻って、奏者のテレーズ・デュソーについて調べてみます。

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テレーズ・デュソーは1939年、ヴェルサイユ生まれのピアニスト。父は作曲家のロベール・デュソー(Robert Dussaut)、母も作曲家のエレーヌ・コルヴァティ(Hélène Corvatti)。フランスでマルグリット・ロンとピエール・サンカンにピアノを学び、ドイツではロシアのピアニスト、ウラディミール・ホルボフスキに師事しました。1957年には国際ARDコンクールで優勝し、以後はコンサートピアニストとして活躍、現代音楽にも積極的に取り組んできたそうです。近年は教育者として活躍しているとのこと。

Hob.XVI:49 Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
しっとりとしたタッチから流れ出る音楽。女性奏者らしいタッチの柔らかさが印象的。サラサラと流れながらも要所でのアクセントはくっきりとつけていきます。まさに気品に溢れた演奏。LPだからか研ぎ澄まされたピアノの音色の美しさが際立ちます。ハイドンの曲のメロディーの美しさも展開の面白さもアイデアの豊富さもすべて折り込んでさらりと美しくまとめいる感じ。ジャケットのスケッチが、女性ピアニストが演奏を終え、ハイドンが満足げに微笑んでいる姿にも見えてきました(笑) 実に品のいい演奏。
アダージョに入ると、実際の音量以上に静けさを感じさせます。楽章がかわって、気配も変わった感じ。聴き手を包み込むようなオーラが発散しています。心に沁み渡るような浸透力。仄暗い部屋の真ん中でスポットライトを浴びながら静かにピアノの響きと向き合うッデュソーの心境がつたわるようです。後半の左手のアクセントの連続は澄み渡るような美しさ。実際の力感ではなく、力感を表現するのは音の対比のみでできるのだとでも言いたげなほど、力が抜けているのに音楽の起伏は険しく感じられる演奏。美しすぎるアダージョ。
3楽章はメヌエット。ことさら演奏スタイルを変えることなくさらりと入り、淡々と進めていきます。キラメキを増す右手にと、絶えず静けさを保ち続ける冷静さのバランスが絶妙。

Hob.XVII:4 Fantasia (Capriccio) op.58 [C] (1789)
こだまのようにメロディーが響き合う小曲。テンポよくすすむ曲想にあわせてタッチのキレも一段と鮮やかになりますが、なにより素晴らしいのが可憐な雰囲気に満ちていること。やはりデュソーの演奏の特徴はこの気品にあります。時折前曲のソナタの演奏では見せなかった激しいアクセントが姿を現してちょっとびっくりしますが、この小曲でのメリハリをきっちりつけようということでしょう。最後の終わり方もちょっと驚く間をとって遊び心をみせます。最後まで透徹したタッチとしなやかさが感じられる名演奏です。

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Hob.XVI:52 Piano Sonata No.62 [E flat] (1794)
曲の構えが大きい分、ぐっと迫力を増した入り。最初の曲ではしなやかさが印象的だったんですが、この曲では力感は十分。素晴らしい迫力に圧倒されます。もちろん繊細な響きの魅力は保っていますので気品に満ちた迫力です。この曲ではやはり力感の表現がポイントとみたのでしょう、1楽章はしなやかな中にも迫力が満ち溢れ、力で押していくようなところもある演奏。
そしてアダージョも打鍵の余韻を実に品良く響かせます。余韻の隅々までしっかりコントロールされた演奏。ところどころでかなり力を抜いた音階をちりばめたり、アクセント、特に左手のメロディーをデフォルメしたりすることで、この優雅な曲にくっきりとした表情の変化をつけていき、音楽の彫りを深くしていきます。
終楽章のプレストへの入りが実に印象的。連続音から始まるこの曲の表情を見事に演じます。タタタタと続く音を実に表情豊かにしあげてきます。このセンスこそデュソーの演奏の真骨頂。全編に気品が満ちているのは音の響きに関する鋭敏な感覚があってのことでしょう。この曲でも一つとして同じ音をならさぬようタッチは非常にデリケート。速い音階の滑らかさとアクセントの対比も見事。突然テンポを落としたりとハイドンのしかけた機知にも呼応します。曲の読みが深いですね。この曲も見事の一言。

ディスクユニオンの売り場から掘り起こしたアルバムですが、これは宝物レベルの名盤でした。まったくしらなかったテレーズ・デュソーというピアニストによるハイドンでしたが、ジャケットに移る美麗な姿そのままの気品に溢れた名演奏でした。音に対する鋭敏なセンスを持ち合わせ、ハイドンのソナタから実に深い音楽を引き出す腕前の持ち主。1曲目のXVI:49ではそのセンスの良さで聴かせ、ファンタジアではタッチのキレのよさ、そして最後のXVI:52では迫力と彫りの深さで圧倒されました。LPのコンディションも悪くなく、美しいピアノの響きを堪能できました。評価は全曲[+++++]とします。

このところの陽気でだんだん目の周りが痒くなってきました。魔のシーズン突入ですね(笑) めげずに頑張ります!

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フレデリク・マインダースのピアノソナタXVI:49(ハイドン)

最近ディスクユニオンで発掘した名盤。

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フレデリク・マインダース(Frédéric Meinders)のピアノによる、ハイドンのピアノソナタ(Hob.XVI:49)、メンデルスゾーンの6つの子供の小品(Op.72)、7つの性格的小品(Op.7)からアンダンテ、リストのバラード第2番、ローレライ、リスト編曲によるワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」より「イゾルデの愛の死」など6曲を収めたLP。収録情報はPマークが1979年とのみ記されており、レーベルは蘭CBS。

ジャケット写真を見た当ブログのコアな読者の方ならすでにお気づきの通り、何やら怪しい妖気が立ち上っております。ディスクユニオンの店頭でこのアルバムを見かけた時、というか、アルバムに写る奏者と目が合った時、瞬間的に手に入れるべきとのお告げが脳髄に刺さりました(笑) カウンターに持ち込み検盤してみるとほぼミントコンディションで言うことなし。かくして、このアルバムが手元にあるわけです。

一応クリーニングマシンで綺麗に洗浄して針を落とすと、みずみずしいピアノの音色が流れ出すではありませんか。しかも前衛的に攻めてくるかの予想に反して非常に優しいタッチの流麗な演奏。ハイドンのソナタがこれほどまでに柔らかくナチュラルに響く演奏は久しぶりです。これはちゃんと調べて記事にせねばと意気込んで取り上げた次第。

アルバムはオランダCBSのもので解説もオランダ語のみ。という事でオランダ語の解説とネット情報をかき集めて奏者の略歴をさらっておきます。奏者のフレデリク・マインダースは1946年、オランダのハーグ生まれのピアニストで、作曲家でもあるそうです。幼少の頃から両親にピアノを習い、王立ハーグ音楽院に進学後、1968年にはオランダの国内コンクールで1等になります。その後、アルゲリッチの勧めでジュネーブでニキタ・マガロフに師事し、直後にオスロの国際スクリャービンコンクールで優勝。以後世界的に活躍しているそうです。なお、マインダースのウェブサイトはこちら。

Frédéric Meinders

アマゾンなどで検索すると編曲もののアルバムがいくつか引っかかるだけですが、ディスコグラフィーには10枚以上ののアルバムが掲載されている他、作曲家らしく、膨大な数の作品リストも掲載されています。今日取り上げるアルバムの姿は若き日のマインダーズであることもわかります(笑)

Hob.XVI:49 Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
ハイドンのソナタのピアノによる演奏はリズムをキリっと引き締めた演奏が多い中、リズムよりもメロディーラインの流れの良さで聴かせる非常に珍しいタイプの演奏。あまりにサラサラとメロディーが流れ、タッチも鮮やかなため、リズムの山感じられないほど。歯応えを期待した蕎麦を口にした瞬間、あまりの喉ごしの良さに驚く感じ。リズムに機知を感じさせるという先入観を全く持たずに演奏するとこうなるのでしょうか。有名なソナタだけにこちらも「この手があったのか」と膝を打つ始末(笑)
この演奏が気まぐれではなく、間違いなく確信犯だと思うに至ったのが続く2楽章。以前、デルジャヴィナ盤を取り上げた時に、「ショパンのようなハイドン」と評した言葉を思い出しました。マインダースのディスコグラフィーを確認すると、過去の録音がショパンに集中しているわけではありませんが、古典派よりもロマン派以降の音楽が中心なのは明らか。そうした視点で聴くと、このハイドンは古典派の音楽として演奏しているという感じがなく、ハイドンの音符を、ロマン派的な視点で解釈しての演奏と捉えるとしっくりきます。要はそれほどロマンティックな完成度が高いという事です。夢を見ているひと時を音楽にしたような甘い音楽。
フィナーレも非常に柔らかな音楽が流れます。タッチはしなやかさを極め、ドビュッシーの組曲の一編を聴いているような錯覚すら覚えます。アクセントは音量ではなく音のキレのみで作り、すべてのメロディーが流麗に流れ、詩的な瞬間のイメージを大事にする演奏。いつもハイドンばかり聴いている耳には、かえって非常に新鮮に響きます。

ハイドンに続いて、メンデルスゾーンの曲になっても、同じ作曲家の音楽が流れていくように思わせる一貫性のある演奏に、ちょっと驚きますが、表現が単調という意味ではなく、表現の説得力の高さに驚くという感じ。B面のリストではもちろん可憐なタッチはそのままに、剛腕なところも見せますが、詩的ですらある表現の濃さはそのままで、品良くまとまっています。

1979年の録音ということで、マインダーズが30代前半の録音。アルバムに収められたメンデルスゾーン以降の作品と同じく、ロマンティックな演奏のハイドンでした。ハイドンのソナタから芳しい香りが立ち上り、しかも非常にセンス良くまとまった名演奏と言っていいでしょう。LPのコンディションが非常によかったので、マインダースの若さと70年代の空気そのものまでも溝に刻まれたような素晴らしい響きが味わえる名盤です。おそらくCD化はされていないと思いますが、このLPは掘り出す価値のあるものですね。評価は[+++++]とします。これだからLP漁りがやめられないわけです。

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デニス・コジュヒンのピアノソナタ集(ハイドン)

今日はピアノソナタの名演盤です。

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TOWER RECORDS / amazon / ローチケHMVicon

デニス・コジュヒン(Denis Kozhukhin)のピアノによるハイドンのピアノソナタ4曲(Hob.XVI:49、XVI:23、XVI:32、XVI:24)を収めたアルバム。収録は2014年1月6日から8日にかけて、ベルリンのテルデックススタジオでのセッション録音。レーベルはonyx。

このアルバム最近リリースされたものですが、当方の所有盤リストにないことを見抜いた湖国JHさんが、最近送っていただいた何枚かのアルバムに忍ばせていただいたもの。一聴してすぐにハイドンのソナタ演奏のツボを押さえた見事な響きに聴き惚れ、取り上げた次第。

ピアニストのデニス・コジュヒンはもちろん初めて聴く人。1986年、ロシアのモスクワの東方にあるニジニ・ノヴゴロド生まれのピアニスト。バラキレフ音楽学校で学び、その後ルガーノでマルタ・アルゲリッチプロジェクトなどの他、各地の音楽祭になどで腕を磨き、
2009年リスボンで開催されたヴァンドーム・コンクールで第1位、2005年にはエリザベート王妃国際音楽コンクールで優勝し頭角を現しました。日本にも2011年と2013年の2度来日し、NHKでも放送されたそうですのでご存知の方も多いかもしれません。ウェブサイトが見つかりましたのでリンクしておきましょう。

Denis Kozhukhin - Piano

ウェブサイトを見てみると、このハイドンのアルバムは彼の2枚目のアルバムで、デビュー盤がプロコフィエフのソナタ集、そして最新のリリースがグリークとチャイコフスキーの協奏曲、しかも指揮はワシーリー・シナイスキーと強力。シナイスキーは思い出深い指揮者で、少し前に読響に客演した際にコンサートにも出かけています。ということで目下売り出し中のピアニストということでしょう。

Hob.XVI:49 Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
スタジオ録音ですが、残響は豊か。ピアノの音は厚みがあり艶やか。コジュヒンのタッチは極めてオーソドックス。キレ良く、適度にダイナミックで流麗。このバランスがなかなか出せないんですね。特にハイドンらしい展開の面白さと古典の均衡を両立させるセンスが重要なのですが、コジュヒンは冒頭から絶妙なセンスでまとめ、安定感も抜群。ハイドンのソナタの晴朗な美しさ、ピアノの響きの美しさ、機知に富んだ展開が苦もなく示されています。コジュヒンと比べるとブレンデルも独特のクセがおるように聴こえるほどニュートラルな印象。
続くアダージョ・カンタービレも磨き抜かれたピアノの響きの美しさに溢れた演奏。どちらかと言うとさっぱりとした演奏なんですが、そのさっぱりさが曲自体の純度の高い美しさをうまく表現している感じ。特に中音域から高音域の響きの美しさはかなりのもの。右手のタッチの感度が絶妙なのでしょう。ウルトラニュートラル。この繊細な感覚、ロシアのピアニストという先入観を打ち砕きます。
フィナーレはちょっとしたリズムの弾み方が冴えまくっています。このリズム感で曲がしなやかに躍動します。躍動感とフレーズ間の間のコントロールが醸し出す音楽の豊かさ。自然さのなかに冴えた感覚が見え隠れします。1曲目から見事な演奏。

Hob.XVI:23 Piano Sonata No.38 [F] (1773)
ちょっと遡った時期の曲。素直なタッチは変わらず、リズムのキレと機知に富んだ展開が鮮やか。相変わらず安定感は抜群というか、ハイドンのソナタの理想像と言っても良い一貫した演奏が続きます。耳を澄ますと、大きな骨格のメリハリがしっかりしていて、それをつなぐ音階がキレ良く流れているのがポイントのよう。この人、ハイドンのソナタ全集を録音した方がいいと思います。オルベルツの地位を脅かすような安定感を感じます。フレーズごとに閃きもちりばめられ刺激十分。
アダージョは逆に穏やかな表情で安心させ、きらめく星空のような素晴らしい時間が流れます。消え入るような静寂を感じさせ、緩急のコントロールセンスも抜群。
静寂を断ち切る一音。フィナーレの入りでハッとさせ、やはりリズムが踊り、程よいダイナミクスで余裕たっぷりに音符にそって音を置いていきます。やはりデッサンが正確というか、構造が明確になるポイントを押さえながら、他の音符をさらりと加えて行くセンスの良さで聴かせ切ってしまいます。見事。

Hob.XVI:32 Piano Sonata No.47 [b] (1776 or before)
1曲1曲にドラマを感じる展開。最初の入りから曲のイメージが鮮明に浮かび上がります。ちょっと前にシフのピアノがしなやかにニュアンスを加えて行くのに対し、コジュヒンは骨格の確かさを保ちながらニュアンスをちりばめているので、ハイドンのソナタとの相性は一段上かもしれません。確かな骨格の存在がハイドンの機知をさらに洗練させているのでしょう。明確なアクセントで空間を仕切っていくので、曲の構造がくっきりと浮かび上がります。ハイドンの音楽のツボを押さえている感じはここから来るのでしょう。
独特の曲想のメヌエットですが、やはり速めのサッパリとした演奏で逆に曲想の面白さが引き立ちます。曲の見通しが非常によく、楽章間の対比の面白さに興味が移ります。
フィナーレも同様、快速な展開でメロディーの面白さを早送りで楽しむよう。残響豊かな空間にピアノの美音で描かれるハイドンの機知に富んだメロディー。この面白さを知っているからこその演奏。またまた見事。

Hob.XVI:24 Piano Sonata No.39 [D] (1773)
最後のソナタ。最後にハッとするような美しい響きの入りで驚かせます。シンプルな音楽の流れですが、そこここに知的刺激がちりばめられて、脳が冴えまくります。さりげないメロディーにつけられた微妙な表情の変化がこちらの期待を超えて響き、それに合わせて聴きに行きながら次の刺激に反応する繰り返し。聴きなれたメロディーなのにあちこちに仕掛けが施され、音楽がコジュンヒンの感性で再構築されていきます。豊かな音楽とはこのようなことの繰り返しでしょう。実に自然に流れる音楽なのに、実に豊か。
少し速めのアダージョはこのアルバム共通。このアダージョ、転調が印象的な曲ですが、その転調の瞬間のニュアンスがあまりに素晴らしく、ゾクゾクします。その瞬間の鮮やかさを強調するように、それまでは実に穏やかに音楽が流れます。
名残惜しさを感じさせながらさらりとフィナーレに入り、いたずら心に溢れたメロディーが弾みます。どこにも力みを感じさせずに、軽々とメロディーを絡ませていき、最後はさらりとまとめます。

これは絶品。途中にも書きましたが、コジュヒン、ハイドンのソナタ全集を録音すべきです。このアルバムに収められた4曲の演奏が上手いのではなく、ハイドンのソナタの本質を突くような絶妙な演奏であり、他のソナタもこのタッチなら間違いなく名演奏になるはずだとの安心感があります。まったくムラなく、まったく迷いなく、確信に満ちた演奏。録音も見事で言うことなし。このアルバム、すべての人に聴いていただきたい名盤と言っていいでしょう。もちろん評価は[+++++]とします。いつもながら湖国JHさんの深謀遠慮にやられました。いつもながらありがとうございます!

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ハンス・リヒター=ハーザーのピアノソナタXVI:49(ハイドン)

久しぶりにヒストリカルなアルバム。

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ハンス・リヒター=ハーザー(Hanns Richter-Haaser)のピアノによる、モーツァルトのピアノソナタ2曲(K.284、K.533)、ベートーヴェンのピアノソナタ16番、そしてハイドンのピアノソナタHob.XVI:49の3曲を収めたアルバム。何れも1950年代の収録ですが、ベートーヴェンとハイドンは1959年10月7日、ラジオ放送向けにフランクフルトのヘッセン放送3/Cスタジオでのセッション録音。レーベルはヒストリカルなアルバムを多くリリースしているmelo CLASSIC。

ハンス・リヒター=ハーザーは、もちろんはじめて聴く人。調べてみるとドイツのピアノの大家でベートーヴェンを得意としていた人のようです。1912年、ドレスデンで大工とアマチュア音楽家の家庭に生まれ、13歳の時にドレスデン音楽アカデミーに進み、ハンス・シュナイダーに師事。18歳でベヒシュタイン賞に輝いたとのこと。16歳でドレスデンでデビューし、ドイツ国内でフリーランスのピアニスト、指揮者、作曲家として活躍しました。大戦中はドイツ軍の高射砲部隊に配属され、ピアノを弾く機会には恵まれず、ピアノの腕も落ちましたが、終戦時には米軍病院で演奏する機会を得て音楽活動に復帰します。1946年にはドイツ中部のデトモルト(Detmolt)のデトモルト管弦楽団の音楽監督となり、翌1947年までにはピアノのマスタークラスをもつ教授の立場となり、後年のデトモルト音楽アカデミーの礎となりました。1949年、再びコンサート活動を再開し、ヨーロッパの主要国で、カラヤン、ベーム、バレー、ヨッフム、フリッチャイ、サヴァリッシュらと共演し、ギーゼキングやバックハウスに次ぐヨーロッパの音楽界を席巻するピアニストとして活躍しました。録音も多かったようですが、有名なところではカラヤン/ベルリンフィルとのブラームスのピアノ協奏曲2番があります。1959年アメリカでデビューを果たし、1963年にはザルツブルク音楽祭にも出演しました。亡くなったのは1980年、ドイツのブラウンシュヴァイクでブラームスのピアノ協奏曲を演奏中に倒れ、間もなく息途絶えたとのこと。

ピアニストに詳しいわけではありませんが、かつては一世を風靡した人ですね。今は知る人も少なくなってきたのではないでしょうか。アルバムの左下には"FIRST CD RELEASE"とあり、この録音がCD時代も終わりを迎えんとする、演奏から55年もの年月を経てリリースされたということを感慨深く感じざるを得ませんね。

アルバムをCDプレイヤーにかけると、モノラルながら恐ろしく鮮明なピアノの響きに打たれます。しかも揺るぎない堅固さをもちながらも、タッチのキレも良く、今の時代に聴いてもあまり古さを感じさせません。モーツァルトのソナタもベートーヴェンも流石の演奏。じっくりと聴いて、いざハイドンです。

Hob.XVI:49 / Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
1959年という録音年代が信じられないような鮮明な響き。十分クリアな響きで、眼前に厚みのあるピアノが位置します。かなり速めのテンポで、グイグイ弾き進めていきます。ハンス・リヒター=ハーザー47歳の演奏ということで、脂の乗りきった頃の演奏。この年アメリカデビューを果たしますが、アメリカから帰ったあとの演奏でしょうか。指はキレまくり、メロディーは高速に転がるよう。テクニックは素晴しいものがあります。速いパッセージの指のキレはグールドを思わせるような冴え冴えとしたもの。もちろんグールドの狂気のようなものはなく、あくまでも正統な、しかもかなり本流の正統派の演奏。辛口硬派なハイドン。
アダージョに入っても速めな印象は変わらず、しっとりというより岩清水のような清透な響きですが、水質は超硬水。ゆったりとするとか癒されるというより、鋼の冷たさと固さをもったアダージョという感じ。敢えて間をおかずに音楽の滔々たる流れの良さを意識した展開。良く聴くと右手のメロディーの揺るぎないタッチが一貫して音楽の強さを造っているよう。同じ鋼を感じさせているとはいえ、リヒテルの空間を揺るがすような強さとは、また異なった演奏。
フィナーレは逆にテンポを少し落として枯れた印象を加えます。淡々と音楽を進めますが、鋼のよなタッチが時折表情を引き締め、あくまでもハンス・リヒター=ハーザーの演奏であるという枠をはずしません。骨太なのにキレの良い不思議と充実したハイドンでした。

ハンス・リヒター=ハーザーの演奏するハイドンのソナタ。55年も前の演奏とは思えない瑞々しい録音によって、往年の巨匠の演奏が蘇りました。これは素晴しい仕事。リリースする甲斐のある素晴しい演奏といっていいでしょう。ここには今の時代には聴かれることのない骨太の音楽があり、ピアニストの気骨が噴出するような素晴しく個性的な音楽が流れていました。ハイドンのソナタの演奏としてどうこうと言うより、一人のピアニストの貴重な演奏の記録として存在意義のある演奏です。最初はすこし評価を割り引こうかとも思いましたが、この気骨は多くの人に聴いていただく価値があるということで、[+++++]を進呈することにしました。音楽を聴くということは、そういうことなのでしょう。

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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノソナタXVI:49

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Author:Daisy

ハイドン(Franz Joseph Haydn)の膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。私はなぜハイドンにはまったのか?

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