作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ブッフベルガー四重奏団のOp.76のNo.1(ハイドン)

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なぜか今まで触れてこなかったアルバム。廉価盤レーベルながらハイドンの録音に異常な執念を燃やすレーベル、BRILLIANT CLASSICSの弦楽四重奏。

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HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

ブッフベルガー四重奏団(Buchberger Quartet)の演奏で、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.76の6曲を収めたアルバムから、今日はNo.1を取りあげます。収録は2008年5月23日、26日、ドイツのフランクフルトの北にあるロースバッハ(Rosbach)にあるプロテスタント教会堂でのセッション録音。レーベルは最初にふれた通り、BRILLIANT CLASSICS。

ブッフベルガー四重奏団がBRILLIANT CLASSICSにハイドンの弦楽四重奏曲全集を録音しているのは、皆様ご存知の通り。BRILLIANT CLASSICSはアダム・フィッシャーによる交響曲全集の救済完成や、バリトントリオ全集、スコットランド歌曲全集、ピアノソナタ全集など、ハイドンの全曲録音を目指しているかのようなカタログの充実度合い。しかもそれぞれの録音は廉価盤レベルにおさまらない、素晴しい録音であることも皆様ご存知のことでしょう。そのBRILLIANT CLASSICSが満を持して録音した弦楽四重奏曲全集ということで、巷の感心も高いものと想像されます。

ブッフベルガー四重奏団は1974年、フランクフルト音楽舞台芸術アカデミーの生徒だったメンバーが集まってハイドンの太陽四重奏曲の演奏から活動をはじめました。意外に古くから活動しています。第1ヴァイオリンでこのクァルテットの名前の元となっているフーベルト・ブッフベルガーは1951年生まれのドイツのヴァイオリニストで、指揮もこなし、教育者でもあります。ブッフベルガー四重奏団は1978年から79年にかけていくつかの国際コンクールで優勝し、その名を知られるようになりました。2005年から4年かけて、フランクフルトのホルツハウゼン小宮殿で、ハイドンの弦楽四重奏曲全曲演奏会を開催したそう。このBRILLIANT CLASSICSの全集もそのコンサートの前後に収録されたものと思われます。メンバーは以下のとおり。

第1ヴァイオリン:フーベルト・ブッフベルガー(Hubert Buchberger)
第2ヴァイオリン:ジュリア・グレイヴ(Julia Grave)
ヴィオラ:ヨアヒム・エツェル(Joachim Etzel)
チェロ:ヘルムート・ソーラー(Helmut Sohler)

ブッフベルガー四重奏団の演奏は古楽器風のノンヴィブラートの演奏で、溌剌とした活気のあるものですが、時として勢いで弾ききってしまうような印象があり、ハイドンの弦楽四重奏の深みのようなものを求めると肩すかしを喰らうこともあるとような印象。演奏には一貫性があり、どの曲を聴いてもきちっと仕上げてくるあたりは、なかなかの腕利きぞろいと言っていいでしょう。もしかしたら好き嫌いが別れる演奏かもしれませんね。

手元には発売順に買い集めたバラの11巻のアルバムがありますが、今日はその最終巻で、最後にリリースされたOp.76を取りあげました。

Hob.III:75 / String Quartet Op.76 No.1 [G] (1797)
艶やかつ繊細な音色の強奏から入ります。4人の音色が良くそろって、キリリと引き締まった非常に高い精度の透明感のある響き。第1ヴァイオリンが目立つかと思いきや、そうでもなくアンサンブルは4人の響きが拮抗しています。引き締まった音を響かせることに集中するようでもあり、テンポや奏法の変化で聴かせるコンセプチュアルなアプローチではありません。曲自体の美しさを虚心坦懐に描いていこうとしているよう。録音も鮮明で美音を堪能できます。まさに美音の響宴のよう。
続くアダージョはまさに精妙な響き。古楽器風な透明な軽い響きが特徴であり、フレージングも練らずにサラサラと弾いていくので、演奏によっては深く沈み込むこの曲の印象が軽やかに感じられると言う事でしょう。この精妙さに、後一歩呼吸の深さが加わると、ぐっと印象が変わるような気がしますが、このサラサラ感が彼らの特徴でもあり、評価が分かれるところでしょう。
メヌエットは非常に鮮烈。強音の鋭さとキレの良さは並々ならぬもの。短いメヌエットですがインパクトは十分。
そしてフィナーレは再び美音の響宴。テンポはあまり動かさずに、まさに楽譜通りに淡々とアクセントを刻んでいくよう。この辺もフレーズ毎の表情の変化をもうすこしつけていくことで深みが出るという気がしますが、この美音を響かせ続ける淡々とした進行によってハイドンのクァルッテットの音の塊が襲いかかってくるような迫力が生まれているのも確かです。強音主体の演奏という印象が残ります。

BRILLIANT CLASSICSの威信をかけた弦楽四重奏曲全集を担当するブッフベルガー四重奏団のハイドン。単なる古楽器風な演奏にとどまらず、響きの精妙さと、サラサラと音楽が流れる清透な印象、そして引き締まった響きの迫力を味わえるなかなかの演奏揃いです。この最後に録音したOp.76は、ハイドンの弦楽四重奏曲の中でも傑作揃いですが、このNo.1は緊密な構成感で聴かせる曲。ブッフベルガー四重奏団の特徴が良く出た演奏でもありました。この純粋な響きをどう聴くかが評価の分かれ目ですが、私の評価は、この曲のさらに深遠な魅力を聴かせる他の演奏との比較などから、ちょっと減点で、[++++]ということにいたしました。多くの方が聴かれている演奏かと思いますが、皆様の評価は如何でしょうか。

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2 Comments

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MK

ブッフベルガー四重奏団

ハイドンのSQの内、このブッフベルガー四重奏団で、マイナー処の曲集を幾つか手に入れ、一応演奏団体はバラバラですが、全曲聴けるようにしてあります。
作品76は、別の団体で聴いています。
6曲セットで分売されているのは、有難いですね。

  • 2013/08/14 (Wed) 22:49
  • REPLY

Daisy

Re: ブッフベルガー四重奏団

MKさん、コメントありがとうございます。
最近安い大型ボックスも多いのですが、全部聴いたためしがありません(笑) 2枚組位までが集中して聴ける限界でしょうか。ハイドンについても全集はあまりオススメしてません。いろいろな奏者の演奏を聴いたほうが曲も良く理解できるような気がします。
最近山梨も暑そうですね。ブログいつも楽しく拝見しております。

  • 2013/08/15 (Thu) 07:32
  • REPLY