地元で再び静寂に消え入るクラヴィコードに聴き入る

先週、通勤途上でネットを見ていると、Twitterの書き込みでコンサートの情報をみつけました。今年の5月に東京は茗荷谷の学下コーヒーでクラヴィコードの生演奏をはじめて聴いて以来フォローしているクラヴィコード奏者の筒井一貴さんの書き込みですが、その筒井さんのコンサートが、なんと私の自宅のすぐそばで行われるとのこと。しかもその週の土曜日の夜ということで、幸いいろいろ予定が入っていたものの夜は都合がつきそうということで行ってみることにしました。以前に聴いた学下コーヒーでのコンサートの模様はこちら。

2015/05/16 : コンサートレポート : 茗荷谷のカフェでクラヴィコードの響きに耳を欹てる

コンサート会場となる場所は、自宅がら歩いてすぐ! なぜこのようなところでコンサートを開催されたかというと、筒井さんとコンサート会場を提供している会社の担当(社長の息子さん)が大学の同じクラブの先輩後輩という関係とのことだからと後からわかりました。それだけならまだしも、その担当者、なんと私の中学までの同級生でした! 私も父が亡くなるまでは生まれ育った地元を離れて暮らしていて、地元に戻って3年ということで、地元の交友が広いわけではありませんでしたので、今回の再会はまったくの偶然。このコンサートで同級生に約40年ぶりくらいに再会したことになります。

コンサートの情報はこちら。

古典鍵盤楽器奏者/筒井一貴 つれづれ草紙:9月12日/最も静かな鍵盤楽器、クラヴィコード 〜時を超えて蘇る モーツァルトの時代〜@狛江

会場となったのは地元の建設会社の中にあるコミュニティースペース。せっかくなので会場となった会社の方も紹介しておきましょう。

東建ハウジング

そもそも、クラヴィコードに興味を持ったのは、当ブログでクラヴィコードによるハイドンのソナタ集を取り上げた記事に、新潟は三条のクラヴィコード製作者である高橋靖志さんからコメントをいただき、いろいろアドバイスをいただいてから。そのあたりは茗荷谷の記事の方に触れてありますのでお読みください。

ご存知の通りクラヴィコードは音量が非常に小さい楽器ゆえ、録音でもその繊細な音色を伝えるのは非常にむずかしいもの。いろいろなアルバムを聴きましたが、前回の学下コーヒーでの生演奏を聴いて、やはり生で聴くのが一番この楽器の魅力が伝わると知った次第。それゆえ今回も貴重な機会ということで参加する気になったのですが、今回はクラヴィコードの魅力を前回以上に体感することができました。

学下コーヒーでは10名少し入る程度のとても小さなスペースでしたが、それでも春日通り沿いということで、耳を澄ますと車の往来の暗騒音が常にしている状態でした。ところが今回の会場は、住宅地で、しかも目の前の道路に車が通るのはごく稀。今回お客さんは20名くらいだったでしょうか、もともとマンションの一室のようなフローリングのスペースで、外からの騒音はほぼありません。

コンサートが始まるまではエアコンの音が主な暗騒音でしたが、コンサートのためにエアコンを切ると、かなり静か。前回同様筒井さんがいろいろお話ししながら、くつろいだ雰囲気で演奏が始まります。最初はクラヴィコードの音の小ささに皆さん驚いていたものの、ちょっと音色に慣れたところで、筒井さんが冷蔵庫の電源を切るように告げ、実際に電源を落とすと、本当の静寂が訪れました。

プログラムの構成は前回の学下コーヒーのコンサートとほぼ同じ。曲順が若干変わっているのと数曲入れ替わってますが、コンサートの基本的な流れは同じで、筒井さんがお話しされながら、次々と演奏をしていきます。

J. S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集より 第1巻第1番プレリュード(BWV846)
モーツァルト:アレグロ(K.3)、メヌエット(K.4)、メヌエット(K.5)
モーツァルト:アレグロ(K.9a)
モーツァルト:グラーフのオランダ語歌曲「われ勝てり」による8つの変奏曲(K.24)
モーツァルト:ウィーンソナチネ第6番
モーツァルト:クラヴィーアのための小品(K.33B)
モーツァルト:ウィーンソナチネ第3番
(休憩)
フィッシャー(Johann Caspar Ferdinand Fischer):組曲集「音楽のパルナス山」より No.3 Melpomene:音楽・叙情詩の女神
パッヘルベル:アリエッタと変奏ヘ長調

IMG_3503.jpg

演奏に使っているクラヴィコードは、前回と同じもので、1763年製Johann Andreas Steinの旅行用クラヴィコードの複製でAlfons Huber & Albrecht Czernin(2002)というもの。

前回のコンサートでは耳が慣れた後半の曲の素晴らしい展開に圧倒されんですが、今回は逆に前半の曲のタッチの冴えが印象的でした。そもそも音量が小さな楽器ゆえ、今回のコンサート会場の静寂はクラヴィコードの演奏には理想的。筒井さんもこの会場が大変気に入られたようでした。私見ですが、この会場でクラヴィコードが良く鳴ったのはもちろん静寂が一番大きな理由でしょうが、他にもクラヴィコードをのせていたテーブルが無垢の木材によるかなりしっかりとしたものだったことや、響きすぎない適度な残響だったこと、クラヴィコードを置いた前が空の本棚で、適度に響きを散乱させる効果があったことも好影響だったんだと思います。

最初のバッハの平均律は冷蔵庫の電源を切る前に1回、そして電源を切ったあとに1回、都合2回演奏されましたが、ほんのわずかの騒音の違いが、響きの繊細さ、耳に届く繊細なクラヴィコードの響きの豊穣さに極めて大きな影響があることがわかりました。2度目の演奏の繊細な響きに皆さんウットリ。ここまで静かだとクラヴィコードの音量の小ささによるダイナミックレンジ、つまり強弱のレンジの狭さが全く気にならないどころか、ハープシコードなどと比較しても十分ダイナミックに聴こえることに気づきました。前半のモーツァルトの幼少時の曲は前回と全く同じ曲ですが、音量の小ささはまったく気にならず、逆に非常にダイナミックにも聞こえました。低音部は強く弾くと音程が若干ずれるのはクラヴィコードの構造特有のものですが、実際はかなり抑えたタッチなのに見事にメリハリがついた演奏に、クラヴィコードのさらなる魅力を発見した次第。筒井さんも会場の響きの良さに反応して、前半は前回のコンサート以上にクラヴィコードの音域、音量域を駆使してモーツァルトの曲の演奏を楽しんでいる様子でした。

それなりの人数で空調を切っての演奏が続くと、さすがに温度が上がってきます。前半を終えたところで休憩となり、エアコンを入れます。この日初めてクラヴィコードを聴く人も多かったようで、開演前にもクラヴィコードに近づき、しげしげと眺めている方が多かったんですが、実際にクラヴィコードの音色を聴いたあとなので、休憩時間にはみなさんクラヴィコードに触ってみたりと興味深々で和やかに談笑されていました。

IMG_3506.jpg

前回非常に感銘を受けた後半。おそらく筒井さんはこの会場の静寂を意識されて、前回よりもタッチを抑え、弱音の魅力を意識された演奏だったのでしょう。まずはモーツァルトの小曲を2曲のあと、前回とは逆の順で、先にフィッシャー、そしてパッヘルベルの曲順でした。どちらも前回はクラヴィコードの音色に慣れた耳に躍動感のつたわる演奏でしたが、今回は曲のそこここに静寂のなかに響きが消えていく美しさを意識した部分がちりばめられ、メロディーの美しさが印象的でした。パッヘルベルの癒されるような美しいメロディーがしなやかに浮かびあがる演奏はは今回も素晴らしかったです。

あまりに小さな音量に、お客さんも拍手を抑え気味。前回の演奏の時に、うまくいった時ほど拍手の音量が小さくなるんですと筒井さんが言っていたとおり、最後の響きが静寂のなかに消えると、ひとりひとりがクラヴィコードの音量に合わせた拍手で筒井さんの演奏に応えます。筒井さんも響きの良い会場での演奏に満足げ。アンコールは前回同様、モーツァルトのグラスハーモニカのためのアダージョ(K.617a)。筒井さんの言われるとおり、グラハーモニカの繊細な音色を表現するのにクラヴィコードはぴったり。まさに天上の音楽のような研ぎ澄まされた音色に脳内で変換されました。短い曲ですが、モーツァルトが晩年に到達した研ぎ澄まされた世界にトリップ。そしてもう一曲アンコールでモーツァルトのK.333だったでしょうか、筒井さんもここで演奏するのが楽しそうでした。

IMG_3507.jpg

演奏後は筒井さんがビール片手に皆さんの質問に気さくに答える談笑タイム。クラヴィコードの仕組みの話やこの楽器が愛好されてきた歴史などを、いつも通り面白おかしく説明してくれました。これも小規模コンサートの楽しみの一つですね。

私はこの日体調がよければこのコンサートを聴きにきた母親を家に残してきていたので、談笑なかばで失礼させていただきました。筒井さんもこの静かな環境を非常に気に入られていたので、またこの会場でコンサートが企画されるかもしれませんね。

実は、この前の週には念願の浜松楽器博物館へ詣でており、筒井さんがこの日にクラヴィコードの歴史の説明で触れられていた、クリストフォリピアノやスクエアピアノ、フォルテピアノなどをいろいろ見てきました。鍵盤楽器の歴史のなかでも、最も表現力があるのはクラヴィコードというのはそのとおりと確信。昔の静かな環境で、蝋燭の火を囲んで家庭で音楽を楽しんでいた時代には、クラヴィコードこそ音楽を身近でたのしむには最適な楽器であり、その繊細かつ豊穣な響きをたのしむ心の豊かさがあったのだろうと、はるか昔に想いを馳せた一夜でした。

浜松楽器博物館詣では次の記事で!

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : 古楽器 クラヴィコード モーツァルト バッハ パッヘルベル

茗荷谷のカフェでクラヴィコードの響きに耳を欹てる

今週は水曜日にサントリーホールのコンサートに出かけたばかりですが、もう一つコンサートの予約をしておりました。

IMG_2093_20150515230821933.jpg
珈琲と古楽 Vol.2 最も静かな鍵盤楽器、クラヴィコード

茗荷谷の学下コーヒーというカフェでクラヴィコードを聴くという15人限定のコンサート。

学下コーヒー
食べログ:学下コーヒー

当ブログのコアな読者の方ならご存知のとおり、いろいろなご縁から、クラヴィコードという楽器の素晴らしさに開眼したのは割と最近のこと。きっかけはたまたま取り上げたマーシャ・ハジマーコスのクラヴィコードによるハイドンのピアノソナタ集の記事に新潟のクラヴィコード製作者の高橋靖志さんからコメントをいただいたこと。高橋さんの推薦されたデレク・アドラム盤を聴いて、クラヴィコードの深遠な世界を初めて知った次第。以来、クラヴィコードによる演奏は気になって取り上げている次第。

2015/02/05 : ハイドン–ピアノソナタ : キャロル・セラシのクラヴィコードによるXVI:20(ハイドン)
2013/07/21 : ハイドン–ピアノソナタ : ウルリカ・ダヴィッドソンのソナタ集
2013/06/05 : ハイドン–ピアノソナタ : 綿谷優子の初期ソナタ集(クラヴィコード&ハープシコード)
2013/03/02 : ハイドン–ピアノソナタ : キャロル・セラシのフォルテピアノ/クラヴィコードによるソナタ集
2013/01/27 : ハイドン–ピアノソナタ : デレク・アドラムのクラヴィコードによるソナタ集
2012/12/22 : ハイドン–ピアノソナタ : マーシャ・ハジマーコスのクラヴィコードによるソナタ集

ハジマーコス盤のレビューでのコメントのやりとりを見ていただければわかるとおり、今回のコンサートの奏者である筒井一貴さんともご縁があったのでしょう。

クラヴィコードはピアノやフォルテピアノと比較すると極端に音量が低い楽器。多くのアルバムが録音に苦労しており、クラヴィコードのひっそりとした美音が自動車の通過音や暗騒音に紛れて聴こえる録音も少なくありません。このクラヴィコードの美しい音を是非生で聴いてみたいと思っていたところ、たまたまネットでこのコンサートの存在を知り、しかも席は15席限定で残り1席という状態だったので、慌てて予約したという次第。生のクラヴィコードをもしかしたら理想的な環境で聴ける千載一遇のチャンスかもしれないと思ったわけです。

当日は19:30開演のところ開場時間の19:00には駆けつけましたが、着いてみると既にほとんどのお客さんが席でコーヒーを楽しんでいるではありませんか。ちょっと出遅れ感です(笑)。

コンサート会場の学下コーヒーは茗荷谷駅から3分ほどの春日どおり沿いにあるカフェ。オーナーの方によると少し前まで目白の学習院下にあったお店がビルの建て替えにともなって茗荷谷に移り、元の学習院下、「学下」の名前のままやっているとのこと。お店のオーナーも古楽好きとのことで、このような企画となっているとのことでした。

お店の入り口からちょっと奥に入ったところに小部屋のような空間があり、そこにテーブル席がいくつかあるという構えですが、その隅にクラヴィコードが置かれ、まわりの席をコンサート向けに少し動かして、15人入るとちょうどいい感じの空間。白壁にシンプルなインテリアで、まるでハイドンの生家でクラヴィコードを聴くような心境になります。

IMG_2085.jpg

この日使われた楽器は1763年製Johann Andreas Steinの旅行用クラヴィコードの複製でAlfons Huber & Albrecht Czernin(2002)。演奏前には、この繊細かつ不思議な楽器を皆さんしげしげと見入ってました。

プログラムは次のとおり。

J. S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集より 第1巻第1番プレリュード(BWV846)
モーツァルト:アレグロ(K.3)、メヌエット(K.4)、メヌエット(K.5)
モーツァルト:アレグロ(K.9a)
モーツァルト:ヴィレム・ファン・ナッソーの歌による7つの変奏曲(K.25)
J. S. バッハ:リュートまたは鍵盤楽器のためのプレリュード、フーガ、アレグロ(BWV998)
(休憩)
モーツァルト:クラヴィーアのための小品(K.33B)
パッヘルベル:アリエッタと変奏ヘ長調
フィッシャー(Johann Caspar Ferdinand Fischer):組曲集「音楽のパルナス山」より No.3 Melpomene:音楽・叙情詩の女神

まさにこの日のクラヴィコードが使われていた時代の音楽。ほどなく開演時時刻になり、奏者の筒井一貴さんが笑顔で登場。

筒井一貴/HASSEL 古典鍵盤楽器奏者(クラヴィコード/フォルテピアノ/チェンバロ)

筒井さんが、作品のことをお話しされて演奏するという、コンサートというよりはまさにサロンで演奏を楽しむという、クラヴィコードの時代のスタイルのような進行。クラヴィコードが最も静かな鍵盤楽器と呼ばれるように、最初にさらりと奏でられた音は、アルバムのみでクラヴィコードを聴いていた私の想像よりもかなり小さなものでした。まさに人が静かにしゃべる声と同じ程度の音。1曲目はバッハの平均律クラヴィーア曲集の冒頭の1曲。馴染みのメロディーですが、まだ耳が慣れないのか、身を乗り出して耳を澄ませて繊細な音色を聴きます。実は最初の1曲の印象はやはりか細いなかの繊細な音色という感じだったのですが、これが曲が進むにつれて、実にニュアンス豊かに聴こえるようになってきます。ちょうど暗い部屋に入ったときにはよく見えないのですが、目が慣れると暗さのなかにも陰影がくっきりついて見えてくる感じ。そう、バッハの曲は耳ならしという意図で配置されていたのでしょう。最初の曲が終わると15人の拍手がクラヴィコードの音以上にカフェに響きわたりますが、曲が進むにつれて拍手も小さな音になります(笑) これは皆さんがクラヴィコードの音に耳があってきたからということでしょう。

そして、続くモーツァルトの幼少時代の曲が何曲か続きます。作曲の背景や曲の成り立ちについてのとてもわかりやすい話に続いて、モーツァルトの天真爛漫なメロディーが奏でられますが、ケッヘル番号の1桁台ということで、1曲ごとにどんどんひらめきが加わり、モーツァルトの才能が急激に開花するようすが手に取るようにわかります。耳がなれて、クラヴィコードの繊細なニュアンスを伴った音楽に引き込まれます。すぐ外は春日通りということで、もちろん車の通る音も聞こえるのですが、お客さんはクラヴィコードの繊細な音色に集中しているので、ほとんど気になりません。小さな部屋で耳を澄ましてひっそりと音楽を楽しむ至福の時間とはこのことでしょう。

前半は小曲が中心で、前半の最後はバッハ。それまでのモーツァルトがクラヴィコードから閃きの進化を聞かせたのに対し、普段はハープシコードでの印象の強いバッハでは、バッハの音楽から華やかな音色という飾りを取り去った素朴な姿を想起させます。静かに耳を澄ませて聴くバッハの音階。静寂に潜む空気のようなものに触れたような気持ちになりました。演奏を終えて静かな拍手に笑顔で応えた筒井さんでした。



休憩を挟んで後半はモーツァルトから。最初の曲はもともと管楽器による演奏をイメージして書かれた曲。筒井さんの説明に従って、これまでの速い曲調ではなく、ゆったりとした曲調の曲を脳内で管楽器の音色を想像して聴いてみると、まさに楽器としてのクラヴィコードの優れた点がわかりました。

クラヴィコードは鍵盤を打鍵すると張られた弦の中央部を下から金属で「押して」その両側の弦が振動して音が鳴る仕組み。鍵盤を打鍵している間だけ音がなり、打鍵している鍵盤を抑える指に弦の振動がつたわってきます。以前クラヴィコードはヴィブラートがかけられると聞き、いったいどういうことなのか想像できなかったんですが、実際に楽器を目の前にして、自身で打鍵してみて初めて仕組みがわかりました。

このようなクラヴィコードだからこそ、管楽器の曲をイメージして演奏できるというわけです。このころの作曲家がクラヴィコードを愛用していた理由もなんとなくわかりました。

続いて演奏されたパッヘルベルのアリエッタと変奏曲。この曲はオルガンのための曲ですが、今度はオルガン用の曲をクラヴィコードで楽しみます。このパッヘルベル、素晴らしかったです。前曲同様、クラヴィコードの音色を聴きながら、オルガンの音色を想像して音楽を楽しみます。最初のテーマから次々と変奏がつづき、耳は完全にクラヴィコードの繊細な響きの変化のレンジに一体化して、デリケートに変化するメロディと音楽に引き込まれます。体を揺らしながら次々に変奏を繰り出す筒井さんの演奏に、カフェの小空間は完全に引き込まれました。カノンばかりが有名なパッヘルベルですが、このアリエッタと変奏曲はいいですね。特にこの日のクラヴィコードの演奏は絶品でした。筒井さんも満足そうに笑顔で暖かく静かな拍手に応えていました。

最後は大バッハがその作品を研究して、影響を受けたと言われるフィッシャーの曲。パッヘルベルに比べて明るく鮮やかなメロディーが織り込まれた組曲。曲が進むにつれて筒井さんのタッチも鮮やかになり、こちらも引き込まれる本格的な演奏。皆さん最初の曲の時とは異なり、クラヴィコードの音量と音色に完全にフォーカスが合って、音楽を楽しまれていました。

IMG_2088.jpg

最後も拍手につつまれ、アンコールで弾かれたのはモーツァルトのグラスハーモニカのためのアダージョ(K.617a)。いやいやクラヴィコードは想像力を掻き立てられます。この曲では天上から振り注ぐようなグラスハーモニカの繊細な音色を想像させます。

IMG_2083_20150516124258453.jpg

いやいやいいコンサートでした。クラヴィコードを楽しむには絶好の規模。カフェの一室がバッハ、モーツァルト、ハイドンの時代にタイムスリップしたようでした。やはり生で聴くクラヴィコードは素晴らしいものでした。

終演後は筒井さんが皆さんの質問に気さくに応えたり、楽器を触らせていただいたりしながらしばらく談笑。リクエストに応じて愛器の前で写真も撮らせていただきました。

IMG_2091.jpg

大ホールでのコンサートとはまったく異なり、小さなカフェでクラヴィコードという楽器を存分にたのしませてもらう、まさに至福の時間。今週は仕事が忙しくお昼もろくに食べられないほど忙しかったのですが、このコンサートで心のそこから癒されました。主催者の皆さん、学下コーヒーの皆さん、筒井さん、ありがとうございました!

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : モーツァルト バッハ パッヘルベル クラヴィコード

プロフィール

Daisy


Author:Daisy

ハイドン(Franz Joseph Haydn)の膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。私はなぜハイドンにはまったのか?

最新記事
カテゴリ
ハイドン所有盤リスト
Joseph Haydn Discography
所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものはリスト冒頭に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

登録曲数:1,365
登録演奏数:11,529
(2019年3月31日)
タグリスト
クリックするとそのタグに関する記事が表示されます。特定の曲に関する記事の表示ができます。

十字架上のキリストの最後の七つの言葉ショスタコーヴィチ驚愕シェーンベルク悲しみオックスフォード交響曲75番チェロ協奏曲ホルン協奏曲古楽器時計弦楽四重奏曲Op.50アンダンテと変奏曲XVIII:6弦楽四重奏曲Op.64弦楽四重奏曲Op.20弦楽四重奏曲Op.54天地創造レスピーギヴォルフリゲティヨハン・シュトラウスリヒャルト・シュトラウスタリスモーツァルト軍隊交響曲10番ピアノソナタXVI:49交響曲54番迂闊者ネルソンミサバリトン三重奏曲ベートーヴェンピアノソナタXVI:52交響曲2番ピアノソナタXVI:37ピアノソナタXVI:46皇帝日の出弦楽四重奏曲Op.71ブルックナー交響曲88番ベルリオーズナッセンバッハウェーベルンベンジャミンヴァレーズメシアングリゼーシェルシOp.20弦楽四重奏曲交響曲9番交響曲65番交響曲67番弦楽四重奏曲Op.76交響曲73番交響曲39番狩り交響曲61番リームアンダンテと変奏曲XVII:6ピアノソナタXVI:20ピアノソナタXVI:6ピアノソナタXVI:48四季交響曲全集リムスキー・コルサコフラヴェルピアノソナタXVI:44ピアノソナタXVI:45ピアノソナタXVI:21ピアノ三重奏曲第九ヒストリカル太鼓連打交響曲99番ボッケリーニロンドンシューベルト交響曲5番チャイコフスキーストラヴィンスキーライヴピアノ協奏曲XVIII:11弦楽四重奏曲Op.2序曲ヴィヴァルディオペラ序曲アリア集パイジェッロピアノとヴァイオリンのための協奏曲XVIII:6すみだトリフォニーホールピアノソナタXVI:34ブーレーズサントリーホール弦楽四重奏曲Op.74変わらぬまこと哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェアルミーダ騎士オルランド無人島チマローザ英語カンツォネッタ集ピアノ協奏曲XVIII:1ピアノ協奏曲XVIII:4ピアノ協奏曲XVIII:3交響曲3番交響曲79番アレルヤラメンタチオーネチェロ協奏曲1番交響曲58番交響曲27番交響曲19番紀尾井ホールドビュッシーミューザ川崎協奏交響曲オーボエ協奏曲LPヴァイオリンとヴィオラのためのソナタピアノソナタXVI:32ピアノソナタXVI:50ピアノソナタXVI:40ピアノソナタXVI:38ピアノソナタXVI:29スタバト・マーテルピアノソナタXVI:39マーラー告別交響曲90番交響曲97番奇跡交響曲18番ひばりフルート三重奏曲交響曲102番交響曲86番ヴァイオリン協奏曲哲学者ニコライミサ小オルガンミサミサブレヴィス交響曲95番交響曲93番交響曲78番ピアノソナタXVI:23王妃武満徹SACDライヴ録音交響曲80番交響曲81番交響曲21番マリア・テレジアクラヴィコード豚の去勢にゃ8人がかりBlu-ray東京オペラシティ交響曲11番交響曲12番交響曲4番交響曲15番交響曲1番交響曲37番ピアノソナタXVI:25ピアノソナタXVI:8ピアノソナタXVI:2ピアノソナタXVI:12ピアノソナタXVI:42ピアノソナタXVI:14ピアノソナタXVI:5ピアノソナタXVI:4ピアノソナタXVI:3ピアノソナタXVI:1ディヴェルティメント東京芸術劇場交響曲98番ピアノソナタXVI:35ピアノソナタXVI:7ピアノソナタXVI:36ドニぜッティロッシーニライヒャ弦楽三重奏曲東京文化会館フルート協奏曲弦楽四重奏曲Op.9弦楽四重奏曲Op.17剃刀弦楽四重奏曲Op.103弦楽四重奏曲Op.77ファンタジアXVII:4ピアノソナタXVI:31ピアノソナタXVI:26バードアレグリパレストリーナモンテヴェルディ美人奏者交響曲70番ピアノ協奏曲XVIII:7アコーディオンスコットランド歌曲ヴェルナーガスマンピアノソナタXVI:24交響曲51番交響曲46番交響曲35番DVD交響曲47番テレジアミサピアノソナタXVI:28アリエッタと12の変奏XVII:3ラ・ロクスラーヌ帝国ハイドンのセレナードピアノソナタXVI:51五度ラルゴラウドン将軍弦楽四重奏曲Op.33弦楽四重奏曲Op.1騎士交響曲17番ピアノソナタXVI:27シベリウス交響曲42番時の移ろいベルリンフィルホルン信号弦楽四重奏曲Op.55交響曲87番トランペット協奏曲リュートピアノソナタXVI:10ピアノ五重奏曲チェチーリアミサ東京国際フォーラムラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン雌鶏冗談ナクソスのアリアンナピアノ協奏曲XVIII:5ピアノ協奏曲XVIII:9ヴァイオリンソナタ交響曲52番ピアノ協奏曲XVIII:2ロンドン・トリオオフェトリウムドイツ国歌モテットカノンよみうり大手町ホールパッヘルベルアダージョXVII:9受難交響曲84番パリセットベルク主題と6つの変奏オペラアリアスクエアピアノピアノソナタXVI:41交響曲57番交響曲68番リラ・オルガニザータ協奏曲交響曲50番交響曲89番偽作CD-Rトビアの帰還ホルン三重奏曲薬剤師オルガン協奏曲火事交響曲38番リベラ・メピアノ協奏曲XVIII:10交響曲77番交響曲34番温泉フルートソナタドイツ舞曲誕生日校長先生ピアノソナタXVI:11音楽時計曲ピアノソナタXVI:47bisピアノ小品カートリッジ雅楽プロコフィエフヘンデルサン=サーンス交響曲36番リストオーディオバリトン二重奏曲交響曲66番交響曲91番長岡鉄男歌舞伎おすすめ盤ピアノソナタXVI:47読売日響オペラ歌舞伎座スケルツァンド弦楽四重奏曲op.33ザルツブルク音楽祭ピアノソナタXVI:22変奏曲XVII:7天地創造ミサジャズ弦楽四重奏曲Op.42交響曲76番ピアノソナタXVI:43古楽器風東急文化村ノットゥルノヴェーベルン府中の森芸術劇場裏切られた誠実バリトン五重奏曲ハイドン入門者向け歌曲ピアノソナタXVI:G1ウィーンフィル月の世界交響曲72番建築ファリャマリアテレジア交響曲56番2つのホルンのための協奏曲展覧会ピアノソナタXVI:19弦楽四重奏曲全集シャンゼリゼ劇場皇帝讃歌交響曲24番大オルガンミサ新橋演舞場サルヴェ・レジーナテ・デウムカッサシオン室内楽曲ベトナム料理国立新美術館高音質CD交響曲28番交響曲13番交響曲62番交響曲107番交響曲108番ジプシー・ロンドチェンバロ四重奏曲スカルラッティカンタータ声楽曲戦時のミサ珍盤ザロモンセットN響ハルモニーミサミサ曲全集NHKホールハインリッヒミサピアノソナタ全集ジュピターレコードマーキュリー管弦楽曲室内楽変奏曲XVII:5交響曲41番ギターピアノソナタXVI:33府中ピアノソナタXVI:30カラヤンスウェーリンク書籍交響曲71番アプラウスピアノソナタXVI:13魂の歌仙台ヤナーチェク現代音楽ピアノソナタ

タグリスト
クリックするとそのタグに関する記事が表示されます。特定の曲に関する記事の表示ができます。

月別(表示数指定)
リンク
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カウンター
カレンダー
09 | 2019/10 | 11
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
ブログ内検索
Translation(自動翻訳)
アクセスランキング(FC2)
[ジャンルランキング]
音楽
94位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
クラシック
9位
アクセスランキングを見る>>
ブログランキング等
当Blogへお越しの際は、下のバナーをクリックの上お仲間のBlogも是非お楽しみください。
クラシック音楽鑑賞の情報満載。
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

クラシックの膨大なブログランキング。更新もクイック。
人気ブログランキングへ

大家さんFC2のクラシックブログランキング。

おすすめ(音楽)
当ブログが発掘した超名演盤
ViventeR.jpg
衝撃の爆演(記事1 記事2

PetersenQ.jpg
Op.1の超名演(記事

Destrube.jpg
美音の饗宴(記事

書籍もCDも送料1点から無料。配送クイック


クラシックの独自企画・復刻盤は要注目


クラシックのアルバム・日本語解説が一番充実
HMVジャパン
HMV & BOOKS ONLINEでハイドンのアルバムを検索icon
HMV & BOOKS ONLINEでハイドン関係書籍・楽譜を検索 icon

おすすめ(音楽以外)






twitter
ブログの更新情報などをつぶやいています。
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ